なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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誤字脱字報告ありがとうございます。

なかなか進みません。


閑話 ハマーンの忘れ物④

官邸1階にあるマシュマー・セロ率いる騎士隊(親衛隊)第二部隊の執務室を後にする調査隊一行。

当時のネオ・ジオンの政略や軍略等のなどが知れる価値のある情報や資料などは見つからなかったが、ある意味当時のネオ・ジオンの兵士達の状況を知る事が出来る証拠品が残されていた。

それは、年若い新兵が多かったネオ・ジオンが何故あれ程の士気を保っていられたのか、さらには一部の部隊に至っては常に士気が異様に高かったのかを指し示すには十分なものであった。

その証拠品とは、とある部隊の執務室に飾られていたハマーンの数々の肖像画に部隊長自ら紡いだポエム集。

ハマーンが部下達に女神のように崇拝され、若しくはアイドルの如く慕われていたことは調査隊の全員が十二分に理解できただろう。

ただ、かつてハマーンだったローザにとっては、黒歴史以外の何物でもなかった。

 

その後も、内政官や武官の執務室などが並ぶ官邸の1階の調査が行われるが、マシュマー・セロ率いる騎士隊第二部隊程ではないが、皆ハマーンを慕っていたことが分かる証拠品が断片的に残っていた。

 

 

1階の調査をそこそこに2階に上がる調査隊一行。

官邸の2階は外賓などをもてなすための煌びやかな大ホールが大きく占めていた。

「随分と豪華な作りだ。かなり手が込んでいそうだ」

アムロは大ホールを見渡し、そう感想を述べる。

衝撃や劣化で壁や天井の内装が剥がれ落ちてはいたが、天井や壁には豪華絢爛な絵が描かれており、柱一つとっても凝った作りであった。

 

「ああ、ヴィクトリア朝時代の迎賓館を参考に私の祖父が造らせたものだ」

ローザは内心ホッとしながら、さっきの黒歴史など無かったの如く淡々とアムロに説明する。

イギリス帝国最盛期、黄金期とも呼ばれるヴィクトリア朝時の迎賓館は贅が尽くされたものだった事は言うまでもない。

 

「成る程、サイド3は中世の貴族社会に似た社会形成がされていたと聞いていたが……」

 

「確かにそうだな。軍事に関しては功績も重視されてはいたが、国の基幹上層部、特に内政については家柄が物を言う社会であった。ジオンが公国と名乗っている段階で想像に易いだろう」

ローザは簡潔に答える。

ジオン公国はデギン・ザビを中心とした専制国家であった。

確かに議会が存在し、選挙制度も導入されていたが、ほぼ、形だけでデギン直属の子飼いの政治家や名家が幅を利かせていたのだ。

ただ、デギン含め、その政治家たちはかなり優秀であった。

ジオンが独立戦争を連邦に仕掛ける程の財力と戦力を僅か20~30年で築きあげたことからも十分理解できるだろう。

その名家の一つがローザの実家、カーン家であった。

 

「成る程、当時のジオンが財政をも他のコロニーを圧倒していたのも、ここや、街並みを見ればわかる。ここでは財界人などが集い舞踏会等も催されていたということか」

「ああ、ジオン敗北後は主には軍の慰労や勲章式等も執り行われていた」

 

 

アムロとローザは、ホール端から直接扉で繋がっている隣りの部屋へと入る。

「……隣の部屋は、何かの作業室だろうか、いや、服を仕立てる部屋か。舞踏会用のドレスなどもここで?」

そこそこ広い部屋には、何人もの仕立て職人が作業できる作業台が置かれ、裁断機やクリーニングマシーン等の機器も置かれていた。

 

「そうだ。だがそれだけではない。ここは軍部にとっても重要な部署でもあった」

ローザはどこか懐かし気にそう答える。

 

「軍部にとって重要とはいったい?」

アムロはローザの答えに疑問を持ちながら、何気なく、床に落ちていた台帳のような物を取り、ページをめくる。

「『功績別軍服要望書』とあるが……『ハマーン様近習隊イリア・パゾム少尉の近習小隊軍服変更Sランク』ん?何だこれは?『イリア・パゾム様の軍服要望、ダーティーペアや、ロードス島戦記ダークエルフのピロテースのようなエロかっこいい服との事、ご本人にお聞きすると、該当人物は旧世代のアニメやマンガのキャラクターであったため、ネット検索をし、アニメ映像を参考に三面図を作成し、ご本人に確認する』……意味が分からない」

