誤字脱字報告ありがとうございます。
今回は前話の続きで、カイから見た15番コロニーのお話になります。
閑話の番外編程度で見てあげてください。
ブライトのレストラン開店パーティーに招待され新サイド6まで行ったが、トンでもねー目にあったぜ。
そもそも俺が招待日を1日間違えたのが運の尽きって奴だ。
まさか、アムロが生きていたとはな。
宮殿みたいな家に住む超金持ちで、奇麗どころ4人も嫁もらってハーレム状態ってか?
それで子供が7人っておい。
冗談が過ぎて、笑い話にもならん。
しかも、嫁はセイラさんにフラウだと?
さらに元カラバのベルトーチカ・イルマに元ロンドベルのチェーン・アギだ。
何のオールスターだ?マジ何なんだ?
おまけに、今世界を席巻する大企業カークランド・コーポレーションの専務取締役だぞ?
誰が予想できるか。
……しかし、アムロの不遇な半生を考えれば、バチは当たらんだろう。
一年戦争の英雄とモテはやされはしたが、アムロの能力を恐れた連邦上層部に7年の不当な軟禁状態にさらされる。
ティターンズが台頭してからは、カラバでティターンズとハマーン率いるネオ・ジオンと2年弱戦い、数々の戦場を勝利に導き、あの戦争の勝利の立役者の一人と言える。
だがその後、エゥーゴとカラバは連邦軍に吸収され、アムロやブライトはしばらくまた不遇な時を過ごす。
シャアが暗躍しだすと、また前線に送られる。
シャア率いるネオ・ジオン相手にロンドベルのたった一戦隊で挑み、アクシズ落下を阻止し、シャアを直接破り、奇跡的ともいえる勝利をその手にした。
だが、その代償はアムロの死か。
連邦にとって、厄介者のシャアとアムロの二人が消え、お偉いさんどもはさぞかし、ほくそ笑んでいただろう。
しかし、生きていた。
アムロだけじゃない。あのシャア・アズナブルもだ。
シャアもアムロやブライトと同じコロニーに根付いていやがった。
シャアが生きていた事実と影響力はアムロの比ではない。
彼奴は悪党だが、才能とカリスマの塊のような奴だ。
奴が動けば、自然と人が集まりついて行く。
反連邦を掲げれば、また一大勢力を築くことも容易だろう。
だが奴は、ネオ・ジオンやジオン残党などとは一切手を組むことも、政治関連にも首を突っ込むこともせず、普通の一市民として暮らしていた。
しかも、女子高生ぐらいに見える嫁を貰って、双子の子どもまでなしてな。
奴の今の名前はデニス・レッドマン。
奴にとって名前を変えるぐらいどうってことはないだろうが、似合いの名前だ。
この10年で急激に成長し、今や宇宙全域でバーやクラブを経営展開している飲食チェーン、ナイチンゲールコープのトップだ。
この男の才覚は何をやっても上手くいくらしい。
凡人の俺からしたらうらやましい限りだ。
本来なら警戒すべきだろうが、奴の今の周りにはアムロやブライトが居る。
さらに妹のセイラさんもな。
しかも、ドクター・エドワードが居る限り、奴は警戒しなくてもいいらしい。意味は分からんがな。
連中がそろって真顔で言うんだ。そうなのだろう。
そのドクター・エドワードだが、あの医療界の風雲児ドクター・エドワード・ヘイガーだった。
数々の画期的な治療法を生み出した天才医療技師だが、全く世間に顔を出さないことからも元ジオンの研究者だとか元ニュータイプ研究所の研究員だとか、いろんな憶測が飛び、時折ゴシップなどにも話題にもなる人物だ。
俺はその事実に久々にジャーナリスト魂に火が付きそうになった。
誰もドクター・エドワードの正体を突き止められなかったからな。
しかし、まったく偉そうに見えんし、こんな片田舎で町医者やってるなんて誰が思うか?
