TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・   作:コジマ汚染患者

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ども、17話です。
(・∀ . )盛り上がってまいりました(お話的にも作者のテンション的にも)
というわけで、伝説三匹です。


第17話

黒い手を追って窓の向こうへとやってきたうみ。

 

「わぁぁ!?」

 

窓を抜けた途端上へ落ちてしまいビタンと天井へとぶつかる。

 

「いったたた・・・なんだここ」

 

新幹線の中のようではあるが、不自然に歪んだ車内。人どころか、生命の存在すら感知できない。おっかなびっくり外へと出ると、

 

「まじでどこだ・・・?」

 

そこには異常な空間が広がっていた。うみの乗っていた新幹線は、ギリギリそれが乗れるだけの面積しかない浮遊する小島に乗っかっており、その周りに小さな島や足場が点在している。周りの小島にも、重力や物理法則を無視したような建物が建っている。

群青色の空に浮かぶ小島の上で、うみは呆然と呟く。

 

「そうだ!ライ達は!?」

 

慌てて周囲を見渡すうみ。すると、少し上に浮いている足場から鳴き声がする。

 

「ライ〜・・・」

 

「!ライ!」

 

見上げると、ミロのボールを持ったライがそこにいた。ライに呼びかけると、嬉しそうにうみの元へと飛び降りてくる。

 

「ライー!」

 

「わぁぁぁ!?・・・ぁぁああ?」

 

急に飛び降りてきたライの慌てるうみだったが、ライはまるで宇宙にいるかのようにゆっくりと落ちてくる。そっと手を出し迎え入れるうみ。

 

「よしよし、ありがとうな」

 

「チュゥ〜」

 

ライを抱きしめ、しっかりと撫でるうみ。嬉しそうに胸に顔を埋めるライを撫でながらボールをしまい、周囲を見渡すうみ。どうやら新幹線の他の乗客は周りの小島に気絶した状態で乗っているようだ。

 

「・・・ここは、なんなんだろう?」

 

記憶の中で若干引っかかるも、うまく思い出せないでいるうみ。すると、遠くの方から何かが飛んでくる。

 

「・・・!?あれは・・・!?」

 

その姿を視認した途端、うみは全身に鳥肌が立つのを感じた。ライも本能的に恐怖を感じたのか、素早くうみから飛び降り臨戦態勢に入る。

 

「GARUKYUAーーーーーー!!!!」

 

やってきたのは、異世界の支配者。灰色を中心とした配色の体に、棘のような足。背中から生える六本の触手のような羽は、うみ達を捕まえた黒い腕を彷彿とさせる。口の周りを黄色のツノのようなものが覆っており、真紅に光る眼がより不気味さを増している。

 

「ギラ・・・ティナ・・・じゃあここは、やぶれたせかい・・・?」

 

絞り出すように呟くうみ。ギラティナがいるという事から、異世界の正体について合点がいく。しかしそんな些細なことは、ギラティナと目が合う事で吹き飛ぶ。

 

「あ・・・ああ・・・」

 

「・・・!ライ!」

 

ゲームとしてギラティナを目にしていた時。いや、様々な伝説級ポケモンを目にした時には感じるはずもなかったプレッシャー。神の持つ畏怖堂々としたその圧に、思わず心が折れかける。うみは全身から力が抜け、まるで底なしの闇に落ちていくかのような感覚だった。ぺたんと女の子座りでへたり込むうみに、ライが焦った様子で近寄る。

 

「GURURURU・・・」

 

呆然と見上げるうみに対し、ギラティナは口を覆っていた部分を開き、ゆっくりと近づく。ライはそんなギラティナにいつでも電撃を放てるよう準備するが、本能的恐怖からか放つ様子はなく睨み続けるだけである。

ギラティナが口を開き、うみの目前まで迫った時だった。

 

「・・・GA!?」

 

どこからかエネルギーの玉がものすごい勢いで飛んできて、ギラティナの横っ面に直撃する。その衝撃でギラティナは怯み、うみから離れる。

 

「な、何が・・・」

 

ギラティナが怒りの声とともに来襲者を睨みつける。

その視線の先にいたのは、真珠のような宝石のような、不思議な物体を両肩につけた、背中に二対の鰓のようなものを持つ竜のようなポケモンだった。それを見たうみは驚愕する。

 

「パ、パルキア・・・!?あいつまで、なんで!?」

 

