誤字脱字報告ありがとうございます。
前回の話をちょい消しするためにも、早く投稿します。
やり過ぎた感が半端ないんで。
今回は真面な話です。
夜半にトラヴィスのおっさんとアンネローゼ、アムロ、そしてレッドマンことキャスバルが俺んちに訪れる。
例のラプラスの箱について話し合うためにだ。
本来ならそんなきな臭い話に、リゼやクェスを関わらしたくないんだが……、オードリーが関わってる話だ。家族として聞いておくべきだと俺も思うし、本人たちは聞く気満々だった。
アムロとレッドマンが軽く挨拶はかわしていたのは印象深い。
トラヴィスのおっさんもレッドマンと社交辞令程度の挨拶。
俺は何時もの感じでキャスバル呼びで挨拶をし、奴も挨拶を返して俺の隣に座ろうとするが、ローザは俺の腕を取り、奴を一睨みし、貴様はあっちだと椅子も何もない俺から一番遠い場所を指す。
いや、あそこだと、話が聞こえねーだろ?
リゼだけは奴と遺恨も何もないため、普通に挨拶をし、ダイニングテーブルに席を用意する。レッドマンおじさんと……。
オードリーと俺とで、再度ラプラスの箱についての経緯や状況説明を行った。
「キャスバル、お前知ってる風だったが」
俺は改めてレッドマンに訪ねる。
「確かに私もラプラスの箱を求めていた。知りえた情報も、オードリー嬢とほぼ同じものだ。ザビ家とビスト財団が密約を交わしていた事までは把握していたが、箱の中身までは調べ切れなかった」
レッドマンも詳しい中身までは分からなかったようだ。
……そんなレッドマンを俺の隣でローザが舌打ちをしながら「役立たずめ」と小声で罵っていたが俺はスルーする。
「ラプラスの箱にビスト財団か……。エド、実は俺の方では、新生ネオ・ジオンの残党組織でサイド3と裏でつながってる『袖付き』って言う連中がビスト財団に接触することを察知してる」
「なんだ?おっさんの裏の仕事に関係してくるのか?」
流石はトラヴィスのおっさんだ。やはり情報を持ってるようだ。
おっさんは表向きはジャンク屋を中心とした会社を経営しているが、その裏ではスレイブ・レイス……民間軍事会社のような事をやっている。
おっさんの表の会社が今は繁盛していて、ジャンク屋だけじゃなく、重機の運搬部門や農機や小型生活ロボットの開発販売部門まで手を広げていたから、年だし、そろそろ裏の仕事を閉めるんじゃないかと思っていたんだが……
「直接ってわけじゃねー、その『袖付き』の内部に俺と繋がってる奴がいて、逐一情報を交換していたんだよ。ローザちゃんやオードリーちゃん、レッドマンは知ってる奴だ。スベロア・ジンネマンだ」
ジンネマンの事はローザから聞いたことがある。
しかし、袖付きという残党組織は初めて聞く名だ。
ローザも知らなさそうだな。
「ほう、ジンネマンか……残党でサイド3と連携が取れる程の人間がいたとはな。『袖付き』とやらのトップは誰だ?」
レッドマンも『袖付き』について知らない様だ。
トラヴィスのおっさんはため息を吐いた後、こう話した。
「ふぅ、先に言っとくけどよー、笑うなよ。『袖付き』のリーダーは新生ネオ・ジオン残党軍や裏界隈では『赤い彗星の再来』と言われる男だ。その名もフル・フロンタル。モビルスーツの腕前もカリスマ性も備えた奴だそうだ。ジンネマンからの情報だと、金髪の偉丈夫で常に仮面を被ってるらしい」
その話を聞いて、アムロは小さく噴き出していた。隣でローザも肩を震わせているな。
まあ、俺も吹いてたけどな。
だってよ。フル・フロンタルだぜ?
名前じゃないよな。通名だろきっと。だからといって、そりゃないだろそんな名前、『丸裸』ってよ。
まあ、表裏の無いとか包み隠さずという意味で、真実の人というと通名だろうが、もっとましなのがあっただろ?
