TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・ 作:コジマ汚染患者
とあるポケモンssのパクリだ、と言うメールが届きました。
・・・完全には否定できない話ではあるのでオリジナリティを模索中です(´・ω・`)
「くそ、ここまでかよ・・・!」
車に乗り、祖父の元へと急いでいたワタルだったが、山の途中で道が崩れてしまっていた。徒歩ならばいけるだろうが、車は通れない。
「走るしかねぇ!ほら、急ぐぞ!」
「フゥ!」
ミニリュウをリュックの上に乗せ、しっかりと背負うと、坂道を駆け上るワタル。
道中には巨大な力でなぎ倒されたような跡のある倒木が点在していた。
「これがポケモンの力かよ・・・」
普通の熊ではないことは想像していたが、いざ被害を目の当たりにするとゾクリと悪寒がする。太い幹を持つ巨木でさえなぎ倒されているのを見ると、祖父が負ったという怪我がより心配になる。
「くそ・・・じいさん、死ぬなよ!」
ワタルは祈るように呟きながら先を急ぐのだった。
「んん〜、着いたー!」
駅を出て大きく背伸びをする俺。目的地である釣り師ニキの家の住所をスマホで調べつつ、テクテク歩く。
「うわぁ・・・人がいっぱいだぁ・・・」
大都市の人の多さに目を回し、人の波に流されながら歩くこと10分。目的の住所へと辿り着いた。
「・・・よし!」
ぞいの構えとともに気合を入れ、インターホンを鳴らす。
「・・・留守か?」
しかし一向に誰も出てこない。すいません、と口だけで謝りながら車庫らしき場所を除くも、車はない。
「どうしよう・・・」
少々予想外の状況にあわあわし、ライを抱いて落ち着きたい衝動に駆られる。そんな俺に対して、後ろから声がかけられる。
「ん?嬢ちゃんどうしたんだい?」
驚きつつ振り向くと、そこには長靴にツナギ姿で、ねじり鉢巻をした如何にも漁師風のいでたちの男性がいた。
「ワタル君に用があるのかい?」
「え、あ、はい。俺、今日釣りs・・・ワタルさんに会いに来てて・・・時間通りにきたはずなんですが、ワタルさんって今どこにいますか?」
一瞬ワタルというのが釣り師ニキの名前だと気づかず戸惑うも、とりあえず居場所を聞く。
「ああ、今はちょっと会えないと思うよ。今大変なことになってるからねぇ」
「大変なこと?」
「ああ、ワタル君のおじいさんが山で熊に襲われたらしくてねぇ・・・今ワタル君がその山に向かっていっちゃったし」
「!」
漁師風の男の話を聞いて、嫌な予感がするうみ。
「その熊ってどんな姿してたとか、分かりますか!?」
「ええ?・・・確か普通にでかい熊だって話だけど・・・ああ、目つきがすごーく悪くて、腹に黄色い輪の模様があるって、逃げてきたやつが言ってたなぁ」
外見情報を聞き、顔が青くなるうみ。
(黄色い輪の模様がある、目つきの悪い熊・・・あいつか!)
「それ、いったいどこで起きてるんですか!?」
食いつくうみに怪訝な表情を向けつつ答える男。遠くに山頂付近だけ見える山を指差す。
「確か、あの山の中腹辺りにある川沿いの小屋だって話だよ。・・・ああ、見に言っても無駄だよ。もう警察も動いてるから、山の道は封鎖されてるだろうし」
(遠いな・・・それに道路が封鎖されているんだったら、行ったところで無駄足だろう。・・・待てよ?川?)
必死に考え、とある策を思いつくうみ。
「おじさんありがとう御座います!それじゃ!」
「あ!おい!?」
急いで走って行くうみを、なんだったんだろう・・・と呆然と見送る男であった。
「あった!」
男と別れたうみは、スマホの地図機能で見つけたある場所へと来ていた
そこは、目的の山から流れている川だった。
「頼む!ミロ!」
人がいないことを確認し、ボールを投げる。中からミロが飛び出し、川の中へと着水する。
「ミロ、あの山まで頼む!」
「!キュゥ!」
言葉短く叫んだうみに、力強く頷くミロ。その次の瞬間、濡れることも厭わず川に飛び込むうみを、ミロが受け止める。
そしてうみがしっかりと捕まったことを確認したミロは、ものすごい勢いで川の上流へと泳ぐ。
(ぐぐぐぐぐぐ!)
水の勢いに引き剥がされそうになりながら、必死にミロに掴まるうみ。と、途中息継ぎのために浮上し水面から顔を出しつつ進んでいると、巨大なダムが目に入る。
「ガボゴバ!?」
(まじかよ!?)
