暁妃緋真は勇者である   作:檮原

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2年振りの戦い・・・主人公にとっては血が疼くようです


第2話 2年振りの戦い

新世紀300年5月、突如けたたましく鳴ったアラームと共に周りの時が止まり、日常の世界は突然異質なものへと変わった

 

友奈と東郷は驚きながら周りを見回す

 

「教室に居たのに・・何これ・・」

 

東郷と友奈は初めて見る光景に呆気にとられていた

 

「東郷さん、大丈夫?」

 

「あっ、うん、何だか怖くて・・」

 

「大丈夫!私がついてるからね!」

 

友奈が答えると東郷も笑顔を取り戻す

 

 

 

そこに、緋真がやってきた

 

 

「よう、大丈夫か?」

 

「緋真ちゃん、良かった!」

 

「東郷も大丈夫そうだな」

 

緋真は友奈の後ろにいた東郷を見て呟いた

 

「うん、東郷さんも私も大丈夫です。けど、ここは何なんですか?」

 

友奈は、初めて見た光景に驚いていた

 

「ここは、神樹が作った結界の中だ」

 

緋真は友奈の質問に答える

 

「神樹様の結界・・・じ、じゃあそんなに悪いものじゃないんですね」

 

緋真の言葉を聞いて安心する友奈。だが、東郷だけは不安があるようだった

 

「あの、なんで私たちだけ動けるんですか?それに、ほかの人たちは?」

 

「神樹に選ばれた人間は動けるんだ。そして、ほかのやつらは結界外で止まっている」

 

「神樹様に選ばれたって、どういうことですか?」

 

「それは、風から聞いた方がいいだろうな」

 

 

 

すると、樹海の草木を掻き分けて風と樹がやってきた

 

 

 

「風先輩!樹ちゃん!良かったー!」

 

 

 

 

友奈は2人を見ると3人だけではなかったことに喜び、抱き着きに行った

 

「不幸中の幸いだわ。3人がスマホを手放していたら見つけられなかった」

 

風がそう言うと友奈と東郷、そして緋真はスマホを見た

 

確かにスマホにはピンク・青・黄・緑・オレンジの5つの点があり、それぞれピンクが友奈、青が東郷、黄色が風、緑が樹、オレンジが緋真を示している

 

「ほう、こんなのがあったのか」

 

緋真はただ歩き友奈たちを見つけたので、こんな機能があることは知らなかった

 

「この事態に陥った時、自動的に機能する様になってるの」

 

風が淡々と説明し驚きの事を口にする

 

「私は大赦から派遣された人間なの。ここは神樹様が作った結界の中。私たちはここで敵と戦わなければならない」

 

「結界の中だとは緋真ちゃんから聞きました。だけど、敵って・・・それに、私たちとは違うこの点はなんですか?」

 

友奈は画面を指差して風に聞く

 

友奈が見ているスマホの画面を4人も見ると違う点が現れる

そこには乙女型(・・・)と書かれていて、5人がが点が示す方向を見ると、まるでこの世の物とは思えない巨大で異質な物体がゆっくりとこちらへ向かってきていた

 

 

「良かった、ゆっくりなやつで。あれはバーテックス。世界を殺す為に攻めてくる人類の敵。バーテックスが神樹様に辿り着いた時、この世界は死ぬ・・・」

 

 

東郷は感じていた。アレを見ているだけで恐怖という感情が溢れてくる

 

 

 

 

 

根源的な恐怖ーーー

 

 

 

 

 

 

まるで恐怖という概念が形を持っているかの様

 

 

 

 

「あんなのと戦えるわけない・・・」

 

 

 

 

 

 

震えが止まらない東郷を友奈が抱きしめる。だがそれでも東郷の震えは止まらない

 

 

 

 

 

「ダメ・・・戦うなんて・・・出来るわけがない・・・」

 

 

 

そんな東郷に緋真が言葉を掛ける

 

 

「まさか、記憶を無くしただけで怖気付くとはな」

 

皮肉が混じった言葉をかける

 

「どういう意味ですか?」

 

東郷は、緋真を睨みながら話す

 

