なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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誤字脱字報告ありがとうございます。

早速続きを……


クェス編【後】

私はアムロに連れられ、サナリィというかアムロが設計開発した新世代型小型モビルスーツFX93のシミュレーター特訓を受けることに……。

 

コクピットが従来のモビルスーツに比べると滅茶苦茶狭い。

ディスプレイは正面にサブモニターみたいのしかないし……。

でも、専用ヘルメットをかぶると、ヘルメット自身がディスプレイの役目をはたして、全方位ディスプレイと変わらない感じになるから、ヘルメットとMS連動システムを稼働させれば狭さも感じなくなり、従来機よりももっとモビルスーツと一体感を感じる。

それと、脳波を読みとるサイコミュを導入してるらしく、サブ思考操作システムでモビルスーツの動きをよりダイレクトにサポートを行ってくれて、細かい動きを表現できる。

ユニコーンガンダムのデストロイモードとまでとは流石に行かないけど、これはこれでいい感じね。

 

このFX93は色々な装備や装甲を換装させる事が出来るらしい。

宇宙ではファンネルや高速移動パーツ等多種多様に用意されているわ。

今回、地球の重力下では、FX93の腰部にこのスカートに似たフライトユニットと両腕に試作ビームシールドを装着。生半可なビームは通さないし、なんでも実弾も防げるらしい。

武装はビーム・サーベルにビーム・ライフルに専用実弾貫通ライフル、フライトユニット前部にガトリング砲、出来るなら使いたくは無いわね。

 

アムロから1日半みっちり、特訓を受けた後、出撃することに……。

 

「マフティーの次のターゲットが判明した。大西洋沿岸のアフリカ方面。予想に反して3か所同時襲撃だ。だが、1か所は明らかに陽動の為の襲撃だ。連邦軍の犬共がその最初の1か所襲撃に救援のため戦隊を動かした隙に、他の2か所を襲撃するのだろう。

1か所は海上基地。1か所は沿岸高級リゾート地だ。

マフティーが操縦するガンダムタイプは恐らく、より困難な海上基地襲撃だろう。

ガランシェールは海上基地方面へ、プレアデスは高級リゾート地方面へ向かってくれ。直ちに出撃だ」

作戦隊長のジンネマンさんが指示をだして、ガランシェールに乗り込む。

 

「クェス、あまり時間が無かったけど、FX93の操縦の方は?」

バナージが私にちょっと心配そうに聞いてくる。

 

「ばっちりってわけじゃないけど、何とかなるんじゃない」

 

「ふむ、頼もしいな。我々のユニコーンガンダムは、専用フルアーマー武装装備、ペルフェクティビリティを改良した大気圏内用の飛行ユニットを装着するが、空中での機動性や俊敏性は、ミノフスキー・クラフトを搭載するマフティーのガンダムタイプやFX93に明らかに劣る。撃墜するのならともかく、捕縛となると難しいだろう。相手のガンダムタイプはクェスに任せることになる」

 

「まかせてよ、マリーダ姉」

ハサウェイにガツンと一発叩きこんでやるんだから。

 

「サポートは任せてくれ、クェスはそのガンダムタイプのみに集中してくれればいい。ただ、クェスが押されて俺が危険が及ぶと判断したら、……ガンダムタイプは…俺が撃墜する」

バナージは真剣な顔で私にそう言う。

 

「そうならないようにするわ」

バナージがもし本気でユニコーンのデストロイドモードを起動させれば、サイコフレームの共振で重力すらも操りかねないわ。

それ程、バナージのニュータイプ能力は高い。

 

 

その後、大気圏突入前までマリーダ姉とバナージと、他愛もない日常会話を楽しんだ。

マリーダ姉はこの二日間で、プレアデスのちょっと軽そうな30歳前後の男性MSパイロットに何度も声をかけられたらしい。

やたら、出身地とか身辺や家族の事を聞いてきて、知り合いに似てるとか言ってくるらしいのよ。ナンパの常套句ね。マリーダ姉も美人だからわからないでもないけど。

あの紫っぽい銀髪の女の人は彼女じゃないのかしら?

