誤字脱字報告ありがとうございます。
今回は繋ぎ回ですね。
小僧共や姉御が元気そうで何よりだ。
任務の合間だから流石に酒を出すわけには行かないが、この面子の顔を見ながら飯を食うだけでも十分だ。
映像通信で顔を合わす事は度々あるが、こうやって直接会うのは7年ぶりとなるからな。
「エド、通信で2人目の妹が出来たって言ってたけど、どういう子だい?」
通信で姉御達には一人目のリゼについてはそこそこ突っ込んだ話をしていたが、ハマーンの件は上っ面だけしか話していない。
事が事だったからな。当初はこいつらを巻き込まないように、訳ありの子を引き取った程度しか話していない。
「もしかして、また小さい子とかじゃないよねエド。まさかロリコンじゃあるまいし」
ウラキの野郎が真面目な顔して、こんな事を言ってきやがった。
「バーカ。ちげえよ」
「コウ、そんなわけないだろ?エドは大の巨乳好きなんだぞ!」
キースめ、それはフォローのつもりか?
「キース、お前には言われたくないぞ。ふぅ、名前はローザだ。今年24歳になる」
確かにそうだが、モーラの姉御だって結構立派な物を持ってるじゃねーか。
「エド、その子成人の女性じゃない。……同じ屋根の下で生活してて大丈夫なのかい?」
モーラの姉御が俺に困惑気味な顔を向けてくる。
俺は何か変な事を言ったか?
「何がだ?」
「何がってあんた。リゼちゃんだっけ、最初に引き取った子は大丈夫だろうけど。ローザって子、24歳って、あんたが引き取ったのは22歳の時じゃないか。赤の他人の成人女性を妹に引き取ったって……恋人とかじゃないのかい?」
姉御は訝しげに俺にこんな事を聞いてくる。
「何言ってんだ?姉御。妹にしたから妹扱いじゃねーか。彼女とかおかしいだろ?」
妹が恋人とかおかしいだろ?何言ってんだか姉御は。そんなもんはその手のぶっとんだ官能小説かラノベだけにしておけ。
「エド……その、ローザさんっていう成人の女性と同じ屋根の下に住んでるってことは。その……あー、なんていうか」
ウラキは訳が分からない事をしどろもどろで言ってくる。
「成人、成人っていうがな。妹は妹だ。成人だろうが子供だろうが、妹は妹扱いに決まってだろ。何言ってんだお前ら?」
「はぁ……たまにエドと会話が成立しないよな」
キースはため息交じりで、残念な物を見るような目を俺に向ける。
「偉いお医者様ってのは、こうなのかね」
モーラの姉御も同じくため息を吐く。
「まあ、エドだし」
ウラキも続く。
「……何お前ら?俺を馬鹿にしてるのか?」
「いいや、感心してるのさ」
モーラの姉御、言葉と表情が違うぞ。明らかに呆れた顔をしてるじゃねーか。
ハマーン…、ローザは無理やり妹にしたが、妹は妹だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
「まあ、訳ありってのは間違いないから、落ち着いたら通信ででも話すさ」
俺はウラキ達にそう言ってこの話を終わらそうとする。
「面倒見がいい所は変わらないね。……でも相手の子は………」
「モーラ、エドに何言っても無駄だって。このへそ曲がりの頑固で、口汚い医者には」
「何とでも言ってろ。…でだ。月からの帰りにはまたこのサイドに寄るのか?」
俺は面倒なこの話題を終わらせ、次の話をウラキに振る。
「その予定にはなってるけど。6カ月後だから…また、通信で知らせるよ」
月で新型モビルスーツの6か月間のテスト後に北米に戻るらしいが……まあ、6カ月も後の事だ。ウラキが言う様に予定なんてものは結構変わるものだ。
「その時は、リゼちゃんとそのローザって子にも会っておきたいね」
「ああ、そうだな」
俺は姉御に曖昧な返事をする。リゼは良いとして、ローザの件は流石に厳しい。あいつ元ネオ・ジオンのハマーン・カーンだしな。こいつらは信頼出来る奴らだが、現役の連邦軍士官だからな。こいつらが受け入れても、それが何かの拍子に他の連邦の連中にバレちまったら。こいつらに迷惑が掛かるかもしれん。
「あっ、そういえばエド、あのスレイブ・レイスの元隊長のトラヴィス中尉もエドの知り合いでここのサイドに住んでるんだよね」
ウラキが不意にこんな事を聞いてくる。
「トラヴィスのおっさんはそうだな」
「今度ここに来た時に会わせてよエド」
「なんでだ?連邦内部じゃ、裏切者とか味方殺しのトラヴィスの悪名が広がってるんじゃないのか?」