「お前と俺は2年前にもああいうのと戦ってたってのに、記憶を無くしただけで戦うことが怖くなるなんてな」

 

「えっ?・・・東郷さんが2年前にもあんなのと戦ってたんですか!?」

 

友奈は初めて知る東郷の過去に驚いていた。それのりも、東郷はあんな化け物と自分が戦ってたということが信じられないという顔をする

 

緋真の言葉には樹も驚いていた

 

「信じられないのも無理は無いが、昔のお前は御役目に真面目に取り組んでいた。なぜ、今話したかと言うと戦う時が来たからだ。力を合わせなければ勝てない」

 

「それでも、私には無理です」

 

緋真の話を聞いても尚、戦う意志が持てない東郷だった

 

そんな東郷を見て、風は友奈に

 

「友奈、東郷を連れて逃げて!」

 

風が友奈に言う

 

「樹も友奈と一緒に逃げて」

 

樹にも逃げる様促すが、

 

「ううん、お姉ちゃんを残しては行けない。付いて行くよ、何があっても」

 

樹のこの言葉を聞き風は思い出す

 

 

 

 

 

 

 

「樹、もしお姉ちゃんに隠し事があったらどうする?」

 

「どうしたの?急に。そうだなー、付いて行くよ何があっても。だってお姉ちゃんは私の唯一の家族だもん」

 

「ごめんね、ありがとう」

 

「俺も行くぜ、久々の祭りだ。楽しませろ」

 

「これは、遊びじゃないんだよ?」

 

「わーってるよ、だが、俺にとっては命を懸けた遊びなんだけどなぁ」

 

「なんか言った?」

 

間が聞き取れなかったのか風は緋真に聞き返す

 

「なんでもねぇよ」

 

話し終わると3人はスマホのアプリ【NARUKO】に現れたボタンをタップする

 

 

その瞬間3人はは勇者システムを起動し勇者へと変身する

 

 

犬吠埼風は髪が金色へと変化し黄色の勇者服を身に纏う。そして左の太腿にはオキザリスの花の刻印がある。そしてその横には青っぽい犬の様な生き物が宙に浮いていた

 

 

犬吠埼樹は緑を基調とした勇者服を纏い、背中には鳴子百合をモチーフとした刻印がある。同じように横には黄緑色で頭に葉が生えた生き物が

 

 

暁妃緋真は橙色を基調とした勇者服を纏い、腰部分にノウゼンカズラをモチーフとした刻印がある。横には歪な頭をした老人が

 

風の横にいる生き物は犬神。樹の隣に居るのは木霊と呼ばれる精霊で緋真の精霊はぬらりひょんである

 

 

 

次の瞬間、風は乙女型と呼ばれるバーテックスに向かって突っ込んでいく

 

「おいおい、いきなり突撃かよ!どんな攻撃してくるか分かんねえのに」

 

緋真は1人ですぐさま突っ込んだ風に呆れる

 

「攻撃される前にすればいいのよ!・・・はぁー!」

 

そう緋真に返すと、風は大剣を構えながらバーテックスに突っ込んで行く

 

 

「戦う意思を示せば武器が出てくるわ」

 

 

そう樹に助言し、風はバーテックスへと斬りかかる

 

 

 

 

「黙っててごめんね」

 

 

 

 

風がスマホで友奈たちに謝る

 

 

 

「風先輩も緋真ちゃんも私たちの為に黙ってたんですよね。だったら2人はは全然悪くないです」

 

その最中バーテックスは風たちに向かい光球を飛ばし、風は躱すも光球は突如爆発、風は吹っ飛ばされてしまう

 

「風先輩!」

 

「お姉ちゃん!」

 

友奈と樹は風が飛ばされたのを見て、思わず叫ぶ

 

「ったく、謝るのは後にしやがれ!今は倒すのが先だ!」

 

緋真はバーテックスの攻撃方法が分かったので、光球を飛ばすタイミングを見計らい、仕込み大剣の刃先を折り畳み隠されていたガトリングに変えて打っ放す

 

そして、光球はバーテックスの近くで爆発し少し退かせる

 

「ふー久々に使ったぜ、ガトリング」

 