だが、絶対記事にできない。
いや、しちゃならない。
何せ、ドクターの嫁が連邦を追い詰めたあのネオ・ジオンの女帝ハマーン・カーンだったからだ。
生きていた事にも驚いたが、こんな片田舎で看護師をやっていたとはな。
ドクターと今のローザを名乗るハマーンを見れば、ただの仲睦まじい町医者夫婦だ。
アムロが言うには、ハマーンの方がドクターにゾッコンらしい。
今のハマーンには戦場の匂いが全くしない。
恋が人を変えるとは言うが、人はこんなにも変われるものかと思うぐらいな。
ハマーンはネオ・ジオンの内乱後に瀕死状態で宇宙に彷徨ってる所を、たまたま通りかかったドクターに脱出ポットごと拾われたそうだ。
ハマーンの命を救い、妹として一緒に生活しだしたんだと。
よく、連邦に突き出さなかったことだと思うが、そもそもドクターは連邦嫌いだそうだ。
一年戦争からデラーズの反乱まで、連邦軍軍医として数々の修羅場を潜って来たらしいから、連邦の体質をよく知っているのだろう。
それにドクターの所には、日の目を見る事ができない訳アリの患者がよく来るらしい。
このドクター・エドワード、拾ったのはハマーンだけじゃなかった。
シャアの反乱の際には、アムロとシャアの脱出ポットを一緒に拾ったと。
………運が良いのか悪いのか分からんが、ドクターはとんでもないのを拾ってくるようだ。
そのドクター・エドワードの家族構成もおかしい。
嫁のハマーンもそうだが、義妹にザビ家の姫ミネバ・ザビっておい。
今はオードリー・バーンを名乗るミネバの恋人が、ドクターの甥の立場のバナージ・リンクスという若者だ。
このバナージ、あのビスト財団の親類だった。
しかも、現ビスト財団総帥の腹違いの歳の離れた弟らしい。
さらに、ビスト財団創設者のサイアム・ビストから、財産分与としてコロニー一基をもらったとか。
聞きたくなかった事実だぜ。
ドクターにはそれ以外にも義妹や養子娘が数人いるらしいが、俺はそれ以上聞かなかった。
嫌な予感がしてたまらない。
間違いなく何らかの訳アリの連中に決まってるからだ。
聞きたくなかったといえば、ブライトとミライさんの息子ハサウェイがマフティー・ナビーユ・エリンだったという事実だ。
世間では、マフティーによる一連のテロは連邦に恨みを持つ元連邦軍のブレン少将とアナハイム・エレクトロニクスのマーサ・ビスト・カーバインが結託して起こし、二人を捕らえることで終息したとされていたが、事実は異なる。
マフティーは非正規地球移住者や連邦に恨みを持つ若者たちで構成された反政府テロ組織で、その表の指導者がハサウェイだった。
マフティーは地球環境保全と地球の未来を憂う反政府テロ組織として、利権を振りかざす連邦政府や連邦軍上層部の人間をモビルスーツ等を使って次々にテロで亡き者にしてきた。
それによって無関係な人間も多数巻き込まれ傷ついた。
だが、これは表の話だ。
事実は、マフティーを元ブレン少将を通じて裏から動かしていたのは連邦政府の最大派閥だった。
マフティーにモビルスーツを使ったテロを起こさせ、政敵を亡き者にしつつ、マフティーに対抗するためにと連邦軍にモビルスーツを発注させ、政治家たちの利権も生ませる。
世間に不安をあおるだけあおり、非正規地球移住者や反政府思想は危険だと植え付け、マフティーを利用するだけ利用し最終的に壊滅させ、連邦政府の正義と威厳を回復させつつ、危険思想を持つ非正規地球移住者と反政府組織もすべて徹底的に壊滅させるつもりだった。
連邦政府の最大派閥にとっては、一石二鳥どころか、三鳥四鳥と良い事づくめの戦略だったようだ。
だが、それは途中で瓦解した。
世間では、連邦宇宙軍の介入でマフティーは壊滅したことになっているが、実際はカークランド・コーポレーションの裏組織スレイブ・レイスによって、マフティーテロ実行犯やブレン元少将とアナハイムのマーサが捕らわれ、終息したと。
連邦政府の最大派閥は保身のためにブレン元少将とマーサを早々に切り捨て、すべての罪を擦り付ける。
だが、それだけでは済まなかった。
マフティーを野放しにした連邦政府に批判が殺到し、連邦政府議会は解散、最大派閥は勢力をそぎ落とされる結果となった。
利用されていたマフティーの構成員達は表向きは壊滅したことになっているが、実際はカークランド・コーポレーションの監視の元、新サイド6で更生労働だとかで働かされている。
