誤字脱字報告ありがとうございます。
クェス編なんとか終わりました。
短期決戦で書こうと思ったんですが、途中で心が折れて、楽しい物を書いてました。
それが用意してます最後のお話、ジュドー×ハマーン様編 1話完結物です。
家に帰ると、パパが頭を撫でてくれた。
「ただいま!」
「ふぅ、気が済んだか?」
「うん。そうね」
「そりゃよかった」
その日はちょっとパパに甘える。
ローザ姉がため息を交じりだったのは見逃さない。
後で聞くと、リゼ姉にローザ姉は私が留守の間に注意されたみたい。
嫉妬でプレッシャーが漏れてる事を。
マリーダ姉が、私がアムロに訓練を受けてる最中にリゼ姉に相談したらしい。
トラヴィスのじいちゃんの話によると、月ではやっぱり艦隊による小競り合いが起きたようだけど、お互い人的被害もなく難なく収めて、マーサ・ビスト・カーバインを捕まえる事に成功したとの事。
クワック・サルヴァーことブレン元少将も捕え、マフティーの秘密基地も抑え、実働部隊のパイロットも捕縛、マフティー・ナビーユ・エリンを名乗るハサウェイも捕まえて、事実上マフティーは壊滅。
後にマフティーの動乱と言われた一連の事件は終止符を打った。
でも、これからが大変らしい。
連邦政府や連邦軍とも、裏から折衝しないといけないらしいし、アナハイムとも話をつけないといけないらしいし、マフティーの構成員の処遇も何とかしないといけないし……じいちゃんは、暫くは忙しくなると言ってたわ。
私達が家に帰った翌日の夕方に、家にトラヴィスのじいちゃんとアムロと共に奥さんの内、セイラさんとフラウさんとチェーンが家に来た。
それとハサウェイの両親のブライト艦長と奥さんのミライさん、妹のチェーミンも。
そう、ハサウェイの事を伝えるために……。
私もその場に参加させられたけど。
ブライト艦長の動揺ぶりは見てられなかった。
ミライさんは自分の育て方が悪かったと自分を責め、謝るばかり。
チェーミンも泣いてたわ。
やっぱ、家族を悲しませたらだめよね。
私もパパに迷惑かけてばかりだから、あまり人の事はいえないかもだけど。
その日、ハサウェイの家族は、アムロの御殿に泊まる事になった。
ブライト艦長やミライさんやチェーミンの心のケアは昔馴染みのアムロやアムロの奥さんたちが適任よね。あの家、滅茶苦茶デカいし、寝泊まりするところには困らないわ。
その翌日の正午。
ハサウェイはここに連れてこられた。
勿論、手錠を嵌められたままね。
何で家なのか?
トラヴィスのじいちゃん曰く、こう言うのはエドの家が良いんだよと、訳が分からない理由を言っていたわ。
パパはうんざり顔で、仕方がねーなと了承してたけど……。
今日は妹達とリタ姉の子供たちは、アムロの御殿に遊びに行かせ、リタ姉も子供たちの付き添いで……。
リゼ姉は仕事の関係で、新サイド6の1番コロニーに。
マリーダ姉とバナージは、マフティー関連の残務処理で忙しいらしくて、しばらく家を空けるらしい。
家にはパパとローザ姉とオードリーと私。
トラヴィスのじいちゃんとアムロ、セイラさんにチェーン、それとレッドマン、そしてハサウェイの家族が3階のリビングで待機していた。
ハサウェイは1階の診療所の待合室にトラヴィスのじいちゃんの会社の人に放り込まれる。
診療所の監視カメラで一部始終が、3階のリビングのテレビに映し出される。
今から起こるだろう事を考えると流石にハサウェイに同情する感情が沸き上がる。
……なにこれ?
公開修羅場?
私とオードリー、パパもローザ姉も関係ないんじゃない?