 

アムロは疑問顔をしながら、更にページをめくる。

「『突撃部隊ラカン・ダカラン大尉、軍服変更Sランク、ラカン・ダカラン様の軍服要望、男らしい服、筋肉を見せるために袖が無いもの。しいて言えば北斗の拳のラオウっぽい服がいい。マントは忘れるな。との事でした。Wikiで検索しラオウなる人物を確認。ダカラン様に似た風貌ではありました。ただ。黄金のカブトムシのような角の生えたヘルメットではモビルスーツには乗れないため、我慢して頂きました。黒王号なる馬の姿をしたコクピットシートカバーが欲しいとの事で、モビルスーツ技師長にカバーをかけても良いかお聞きしたところ、お叱りを受ける。そもそもダカラン様はノーマルスーツを着用せず、モビルスーツに乗られる事に、モビルスーツ技師長はお怒りの様です』………ローザ。これは何だ?」

アムロは頭痛がするかのように額に皺をよせ、ローザに聞いた。

 

「恩賞用の軍服変更要望書のようだ。実際私も見たのは初めてだ」

 

「いや、そう言う事ではない。これはなんだと聞いているのだが……」

 

「功績を上げた者に対し、軍服を変更することを許可し、ここで仕立て恩賞として、渡していたのだ。功績に応じ、軍服を変更する個所が増減する。Sランクとはフルオーダーが可能な功績を残したものに対しての恩賞だ」

 

「………どういうことだ?」

 

「ふむ、この隣の部屋を見ればわかる」

ローザは仕立て部屋の隣の部屋の扉を開ける。

 

アムロはその光景を見て、無言になる。

「……………」

そこには、ダーティーペア風の軍服や、ラオウ調の軍服だけでなく、魔法少女やプラグスーツ風、忍者や海賊、聖闘士クロス風まで、数々の奇抜な軍服が飾られていた。

 

「ふむ、相変わらずここは煌びやかだな。半年に1回、有志で軍服の着こなし大会が模様されていたが、私も審査員をやらされたものだ」

ローザは軍の施設にあるまじきその異様な光景に、眉一つ動かさず当然のように語りだす。

目の前にはダーティーペア風の軍服レプリカと共に、そのコスプレ軍服を着こなしたイリア・パゾムの写真が堂々と飾られていた。第7回大会優勝と……。

 

「…………」

アムロは頭を抱えていた。

アムロは先ほどのポエム集や絵画展示は、部下達が個人的にハマーンを慕うための物であり、微笑ましくも笑い過ごす事が出来た物だが、今回のこれはネオ・ジオンの政策そのものだったのだ。なにも事情を知らなければ笑っていたかもしれないが、仮にも弱体化していたとはいえ連邦を追い詰めた勢力が、何故そんな事になっていたのかと、笑えないどころか頭を痛めていた。

 

後から来た調査隊3人の内の1人が……。

「なんだこれは?コスプレ店?……隊長、この部屋は一体?」

コスプレ店顔負けの、トンでもない衣装がずらりと並んだ光景に驚きを隠せない。

 

「……ネオ・ジオンの軍服の展示場だ」

アムロは頭を抑えながら、そう部下達に簡潔に答える。

 

「本当ですか!?隊長………まるでアニメのコスプレじゃないですか!!」

「マジですか……連邦はこんな奴らに、追い詰められたのか……いや、しかしこれは無いな」

「これって、プリキュア0083の衣装よね。……これ着て、軍務を遂行していたの?」

調査隊のメンバーはその事実に引いていた。

 

