なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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いつも感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

この前の続きなんですが、長くなっちゃって、今回は中編です。


閑話 忘れた頃にやって来る。(カミーユ編中)

(フォウ、聞いてくれるかい。俺は今日、ハマーンに会ったんだ)

(また女の人なのかって?そうか、フォウは会った事が無かったんだった。宇宙で会った悲しい女さ。自らの欲望の為に戦火を広げ、ついに何も手に入れることなく死んでしまった。……しかし何故ナース姿で俺の前に……あり得ない。あのハマーンがナース姿なんて、どういうことなのだろうか?一番あり得ない姿のハズなのに……夢か、俺の欲望が夢を見せているのか?ハマーンを嫌っていたはずなのに……分からない)

 

(レコアさん、クワトロ大尉に会ったんだ。相変わらずサングラスをかけてたよ)

(冷たい人だって?不器用なだけなんだ。地球を守りたいという思いは本物だと思う。でもなぜネオ・ジオンの総帥になって、地球に隕石を……そして死んでしまった。……本当は俺が大尉を殴ってでも止めるべきなのに、俺はその場にいなかった……俺のこの手でクワトロ大尉を助けてあげたかった)

 

(エマさん、俺はアムロさんに再び会えたんだ。しかも恋人と仲睦まじい姿で……)

(俺にはユイリィが居るって?そう、俺にはいつもユイリィが傍にいた。アムロさんは俺の代りにクワトロ大尉を止めてくれた。本当はクワトロ大尉は俺が止めるべきだったのに……。アムロさんはそれで死んでしまった。本当はベルトーチカさんと幸せに過ごして欲しかった。

……俺はエマさんにも生きてヘンケン艦長と幸せになって欲しかった。

すみませんエマさん。俺……皆に助けて貰ってばかりのに……恩返し何一つできずに……俺も今からそっち[あの世]に行きますよ。まだまだ話したい事がいっぱいあるんです)

 

(ロザミィ、ブライトさんにも会ったよ……んん?おかしいな?俺は死んで皆に会えたと思ったのに、ブライトさんは生きてるはずだ?……ちょっとまて!俺は医者になってユイリィと結婚して、娘が出来て……それで……それで………)

 

 

「うわわわああああっ!……はぁ、はぁ……ゆ、夢か」

カミーユは叫びながら体を起こし、自分がベッドの上で寝ている事に気がつく。

カミーユは夢を見ていた。

過去に出会い戦場で散ってしまった彼女らに何やら語りかける夢を。

 

「ここは?何故ベッドに?……確か俺は、ドクター・エドワードを訪ねて新サイド6に……ヘイガー診療所に向かって……それから、どうなった?」

カミーユは周囲を見渡し、どうやらどこかの病院の病室に寝かされている事を理解し、なぜそうなったのか、今自分が置かれていいる状況を順を追って確認しようと、今日の自身の行動をふりかえる。

 

「ハマーンとクワトロ大尉とアムロさんが目の前に……俺は少々疲れていた様だ。夢を見ていたのだろう。あり得ない。ナース姿のハマーンとか……」

カミーユは自嘲気味に独り言ちる。

 

そこに白衣姿の少々目の鋭い細身の中年男がベッドを仕切っているカーテンをめくり現れる。

「よう、気分はどうだ?」

 

「大丈夫です。ここは?俺はどうなったんですか?」

 

「ここは俺の診療所だ。あんたはここに来て倒れたんだ」

 

「そう……ですか、どうやらご迷惑をお掛けした様です。ありがとうございます」

カミーユはそう言ってベッドから降りようとするが、その医者が手を前に出し制止する。

 

「まだ無理をするな。あんた名を言えるか?」

白衣の男は、カミーユが意識の混濁具合を確認するためにわざと名を聞いた。

 

「カミーユ・ビダンです。月面都市アンマンで医者をしてます」

カミーユはベッドに上半身を起こした状態で自己紹介をする。

 

「俺はエドワード・ヘイガー。しがない街医者だ」

白衣の男はそう言って名を告げる。

 

「あ、あなたがあのドクター・エドワード!?……よかった。会えた遂に会えた」

カミーユはその名を聞き大いに驚き、そして大きく安堵の息を吐く。

 

「ん?俺を知ってるのか?」

 

「私は貴方に会うために月から来たんです」

カミーユはベッドの上で改まって、エドにここに来た理由を述べる。

 

「はぁ?唯の街医者になんでわざわざ?」

 

