暁妃緋真は勇者である 作:檮原
カモメ99さん、渚龍騎さん、アクルカさん、悠@ゆーさんありがとうございます
カモメ99さん、☆6評価ありがとうございます
頑張って書いていきます
誤字報告してくださった焼かれた餅さんもありがとうございます
乙女型を倒した次の日の放課後ーー
「知ってる?隣町で交通事故があった事」
「えっ?あの2、3人怪我したって奴?」
「そうそう、私その時近くに居たからびっくりしちゃった」
そんな会話を気にとめながら友奈は東郷と部室へと脚を運んだ
勇者部部室ーー
「その子友奈さんに懐いてますよね?」
「でしょー牛鬼って言うんだー」
「可愛いねー」
「可愛いのは同意するが、他の精霊に噛み付くとこは容認出来ねえ」
先程、緋真はぬらりひょんを出したのだが、友奈の牛鬼に噛み付かれたのでジト目で見る
「アハハーこの子食い意地張ってるみたいで・・・」
「それに、ビーフジャーキーが好物なんだ」
「えっ!?牛なのにですか?」
「共食いじゃねえか」
そんな他愛もない会話していると風が話を切り出した
「さてと、みんな無事で何よりだったわ。早速だけど昨日の事を色々説明していくわね」
『宜しくお願いします』
と、友奈と東郷は風に頭を下げる
「戦い方はアプリに説明ソフトがあるから、今回はなぜ戦うかって言う事を説明するわね」
そう言うと風は黒板に絵を描きだしていった
「これがバーテックス。人類の敵が壁を越えて12体攻めてくる事が神樹様のお告げで分かったの。目的は神樹様の破壊。以前というより緋真が言っていたから2年前ね。その時も襲ってきた事があったみたいなんだけど、その時は追い返すのが精一杯だったみたい」
(追い返すのが精一杯だった・・・か。最後の戦いで満開の力で切り刻んだはずだが・・・)
2年前、満開システムが導入された直後の御役目で4人で満開を使い、結果的に倒したものの緋真は左腕、東郷は記憶と両脚を失うことになった。あの時倒したのはカウントされてないのか、と緋真は思うのだった
(それにしても、12体だけだと!?・・・んなはずねえ、奴らは結界の外で今この間にも生まれてるはずだ!2年前も思ったが、こいつらも結界の外の状況知らないのか・・・知ったら、暴走しそうだな)
緋真は、風の言葉を聞いて大赦が神樹が作っている結界の外のことを隠してることを先に話してくれてた方が後々面倒な事にならないと思うのだが、隠し続けてることに憤りを感じる
「それ、この前の敵だったんだぁ」
樹は風の描いた絵が何を表してたのか今分かったらしい
「き、奇抜なデザインを良く表した絵だよね」
風の独特な絵を友奈は、褒めるているがお世辞で言ってる事が丸分かりだ
淡々と風が説明していく中で東郷は違う点を考えていた
(2年前・・・)
風の説明は続く
「そこで大赦が作ったのが神樹様の力を借りて勇者と呼ばれる姿に変身するシステム。人智を超えた力に対抗するにはこちらも、人智を超えた力ってわけね」
と、自分の書いた絵を差しながら説明するがその絵を見て樹は目が点になっている
「その絵、私たちだったんだ」
どうやら、風の描いた人らしき絵が自分たちのことだと理解出来てなかったようだ
「現代アートってやつだよぉ」
樹の言葉に、友奈は慌てて褒め言葉を言う
「注意事項として、樹海が何かしらの形でダメージを受けると、その分日常に戻った際に何かの災いとなって現れると言われているわ」
その説明を聞いた時友奈は放課後の話を思い出した
「知ってる?隣町で交通事故があったじゃない?」
同級生が話していた事故は昨日の戦いのせいで起こったのだと理解した
「派手に破壊されて大惨事なんて事にならないように私たち勇者部が頑張らないと」
一頻りの説明が終わったところで東郷が口を開く
「その勇者部も風先輩が意図的に集めたメンツだったってことで良いんですよね?」