だが、数々のコスプレ衣装をまじまじと見ている内に、遂には調査隊の3人のメンバーは大爆笑しだす。

「『わが生涯に一片の曇りなし!!』ってか?お、恐るべしネオ・ジオン!!ぷははははは!!」

「そ、そういえば、ハマーン・カーンもシルバー聖闘士のクロスみたいなの着てたな!!ふははははっ!!」

「きっとメガ粒子砲発射の合図はこうよ『希望の力よ,光の意志よ』『未来へ向かって突き進め!』『プリキュア・レインボー・ストーム!!』……ふ、ふふふふふ!!」

「ネオ・ジオンの連中、全員中二病だぜこれ!!ふは、ふはははっ!!腹が痛い!!」

「コスモが燃えすぎだろ!!ふははははははっ!!でも奇跡は起きなかったようだけどな!!くくくくっ!!」

「ミンキ―・モモもあったりして!?ピピルマ ピピルマ プリリンパ パパレホ パパレホ ドリミンパ アダルトタッチでハマーンになーれ………、もうダメ!ふふふふっ!!ミンキーモモがハマーンでミネバがハマーン!?ふふふふふふふっ!!だ駄々ダメよ~!!」

 

 

「な、なにが可笑しいのだ。どういうことだアムロ」

ローザは隊員達が大爆笑し笑い転げている理由が分からず、戸惑いながらアムロに小声で尋ねる。

 

「……ローザ、これはだな」

アムロは居た堪れない気持ちになりながら、ローザに懇切丁寧に説明しだす。

ネオ・ジオン士官共の軍服は皆、アニメやマンガや映画のコスプレだと……。

 

「な、なんだと?……いや、そんなはずは?」

ローザはその説明を聞き、かなり狼狽える。

嘗てのハマーン・カーンはアニメやマンガを全く知らなかった。

いや、存在は知っていたが、見た事が無かったのだ。

カーン家の教育方針で、それらを遠ざけていたためだ。

ローザとなってからは、リゼやクェスが見ていたものを何となく一緒に見ている事があったが、あまり興味はなかったのだ。

 

「ローザ、そもそも何故、恩賞に軍服改造だったんだ?」

 

「………ネオ・ジオンと名乗った所で、アクシズは所詮ジオン残党の一勢力に過ぎない。最盛期のジオンの国力とは比べものにならない。モビルスーツを揃えるのが最優先であり、部下に恩賞を与えるだけの財力も無かったのだ。ジオンはパイロットに恩賞の代わりに、モビルスーツのカスタマイズを許していたが、我々にそんな余裕もない。そうかといって兵達をまとめるには恩賞は必要だ。古くはジャパンでは茶器を一国の価値にまで引き上げ恩賞として渡していたとか。それを応用し、軍服やノーマルスーツの変更を軍人の誇りや最上の名誉と位置づけ、恩賞としたのだ。兵の間ではかなり好評であったが、政治屋たちには通じなかった……」

アクシズにとって、切実な問題であった。

恩賞問題は、古くはエジプト王朝やローマ帝国からついて来る問題であった。

金品財宝だけでなく、大きくは土地や利権などが恩賞として支払われていた。

だが、財政がひっ迫していた当時のネオ・ジオンは功績に見合った恩賞を与えるだけの、財力は全く無かったのだ。

そこで、当時のハマーンが考えたのがこれだった。

兵や軍属の心をつかむ良い方策であったが、青春真っ盛りの若年兵が主であったアクシズ

の兵達は思い思いの軍服を仕立て、こんなにバラエティ豊かな軍服を作ってしまったのだ。

 

「なるほど……、苦心の策だったのか……、すまない」

軍服改造はハマーンが苦心の末に作り上げた制度だった。

アムロは笑い転げる部下達に代わり、ローザに頭を下げる。

 

「いや、規制を付けるべきだった。これは当時の私の無知からなるものだろう。甘んじてその辱めを受けるしかない……」

ローザにとって、ある意味これも黒歴史となる物だろう。

いや、ネオ・ジオンそのものにとって黒歴史なのかもしれない。

 

「いや……お前たち、いい加減にしないか。資料の記録はどうした」

アムロは、ローザがハマーン本人であると知らないとはいえ、失礼にも本人の目の前で笑い転げる部下達に注意をする。

 

「ただ……、エドには言わないでくれ」

ローザは顔をそらしながら、アムロにそう言う。

 

「了解だ……」

アムロとしても、こう言うしかなかった。

 





さくっと終わるはずが、長くなってきた。
ネオ・ジオンってネタが多くないですか?

イリアさん・ラカンさんすみませんでした。


(Twilight AXIS)の話はちょろっとも出ない。
おかしい、最初はちゃんと、混ぜるつもりだったのに。



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