「ドクターが唯の街医者なんてとんでもない。遺伝治療の第一人者で、世界最高峰の医療技術者の一人と言われてます」

 

「ちょっとまった。それは人違いじゃねーか?俺はそんな大したもんじゃねーぞ」

 

「そんなはずは、だったらこれはドクターの執筆した論文ですよね」

カミーユはベッドの横に置いてあった私物のボディーバッグから携帯端末を取り出し、医師会会報誌の論文をエドに見せる。

 

「……なんだこりゃ?確かに俺が書いた奴だけどよ」

エドは自分が医師会に提出した論文がこんな形で掲載されているなど、全く知らなかったのだ。

 

「やはりそうでしたか」

 

「いやいやいや、これ、おかしいだろ?」

 

「ドクター、貴方は医療界の風雲児とも言われ、発表された論文や技術指南書は全て、現代の最先端の医療の礎になっているんですよ。特に10年前に発表された体組織の分離再生と再結合についての再生医療の論文や技術資料は誰も驚愕するような物でした。そのお陰で、この10年、今迄完治できなかった難病や怪我の治療が出来るようになったんです」

ドクター・エドワードが謎多き医療技術者で有名でもあった理由がカミーユは朧気ながら理解したようだ。エドは自分の立場を全く理解していないのだと……

カミーユはエドが10年前に発表した論文の当時のコラムや業界誌などで取り沙汰されていた様子の記事を携帯端末でエドに見せる。

 

「おおっ?これって」

エドはちょっと驚くも、微妙な顔をしていた。

そう、その技術は13年前、レッドマンの股間の再生データから確立させた遺伝子再生医療

技術論文だった。

当時のエドは家族が増え、家計の足しになればという軽い気持ちで執筆したものだったのだ。

 

「ドクター・エドワード、改めてお願いします。私に是非お力添えを、私の力不足でクライアントである一人の少女が命を落としかけているのです」

カミーユはベッドから降り、エドに頭を下げる。

 

だが、カミーユは足元がふらつき倒れそうになる所を、エドはカミーユの肩を支える。

「っておい。まだ寝てろっての」

 

「すみません。恥ずかしいお話、その事で少々疲労がたまってるようで……さっきもあり得ない幻覚のような夢を見てしまって……」

カミーユはふら付きながらもベッドに腰掛ける。

 

だが、そんな時だ。

 

「エド、患者は起きたようだな」

淡いピンクのナース姿のローザが仕切りカーテンの脇から入って来たのだ。

 

「はっ、は、ハマーン!?ナース姿のハマーン・カーン!?」

カミーユはそんなローザの姿を見て、驚愕な表情で取り乱す。

 

「落ち着けって、ああ、此奴はここの看護師で俺の嫁だ」

 

「す、すみません。ドクターの奥様でしたか……た、他人の空似にしては……に過ぎている」

カミーユはそのエドの声で落ち着きを取り戻すが……。

 

「私が誰に似ているのだ?久しいなカミーユ・ビダン」

 

「ん?まさか本物のハマーン・カーン!?貴様なぜここに!!」

 

「おいこら、此奴は俺の嫁だっていってんだろ?はぁ、ちょっと落ち着けっての」

起き上がろうとするカミーユの腕を取り、無理矢理ベッドに座らせる。

 

「そうだ。私はエドの自慢の嫁だ」

ナース姿のハマーンがカミーユを見下ろし、不敵な笑みでこんな事を言う。

 

「お前、自分で言うか?普通?」

「ち、違うのか?」

「まあ、そう言う事にしておくか」

「ふんっ」

「ああ、わかったって、お前は俺の自慢の嫁だ。これでいいか?」

「わかればいい」

 

「………」

カミーユは唖然とこの様子を見ている事しかできない。

カミーユの脳のキャパはまたしても、限界に近い状況に陥る。

あの女帝ハマーン・カーンが生きて現れるだけでなく、ナース姿で、あのドクター・エドワードの嫁で、しかも目の前で、三文芝居のような犬も食わぬ夫婦仲を見せつけられたのだ。

致し方が無いだろう。

 

「ふう、カミーユさんよ。こいつと過去に何があったかはさっき大体聞いてる。……こいつはネオ・ジオンの摂政官で、あんたと幾度も戦ったんだってな。俺は死にかけて宇宙に彷徨ってるこいつを偶然拾って治療した。……まあ、なんだかんだあって、今は俺の嫁だ。戦時中の事だと水に流してくれなんて事は、感情的には無理かもしれん。ここは俺の顔に免じて、抑えてくれないか?」

 