急いで止まるようミロを叩くが、ミロは速度を緩めない。慌てたうみが思いっきりバシバシと叩くが、それでもミロは止まらない。
(ぶつかる〜〜!?)
さらに運悪く、ダムの放水が始まる。ものすごい勢いの水流が迫る中、ミロは後で叩く。と誓いつつ目を瞑るうみ。
「キュォ!」
「!?」
すると、激流が届く寸前。ミロが一旦水底まで一気に潜水したかと思うと、今度は一気に水面へ向けて加速する。
(飛ん・・・!?)
次の瞬間、ミロとうみは空を舞っていた。そのままトップスピードで飛び上がったミロは、まさかのダムを飛び越え湖面へと着水したのだった。
「えっほ、えっほ・・・ミロ、やりすぎ」
「キュゥ?」
キョトンとした顔のミロにジト目を向けつつ、ため息をつくうみであった。
「・・・急ごう」
「キュゥ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・!あった!あれか・・・!」
一方のワタルは、祖父の隠れているという小屋を見つけていた。どうやら例のポケモンは小屋を襲っていなかったらしく、どこも壊されてはいない。
(・・・そっとあの小屋まで行く。静かにしとけよ)
(フゥ)
小声でミニリュウに確認を取ると、なるべく音を立てぬよう慎重に歩くワタル。
「・・・っ、・・・っ」
緊張感と恐怖に苛まれながらも、どうにか小屋へとたどり着くワタル。そっとドアを開け、中へと入る。
「誰だ!」
「!おやっさん!俺だ!ワタルだ!」
「ワタル!?どうしてここに!?」
小屋に入るなり静かながらも鋭い声で問いかけてきたのは、漁師仲間でありおやっさんと呼ばれる男だった。傍らには棒や鉈で武装した同僚もいる。
「じいさんは!?」
「こっちだ。結構出血してしまっている」
その言葉に慌てながらも外にいるであろう熊にバレないように静かに奥の部屋へと向かう。
そこには、寝室のベッドのシーツで止血した右腕を抑えながら苦しそうに肩で息をする祖父の姿がいた。
「じいさん!」
「おうワタル、なんで来た。熊はどうした」
「今は見あたらねぇ。とにかく包帯と薬持ってきた!静かにしてろ、あと腕出せ!」
そう言って祖父の腕をゆっくりと取り、他の仲間とともにシーツを取って包帯を巻く。
「こっからどうする?」
「あの熊が今どこにいるかわからない。下手に動くよりはじっと警察の救助を待とう」
祖父の応急処置が終わり、今後の方針を話し合っていた時だった。
「・・・!おい、なんか音しないか?」
仲間の1人が物音に気づく。全員が静まった次の瞬間。
「グアァァ!」
「!逃げろ!」
小屋の壁を破壊して、件の熊が襲いかかってくる。咄嗟に祖父を背負い走る仲間達。ワタルも逃げようとするが、背後からミニリュウが飛び降りる。
「あっ、おい!?」
「フゥ!」
ミニリュウは熊に対して威嚇する。それを見た熊は、怒りの形相で飛びかかろうとする。
それを見たワタルは慌てながらミニリュウを抱え、全力で横っ飛びする。
「うぉぉぉぉ!?」
「フゥ!?」
「ガァァァ!!」
圧倒的パワーのパンチを放つ熊。横っ飛びしたワタル達がいた場所の床が完全に破壊され、その衝撃で小屋が半壊する。
「フゥ!フゥ!」
「冗談じゃねぇ!お前今怪我しているんだぞ!今は逃げるんだよ!」
暴れるミニリュウを抑えながら走るワタルだったが、背後から追撃をする熊。その一撃の風圧に飛ばされ、ミニリュウ共々地面に倒れる。
「いって・・・!?」
そして次に熊が狙いを定めたのはワタルだった。目の前まで迫った熊に、思わずワタルは固まる。
『基本的には仲良くなれば心も通わせられる』
いつかの配信でうみが言っていた発言を思い出すワタル。
(いや、これはダメだ。無理だ。こんなのと心を通わせる?冗談きついって・・・)
もう助からないという状況に返って冷静になったワタルは、ははは、と乾いた笑いをこぼす。
完全に心が折れたワタルに向けてゆっくりと腕を振りかぶる熊。
「フゥ!」
「グ!?」
「なっ!?」
その時、横から電気の塊のようなものが飛んできて、熊に当たる。すると熊は、さしてダメージは受けてないものの動きが鈍り、振り下ろした腕がワタルをかすめ、地面に突き刺さる。
「お前・・・!」
そこには、俺を忘れるなという表情のミニリュウがいた。攻撃を受けた熊は、ギロリとミニリュウに視線を移す。怒り心頭の熊はそのままミニリュウを襲う。