まずはじいちゃんが待合室に入るが、ハサウェイは相変わらずじいちゃんに噛みつく。
じいちゃんが一言、二言話した後にブライト艦長が……
ハサウェイはいきなりブライト艦長に、グーで顔を殴られ吹き飛ぶ。
そして、倒れたハサウェイの胸倉を掴み上げ、もう一発。
ハサウェイも痛そうだけど、ブライト艦長の方がもっと辛いに違いない。
更に、殴ろうとしたところをアムロが入って来て、ブライト艦長を後ろから羽交い絞めにして止める。
3階でこの様子を見るミライさんとチェーミンは泣き崩れていた。
そのハサウェイだが、突然アムロが現れた事に、ブライト艦長が現れた時よりも驚いてかなり動揺してることが分かる。
『……アムロさんが……ここに…………生きて………』
そこに、レッドマンがグラサンを外しながら登場。
なにカッコつけてんだか。
『え?………シャア?……シャア・アズナブル?………え?……どうして?……え?……何が?……どうなって?………』
ハサウェイは放心状態ね。
アムロがブライト艦長を落ち着かせたところで、ハサウェイを起き上がらせ、手錠を外し、椅子に座らせる。
何が何だか分からない様子のハサウェイは瞳孔が見開いたまま、椅子に大人しく座っていた。
トラヴィスのじいちゃんとアムロが、今回のマフティーの件について真実を語りだす。
ハサウェイの顔色が見る見る悪くなっていく。
途中で大きく反論してたりしてたけど、直ぐにじいちゃんやアムロに事実を突きつけられて、項垂れていく……。
『僕は僕がやって来た事は何だったんだ!?……僕がやっていた事は唯の人殺しだったのか……僕は………罪もない人を殺しまわってていただけなのか……地球の未来は……僕は!!!』
ハサウェイは勢いよく立ち上がると同時に糸が切れた人形のように崩れ落ち倒れる。
その様子を見て、パパは勢いよく3階のリビングから1階の待合室に駆け下りて行った。
その後ろにローザ姉もついて行く。
パパはハサウェイの介抱をし、病室のベッドに寝かす。
3時間程して、丁度私も様子を見に行った時に、病室のベッドの上でハサウェイは目を覚ます。
ベッドの周りにはハサウェイの家族が見守っていた。
「父さん、母さん、チェーミン……ごめんなさい」
「………」
「ハサウェイ……いいのよ。私もあなたを分かってあげられなかったから」
「兄さん……」
「父さん……僕を父さんの手で連邦に突き出し、軍事裁判にかけて処刑してください。僕がやって来た事は全て間違いだった。悪の片棒を率先して担いできたのは僕だった」
「……ハサウェイ、お前を分かってやれなかった俺も父親失格だ。一緒に出頭する。お前の罪も父親の俺の罪だ。……一緒にな。ミライ、すまない。チェーミンの事を頼む」
「あなた……ハサウェイ……」
こんな事になった後で、家族の絆が強くなるなんて……。
私ももらい泣きしちゃったわ。
何とかしてあげたいけど……
「ああっ、ちょっと悪いんだけど、それ無しな」
じいちゃんがそんな悲しみの感動の現場に、明るい声で入って来る。
「トラヴィスさん、何故止めるんですか。私達親子にはこれしか罪を償う方法は……」
「ああ、マフティー・ナビーユ・エリンという奴な。あれ、ブレン元少将に被ってもらう事になったから。ぜーんぶだぜ。その線で連邦の上と話をつけた。だから、ハサウェイ・ノアって奴が、マフティーに参加したなんてものは、何も残らないというか、消滅する」
「……いや、それは」
「今回の件は、連邦の最大派閥が裏から手をまわして全部やりやがった事だ。こうなった以上、奴らはブレン元少将に全部の罪を擦り付け、事を全部終わらすつもりだ」
「だったら、僕が告白して!すべてを!」
「だから、小僧は甘ちゃんだっていうんだ。そんなだから騙される。いいか、奴らは連邦の闇をずっと蠢いてきた癌だ。既に連邦とは切っても切れない存在だと言っていい。奴らを全部始末すれば、連邦も瓦解する。今連邦が瓦解すれば、各地で紛争が起き、戦争が起きるだろう。何だかんだと言って、連邦は多数の不満分子を産んだが、それらを曲がりなりにも抑えて来たからな」
「トラヴィスさん……私達は何を」
「ブライトさんよ。実直なのはいいけどよ。もうちょっと肩の力を抜いたらどうだ?要するにだ。今回の事は法律上は全く罪にならないって事だ」
「そんな事が……」
「だが、僕は偽物の正義をかざして、人を殺した……その罪は償うべきだ」
「確かに法律上の罪は消えたが、人として、お前自身の罪は消えたわけじゃねー。お前が罪を償いたいと言うならば、そのチャンスをやろう。但し、それは今じゃねー。それまで反省しまくってろ」
「………マフティーの皆はどうなりますか?」
「ああ、そいつらにも別の方法で罪を償わせてやるよ。宇宙では人手は幾つあっても足りねーからな」
じいちゃんの口元がにやりと歪む。
じいちゃん。また何か企んでるわ。
「しかし、僕は………」
1週間後。
マフティーの反乱はブレン元少将とマーサ・ビスト・カーバインが一部の連邦議員と結託して起こした連邦内部反乱だと、正式に報道され、連邦議会はこれを止められなかったという事で、多くの議員がやめさせられ、解散総選挙に追い込まれる。
マフティーは壊滅、構成員は全て捕縛されたと報道される。
更に半年後。
「クェス!」
「あら、ハサウェイ。元気そうじゃない」
家の診療所から出てくるハサウェイが、家に帰る途中の私の元に駆け寄って来る。