赤い彗星のシャアの再来が丸裸ってか?しかも仮面って……ぷっ。
俺は思わずキャスバルを見て、また噴き出す。
いや、俺だけじゃない。アムロもクェスもアンネローゼも噴き出していた。
ローザは我慢できないってな感じで俺の肩に顔を埋め震えてる。
「冗談ではない!」
キャスバルはしかめっ面で語気を強めていた。
そりゃそうだ。ぷぷっ
「レッドマン…シャア、ふっ、お前の偽物らしいぞ。しかも裸の偽物だ。何とかして来いよ。ふはっ!」
アムロは笑いながらキャスバルにそんな事を言った。
「アムロ!貴様!」
「キャスバル落ち着けよ。まあ、なんていうかだな。ぷっ……そこはたいして重要じゃない。おっさん続けてくれ」
「エド……」
「エドの言う通りだ。フル・フロンタルの出自は不明だ。レッドマンやローザちゃんもオードリーちゃんも知らないようだから、3年前の新生ネオ・ジオン以前には居なかったということだ。だがそいつは『赤い彗星の再来』と言われ、『袖付き』っていう新生ネオ・ジオンの残党を率いている」
「名前はさて置き、そこそこ出来る奴という事か」
アムロは相づちを打つ。
「おっさん。要するにだ。そのフル・フロンタルが率いる『袖付き』っていう残党が、ビスト財団に接触を図ってる。それはラプラスの箱の受け渡しの可能性があるという事だな」
「流石エド、話が早い」
「トラヴィスおじ様……フル・フロンタルなる方はラプラスの箱を渡すにふさわしい人物なのでしょうか?」
オードリーの表情は真剣そのものだ。
「オードリーちゃんもさっき話してくれただろ?ビスト財団は反連邦組織にラプラスの箱を渡す意思があると。実際その通りだろう。サイド3のモナハン・バハロが後ろ盾だろうしな」
「モナハン・バハロか……」
ローザがそう呟く。
オードリーとレッドマンもその名前を知ってるようだ。
「どういう奴なんだ?」
「現在の連邦の監視下であるジオン公国に置いて、力を持ってる政治家だ」
レッドマンが俺にそう答える。
「サイド共栄圏……モナハン・バハロの思想はまだ早いのです。その志はわたくしも理解できない事はありません。それを今の連邦とこの戦争が立て続けに起こった現在では、とてもなしえる物ではありません。自然に流れにまかせ、地球一つでは人類が支えきれないという現実が差し迫った段階でなしえると、わたくしは思います」
オードリーは胸に両手を添え、ゆっくりと語る。
サイド共栄圏については、オードリーに後で聞いたが、簡単に言うと、宇宙のサイド間の結束を強くして、経済を宇宙だけで回し、地球に縛られる連邦を経済的に置いてきぼりにして、連邦を弱体化させる方法だそうだ。
ミネバはその思想を強行すると宇宙に生きる人々に対し、連邦は新たな締め付けを起こす。
既にある地球連邦を蚊帳の外に置く方策は現状にはあわない、連邦が自ら変わる様にしなければならないと。
こんな事を16の娘が考えていたとは……この子は、ジオン・ダイクンなんかよりもずっと、地球人類の事を考えてる。
連邦も地球経済だけでは立ち行かない事は重々分かってるはずだ。
だから、一年戦争後、直ぐに行ったのはコロニーの再建だった。
宇宙での生産基盤が無いと今の地球の経済は回らないからだ。
それを認め、地球からの政治体制ではなく、宇宙から人類全体を見渡した政策を打ち出すようになれば、こんな戦争なんて起きないだろうに……
レッドマン……いや、シャアはやり方は最悪だが、地球を隕石落としで住めなくし、強制的に人類を全て宇宙に上がるという思想は、わからないでもない。
最終的には皆の理想に繋がるからな。
だがな、早急にそれをやると、人の心はどうなる。
人は感情で動く動物だ。
感情を蔑ろにした政策は、優れた物だとしても、いずれ反感を産み混乱を招く。
「でだ。小難しい事は置いておいてだ。そのフル・フロンタルだか、モナハン・バハロだかに、ラプラスの箱が渡ったら、まずいって事だよな」
俺は話を進めるために重要な事を聞く。
「そうなるな」
「ああ」
「今はまだ」
ローザとレッドマン、オードリーの返事の仕方は違うが意見が一致した。
なんだか、ローザとレッドマンが言うと逆に納得が行くというか……自分たちが過去に同じような事を考えていたからな。
「要はだ。その丸裸のレッドマンもどきに、ラプラスの箱が渡る前にビスト財団からオードリーの嬢ちゃんに渡してもらえばいいんだろ?じゃあ、行こうか」
トラヴィスのおっさんは気軽にこんな事をぬかしやがる。
だが、このおっさん。ただのおっさんじゃねー、その言葉がそのまんま現実となっちまう。
「マジか、おっさん」
「マジもマジ、大マジよ」
「おっさんの裏の仕事に関係するのか?」
スレイブ・レイスにビスト財団かその袖付きとやらに関する依頼が来てるってことか?