「やめろぉぉぉ!」
それを見たワタルは、思わず叫ぶ。ミニリュウは怪我を負っているのだ。やめろ。そいつに手を出すな。そんな願いも届かず、先の攻撃で体力を使いきったミニリュウは動けず、熊が腕を振り下ろす。
もうミニリュウは助からない。思わず目を閉じた時だった。ワタルの横を一陣の風が吹きすさぶ。
「そこまでだ」
凛と透き通るような声が響く。その何処かで聞いたような声を聞き、驚いて顔を上げたワタルは、目の前の状況に目を見開く。
熊の一撃は、ミニリュウに届いてはいなかった。巨木すらなぎ倒し、小屋をほぼ一撃で半壊させるほどの一撃は、間に割って入ったなにかの尻尾で軽く受け止められていた。
「なるほど、やっぱりリングマでしたか。それにどうやら『でんじは』で麻痺状態。結構パワーがあるけど、これはとくせい『こんじょう』が発動しているのかな?」
背後から聞こえたその声に振り返るワタル。
赤い帽子を被り、これまた赤いジャンパー。下はジーンズに黄色いシューズと、活動的な格好ではあるが、体格で女の子だと分かる華奢なその姿には、どことなく凄みのようなものを感じた。
「あ、どうも、釣り師ニキですよね?生で会うのは初めまして。うみと言います」
そう言って帽子を取ったことでたなびく銀髪。後ろから日の光を浴びるその幻想的な姿に、ワタルは思わず状況を忘れ見とれるのだった。
「動けますか?」
水浸しで川から上がり、半壊した小屋を見つけたうみは、その少し先で今まさに襲われようとしていたミニリュウとワタルを見つけ、間に合ったことに安堵していた。
「あ、ああ・・・でもミニリュウが」
ワタルを立たせ、逃がそうとするうみ。しかしワタルはミニリュウを気にして逃げようとしない。そんなワタルに、うみは安心させるように
笑いかける。
「大丈夫です。・・・俺の相棒(家族)は強いので」
ミニリュウと、巨大熊ことリングマの間に入りリングマの一撃を受け止めたミロ。怒りの表情で睨むリングマに対して、まるで興味ないというかのようにあくびしてみせるミロ。
そんなミロの様子を見てさらに怒ったリングマは、もう片方の腕でもって自身の自慢の一撃『アームハンマー』を繰り出す。
「・・・キュウ」
「!?」
それをもろに食らったミロ。しかし、煩わしそうにするだけで全く応えていない。流石に驚いたリングマから初めて怒り以外の表情が出る。それを流し目で見つつ、ミロはゆっくりと、優雅な動作で尻尾を立てる。その美しい尾は、夕日の光を浴びて七色に輝く。
「ギュアァァァァァァ!!!」
「!?グッ、グアァァ!?」
その美しい尻尾が水を纏う。ニッコリと笑みを浮かべたミロは、その尻尾での一撃、『アクアテール』でもって、リングマを滅多打ちにする。そのあまりの早さに反応できなかったリングマがボコボコにされる。
「・・・キュウ!」
ミロが一鳴きしつつうみの元に戻る。リングマはその頭を地面にめり込ませ、まるで犬〇家の一族のような状態である。
そんな一部始終を見ていたワタルは、口をポカンと開けて絶句する。
「・・・ね?スゴイデショウ?」
やや目からハイライトが消え、ミロの頬ずりを受け続けているうみを見て、アッハイと答えるしかないワタル。
「!そうだ、ミニリュウ!」
はっとして走り出すワタルを慌てて追いかけるうみ。怪我をしたまま無茶をしたミニリュウは、すでに限界だった。
「うみちゃん!頼む!こいつもう限界なんだ!」
必死の形相で言うワタルを見て頷くと、うみはリュックからオレンジ色のキズぐすりを取り出す。
「それは・・・?」
「ポケモンの傷を治すスプレー式のくすりです。これは効果の高いもので、言うならば『いいキズぐすり』ですね」
そう言いつつ包帯を取り、川の水で傷口を洗い怪我をした部分にスプレーを噴射する。普通のキズぐすりの残りをチェックしていた時に3つだけ見つけたものだ。初めは痛そうにしていたミニリュウだったが、次第に表情は和らいで行き、力尽きたのか眠ってしまう。
「これで最悪の事態は免れたと思います」
「そうか・・・」
ホッとした様子でミニリュウを抱え、おっかなびっくりながら撫でるワタルを見て、美しいものを見るように微笑むうみ。
「・・・そういえばちゃんとは挨拶できなかったな。どうも、ワタルって言います。配信では釣り師ニキと呼ばれています。ありがとう、うみちゃん」
