なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

残念ながら今回はハマーン様は出ません。
ご了承ください。
タイトル通り、あの人たち登場です。
ちょっと長めです。


㉗人参嫌いとエロ眼鏡

宇宙世紀0091年6月中旬

中学3年に上がったリゼは、ますます身長も伸び、ローザとあまり変わらない程に。

ただ体の線は細いし、性格が子供っぽいままだ。

来年には高校へと進学だ。

高校受験というものはこの15番コロニーに居る限りは必要無い。

都市コロニーや地球の有名高校などに進学するのなら必要だが、このコロニーには高校は二校しかない。

しかも、各種専門職育成のための専門高等学校と、普通校の二校のみ。

専門高等学校は、このコロニーの産業である農業や畜産、さらには機械エンジニア、飲食業やそれこそ美容室まで、いろいろな専門学科がある。高校卒業後に直ぐにでも働けるぐらいの知識や研修も受けられる。

この片田舎の15番コロニーでは専門高等学校の方が人気が高い。

 

因みにリゼは専門高等学校に行きたいと言っていた。

服飾デザイナーになりたいと。

とりあえずその方向で考えている。

もし、違う道に変えたければ、一年次であれば学科も変更できるし、卒業後は大学進学って言う手もある。

リゼは中学の成績はすこぶる良い。

勉強はできるし、運動神経もいい、そして何よりも器用だ。

その気になればなんだって出来そうだ。

 

ローザの方は看護資格の勉強は順調そのものだ。

このまま行くと、9月の試験に合格し、資格を取れるだろう。

 

アンネローゼは司法試験の勉強をしているが、詰め込む知識が多いため、時間がかかる。

順調に行っても試験を受けるのは来年以降になるだろう。

その間は花屋のバイトをしながらの勉強の日々だ。

 

ヴィンセントは相変わらず、パン屋とイタリアンレストランの掛け持ちバイト。

クロエはまだ体調面で不安があるため、バイトなどはしていない。

ローザとアンネローゼに習い、衛生管理師と栄養士の通信講座を始めていた。

将来ヴィンセントが自分の店を持つための助けになりたい一心からだろう。

健気な事だ。

 

俺はというと……

今日は恒例の新サイド6医師会会合の日で、1番コロニーへと出かけていた。

まあ、面倒だが出ないわけにも行かない。

医師会ビルの大ホールで、新サイド6の医者連中が一斉に集まる。

集まると言っても、俺のような個人診療所や町医者程度の連中は殆ど来ない。

最先端医療や高度医療が施術できる総合病院や大学病院の医師が対象となる。

俺は何だかんだと、連邦軍大学医学部出身と元軍医で遺伝子治療や再生医療、外科手術などの最先端医療や高度医療の実績があるため、ここにこうやって半強制的に呼ばれている。

まあ、再生医療や外科手術なんてものは軍医時代や連邦軍大学医学部時代の特殊従軍軍医時代にかなりの施術数をこなしているしな。

まあ、一番は俺が連邦軍大学医学部出身のドクターだというのがでかい。

軍大学医学部出身ってだけで、医学界隈ではエリート扱いを受けるのは確かだ。

その連邦軍大学出身の医者はこの新サイド6には俺を含めて3人のみ。

連邦軍大学出のエリートがわざわざ自ら宇宙に上がる酔狂な奴はほぼ皆無だ。

俺以外の2人の先輩連中は新サイド6の医師会に好待遇で呼ばれたか、権力派閥争いとかの政治的な意図で出向してきたというのが妥当だろう。

更にだ。新サイド6にいる軍大学出身者のなかに実際に軍医経験があるのは俺だけだ。

そんなもんだから、新サイド6医師会の上層部はいちいち生意気な俺に頭を痛めているというか、毛嫌いしている。

かと言って、直接何かをして来るわけでもない。そんな勇気も無いだろう。

それに、軍大学出身の先輩連中も俺には手を出してこないしな。

 