「うん・・・そうだよ、適正値が高い人は分かってたから・・・私は神樹様をお祀りしている大赦から使命を受けているの。この地域の担当として」
「知らなかった・・・」
「黙っててごめんね・・・」
「敵は次いつ来るんですか?」
「いつだっていいんじゃねえか?来たらぶっ倒せばいいだけだしな」
「そんな簡単じゃないわ。昨日の一体でも苦戦したのに・・・来る時は分からないわ。明日かもしれないし、1週間後かもしれない」
「どうして・・・何でもっと早く勇者部の本当の意味を教えてくれなかったんですか?友奈ちゃんも樹ちゃんも死ぬかも知れなかったんですよ」
東郷が風に納得出来ないと言いたげな顔で静かに怒りを露わにする
「ごめん・・・緋真にも言われてたんだ。ここが選ばれるって・・・」
「だったら!・・・」
「でも勇者の適性が他のチームより高くても私は信じていたかった。変身しなくて済むかもって・・・淡い幻想だったけどね」
「そうなんですね、各地で同じ様な勇者候補生が沢山居るんですね」
「うん、人類存亡の一大事だからね」
「そうだな、プロジェクトの1つだからな」
「こんな事、緋真さんもずっと黙ってたんですか・・・」
風だけでなく緋真も勇者部の本当の役割を知ってて隠されてたのが気に障ったらしい
「俺は来る前から分かってたさ。勇者部って響きで
「どうして・・・教えてくれなかったんですか?」
「話したら、了承してくれたのか?」
「ちょっ!?緋真!・・・」
緋真の言葉に風が場を収めようと仲裁に入ってくる
「隠されてるよりかは、まだマシでした」
そう言うと東郷は部室から出てってしまった
「東郷・・・ちょっと!緋真、何であんな言い方するの!」
「少し、ムカついたから・・・結城、あいつのこと頼むわ」
「あっ、はい!」
緋真の言葉に返事を返し、追いかけて出て行った
渡り廊下ーー
東郷を探すこと数分、友奈は渡り廊下で東郷を見つける。友奈が差し出した手にはパックのお茶が握られていた
「はい、東郷さん私の奢り」
「えっ?でもそんな理由なんて・・・」
「あるよ。だってさっき東郷さん私のために怒ってくれたから」
「あっ・・・」
「ありがとうね、東郷さん」
「あっ、なんだか友奈ちゃんが眩しい」
顔を手で抑え、頬を赤らめる東郷
「えっ、どうして?」
友奈は東郷が頬を赤らめている理由が分からないのか東郷に聞く
「はぁ・・・えっとね・・・」
「うん」
東郷が静かに思っていたことを話し出す
「私、ずっと昨日のことでモヤモヤしてたんだ。このまま変身出来なかったら私は勇者部の足でまといになるんじゃないかって・・・」
その言葉を聞いて、友奈は
「そんな事ないよ、東郷さん・・・」
と、言葉を掛ける
「だからさっき怒ったのもそのモヤモヤを先輩にぶつけてたってのもあって、私悪いこと言っちゃった。それに、緋真さんの言葉にも過剰に反応しちゃったし・・・」
「東郷さん・・・」
東郷の話を聞いて友奈は名前を呼んで顔を見る
「友奈ちゃん・・・ああ、皆変身したのに国が大変な時なのに・・・」
「と、東郷さん?」
いきなり、東郷がブツブツと話し始めたので友奈は、心配になる
「わ、私は勇者になれずに呆然と・・・」
「東郷さーん?」
ますます心配になる友奈
「風先輩の仲間集めだって国や大赦の命令でやっていたことだろうに・・・それに、緋真さんも私が記憶無くしてるから言わないように配慮してくれてたのだろうに・・・ああ、私はなんて」
「わああああ!そうやって暗くなってたらダメー!」
慌てながら、東郷を必死に宥めようとする
「じゃあ!コレ見たら楽しくなるよー!」
そう言ってメモ帳をペラペラと捲って間に挟んであった栞を見せる
「じゃじゃーん!キノコの押し花!・・・凄いでしょ?トウモロコシのやつもあるよ!」
ニッコリ笑顔で東郷に見せる。だが、
「はあー・・・ウン、キレイダネ」
(気を遣わせてしまった!?)