「カミーユ・ビダン。今の私はローザ・ヘイガーだ。ハマーンと言う名は当に捨てたのだ。ハマーン・カーンという女は17年前に死んだ。そう言う事にしてくれないだろうか?」

ローザはエドと共に軽く頭を下げる。

 

 

「その、何が……どういう……」

あのドクター・エドワードが頭を下げ、しかも女帝や鉄の女と呼ばれたあのハマーンが頭を下げたのだ。

カミーユは混乱冷めぬ表情だった。

 

 

 

 

ちょっと時を遡り、2時間前……。

 

「どどどどいう?な、何がどうなって!?ああっ!?ああああああ!?」

ヘイガー診療所の待合室でカミーユは、数々の精神的ショックを一気に受け、崩れ落ちるように床に倒れ気絶した。

 

そんな時に丁度、エドが診察室から現れる。

「なんだ?騒がしいな。ここは診療所だぞ……って、お前ら何やってんだ?」

硬直したままの一同に、怪訝な顔で声を掛ける。

 

すると、一同は沈黙したまま一斉にエドの方に振り向き、そして再び床に倒れたカミーユを見る。

 

「おい、誰か倒れてるぞ?何やってんだ?お前ら早く手伝え、診察室に運ぶぞ」

 

「「「カミーユ!!」」」

エドのその言葉に一同は慌てて動き出し、倒れているカミーユを診察室のベッドまで運ぶ。

 

 

「うーん。ただ気を失ってるだけだな。一応脳波も測っとくか」

エドはベッドに寝かしているカミーユを診断し、そう結論付ける。

 

カミーユの診療を終え、そのままベッドに寝かせた後、エドは改めて、ローザや待合室で待っていた面々に聞く。

「ローザまでどうした?なんかおかしいぞ。こいつはお前らの知り合いか?」

 

「カミーユ・ビダン。グリプス戦役で少年の身で前線を戦い抜いたエゥーゴのエースパイロットだった」

エドの問いに対し、ブライトが最初に口を開け、次々に皆がカミーユについて語りだす。

 

皆からの話を聞いたエドは……

「なるほど、グリプス戦役時に高校生だったカミーユ・ビダンは、クワトロを名乗っていたキャスバルにエゥーゴに勧誘されて、モビルスーツのパイロットとなって、キャスバルと肩を並べる程のエゥーゴのエースパイロットとして活躍したと、そん時の戦友がアムロやブライトとベルトーチカで、そんで敵だったのがハマーンだったローザだったと、グリプス戦役最終決戦でエゥーゴが勝利するが、繊細だったカミーユの心は戦争や仲間の死に耐え切れずに精神崩壊を起したと、そのカミーユの後釜がジュドーだったという事でいいな?」

途中までの経緯を皆に確認する。

 

「ああ、だいたいあってる」

ブライトが皆の代弁で返事をする。

 

「そんで、5年後の第二次ネオ・ジオン紛争、シャアの反乱の後に、正気を取りもどしたが、既にハマーンはジュドーに討たれ戦死、兄貴分だったクワトロはシャアを再び名乗りネオ・ジオンを率い、地球に隕石落とした。そんで、ブライトやアムロのロンド・ベルに討たれ、戦死。そん時にアムロも戦死したと聞いていたと……。そのハマーンやシャアやアムロが生きて目の前に現れ、知り合いのベルトーチカやブライト、そんで関わったジュドーが一緒にいたとなれば……はぁ、まあ、こうなるよな。」

エドはため息を吐きながら、話の内容を確認する。

 

「…………」

皆は沈黙をもってエドの確認内容が正しいことを示す。

 

「そんで、誰もカミーユにこの事を伝えてないって事だな」

エドは皆をブライトやアムロ、ベルトーチカを見渡しそう聞いた。

 

「ブライトはどうだ?」

「いや、俺もカミーユとは連絡をたまに取るが、アムロ達の事は一言も話していない」

アムロはまだカミーユと繋がりがあるブライトに確認するが、当のブライトはカミーユには伝えていないとの事だ。

 

「諸悪の根源はキャスバルって感じはするが、まあ、そりゃしょうがねーって言えばしょうがねーよな」

エドは少年だったカミーユがグリプス戦役に巻き込まれ精神崩壊に至る状況を作った元凶はレッドマンにあるとし、カミーユに今の状況を伝える事が出来ないのは仕方ない事だと判断する。

 

「エド……」

エドに面と向かって言われると流石のレッドマンは少々気を落とす。

 