連邦軍大学医学部内でも、連邦軍上層部と同じで、どうでもいい権力争いは日常茶飯事にあった。

だが俺は何処の派閥にも所属していなかった。いや、軍大学内に唯一派閥闘争外の教授がいた。権威権力に全く興味無し、日柄盆栽をいじってニコニコしてる爺さんだった。

何故かそんな爺さん教授に気に入られたお陰で、俺は派閥闘争に巻き込まれなくてすんだ。

モズリー先生もその爺さん教授を師事していたため、あんなに自由奔放な感じだ。

その爺さん教授は腕は天下一品らしく、昔は鬼軍医と言うあだ名が付くぐらい怖い人だったらしい。当時の連邦軍トップ、レビル将軍すらも頭が上がらない人物だったとか。

だから、軍大学の上層部は爺さん教授には手をだせなかった。

俺はその爺さん教授のお陰で今も、自由気ままに医者をやってられるってわけだ。

 

まあ、軍大学出身者は重宝されるのは何も権威や権力だけじゃない。

実際の医療技術はさて置き、知識量は凄まじい。

また、軍大学医学部は、最先端の医療技術が常に研究され、新薬も作られている。

そんな最先端の情報を軍大学医学部出身のドクターはいち早くアクセスが可能だ。

 

まあ、そんなわけで俺のような生意気な若造でも、一応それなりの対応をせざるを得ないって事だ。

 

 

俺は退屈な医師会の会合をテキトーな時間に抜け出して、宇宙港へと向かった。

ある連中と会うためだ。

 

宇宙港にほど近い個室のある和食レストランで待ち合わせてる。

「エド!久しぶり」

「エド~!」

「エド!元気そうだね」

軍服を着た3人が店員に案内され、個室に入り俺に声をかける。

黒髪の大人しそうな東洋人の若造と、金髪眼鏡のニヤケ顔の若造、大柄な女性だ。

 

「小僧共元気だったか?モーラの姉御も相変わらず元気そうだ」

俺は連中にそう挨拶を返す。

連中は7年前俺がアルビオンの軍医だった頃の仲間だ。

黒髪の大人しそうな東洋人の若造は、俺が勝手に人参嫌いとあだ名をつけてるコウ・ウラキ27歳。モビルスーツのパイロットで操縦テクは一流だ。

金髪眼鏡のニヤケ顔の若造は、エロ眼鏡とあだ名をつけてるチャック・キース27歳。

こいつもモビルスーツのパイロットで操縦テクもなかなかのものだ。

そして、俺や若造よりも大柄で褐色の女性は、俺が姉御と呼んでいるモーラ・バシットいや、今はモーラ・キースだったな33歳。チャック・キースとは6年前に結婚した。

モビルスーツ整備士で、当時は整備士連中の姉御的存在……というよりも、アルビオンの若い連中全員の姉御だったな。

この連中は今も北米オークリー基地所属の連邦軍士官だ。

 

「小僧って事は無いだろ?エド。俺はもう子供が二人も居るんだぜ」

キースはそう言いながら、俺の隣に座る。

 

「もうちょっとシャキッとしてくれたらね。エドもそう思わないかい?」

モーラはそう言って、キースの前に座る。

 

「ははっ、エドは相変わらずだね」

ウラキは俺の前に。

 

「ニナはどうした?」

俺はもう一人の友人の名を口にする。

金髪美女のニナ・パープルトン29歳。今はニナ・P・ウラキ。紆余曲折はあったが無事結婚式を上げ、今は目の前のコウ・ウラキの奥さんだ。

元アナハイムエレクトロニクスのエンジニアで妊娠を機に引退していた。

 

「ニナは俺の子とキースの子二人連れて先に月の両親の元に行ってるよ」

ニナは月のアナハイム出身で、ウラキ、キース、モーラは地球出身だ。

 

「おいおい、一人で3人のガキを連れてかよ。……そんで、新サイド6にはどれだけ滞在だ?」

 

「明日には出航して、目的地の月のアナハイムに」

ウラキは真面目に答えてくれる。

 

「忙しいこったで」

 

「エド、それよりもいい人いないのかい?」

モーラの姉御がこんな事を俺に聞いてきた。

 

「姉御、それをここで言うか?この幸せ者連中の中でよ」

 