そう、トラヴィスのおっさんは連邦パイロット界隈では悪名が高い。
あながち間違ってはいない。上の命令で内偵し、暗殺まがいなことまでやらされていたからな。
実際には、その逆の方が多い。本当にあくどい奴は暗殺や捕縛したが、上の都合で濡れ衣を着せられたような連中を暗殺したことにして逃がしていたからな。あのおっさんは情にも厚い。
悪名の噂は、トラヴィスのおっさんに弱みを握られた上層部の誰かが腹いせに流したものだろう。
「悪名が本当なら、軍事裁判にかけられてるよ。ちゃんと退役してるんだから、噂は噂。一年戦争で数々の作戦に参加したエースでもあるんだ。きっと色々なモビルスーツに乗ってきたに違いない。会って話を聞きたいじゃないか」
ウラキは相変わらずウラキだった。モビルスーツバカというか、パイロットバカというかなんて言うか。
「一応聞いてみてはやるが、期待するなよ」
「ありがとうエド」
3人との楽しい時間を過ごし、次の再会を約束して別れる。
本来なら、この後ウラキとキースを誘って、ちょっと大人な感じの場所へ遊びに誘うのだが……
明日出航という事は、今からだと船に直ぐにでも戻らないといけないだろう。
久々に街で遊ぶチャンスだったんだがな、ニナが居たら注意されること間違いなしだ。ウラキに変な遊びを教えるなと。そのニナが居ない内にと思ったんだが。
モーラの姉御が居るって?大丈夫だ。モーラの姉御はその辺寛容なんだ。
アルビオン時代は落ち込んでるウラキを励ますために、こそっと連れ出すのを見逃してくれたしな。
アルビオン時代は、宇宙港や町に寄った時は、ウラキとキースを誘って、お姉ちゃんが居る店によく行ったな。ついでにモズリー先生も……
落ち込んでる時は遊ぶに限るってな。
俺もトラヴィスのおっさんに一年戦争時代に無理矢理連れまわされたものだ。
今となってはいい思い出だがな。
ウラキ達と別れた後、街まで出て一人ぶらぶらとする。
この1番コロニーから15番コロニーに戻る宇宙便はもう無い。一日一往復しかないからな。ローザとリゼには予め一泊して帰る事は伝えてある。
トラヴィスのおっさんと一緒だったら、間違いなく歓楽街で一晩中騒いでいたな。
暇が出来ちまった。どうしたものか。適当に飲み屋入ってみるか。
俺は普段酒は全く飲まない。
飲めないわけじゃないが、トラヴィスのおっさんと遊びに行く時か、近所の連中に誘われたり、街の会合とかに出た時ぐらいだ。
まあ、たまには一人酒ってのもいいかもな。
そんな時、電話がかかって来る。
「もしもし」
『私だ』
私だって誰だよ。
着信表示で分かるし、そんな言い回しするのはローザしかいないんだけどよ。
しかし珍しいな、あいつから俺に電話をかけてくるとは。
診療所は閉めてるが、急患でも来たか?
「なんかあったか?」
『エドの知り合いだと名乗る女が訪ねてきたが、私の知らない女だ。だがエドに言えばわかると言っている』
ローザとリゼには一応防犯上、俺の知り合いだろうと、ローザとリゼが知らない人物は診療所や家に上げるなとは言ってある。
女?……リゼはまだ部活をやってる時間帯だし、ローザが顔を知らない女か……あの町の界隈でそんな女はいたか?心当たりが無いんだが。
「その女の名前は?」
『ドリス・ブラントと名乗った』
そう言ってローザはその女が映ってるインターフォンの映像もこっちに送ってきた。
ド…ドリスだと!?
インターフォンの画像には、片田舎には似つかわしくないナイトドレスのような胸元が開いた派手なドレスを着た妙齢の美女が映っていた。
ま、間違いない。
なぜあの女が?
や、やばい。
「ローザ……そいつは無視していい」
俺は心を落ち着かせようとするが、声が上ずる。
『ん?知り合いなのか?』
「……いいや、知らない奴だ」
『やはり知り合いか』
おい、俺は知らない奴だといったのに、なぜそう判断した。
やばい。俺が居ないタイミングでなぜあいつが俺の家に?
あいつは地球に住んでるんじゃないのか?
エドにとって厄ネタ到来です。
ドリス・ブラント
PS3ゲームのガンダム外伝サイド・ストーリーズ。
ミッシングリンクに登場する。連邦軍側の美女。
一応オペレーターだが、珍しく清純派じゃないオペレーター。
モビルスーツ乗れるし、潜入できるし、ハッキング出来るし、エロいし、格闘技もできるし。ルパンの不二子ちゃんタイプのオペレーター
トラヴィスのおっさんの昔の仲間。