なんか、ハマーン拾っちまった。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
後編で終わるつもりが、中編が出来てしまいました。


閑話 レストラン開業 中編

 

カイは15番コロニー中心街の雑居ビル1階の真新しい飲食店舗を遠目で眺め、ニヤリとニヒルに笑みをこぼす。

「これか、なかなか良さげだな、ミライさんのセンスだろう」

ブライトの新店の外観はかなりオシャレだった。

 

カイは店へ近づこうと一歩踏み出すが、先に白髪頭の雰囲気のある老齢の男が店に入って行くのが見えた。

カイはその男の顔を知っていた。

「……トラヴィス・カークランドだと?やはりブライトと関りがあったか、カークランド・コーポレーションが先のマフティーの反乱にも介入していた可能性が高いな」

カイは意外な人物に出くわし、後退りし店の斜め前の路地から様子を覗う。

 

1分も経たない内にトラヴィスが店から出て行き、ぶらりぶらりと町中を歩きだす。

職業柄なのか、カイはついトラヴィスの後をつけていく。

トラヴィスが喫茶店に入るのを見て、カイもその喫茶店に入り様子を覗う。

トラヴィスが席に座りコーヒーを注文した後に、客の一組がトラヴィスに近づき、親し気に挨拶を交わして同席しだした。

「……あれは、ジュドー・アーシタとルー・ルカか……元エゥーゴのパイロットで、たしかカークランド・コーポレーションの長距離船団員だったはずだ。ブライトとも親交が深いと聞いたことがある。なるほどブライトとトラヴィスの関係はジュドー・アーシタも関わってそうだ」

 

喫茶店に一組のカップルが入ってくると、そのカップルはトラヴィスとジュドーとルーにも挨拶をしだす。

「ん?……カミーユ・ビダンとユイリィ・ビダン、この二人もブライトと親交が深いはずだが、トラヴィスとも顔見知りだったとは……」

 

しばらくし、トラヴィスはジュドーやカミーユ達を連れ立って、喫茶店を後にし、街はずれの方向に歩いていった。

「……トラヴィスはエドの家に行くとかなんとか言っていたがエドとは?まあいい、ブライトに会うのが先だろう。なんならブライトから直接事情を聴いた方が早いだろう」

 

カイはトラヴィス達の後をつけるのをやめ、本来の目的であるブライトのレストランへ再び向かう。

 

カイは先ほどの事もあり、レストランに入らずに路地から様子を覗う。

 

しばらくすると高級車が店先に止まり、一人の淑女然とした女性が車を降り、店舗へと入って行くのが見える。

「あれは、セイラさんか。美人ってのは歳をとらないのか?それにしても俺と同じで日時を間違えたということか?意外とおっちょこちょいなところがある」

 

だが……。

高級車からセイラの後に続いて金髪美女が降り、店に入って行った。

「……カ、カラバのべ、ベルトーチカ・イルマだとーーっ?いや……どういうことだ?セイラさんと同じ車から?セイラさんとブライトと親交が?彼女は元カラバだ。ならブライトと顔見知りでもおかしくない。だが、セイラさんとはどういう関係なんだ?」

 

さらに高級車から、黒髪のキュートな女性が降りて、店に入る。

「おいおい、あれはアムロの元カノじゃないか?確かチェーン・アギだ。アムロの葬儀で会った。いや、彼女は元ロンド・ベルだ。ブライトと親交があってもおかしくない。だが、なぜセイラさんとベルトーチカと一緒なんだ?」

 

そして、柔和そうな家庭的な女性が高級車から下りてくる。

「……フラウ、お前もか!セイラさんはわかる!なぜ、ベルトーチカとチェーン・アギと一緒なのか?どういうことだ!?」

先の3人の女性と同じように静々と店に入っていく。

 

カイはこの状況に驚きを隠せず、つい心の声が漏れてしまっていた。

 

「落ち着け、焦れば真実が見えない……、ふう、なるほど、全員アムロの関係者か。確かアムロの葬儀の時に全員顔を合わせている。アムロつながりで交友を持った可能性が高い、冷静に考えればなんてことはない……ん?………!?おっ!?おわっ!!?」

カイはこの4人の女性の関係性を冷静に考察し、答えを導きだすのだが、最後に高級車を降りて来た人物を見て、頭が真っ白になり膝と腰が落ちる。

 

そう、天然パーマの優し気なイケメンがそこに歩いて店に入っていくのが見えた。

「ば、バカな!?あ…あああ…アムロだと!?ど、どどどどどどういうことだ!?なんでアムロが生きて………、いや、冷静に冷静になれ、カイ・シデン、慌てた方が負けだ」

13年前にシャアの反乱で死んだはずのアムロが目の前で歩いていたのだ。

カイが驚愕で腰を落とすのは致し方が無いだろう。

それでもカイはガクガクと震える膝を叩きながら、立ち上がる。

 