「どうなんだよ~エド~」

キースもニヤついた顔で姉御の話に乗って来る。

 

「うるせーな。俺みたいな捻くれた者の所に来ようとする奇特な女はいねーよ」

 

「そうかい?私は良い男だと思うけどね。世間の女が見る目が無い」

 

「そう言ってくれるのは姉御だけだって」

 

この後、2時間程度談笑が続く。

ウラキ達は月のアナハイムエレクトロニクスへ新型モビルスーツのテストパイロットとして軍艦に乗り向かっていた。期間は6カ月。

丁度、この新サイド6は月と地球の中間にあるため、補給を兼ねて寄っただけだ。

ウラキ達が宇宙に上がる前に、スケジュールを教えてくれて、ここで待ち合わせをしたというわけだ。

 

ウラキ達が所属していた北米オークリー基地は、先のグリプス戦役ではティターンズにもエゥーゴにも属さなかった。

基地司令官が優柔不断な男だったのが功を奏したらしい。

初めはティターンズに尻尾を振っていたが、いざ抗争が始まると、ウラキ達士官の猛反発もあり、中立の立場を保ったのだとか。

他の基地からすれば規模は小さいし、元々重要な基地じゃなかったから、ティターンズは見逃したんだろうがな。

グリプス戦役から、ネオ・ジオン抗争までに、ティターンズは滅び、エゥーゴが弱体化した中、中立の立場を保っていた北米オークリー基地は戦力を残し、北米に降下したネオジオンやジオン残党軍に対抗し、撃退に成功したことから、連邦軍上層部に高く評価されたらしい。

まあ、ウラキとキースはこう見えてもエース級パイロットだからな。

地上に不慣れなネオ・ジオンや旧式モビルスーツのジオン残党軍連中を撃退できるってもんだ。

特にウラキはデラーズ・フリートの反乱時は、実績を帳消しにされたが、間違いなく一年戦争時の超一流のパイロットと肩を並べるぐらいの功績を上げていた。

 

オークリー基地司令官は鼻高々と言ったところか。

さらに、その実績をもって基地司令官は連邦軍上層部のどこかの有力派閥の傘下に入る事が出来たとか。

 

そんな事があって、ウラキとキースのモビルスーツ隊は、アーガマ級を一隻あてがわれ、アナハイムの新型モビルスーツのテスト部隊として選ばれたのだと。

因みにモーラの今の階級は大尉、ウラキとキースは中尉。それぞれグリプス戦役・ネオジオン抗争時の功績で上がったようだ。

そもそもこの3人、特にウラキはデラーズ・フリートの反乱の際、ティターンズの前身組織の戦術の邪魔をしたとして目をつけられ、閑職に追いやられオークリー基地送りにされたのだ。もちろん昇進など望めない状況だった。

しかし、今はティターンズも壊滅し、ウラキらをとやかく言う連中も居ない。逆に利用しようとするものが現れる可能性もある。いや、もしかすると今のテストパイロットという役目はその一環なのかもしれん。

キース曰く、テストパイロットで新型モビルスーツの開発に貢献すれば、大尉にも上がる可能性が在ると言っていた。ちょい怪しい感じだな。

まじ、やばいんじゃないか?テストパイロットとか言って、ネオ・ジオンの残党とかと戦わされるとかそいうやつじゃないのか?

俺の考えすぎか?

まあ、先のグリプス戦役・ネオ・ジオン抗争で、ティターンズが消滅したのとエゥーゴの弱体化は結構痛いだろう。連邦宇宙軍は大幅に戦力ダウンしてるだろうしな。

宇宙戦闘の経験がある連邦軍のベテランパイロットは不足しているだろうし、いつまでもエース級の腕前のウラキやキースを遊ばせるつもりは無いということなのだろうが。

 

退役軍人とはいえ今の俺は一般人だが……まあ、ちょっと表に出せないような話も混じっていたが、流石に新型モビルスーツや詳しい内情までは話してないし、このぐらいだったら大丈夫なレベルだろう。俺も言いふらしたりしないしな。

 




今回は0083の連中との邂逅

次回から過去との遭遇編予定。
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