誤字脱字報告ありがとうございます。
続きです。
閑話なんで、こんな感じで……
IFではないのですが、ストーリーとはちょっと異なり、ライトな気分で読んで頂ければ助かります。
合コンが始まったが……
会話がとても弾みそうもない。
ローザは初めから話すつもりなどまったく無さそうな面をしてるし。
引っ込み思案のクロエは自分から話すような性格じゃないし。
リゼは出された前菜を美味しそうに食べながら、ローザに話しかけてるし……。
男共も、ユウ・カジマは微動だにせず黙ったままだし。
サマナ・フュリスは、仕方なしに参加してる感じで、愛想笑いしてるだけだ。
マクシミリアン・バーガーは、本性を隠しカッコつけて、自ら話さないスタンスを取ってる。
フィリップの野郎はアンネローゼに話しかけてるが、アンネローゼは相手連中が連邦軍だと知って、警戒してか、相手に会わせて愛想笑いと頷いてるだけだ。
「エドにヴィンセント、心配するような状況にはなりそうもないな。これはこれでいいんじゃないか?」
おっさんが俺とヴィンセントにホッと息を吐きこう言った
「たしかにな。案ずるが易しってのはこの事だ」
いい感じに合コンは破綻しそうだな。これなら、早々に飯食って直ぐに終わりって感じだ。
フィリップの奴がこの状況を見かねて、皆に向かって提案をしだす。
「うーん。お嬢様方はシャイのようだーね。まあ、こっちの男共はシャイというよりも朴念仁だがな。ふぅ、そうだな話題はっと。お嬢様方、特技とか得意なことかあるかな?先ずは端っこのちっちゃなレディーからどうぞ~」
まあ、そうなるだろうな。
幹事の立場からすりゃ、場を盛り上げるには何かをかえねーとな。
しかも、リゼを先鋒に選ぶとは。
こいつ、合コン慣れしてやがる感じがする。
明るいリゼだったら、素直にこの話題に乗ってくれるだろう。
目の前の軍人のおっさん共に気後れなんて全くしてないしな。
「はーい。えーっと。スポーツは全部得意です!でも、今はバスケットボールかな~、今度15番コロニー代表に選ばれちゃいました!」
リゼは明るく得意げに、胸を張る。
リゼはスポーツ何でも得意だしな。
まあ、それにこのコロニーには中学校は二校しかないし、選ばれてもおかしくない。
「ほぉ、リゼちゃんスポーツ得意なんだ~、そいつは凄い」
フィリップは大げさに驚く。
カジマは漸く反応を示し、大きく頷いていた。
サマナ・フュリスも感嘆の声を上げる。
マクシミリアン・バーガーはまだカッコつけたままだ。
「えへへへっ、そうかな?」
リゼも褒められてまんざらでもないようだな。
「じゃあ、次はローザさんどぞ。んん?そう言えば、リゼちゃんと同じ苗字だけど、姉妹か~な?」
「ふん。当然だ。他に何に見える?」
ローザはそんな質問振るフィリップを思いっきり睨む。
なんでそこで睨むんだ?逆に不自然だぞ……。
「い、いや~、美人さんなのは一緒なんだけど~。なんていうか雰囲気が余りにも違うっていうか……」
フィリップはタジタジでこんな事をいう。まあ、姉妹を疑ってるわけじゃなくてだな、リゼとローザの性格が余りにも異なるから、気軽に聞いただけなんだと思うが。
「貴様には関係ない」
相変わらずのハマーンクオリティ。もうそのまま合コンを破綻させてしまえ。
「お姉ちゃんとリゼは仲良しなんだよ」
笑顔でリゼがナイスフォロー。
「な、仲良しさんなんだね……じゃあローザさんの得意な事は?」
フィリップめ、めげずによくやる。
「………」
ローザは黙ったままだが、どうやらあの口の閉じ方は何か考え事をしてるようだ。
俺かリゼしかわからないちょっとした仕草だ。
「お姉ちゃんが一番得意な事でいいんだよ」
リゼの優しいフォロー。
リゼの言葉に頷き、ローザは腕を組み直し不敵な笑みを浮かべながらこう答えた。
「ファンネルだ」
その瞬間、トラヴィスのおっさんとヴィンセントは口に含んでいた飲み物を豪快に吹きこぼす。
合コン中のアンネローゼも、同じ反応だ。
ん?……ファンネルってなんだ?