「いいえ、間に合ってよかったです。・・・ええと、うみって言います。本名です。こっちは、俺の家族のミロって言います」
海の挨拶と紹介に合わせ、尻尾だけフイッとふって挨拶するミロ。
その後、2人はミニリュウにあまり負担を与えないようゆっくりと下山するのだった。
山を降りると、当然のことながら、警察が山の入り口を封鎖しており、あっという間に俺たちは囲まれた。
「大丈夫ですか!・・・そのご老人は・・・!」
「負傷者です、救急車お願いします」
「分かりました。おい!」
警官たちが慌ただしく動き、ワタルや漁師の人達に事情聴取をしている。その光景を、ガードレールに座って足をぶらつかせつつ見ていたうみ。当然ミロはボールの中であり、事情聴取の順番を待っていた。
「だぁから、ポケモンに銃なんか効きませんって!」
「うるさい、やっても見ないで言い切るな」
すると後ろから、騒ぐ声が聞こえる。声のする方を見ると、警官服の人に混じり、スーツ姿の2人の男性が話し合っていた。1人は細い目に逆立った髪の毛の、ワイワイと騒ぎながらもう1人になにやら話している男。
もう1人は、凛々しい眉毛が特徴的なダンディズム溢れるナイスミドル。
「誰だろう・・・」
呟きながら眺めていると、ダンディな方の男がうみに気付き、もう1人を連れてやってくる。
「・・・おお、ちょうどいい。あそこにいる女の子にも事情聴取をしよう。ちょうどまだ終わっていないようだしな」
「んな糞真面目にやんなくても他の警官がやってくれ・・・んん!?」
近づいてくる2人に少しだけ怯えるが、まさか警察がたくさんいる中で事案発生はないだろう。
「やあ、私たちは警部と言って、警察官の人なんだ。よければなにがあったのかをきかせてくれないかな?」
「は、はぁ・・・」
警察手帳を見せつつしゃがみ、そう聞いてくる男に、なんだ警察か、と一安心するうみ。すると、片割れの騒がしかった方の警官が叫びつつうみに詰め寄る。
「う、う、うみちゃん!?本物だぁぁ!?」
「ぎゃぁぁぁぁ!?」
「ライ!」
「うばばばばばばば!?」
突然詰め寄られ、思わず悲鳴をあげるうみ。うみの悲鳴に反応したライが自力でボールから飛び出し、電撃を放つ。感電し黒焦げで倒れる部下を見ながら、警部ーーーキョウはため息をつくのだった。
「・・・その生き物についても話がしたい。ここでは人目がありすぎる、仮設だがテントがある。そちらに行こう。・・・タケシ、来い」
そう言って嗤うキョウの額には青筋が浮かぶのだった。
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うみ達が山を降り、警察の人間が感電している頃。
結局ミニリュウを優先して放置されていたリングマがようやく地面から体を出すことに成功していた。
「グルァァァァァァ!!!」
怒りMAXで叫ぶリングマ。その背後、綺麗に夕焼けを映す波一つない川から、音もなく何かが現れる。
リングマはそれに気づくと、怒りのままに『アームハンマー』を繰り出す。
もし、リングマが怒りに染まっていなければ。
ほんの少しでも理性的に判断が可能ならば。
それに害意を持って迫ることなどしなかっただろう。
「!?」
しかしどこまで行こうと仮定の話。リングマの『アームハンマー』はそれを捉えることはなく、それはまるで血のようにあたりへ飛び散る。異様な感触に戸惑うリングマの目の前、それはまた不定形に蠢きながら形を元どおりに形成する。
ここへ来てようやく正気になったリングマは、恐怖でおののきながら脱兎のごとく逃げる。
「ーーーーーー」
しかしそれは遅すぎた。それは黒い翼を掌のように広げ、恐るべきスピードでリングマを捉える。
「グァ、ゴァァァァァ!?」
暴れ逃げようとするリングマだが、決してそれは離さない。掴み、引き剥がそうとするも、その部分だけ弾け、手を離すとまた元に戻る。
悲鳴のように喚くリングマを掴んだその手は、次の瞬間また超スピードで川へと引き込んでいった。
後に残ったのは、静かな川の水が流れる音だけであった。
※リングマは生きてます、ご安心を。
次回、うみちゃん逮捕・・・?
最近の状況
体→( ⁰▿ 。)
脳内→( ˘ω˘ )スヤァ
ストックが一日一個減ると二個になる・・・怪奇現象かな?