なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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沢山の感想ありがとうございます。
徐々に返していけたらと思っております。
誤字脱字報告ありがとうございます。

……すみません。
中編が長くなっちゃって分割しちゃいます。
今回はラプラスの箱がメインの繋ぎ回。
次回は白い人と赤い人
ボリュームが結構なことに

ラプラスの箱について一緒なのですが。
UCの内容については随分と変更させていただいてます。
また、いろいろとエドの言動には私的意見が含まれておりますので、飽くまでも考え方の一つとして受け取って頂ければ助かります。



番外後日談:ラプラスの箱中編その1

宇宙世紀0096年3月10日

突然オードリーが家を出ると言い出し、ヘイガー家では家族会議が始まった。

 

オードリーは家族に話し出す。

「『ラプラスの箱』を何としても、心無い人へ渡すわけにはいかないのです」

 

「……ラプラスの箱ってなんだ?」

まるで聞きなれない言葉だ。

オードリーは、小難しい事や不思議な事を言う子だったが、この言葉は初めて耳にする。

 

「ラプラスってあれでしょオードリー。ラプラスの悪魔の『因果律によって未来は決められてる』っていうあれよね。なんかニュータイプと関係あるのよきっと」

クェス、なんでお前がそんな事を知ってるんだ?

しかも楽し気に目を煌めかしてるんだ。

確かにあったな。

それってよ。西暦時代の物理学で提唱された俗説だろ?量子力学で完全に否定された奴だ。

今も、面白がってオカルトチックな事柄に引き合いにされる事が多い。

超常的な存在が未来を見るとかなんとか、神の存在を肯定するものだとか。

 

「オードリーちゃん。箱って事は中身があるの?」

リゼがそんなクェスを余所にオードリーに肝心な事を聞く。

 

「はい、箱の中身は分かりませんが、連邦政府が転覆するぐらいのものが入っているとザビ家の遺産の中に、極秘資料として残されておりました。おそらく伯父上かおじい様の研究資料だと思われます」

 

「なんだそれは?……いや、ちょっと待てよ。ラプラス……ラプラス事件の事なのかもしれんな。宇宙世紀元年の歴変更セレモニーが行われたラプラスっていう宇宙ステーションが爆破された事件だ」

地球の国々が連邦政府の元統一がなされ始め、人々が地上から宇宙へと移住を開始し、西暦から宇宙世紀へと変わる節目のセレモニーが行われた宇宙ステーションで爆破テロが起こり、当時の連邦政府初代首相を含めお偉方が多数巻き込まれたという事件だ。

 

「エドおじ様の見識の広さには感服いたします。確かに研究資料にもラプラスの爆破事件に関する可能性も示唆されておりました。連邦政府自身があの事件の黒幕である可能性があると……しかし確証は全く無いものでしたが」

オードリーは淡々と語るその内容が本当であれば、確かに連邦政府のあり様に問題視され、諸所から是非を問う声が上がるだろう。

当時の連邦政府は、この爆破テロが連邦政府統一の反対勢力が行ったものだと断定し、反対勢力や反対派の国々を弾圧し、いまの連邦政府を盤石の物にしたという歴史がある。

もし、オードリーが言う、連邦政府自身が爆破テロの首謀者だとしたら、反対派を一掃するための自作自演だったということになるからだ。

……だが、100年前の話だ。

今となっては、今更これが自作自演だったというスクープが報じられたとしても、多少のダメージは受けるだろうが、戦争を起こすまでに至るだろうか?

今、戦争が起きるとすれば、地上の連邦政府と虐げられてきた宇宙移民という構図がどうしても必要となる。

だが、はっきり言ってこれだけでは、今の宇宙移民の戦争を起こすだけの動機づけにはならないだろう。

一年戦争から始まり、シャアの第2次ネオ・ジオン抗争に至るまで、宇宙移民と地球連邦という構図で戦争が起こったが……、宇宙移民にとって利することは何もなかった。それどころか逆に現在に至るまで宇宙移民は苦境を陥らせていた。一部の権力者以外はな。

 

宇宙世紀創始から宇宙移民の大きな問題は、格差と税の問題だ。

地球に住む人類と宇宙移民とは圧倒的な貧富の格差があった。

そして、重い税の取り立てだ。

しかし、それは既に過去の問題だ。

今現在……格差なんてものは殆どないと言っていいだろう。

確かに地球連邦政府への参政権などは無いが、普通に暮らす一般人レベルでは必要ないものだ。

一般人のレベルで言えば、逆に、過酷な地球環境に比べれば、コロニーの方が住みやすい上に、文明的だ。それに一部の特権階級を覗けば、宇宙移民の方が金を持ってるケースが多い。

俺から言わせてもらえば、コロニー内……いや、宇宙移民の中での格差社会こそが問題だ。

それは宇宙移民自体が作り上げたものだ。労働階級と支配階級としてな。それがサイド3に如実にあった。その格差社会を地球連邦政府のせいにいい様にすり替えているようにしか俺には見えなかった。

ギレンの演説はもはや道化だ。自国民の不満を連邦政府のせいにしてる様にしか見えない。

自国民は優良種だからと戦争を始め、結局戦争に駆り出され真っ先に死んでいったのは自国民だ。しかも奴らが戦いを最初に吹っかけたのは同じ宇宙移民のコロニーを潰すことだった。俺の故郷のサイド4をな。