緋真の武器を見て風は

 

「あんなのアリなの・・・」

 

遠近両用出来るとは思わず、目を丸くした

 

バーテックスは、体勢を直して光球を放つ。緋真はそれをバク転や木々の間を軽々と飛び回り避け続ける

 

だが、風は気付いた。緋真はバーテックスの光球を避けることを楽しんでいることに。まるで、鬼ごっこの鬼から逃げる子供みたいに笑いながら走り回っている

 

「緋真!遊んでないで真面目に戦って!」

 

そんな緋真に風は怒る

 

(こいつを倒すのは簡単だが、直ぐに倒すとあの2人は覚醒しなくなるかもしれないからな)

 

緋真は乙女型バーテックスの光球を避けながら目では友奈と東郷のことを見ていた。バーテックスと戦う為には、3人ではいずれ限界が来ると分かっていたのだ

 

そして、緋真は考えつく。東郷を勇者にするための方法を

 

 

 

 

 

友奈を勇者にするために、乙女型を上手く引き寄せることを。そのために、風と樹がバーテックスに突っ込んで行くのを止める必要があった

 

 

そのため、禁忌を侵す。西暦の時代に自らがやっていたこと

 

 

 

 

精霊をその身に宿す【憑依】を

 

「ぬらりひょん、久々に俺の身体を貸してやる。来い!ぬらりひょん!」

 

緋真は身体にぬらりひょんを憑依させる。すると、緋真自身の姿が透明になっていく

 

だが、その刹那バーテックスの光球が緋真の近くで爆発する

 

「緋真!」

 

「緋真先輩!」

 

「緋真ちゃん!」

 

「緋真さん!」

 

4人は叫ぶが、そこにはすでに緋真は居なかった

 

「そんな・・・」

 

風たちは言葉が出なくなるが、だがこの時既に緋真は別の場所に居たのである

 

 

 

 

なぜ、それが出来たのか。それは・・・

 

 

 

ぬらりひょんとは

日本の妖怪であり、家の者が忙しくしている時に勝手に上がり込み、茶などを飲んだり自分の家のように振る舞うとされている。しかも、見つけても「この人は家の主だ」と思ってしまうために追い出すことが出来ない

 

そしてまた、存在を認識できないとも言われている

 

そのぬらりひょんを憑依させるということは、緋真自身を誰にも気付かせないということであり、風と樹は敵討ちのために突っ込んで行くのだが、まるでバーテックスに吹き飛ばされたかのように地面に叩き付けられる

 

そして、バーテックスもまた緋真を見れないために自然と標的は友奈と東郷になる

 

 

 

 

 

友奈がバーテックスの方を見ると、バーテックスは友奈と東郷を狙っているかの様にゆっくりだが少しづつ近づいてきていた

 

 

「友奈ちゃんだけでも逃げて!死んじゃうよ!」

 

「友達を置いてそんな事絶対にしない!ここでみんなを見捨てたら勇者じゃない!」

 

 

 

 

友奈はそう言いながらバーテックスへと向かっていった

 

緋真は憑依を解いて木に隠れて

 

(悪いな、友奈・・・お前が勇者にならないと東郷は絶対勇者にならなそうだからな)

 

緋真は自分で考えた策を思い返すが

 

(バレたら勇者部全体からハブられるな)

 

と思い、隠し通す事に決めるのだった

 

 

「ダメ!友奈ちゃん!」

 

バーテックスに向かっていく友奈に東郷は辞めるように言う

 

 

「嫌なんだ・・誰かが傷つく事や辛い思いをする事は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

その時、乙女型が光球を飛ばしてくる

 

「友奈ちゃん!」

 

友奈が殺られてしまうと思い東郷は叫ぶ

 

 

 

だが、乙女型が放った光球は片手だけ装着された籠手で防ぐ。そして、2発目は変化した右足で蹴って防いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、友奈の体が光り出し────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜色の勇者へと姿を変えたのだった




主人公のモチーフはノウゼンカズラにしました

花言葉は、栄光・光栄・名声・名誉・華のある人生などです

そして、精霊はぬらりひょんです
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