「はぁ、どうしたものか」

エドはカミーユが起きた時の対応をどうすべきか悩む。

 

「うーん。折角気絶したのだし、カミーユの目の前から私達が姿を消せば、夢かなにかと勘違いして、やり過ごせないかしら」

ベルトーチカがこんな提案をする。

 

「どうだろうな」

 

「レッドマン、カミーユに一発殴られろ」

「ふんアムロ、貴様も一度殴られてみろ」

アムロとレッドマンは何時もの如く言葉でじゃれ合う。

 

「そもそも、皆ここの事をカミーユさんに知らせてないのに、なんでここ(ヘイガー診療所)に来たんだろう?」

ジュドーはそもそもの疑問を口にする。

 

「他の誰かに聞いたのかしら?」

「聞いていたのなら、驚いて気絶しないだろう」

ベルトーチカはここにいる人間以外に事情を知っている人物がカミーユに伝えたのではないかというが、ブライトは疑問を持った顔をしたまま否定をする。

 

「ならニュータイプの勘とかかしら?」

「いや、カミーユ・ビダンに嘗て程の力を感じない。私が目の前に現れるまで認識できなかったからな」

ベルトーチカはアムロに向かって聞くが、それにローザが一早く反応し、その意見を否定する。

 

「そうだな」

「ああ」

「確かに」

アムロ、レッドマン、ジュドーもカミーユのニュータイプ能力が低下している事に同意する。

 

「まあ、何にしろ、ここに来た理由は俺が聞いてみるしかないか。それに、このままってわけには行かないだろう。一斉に会っちまったから、倒れちまったんなら、一人づつ会わすしかないだろう」

エドは最終的に意見をまとめ、一人づつカミーユに会わせる事にした。

そして、そのトップバッターがローザだった。

 

 

 

 

 

 

時を戻す。

 

カミーユが落ち着いた頃を見計らい、

「ちょっと、二人で話でもしてみろよ」

エドはローザとカミーユにそう言って、そっと仕切りカーテンの外にでる。

 

「本当にあなたはあのハマーン・カーンなのか?今のあなたからは戦場の匂いが全くしない」

ベッドの上に腰を下ろすカミーユは、先ほどとは打って変わって、落ち着いた口調でローザに話しかける。

 

「ああ、今はローザ・ヘイガーの名でかれこれ看護師として、14年はここでこうしている」

 

「……ドクター・エドワードがあなたを?」

 

「そうだ。瀕死の私はエドに救われ、最初は妹としてこの家に居させてもらった。エドとの生活は心地よいものであった。私はエドに命だけでなく心も救われた。それと同時に私は思い知った。ジオン再興に欠けていたものが何かを……人の心だ。表面上では人心掌握の為に必要だとは理解していたが、本当の意味で理解が及んでいなかったのだ」

 

「……俺も戦争を起こす悪い奴らを倒せば全て終わると最初は思っていた。でも違っていた。それが何なのかが分からなくて、どうすればいいのかわからなくて、戦争という大きな化け物に飲み込まれ、俺の心は……、でもユイリィが傍に居てくれたから俺は今もこうして生きて居られる」

 

「……おかしなものだな、こうしてお前とこのように落ち着いて話す事ができるとは」

「本当の意味でお互いを理解していなかった。いや、理解しようともしなかったというのが正解かもしれない」

「そうだな。ニュータイプとはお互いが理解し合えるものだというが……私は今ではそれを否定出来る」

「ニュータイプだろうがオールドタイプだろうが結局、お互い心を開かなくては、同じことなのだと」

 

ローザとカミーユはグリプス戦役で出会った当時の自分を思い起こしながら、今の気持ちを穏やかに語り合う。

 

 

「クワトロ大尉の事を俺は本当の意味で分かって上げる事が出来なかった……だからあの人は……あんな事に………俺は……」

カミーユは後悔の念からなのか、眉を顰めながら、悲哀を含んだ表情でそんな事を語りだす。

今のカミーユの中では、ヘイガー診療所でナース姿のハマーン以降に出くわした人物は全て夢だと思っていた。

いや、思わずには脳内が処理しきれないのだろう。

なので、こんな事をローザに語ってしまう。

 

「…………」

当のローザはそれに対する答えを全く持ち合わせてなかった。

 




次ぎはレッドマンとアムロの番か……どうなることやら。

この後のカミーユの行動は?

  • レッドマンに修正
  • ブライトに修正
  • アムロに修正
  • ハマーンに噛みつくもエドに怒られる
  • 再びお星が見える人に戻る
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