「まあ、そうだな。ちょっと違うが大方同じだ」
「トラヴィスおじ様。わたくしを連れて行って頂けませんか?」
オードリーは悲壮感を漂わせ、おっさんに懇願する。
「おい、オードリー、そんな事はおっさんらに任せればいいんだよ」
「エドおじ様……わたくしは、この眼でどうしても見届けたいのです。お願いいたします」
オードリーは俺の手を握り、上目遣いで懇願する。
うっ………いや、流石にな。どうせおっさんの事だ。荒事になるに決まってる。
そんな所にオードリーを行かすわけには……
「エド……私からも頼む。オードリー、いや、ミネバ様の願いをかなえてやってくれないか」
ローザも俺の手を握り、頼み込んで来る。
こうなると俺にはどうにもできない。
「おい、お前もかよ。おっさんも何とか言ってくれ!」
頼りはおっさんだけだ。
「大丈夫だエド。今回は万全だ。オードリーちゃんには危険が無い様にする」
「おっさん!!!」
ちょっと待て、おっさんまで何を……
「それにだ。俺もオードリーちゃんに出張って貰った方が良いと思う。ビスト財団のサイアム・ビストを説得するのにもな」
「おっさん流石にそれは……っておい、サイアム・ビスト?……ビスト財団の創始者か?生きてるのか?もし生きていたとしても余裕で100歳は超えてるぞ」
「生きてるらしいぞ」
「私も行く……ミネバ様、いや我が妹であるオードリーは私が守る」
「ちょっとまて、ローザ。お前も行くつもりかよ!」
俺はオードリーよりもお前の方が心配だぞ。
変に暴走しないかヒヤヒヤするんだが。
「ほう、それは心強いね」
「おっさん!!何を!!」
「エド、負けだな。……大丈夫だ。俺も行く」
「アムロ……いやだがな」
「私もついて行ってやろう。約束しようエド。悪いようにはしない。それにだ。私の偽物が出回っているのは甚だ不快だ」
レッドマンは立ち上がり、俺に不敵な笑みを向けこう言った。
「ふっ、その丸裸のお前の偽物に出くわしたら任せるぞ。レッドマン」
おい、アムロ。いいのかよそいつを再び戦場に出してよ。
「アムロ!……まあいい。私だけでも十分だ」
「キャスバルお前って……いいのかよ。おっさん」
いや、そもそもお前はこのコロニーから出られないだろ?
「いいんじゃねーか。アムロもいるし、レッドマンも戦力としては超一級だ、しかもエドと約束するって言ってるんだから。大丈夫だろう」
おっさん。なにその適当な感じは、いままでかなりレッドマンを警戒していただろ?
まあ、今のキャスバルが何か企てるとか無いのは俺もわかるが……。
そんでローザが俺の横で舌打ちをしていた。
……俺はローザがどさくさに紛れて後ろからレッドマンを撃たないかの方が心配だ。
「わたしも行く―――!」
クェスがそこで元気よく手を上げる。
「ダメだ!!お前は勉強しろ!!」
「パパの意地悪!オードリーが良くて、なんでわたしがダメなの!!」
クェスが俺の腕を引っ張り、頬を膨らませる。
「お前……2年の進学ギリギリだっただろ。補習受けないと留年だとか。俺も勉強付き合ってやるから、大人しくしてろ」
因みにオードリーは成績は学年トップだ。何をとっても文句のつけようがない。
まあ、クェスも学校では目立っているが、方向性が違う。
「あれ?……あはははは」
クェスは笑って誤魔化してるが……こいつ、部屋の鍵を外からかけておいた方が良いな。
絶対ついて行こうとするはずだ。
「ふぅ、わかった。オードリー、学校が始まるまでに戻って来い。学生が本分なんだ。将来だってある。ザビ家の事、けりを付けて来い」
「おじ様……ありがとうございます」
オードリーに涙ぐみながら俺の手を取ってお礼を言われた。
「ローザ、オードリーの事を頼む。くれぐれも無茶をするなよ」
「大丈夫だ。私は……まだエドにしてもらいたいことがある……そのだ。必ず戻ってくる」
何だかローザの奴、顔が若干赤いな。やってもらいたい事ってなんだ?
うーん。結婚式は上げたしな。新婚旅行は前倒しで行ったしな。なんだ?
「おっさん。それにアンネローゼ。二人を頼んだ」
「まあ、エド。そう心配するな。今回はマジで大丈夫だ。大したことにならないって」
「エド先生。大丈夫大丈夫」
おっさんとアンネローゼはなんか気軽な感じでこんな事を言ってるが、何かあるのか。
「エド、俺も頑張らせてもらう。二人の事は任せて貰っていい」
アムロが言うとマジで大丈夫だと思ってしまう。安心感が凄まじいな。
「アムロ頼んだ。キャスバルも助かる」
「大したことは無い。エドに返しきれない恩がある。足しにでもしてくれ」
キャスバルはキザったらしいが、こういう時は頼りになる。
俺はリゼとクェスと黙って留守番だ。行くだけ足手まといになる。
俺がついて行くと、身内のローザやオードリーの邪魔をしてしまう事になりそうだ。
それに、入院患者が一人いる。おっさんから預かったのだが、半年経った未だに目を覚ましていない。
そして、明後日の朝に、例のトラヴィスのおっさんの16番コロニーの秘密プラントから
出発を見送る事になった。
なったのだが……おい。まじかよ。
前回はやり過ぎました事をお詫びいたします。
次回はやっぱGジェネっぽい。
因みにデニス・レッドマンは
バスケのスーパースターから文字ってます。
あの人、頭も赤いし、早いし高いし。