もちろんマリーダ姉は袖にしたらいいのだけど。

ニュータイプの男って、女性にだらしがない奴しかいないのかしら。

まともなのって、堅物のバナージぐらいかしら。

やっぱ、パパが良いわね。

 

 

 

そして、大気圏突入直前にFX93に乗り込みコクピットで待機する。

マフティーのモビルスーツが、海上を移動してる所を捕捉したとの事。

大気圏突入後、10分未満で接触するコースを取るらしい。

大気圏突入して、成層圏ギリギリの高度20万(20㎞)でモビルスーツを射出という荒業をするらしくて、コントロールに気をつけろと言われたって……。

まあ、何とかなるんじゃないかな。

 

 

大気圏突入に成功して、ユニコーンガンダム1号機、2号機そして、FX93が格納庫から強制的に射出…というよりも落とされる。

乱気流の衝撃に耐えながら、FX93は重力に従い自由落下していく。

 

『クェス、ガンダムタイプ1機、ベース・ジャバーに乗ったマフティー主力MSメッサー9機を確認。海上を東南に航行中だ』

 

「私の方も確認したわ」

 

『上空から一気に叩く。クェスはガンダムタイプを、マリーダさんは俺とメッサーを』

 

「了解よ」

『了解だ』

 

私はFX93の出力値を一気に上昇させ、眼下のモビルスーツ隊に迫り行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り。

宇宙世紀0093年3月12日

シャア・アズナブル率いる新生ネオ・ジオンと連邦宇宙軍のロンド・ベルとで、アクシズを巡る大規模な艦隊戦が展開されていた。

ハサウェイ・ノアはロンド・ベル旗艦、父親のブライト・ノアが指揮するラー・カイラムへの密航がバレ、民間人として居住ブロックに押し込められていた。

ハサウェイがそもそも密航した理由は、2、3日共にしただけの少女クェス・パラヤに恋心を抱き、そのクェスがシャアについて行ってしまったことにあった。

シャア率いる新生ネオ・ジオンと対峙するロンド・ベルに潜り込めば、戦場でシャアからクェスを取り戻せると浅はかな思いを描いていたのだ。

そして、戦場が泥沼していくさなか、ハサウェイは戦場にクェス・パラヤの存在を感じ、補給中のジェガンを奪って、戦場に出て行くのであった。

戦場でクェスを探すハサウェイ。

だが……。

ハサウェイは突如として、この戦場でクェスの存在を感じられなくなったのだ。

その理由をハサウェイは懸命に考えるが、答えは一つしか出てこなかった。

それはクェスの死……。

その答えを受け入れる事が出来ずに茫然とするハサウェイを、後から半壊したジェガンで追って来たチェーン・アギにより、ラー・カイラムに連れ戻されるのだった。

 

この戦いはロンド・ベルの勝利によって幕を閉じる。

この時の出来事が、少年ハサウェイに多大な影響を与える。

クェスの死。

地球に落ちるアクシズを敵も味方も無く必死に抑えようとして散っていた人々の地球への思いを知る。

後にアクシズ・ショックと呼ばれるサイコフィールドにより、人々の温もりを投影した光の環を目撃。

そして、英雄アムロの死とシャア・アズナブルの死だった。

 

実際には、クェスはアンネローゼとローザに戦場から連れ去られ、アムロとシャアはエドに拾われるのだが、ハサウェイは知り様もなかった。

 

ハサウェイのモビルスーツを奪った罪は、この戦いで勝利した父親ブライト・ノアの功績と、アクシズ・ショックの真相隠蔽に同意することで、なかった事になるが……ハサウェイ少年の心に闇を落とす結果となる。

 

ハサウェイは、モビルスーツを奪った理由も家族にすら話さず、心に蓋をしたまま、残りの中学生活をサイド1で過ごし、高校に上がる。

 

この頃、クェスは新しい父親、エドワード・ヘイガーの元、愛情たっぷりに育ち、良識を得て、楽しい学園生活を過ごしていた。

また、ニュータイプを神聖視していたクェスだったが、シャアのダメンズぶりやアムロの私生活の雑さ、乙女心全開のツンツンデレのローザの生きざまを見て、ニュータイプを特別視することは無くなった。

 

一方、アムロとシャアはお互いの存在を認めつつ、近所でそれぞれの新しい生活基盤を手に入れ、第二の人生を歩みだしていた。

 

 

しかし、そんなハサウェイに転機が訪れる。

 

宇宙世紀0096年3月

ミネバ・ラオ・ザビによる宇宙世紀憲章の真実と人類の未来についての演説が、全世界に流れたのだ。

ハサウェイはその凛とした声と演説の内容を聞き、希望の光が差し、蓋をしていた心が開き、再び動き出したのだった。

クェスの死を徐々に受け入れ、第二次ネオ・ジオン抗争とは何だったのかと真剣に考えるようになる。そしてシャアの生きざまと英雄アムロの死についても意義を見出そうとしていた。