どうやら、更に暗くなってしまったようだ
「え、ええっと!・・・1番結城友奈!一発ギャグいきまーす!」
声高らかに宣言し、後ろを向いて頭に乗っけていた牛鬼を服の中に入れ込む
「ね、ねえ見て!私のバストまるでホルスタイン!」
そう言って東郷に見せるが、傍から見ると服の中から顔を覗かせる牛鬼が羨まs(殴
「私のために、こんなネタを・・・」
だが、東郷にはこれも効き目ないようだ
「わあああ!逆効果あああ!」
またしてもダメだったことに友奈は、オーバーにリアクションする
そんな友奈に東郷は
「ねえ、友奈ちゃん。大事なことを隠されていて怒ってないの?」
と、質問する。すると、友奈は
「そりゃ、驚きはしたけど・・・でも、嬉しいよ!だって、適正のおかげで風先輩や樹ちゃん、それに緋真ちゃんにも会えたんだから!」
と、笑顔で答える
「はっ・・・この適正の・・・おかげ?」
「うん!」
東郷は、友奈の言葉で気付いた
「私は中学に入る前に事故で足が全く動かなくなって・・・記憶も少し飛んじゃって学校生活を送るのが怖かったけど、友奈ちゃんが居たから不安が消えて、勇者部に誘われてから学校生活がもっと楽しくなって・・・そう考えると適性に感謝だね」
「これからも楽しいよ?ちょっと大変なミッションが増えただけで」
「そっか、そうだね」
そう笑いながら2人は謝る為に部室に戻って行った。
一方その頃部室に残っていた3人は
「いかにして、東郷先輩とお姉ちゃんそして緋真先輩を仲直りさせるか・・・」
樹はタロットカードで仲直りの方法を探る
「別に俺の事まで占わなくていいぜ。ほっといても大丈夫だと思うがな」
緋真は、そう言いながら菓子を食べる
「あんたのせいでもあるんだからね!」
風は緋真にそう言って自身の犬神相手に謝る練習をする
「えっとー、説明が足りなくてえごめんねえ・・・流石に軽すぎて怒っちゃうかなあ?」
「本っ当にごめんなさい!・・・低姿勢すぎるなあ」
謝り方が定まらないのか遂には
「困ったぁ・・・樹、どうやって仲直りするべきか占えた?」
「妹に・・・しかも占いに頼るなよ」
「仕方ないでしょ!?思い浮かばないのよ!」
「開き直るなよ・・・」
緋真は、風の言葉に呆れて頭を抱える。そんな時に樹は
「今、結果出るよぉ」
そう言って1枚ずつタロットカードを捲っていく
その1枚を見て、風は
「おお、なんかモテそう!」
と、話す
(タロットカードでモテそうっていう感想出てこねえだろ)
緋真は、心の中で呟いた
「他のは?」
「えっとー」
樹がカードを捲り離すと、机に落ちずに時が止まった
緋真も、それを見て
「来たか!」と呟く
その時、スマホから再びアラームが鳴り響き犬神が風に【樹海化警報】の画面を見せる
「まさかの連日!?」
風は続けざまに来た事に驚いていた
再度世界の端から空が割れーーー
虹色の光が世界を侵食していくーーー
闇の向こうから現れたバーテックスは3体ーーー
樹海ーー
「3体同時に来たか・・・モテすぎでしょ」
「どうしよう、お姉ちゃん」
「どうするもこうするも、倒すしかねえよ・・・しかも、あいつらは2年前の!」
「2年前にも現れたの!?」
「ああ、2年前の大橋での戦いで奴らの連携は厄介だった」
「特に奥のヤツと手前の左側の2体の連携は特に厄介だ」
「あの2体に注意すればいいのね」
「1番はあの2体だ。サソリの方も尻尾に気をつけろ!」
姉妹と緋真が話している中、友奈はスマホの中アプリを起動して勇者の衣装を身に纏う
右手の甲には山桜の刻印。友奈は武器は持たずに拳でバーテックスと戦っていくスタイルだ
「東郷さん、待っててね。倒してくる!」
「待って!私も・・・」
しかしその瞬間東郷の頭に昨日のバーテックスとの戦いがフラッシュバックしスマホを持つ手が震え出す