スレイブ・レイス。
一年戦争時、連邦内部の粛清部隊。
ジオンへの内通者などの裏切者を葬り去る部隊だ。
その部隊長がトラヴィス・カークランド中尉。
裏情報をかき集めると、とんでもない事実が浮き上がってくる。
このトラヴィスという男、一年戦争の混乱した戦場で、敵であるジオンの部隊とすら手を結び、自らの手駒として動かし、直属の上司すらも自らの意思で粛清対象とし亡き者にしている。
一見、冷酷無比に見えるが、奴に助けられた軍人は連邦ジオン問わず多数存在した。
トラヴィスは一年戦争後、あっさり軍を辞めて身を潜めていたが、連邦軍を辞めた今もスレイブ・レイスを存続させていた。
そのための大企業カークランド・コーポレーションなのかもしれない。
先日トラヴィスに呼ばれ、俺はカークランド・コーポレーションに向かった。
会長室で話しあったが……。
あの爺さん、軽口叩いていたが、知った事実を俺に記事にするなと釘を刺してきた。
そもそも、俺は記事にするつもりなんてない。
アムロにブライト、セイラさんにミライさん、フラウ、ここには戦友たちがいる。
俺に仲間を売る趣味はないからな。
ブライトの和風レストランで、事情を知った身内だけのプチパーティーに、俺も参加させられた。
そこには月からわざわざ来たグリプスの英雄カミーユ・ビダン、ユイリィ・ビダン夫婦。
カークランド・コーポレーションの現社員で隣のコロニーに住むネオ・ジオン抗争終結の立役者、ジュドー・アーシタ、ルー・ルカも、二人は最近結婚したらしい。
もちろん、アムロの家族やレッドマンを名乗るシャアの家族。ドクター・エドワード一家。トラヴィスも夫婦で参加。たぶん俺と同じぐらいの歳の男は話からトラヴィスの息子だろう。
これだけの連中がそろうなどまずないだろう。
シャアにハマーンにアムロとブライト、それにカミーユ・ビダンにジュドー・アーシタにトラヴィス・カークランド、そしてミネバ・ザビ。
こいつらが本気出したら、連邦政府なんて転覆できるんじゃないか?
それとジャガイモ農家のオーナーを名乗る赤ッ鼻の男が居たが、こいつ何処かで見たことがあるが思い出せん。
ソーセージ工場の社長もやばい。そいつは元連邦のお偉いさんだ。
養鶏所のオーナー夫婦も、何かの資料で見たことがある。
ん!?あの男は?どういうことだ?なんでこんな大物がここに!?
俺はそこで思考を止め、とりあえずレッドマンおすすめのワインを口にした。
フラウが言っていたことは正解だったか、確かにここは良いところだ。
連邦やジオン、敵や味方など関係ない。
皆、楽しそうに飲み食いしてやがった。
新サイド6を離れ、事務所兼自宅に戻る。
「もどったぞ」
「カイ、お帰り。久々に昔の仲間に会えてどうだった?」
「あ……まあ、よかったな」
出迎えてくれたミリーの声に何故だかホッとする。
「なに、その気のない返事は、何かあったの?」
「いろいろな」
「ふーん、早速なのだけど、カークランド・コーポレーションについて調べてみたところ、ネタになりそうなものは見つからなかったわ。中々手ごわそうよ」
「それはもう調べなくていい」
「なんでよ?」
「……ちょっと休もうと思ってな」
「そう……、カークランド・コーポレーションの会長のトラヴィスの奥さんは、現社長のアンネローゼだって知ってる?」
「もちろん、知ってる。それがどうした?」
「アンネローゼって美人よね。43歳でカイと同い年」
「らしいな」
「トラヴィスは今が66歳で、結婚したのが54歳で、アンネローゼが31歳の時よ」
「そういえば随分と歳が離れてるな」
「カイ、私の歳は知ってる?」
「ああ、ちょうど30だろ?」
「もう、30歳……カイと出会って20年。私はいつまで待てばいいの?」
「何を待つんだ?」
「……結婚」
「いい奴いないのか?」
「カイのバカ!!」
「おいやめろミリー、物を投げつけるな!!」
「バカバカバカ!!」
今度ドクター・エドワードに妹分との適切な付き合い方をご教授させてもらった方がいいのかもしれん。
なんか思いついたら、また書き足します。
今後出てきてほしいあの人は誰?
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