カイはその場を離れ先ほどの喫茶店に戻り、コーヒーをブラックのまま一気に飲みほして、冷静さを幾分か取り戻し、思考を再開する。

「あれはアムロだ、間違いない。……アムロは実は生きていた。あの戦いで奴はMIA、要するに行方不明だった。戦死の確認はされていなかった。だとすると、身元が分からないままどこかの病院で意識不明のまま入院していたということもあるだろう。そして、最近意識が戻ったということもある。そして、アムロの所縁がある女性達もこの機会に再会したのだろう。そうに違いない。う、うむ」

カイは多少強引だが、アムロが生きていた仮説を立て、無理やり自分を納得させた。

 

 

カイは再びブライトのレストランに向かい、路地から店の様子を覗うことにしたが……。

金髪のイケメン偉丈夫が、若い女性をエスコートし、サングラスを外しながら店に入って行く姿が見えたのだ。

その姿を見たカイは驚愕のあまり、腰と膝が落ちるどころか、後ろにひっくり返り、しりもちをついてしまった。

「ま、ままま、まさか!?シ、シャア!?シャアだとーーーっ!?ど、どどどどいうことだ!?何故死んだはずの奴が!?なぜブライトの店に!?」

カイは頭の中も真っ白になり、震えが止まらない。

全身から冷汗が噴き出す。

流石のカイも冷静でいられないどころか混乱の坩堝に。

 

カイは何とか立ち上がり、壁にもたれかかるが、息絶え絶えだった。

「はぁ、はぁ、冷静にだ。シャア・アズナブルが生きている……。この事実は流石にやばい。アムロの比じゃない。しかもブライトの店に……ブライトに何があった?このコロニーは一体?」

カイは目を押さえながら思考を回すが、妙な焦燥感と共に恐怖も感じていた。

当然だ。

シャアは地球に隕石を落とすような男だ。

しかも、そのカリスマ性は死亡して13年経つ今でも語り継がれている。

その男が生きていたのだ。

 

 

そんな時だ。

壁に寄りかかり息絶え絶えに俯くカイに声をかける人物が。

「おい、大丈夫か?気分が悪いのか?」

カイはかろうじて顔を上げ、声をかけてくれた人物をみる。

そこには少々目つきの悪い中年の男が立っていた。

 

「すまん。ちょっと疲れただけだ。大丈…夫…………!?」

カイはその男が連れ立っていた女性を見て目を丸くして固まってしまう。

(この女を俺は知っている。どこかで会ったことがある。誰だ?誰なんだ?)

 

「ふむ、持病か何かか?」

その妙に目つきが鋭い女性がカイに声をかける。

 

そこでカイは気づいてしまう。

彼女が誰かということを……。

(ま、まさかーーっ!?ハ、ハマーン・カーンか!?何故こんなところに、ネオ・ジオン抗争で死んだはずじゃ!?)

カイは内心叫びまくっていた。

当然だろう。

死んだはずのハマーンが、地球連邦を追い詰めたネオ・ジオンの女帝ハマーン・カーンが目の前に現れたのだ。

 

「おい、顔色がめちゃくちゃ悪いぞ。大丈夫じゃねーなこれ。俺は医者だ。ちょっと見せてくれ」

 

「はぁ、はぁ、だ、大丈夫……だ」

カイは目の前の視界がぼやけ、ふらつく。

 

「おい!」

医者を名乗る男が、ふらつくカイを支える。

 

「ローザ、ブライトの店まで運ぶぞ」

「ああ」

そう言って、医者を名乗る男…エドと隣の眼光が鋭い女性ローザは、カイを支えブライトの店まで連れて行こうとする。

 

「ちょ、ちょっと待て」

「待てねーよ。大人しくしてくれ」

カイにとって今のブライトの店に行くなどと、悪魔どもが巣くう魔窟に足を踏み込むような心地だった。

カイはめちゃくちゃ焦るが、体の方が上手く動かない。

 

「ちょ……ま、待て……おいーー-っ!!」

カイは今のこの状況が何なのか既に理解が及ばなくなってはいたが、頭の中ではヤバいヤバいと警鐘をならしていた。

カイにとって、今のブライトの新店が恐ろしい何かに見えて仕方がなかったのだ。

 




カイは精神を保つことが出来るのだろうか?

15番コロニーの混沌勢と鉢合わせたカイの反応は

  • お星さまが見える人になる
  • 怒涛の如く叫びまくる。
  • 見てみないふりをして帰る
  • 気絶する。
  • こういう時慌てたほうが負けなのよね
  • とりあえずレッドマンを修正する
  • ブライトを修正する。
  • アムロを修正する。
  • 悶絶死する。
  • レストランを燃やす。
  • 地球をなめるなよ!
  • きさまといた数か月、悪くなかったぜ

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