……どこかで聞いたことが……確か強化人間関連の資料で見たことがあるぞ。サイコミュ兵器の一種だったような。
……
おいーーーーーー!!お前何言っちゃってんだ!!しかも何そのドヤ顔は!!
何処の世の中に町娘がサイコミュ兵器が得意とかいう奴が居るんだ!!
しかも連邦軍の現役エースパイロット連中の前で!!
ま、まさか……
俺はふと、ローザの席に置かれてるグラスを見る。中の飲み物は既に空だった。
しまった!ワインか!?
やっぱりか!完全に酔ってやがる!
あいつは超酒に弱い。見た目は全く変わらんが、思考が滅茶苦茶になりやがる!
この前なんか、間違って俺が飲んでたカクテルを飲みやがって、「この俗物が!」とか言いながら家中の赤い物を片っ端から壊しまくりやがった!
やばいぞ!こうなったあいつはなかなか酔いが冷めねーぞ!
「ファンネルとは、どういうことですか?」
サマナ・フュリスは訝し気にローザを見ていた。
隣のユウ・カジマも、眉毛をピクって動かし、今日初めての反応をしめしている。
明らかに怪しまれてるぞ!
や、やばい。どうするおっさん!呆けてる場合じゃないぞ!あいつ、とんでもない爆弾発言しやがって!……おっさん、一層この場に乗り込んで合コンを壊すか?
「あは、あははははっ、ネイルファンデの事なんです。田舎なんで、省略して逆読みしちゃうんですよね。よくあるでしょ?」
ナイスフォローだ!アンネローゼ!あいつらが追及する前に、次に回せ!
ローザの奴にこれ以上余計な事を言わすな!!
「ネイルファンデーションの事ですか。いいですね。地球でも流行ってますよ。僕のおく……知り合いの女性もこってまして……」
おおっ?何かサマナが納得したぞ。しかも奥さんと言おうとしただろお前、嘘とか擬態とか苦手なようだな。ふう、それにこいつ人が良さそうだし大丈夫だろう。
ユウ・カジマ、お前、微妙に残念そうな顔をしてないか?
怪しんでるんじゃなくて、兵器の話がしたいだけだったりとかか?……こいつはマジで安全そうだ。
「ネイルファンデとは、いい趣味だーね。ローザさん。おっさんにも今度ご教授願ったりかなったり」
フィリップの奴は何を言ってやがるんだ?意味が分からん。男はネイルファンデとかしねーだろ!
「ファンネルでは不服か?ならばキュべ……」
「じゃ、じゃあ次はクロエお願いね」
ローザが何かを口にしようとしたが、それを遮るように大きな声でアンネローゼが次のクロエに質問を振る。
ローザにはもう、何も言わすな!
クロエは指を下唇に当て、思案顔をした後に、可愛らしくこんな事を言ってしまう。
「わたしは……うーん。HADESかな」
案の定、ヴィンセントとトラヴィスのおっさんはまたしても飲み物を噴き出す。
お前もかクロエ!!兵器から離れろよ!!
しかもHADESが得意ってどういう事だ?あれはシステムだろ?
もう、訳が分からん。こいつの場合相当天然入ってるから仕方が無いか……ヴィンセントお前が何とかしろ!婚約者だろ!!
まあ、HADESなんて知ってる奴はもう連邦にも居ないだろうが。
資料事全部トラヴィスのおっさんが分捕って、連邦には残ってないらしいから、大丈夫だと思うがな。
この合コンどう考えてもダメだろ!おい!
「あは、あははははっ、そうなんですよ。この子こう見えても、なんかそう言うバーチャルゲームが得意らしくて。私にはわかんないですけど」
おおっ、流石は年長者のアンネローゼ。ナイスフォローだ!
この後、アンネローゼは上手い事話を流し、自分の番には無難にフラワーアレンジメントが得意だと答えて、事なきを得たようだ。
そんで男連中の番だ。
フィリップはパンを焼くのが得意だと……激マズパン屋が何を言ってやがる。
ユウ・カジマは、ビームライフルが得意だとか……、こいつも大概だな。
サマナ・フュリスは盆栽だと。ジジイかよ。
マクシリアンはキザっぽく楽器演奏が得意だと。まあ、こいつは元々軍楽隊出身だしな。
ふう、一時はどうなるかと思ったが、何とか乗り切ったな。
相手がバカと真面目君で良かった。
ハマーン様どうやら、エドに治療されて復活されてから、お酒が全然だめになった様です。
本人がそう言ってたようですが……
もしかしたら、元からかもしれません。