サイド4は連邦に対して不満が少ないコロニーだった。何せ連邦には元々期待なんてしてない。自分たちで何とかしようという風潮があったコロニー群だからな。期待なんてしてないから、連邦を頼ろうなんてことも思わない。必然的に地球や連邦に対し不平不満も少ないし、興味も薄かった。

 

それは置いといてだ。

オードリーの伯父と祖父という事はギレンとデギンだろう。

その研究資料を使わなかったという事は、その程度では、連邦の不満を噴出させ、国民を戦争へと煽動する強い動機付けにはならないと考えていたのだろう。

 

「オードリー、その程度の事で、連邦が転覆するとは思えないが……」

 

「わたくしもそう思います。伯父様とおじい様はもっと別なものが隠されていると考えていたようです。そして、ラプラスの箱をビスト財団が持っている事を突き止め、ビスト財団と接触したようです」

 

「おいおい、それは本当か?地球連邦にすら多大な影響力があるって言われてる宇宙に拠点を置く最大の財閥じゃねーか」

ビスト財団、宇宙世紀初期に宇宙移民であったサイアム・ビストが一代で立ち上げた財閥だ。

その影響力は、地球連邦や地球自身のあらゆる企業にも及ぶ、あのアナハイム・エレクトロニクスの親玉でもある。

 

「おじい様は、ビスト財団からはラプラスの箱の中身を聞き出す事は敵いませんでした。しかしビスト財団とザビ家、いえジオン公国は20年前に約定を結びました。宇宙世紀の100年の節目にラプラスの箱をジオン公国に委譲すると……」

 

「……話が見えて来たな。ビスト財団から反連邦の急先鋒であるジオン公国に連邦政府の弱みであるラプラスの箱を渡すと……だが、度重なる戦争と抗争で既にジオン公国は疲弊し、宇宙世紀100年に自治権を放棄し、連邦に組することが決定されてる。すると今のジオン公国にビスト財団からするとラプラスの箱を渡すに値しないことになる。……となるとそのラプラスの箱とやらの委譲先がどうなるかということか」

 

「はい、ビスト財団は戦争の火種となる可能性が在るラプラスの箱を、なぜ反連邦組織に委譲したいのか真意はわかりません。ですが、それらが心無い組織の人間に渡り、戦争の発端となるのは何としても避けるべきです」

 

「で、ザビ家の血を引くオードリーがそのラプラスの箱の委譲を申し出て、他のジオン残党や反連邦組織に渡らないようにしたいのだな」

 

「はい……わたくしは胸騒ぎがしてならないのです。なんとしても他の手に渡るのを避けたいのです。わたくしは早々にビスト財団の現当主であるカ―ディアス・ビストに会いに、財団本部があります新サイド4のインダストリアル7コロニーに向かおうと思っております」

胸騒ぎか……この子が妄想や虚言でこんな事を言う人間ではない。

それに妙に勘の鋭い子だ。ニュータイプであることは間違いない。

ローザもアンネローゼもそう言ってる。

クェスとあいつらもな。

 

「だがオードリー、今のお前では会う事も出来ない可能性もある。会ったとして、知らぬ存ぜぬと追い帰されるかもしれない。それだけだったらまだいい。下手に刺激をして捕まり、殺されることだってある」

どうやらビスト財団、いや初代サイアム・ビストはラプラスの箱を反連邦を掲げる組織に委譲したいらしい。

今のミネバは反連邦の立場じゃない。その真意を聞かれれば、ミネバに渡す可能性は低い。

 

「それは……」

 

「オードリー……俺はお前が行くのは反対だ。そんな危ない話にお前を行かせるわけにはいかない」

 

「おじ様、しかしわたくしは……」

 

「……アレが確か、3年前のあの時にラプラスの箱という言葉を口にしていた。何やら知っているのかもしれん」

此処でようやくローザが話に入ってきたが、顔を顰めていた。

3年前のあの時ということは、間違いなく第二次ネオ・ジオン抗争の時の事だろう。

 

「ローザ。アレってレッドマンの事か?」

ローザは俺がレッドマンと呼ぶ男を名前で呼ばないし、毛嫌いしていた。

 

「………ふん。アレもそのラプラスの箱とやらを探していたのだろう」

 

「そうか、ならちょっと話を聞くか」

 

「この家に呼ぶのか?」

ローザは明らかに不機嫌面をする。

 

「仕方が無いだろう?それとだ。トラヴィスのおっさんとかにも話に加わってもらったほうがいい」

もしかするとトラヴィスのおっさんはこのあたりの話を知ってるかもしれん。

おっさんは裏社会に精通している。

ついでに、白い人も呼ぶか。

 

「おじ様……皆様にご迷惑をおかけするわけには」

 

「オードリー、地球圏の行く末に影響がある話だろ?ましては戦争が起きるかも知れないって話だ。もはや、オードリー個人やザビ家だけの問題じゃない。本来大人達が解決しなければならない問題だ」

 

「……わかりました」

 

俺はトラヴィスのおっさんと白い人とレッドマン……元新生ネオ・ジオン総帥だった奴に連絡する。

 




中編
その1はラプラスの箱の見解
その2は白い人と赤い人
その3はトラヴィスのおっさん
みたいな感じになる予定

後編は一話で終わらせたい。

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