 

その頃、ラプラスの箱の戦いを終結し、クェスは新しい家族と共に、さらに楽しい毎日を過ごすことになる。

一方、アムロとシャアは、過去の女性関係について清算を迫られていた。

 

 

ハサウェイは大学へと上がり、地球にとって自分は何をすべきかを考え、歴史や政治だけでなく地球環境保全について大いに学ぶことになる。

過去の暗い影は徐々にと払拭されつつあった。

 

その頃、街行く誰もが見惚れる美女へと成長したクェスは、姉妹のように育ったオードリーの影響を受け、大学に進み、自分探しを行っていた。

妹達も生まれ、日常生活では充実した日々を過ごしていた。

 

一方、アムロとシャアは、アムロはなし崩し的に4人の女性と生活をすることになり、子供も出来てしまい全員妻に……。シャアは理想の年下の女性と出会い結婚、極度の愛妻家となる。

 

 

宇宙世紀0102年

ハサウェイは大学を卒業し、地球の為に何をすべきかと答えを見つけるため、植物監査官候補として地球に降りる。

この頃にはクェスの影を追う事も無くなり、アムロとシャアの死をも乗り越えていた。

現地で知り合った非合法地球居住者のケリア・デースと恋人となっている。

そして、クワック・サルヴァーと出会い、地球の環境の悪化と非合法地球居住者の劣悪な扱い、連邦政府の腐りきった特権階級の存在について、大いに知ることになる。

その後、非合法反連邦組織マフティーに恋人ケリアと共に参加する。

マフティーの活動にのめり込むハサウェイは徐々に頭角を現す。

マフティーの思想に染まっていくハサウェイの様子に危機感を持った恋人ケリアは、身を引く形で、ハサウェイの元を離れる。

だが、逆にハサウェイはますますマフティーの非合法活動に力を入れ、遂にはマフティー・ナビーユ・エリンを名乗り、マフティーのカリスマ的リーダーとして、成長を遂げるまでに至っていた。

 

その頃、クェスは大学を卒業したが、自分がやりたいことが見つからず、家で家族と共にのんびり過ごしていた。

オードリーからは一緒に地球の未来のために政治活動をしようと誘われていたが、踏ん切りがつかないでいたのだ。

 

一方、アムロとシャアは子供も生まれ、仕事と私生活共に、充実した日々を過ごしていた。

 

 

 

宇宙世紀0105年7月

ハサウェイは未だに知らない。

クェスが生きている事を……

ハサウェイは未だに知らない。

アムロとシャアが仲良く、第二の人生を歩み、家族と幸せな日々を過ごしている事を……

ハサウェイは知らない。

地球連邦の腐った暗部とクワック・サルヴァーことブレン元少将、マーサ・ビスト・カーバインが結託し、彼らの策略によってマフティーは作られ、手のひらで踊らされている事を……。

 

ハサウェイは運命の出会いと言うべき、敵であるはずのケネス・スレッグ大佐と魅惑の美少女ギギ・アンダルシアの2人と親交を深めていた。

だが、マフティー・ナビーユ・エリンとしての意思を全うすべく、彼らとの関係をも断ち切る。

ハサウェイは、アムロからは英雄の象徴ガンダムを、シャアからは地球の保全という遺志を受け継ぎ、Ξガンダムを駆り、地球の未来のためと信じ、今日も連邦政府要人が滞在する基地の襲撃に向かう。

 

 

だが、ハサウェイは知らない。

嘗ての淡い恋心を抱いた相手が自分を止めるために、頭上まで来ている事に……

 




〇紫銀髪の女性にしりに敷かれてる30代の軽そうな男性ニュータイプパイロットは……マリーダさんに声をかけちゃうのは仕方が無いですよね。(下心は無いよ。たぶん)

〇ペルフェクティビリティを改良した大気圏内用の飛行ユニット
リガズィやZⅡのような飛行形態とモビルスーツフルアーマー形態と簡易変形する装備。
勿論、アムロ先生の魔改造品。
フルアーマー形態でも短時間だったら空中に浮く程度は可能。
飛行形態は……そうですね。ウイングゼロ(EW)みたいな感じかな?鳥さんというよりも始祖鳥とか翼竜のイメージかな。ペルフェクティビリティって尻尾や羽みたいなのもあるし。

〇ハサウェイの来歴や精神面は凡そ原作に沿ってますが、原作よりマシな感じになってます。

次回、遂にクェスとハサウェイが12年半ぶりの邂逅を果たす!?

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