ハサウェイは度重なる真実を突きつけられた影響で精神的に参ってしまって、1カ月は酷い状態だったわ。何とか立ち直って、今は様子を見る程度で定期的に通院してる。
「そうだね。体も随分となれてきたよ」
「ジャガイモ栽培は大変?赤鼻のおじさんは昔からの農法に拘ってるから、全部手作業なんでしょ?」
ハサウェイは更生の一環として、今はジャガイモ農家のオーナーの赤鼻のおじさんの家で住み込みで働いてる。
因みに更生監査員として、ハサウェイの後見人になってるのはパパ。
「確かにきついけど、土に触れ、水と空気に触れると心が洗われる気分だよ」
なんか晴れやかな笑顔ね。
「夜は茨の園でアルバイトでしょ?」
今は経営者がレッドマンに変わっちゃったけど、バー茨の園でバーテンとしてバイトをしてる。たまにパパが私を連れて行ってくれるわ。
「いろんな人が来て、いろんな考えを持ってるんだ。日々勉強になるよ」
元々真面目な奴だから、ちゃんとした環境が有れば、こんなものよね。
真面目過ぎるから、あんなことになっちゃったんだろうけど。
同じ、真面目君のバナージでも、元々の心の持ちようとメンタルの強さが違ってたから、ああはならないでしょうね。
「クェス、それでさ。今週末に映画でも……」
「却下」
「えええ!?なんで?」
「パパと出かけるから」
「えええ!?クェスってファザコンが過ぎるよ」
「あんたに言われたくない」
「クェスは好きな人いないって言ってたけど……どんな人が好みなの?」
「うーん、そうね。ちょっと目が鋭くて、口汚いけど、優しくて、頼りになって、医者な人」
「それ、まんまエド先生じゃないか」
「あんた、まさか私をナンパしてるわけじゃないでしょうね。私は過去の女の人とちゃんと清算しない奴とか、女を傷つけたままほったらかしにする男が大嫌いなのよ」
「う……っ、いや、多分大丈夫だよ。ギギはケネスと結婚してキュウシュウに居るって、風の便りで聞いたし……」
「あんた、マフティーの時代に恋人居たんじゃないの?なんかそんな感じの事を聞いたことがあるんだけど」
「ケリアは随分前に、向こうから離れて……」
「はぁ?あんたちゃんとその子に確認取ったの?あんたがマフティーなんかやるから、その子は離れたんじゃないの?」
「ええ?そうなの?……いや、でも」
「確認してきなさい!!」
「痛いって、何も頭を叩かなくてもいいじゃないか」
ふぅ、ニュータイプって人と人が離れてても意思の疎通が図れるんじゃないの?
ニュータイプの男共は何でこうも、女心が分からない連中ばかりなのかしら。
あのジュドーって人も、ルーさんを大分困らせてるみたいだし。
例外はバナージだけね。パパの教育の賜物よね、やっぱり。
ハサウェイはこんな感じで、このコロニーで更生を行ってる。
ブライト艦長は連邦軍を辞めた。
やっぱり、責任を感じてるみたいね。
それで何故だか、このコロニーに引っ越してきたんだけど。
しかも奥さんとレストランを開きたいとかで、ヴィンセントさんのレストランで修行のためにアルバイトしてるわね。
それと、マフティーの構成員の殆どがこの新サイド6に。
トラヴィスのじいちゃんの会社の監視の元、更生のための強制労働?をさせられてるみたい。
さらに、非正規地球居住者をドンドンと新サイド6に連れて来てるわ。
なんでも新しい32番コロニーと33番コロニーの住人にするんだとか。
それで、自分たちで作ったコロニーなら愛着が湧くだろうと、コロニー建設現場で働かせてる。
じいちゃんはホクホク顔だったわ。
この人も大概よね……。
私は……その、オードリーの法律事務所で働くことに……受付兼オードリーの秘書よ。
でも、何か知らないけど、関係ない男共がひっきりなしに来るんだけど、相談料を払うから、話を聞いてくれとか言って、営業妨害も甚だしいわ。
そんな奴らを追い払うのも私の役目ね。
あんまりひどかったら、パパに来てもらおうかしら。
パパだったら、一発であんな奴らを追い払っちゃうんだから。
人類の未来か。
私にはいまいちピンとこないけど。
オードリーならそれに触れる事がきっと出来るわ。
私はとりあえず、このコロニーで今迄通り、パパや家族、妹達が安心して暮らせるようにして行きたいわ。
クェス編何とか終わりました。
告知と違い8話も……だめですね。だらだら癖が治らない。
最後の番外はやはり、ハマーン様のお話で締めくくりたいと……
ジュドーとハマーン様のお話を作成してます。
先ほど、ちょろっと告知いたしましたが、こんな感じになります。
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とある会社のとある社員寮。
社員寮と言っても、かなり広々としたタワー型マンションの一室。
このタワー型マンション自体がとある会社の社員寮である。
「お兄ちゃんとルーさん、明日友達の家に行くんだけど、一緒に行かない?」
「リィナ、こっちの友達って、俺達も行ってもいいの?」
「リィナの友達って、会社の人?」
「そう、マリーダの家よ。隣の15番コロニーに住んでるんだけど、会社の定期便があるから、それに乗って行こう」
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こんな感じで始まるお話です。しばらく待ってくださいね。
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