「大丈夫だよ、東郷さん」
「ゆ、友奈ちゃん・・・」
「行ってくるね」
そう言って、友奈は木々を飛び移りながらバーテックスに向かっていった。東郷はそれを、ただ見ていることしか出来なかった
「緋真から聞いたわ。遠くのやつと手前の左との連携は厄介だって・・・だから、まずは左側を封印するわ!」
「いや、奥のヤツからじゃねえと面倒だ!」
「それって、どういう・・・!?」
風の指示に緋真が待ったをかけた時、奥の射手型の上口から長い針を作り出し風と緋真に向かって発射してきた
「来ると思った、よっと!」
「わっ!?」
「緋真先輩!お姉ちゃん!」
2人は躱すもすぐさま今度は下口から無数の小さな針を発射してきた
「い、いっぱい来たーーーー!!」
「やはり、面倒臭い奴だ!」
「知ってたんなら、何で言わないのよ!」
緋真たちは話しながら射手型の攻撃を躱す
(射ってくる奴を何とかしないと・・・)
友奈が射手型に向かっていく
「おい待て、結城!コイツら相手の単独は無茶だ!」
緋真は声を荒らげて止めようとするが、友奈は止まらない
蟹型は方向転換しながら自身の周りに板状の物を生み出し、そして射手型が射った針をその板で友奈に向かって反射させてきたのだ
「まずい!」
「友奈さん、危ない!!後ろに・・・」
「っ!?わわわわわーーーー!!!!」
「ちっ!だから、言ったんだけどなあ」
緋真は友奈を援護するためにガトリングで矢を減らしていく
友奈は緋真が打ち漏らした残りの矢を何とか防いで着地するもすぐさま今度は蠍型が尻尾の針で友奈に襲い掛かってきた
針に押され空中に上がった友奈だが、牛鬼が攻撃を防いでくれていた
しかし、そこから落とされ、空中で振り回された尻尾に吹き飛ばされてしまう
「きゃあっ!?」
(こいつら、2年前より連携がスムーズになってやがる!)
緋真は、射手型と蟹型そして蠍型の連携攻撃に驚かされるばかりであった
「早く助けに!うっ!?」
「針の数とこちらの弾数が、全然釣り合ってねえ!」
緋真はガトリングで射手型の針を削るが、それでも数を中々減らせない
助けに行きたいが蟹型と射手型の連携攻撃によって思うように進まない
「友奈を助けたいけど、こいつら!」
「助ける方法が1つだけある!東郷が勇者になるしかねえ」
「でも!東郷は・・・」
「分かってるさ、でも来ると思うぜ」
緋真は、そう話しながら射手型の針をガトリングで相殺していく。そして、蟹型の盾を1枚破壊するが戦況に変わりはない
そんな頃、友奈は蠍型の尻尾で東郷の近くに吹き飛ばされる
「あっ、友奈ちゃん!!」
蠍型がトドメを刺そうと針を刺してくるが牛鬼が友奈を守ってくれている
「・・・っ!」
東郷は再び思い出す。友奈と初めて会った日の事をーー
「新しいお隣さんだ!年が同じなら同じ中学になるよね!私は結城友奈、宜しくね」
そう言うと、友奈は東郷と握手する
「あっそうだ!この辺まだよく分からないでしょ。何だったら案内するよ!任せてー!」
友奈の言葉を聞いて当時の東郷は笑顔になるのだった
「やめろ!・・・やめろ!・・・」
「友奈ちゃんを虐めるなぁぁぁぁ!!!」
叫び声に気付いた蠍型が東郷に向かって攻撃してくるーー
しかしーー
バチバチと青い閃光を放ちながら東郷のスマホから現れた精霊が守っていた
「私、いつも友奈ちゃんに守ってもらってたね」
「東郷・・・さん・・・」
「だから次は私が勇者になって・・・」
「友奈ちゃんを守る!!」
東郷のスマホから光が溢れるーー
青い勇者の衣装を身に纏い、左胸には朝顔の刻印、そして動かない足の為に補助パーツが付いている
「綺麗・・・」
友奈は、東郷の勇者姿を見て呟いた
そしてそれは、戦闘の痛みを一瞬でも忘れてしまう程の美しさだった
次回も頑張ります