うみが驚く中、パルキアが両手にエネルギーを集め、再度エネルギー弾、『みずのはどう』を放つ。高速で飛来するそれをギラティナが避ける。みずのはどうはうみ達がいる小島の横に直撃する。

 

「うわっ!?」

 

余波が届き、思わず顔を覆ううみ。運良くと言っていいのか、乗客のいない小島を粉砕する。

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

「GAGYAGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

互いに怒りを咆哮に乗せ、そのまま戦闘に入る。

ギラティナが『りゅうのいぶき』を放ち、パルキアが『みずのはどう』を撃ち出す。両者の一撃がぶつかり合い、その衝撃波が周囲の足場を破壊する。

 

「そんな・・・なんでパルキアとギラティナが・・・!」

 

予想外の事態が続き、完全に混乱するうみ。そんなうみをよそに、二体の伝説は戦い続ける。

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

「GAGYAGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

それぞれにわざだけでなく、尻尾での叩きつけや拳での殴り、噛みつきなども使うなど、互いに相手への殺意に溢れている。

 

「とにかく、他の人たちを助けないと・・・!」

 

「ライ!」

 

どうにか伝説のプレッシャーから立ち直ったうみは、ライを連れ他の小島にいる乗客を集める。周囲の重力が月面上のように極端に弱く、ふわふわと浮かぶ事で小島へと向かう。

 

「手を貸してくれ、ミロ!」

 

「キュゥ!」

 

ボールを別の島へと投げると、ミロが飛び出し小島にいる人々を巻いて新幹線の窓へと放る。

 

「よし、まだ繋がってる!」

 

どうやらまだ入ってきた場所とのつながりは残っているらしく、気絶しているのをいい事に、ひたすらホイホイと投げ入れていく。

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

「!来た!ライ!」

 

「ラァァイ、チュゥゥゥ!!」

 

救助中に飛んでくる流れ弾は、人を運ぶのに適していないライが迎撃する。いくつかこちらに飛んでくるが、ライは軽重力に慣れたのか、軽快なステップで的確にうみ達や新幹線のある小島に届くものだけを堕としていく。

 

(このままならもうすぐ全員を返す事が・・・!)

 

行ける、そう確信するうみ。しかし、突如上から多数の流星が降り注ぐ。

 

「!?ライ、『10まんボルト』!ミロ、『ハイドロポンプ』!」

 

「ラァァイ、チュゥゥゥ!!」

 

「キュァァァァァァ!!!」

 

咄嗟に全部は無理だ、と判断し自分達へと降り注ぐ流星に狙いを絞って迎撃させる。

 

「しまった!新幹線が!?」

 

どうにか助かるが、新幹線が一発受けてしまい、完全に出入り不可となってしまう。

 

「どうしよう、帰れない!」

 

焦るうみ。ギリギリでミロが最後の乗客を送り返したが、自分達が帰る術を失う。

 

「あれは・・・!」

 

流星の出所を探し上空を見上げるうみ。すると、空に空いたパルキアの攻撃が開けた空間の裂け目から、全体的に蒼く、突き出た頭部や胸部の鎧のような装甲、そしてその中心に輝くダイヤのような核。

 

「ディアルガまで・・・!」

 

予想外もここまで来ると慣れてしまうもので、絶望しつつも動きを止めないうみ。急いでミロとライを連れて被害を受けないところまで足場を使い逃げる。

 

「GUGYUGUBAAAAーーーーーー!!!!」

 

怒りの咆哮をあげるディアルガに気付くパルキアとギラティナ。

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

「GAGYUGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

三者が互いに間合いを取り、睨み合う。少し離れた位置でそれを見守るうみは、ようやく少し思考する時間ができた事で、なぜこんな事になったのかを考える。

 

 

「俺を狙ってきたのはほぼ確実にギラティナ・・・でもなんで俺なんだ?」

 

疑問は尽きず、答えもわからず困惑するうみ。

と、三体がほぼ同時に攻撃を再開する。

 

 

「GUGYUGUBAAAAーーーーーー!!!!」

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

「GAGYUGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

ディアルガが『りゅうせいぐん』を、パルキアが『きあいだま』を、ギラティナが『りゅうのいぶき』を放つ。それぞれのわざがぶつかり合い、余波がやぶれたせかいそのものを震わせる。

 

「やっ、べえってこれ!このまま戦わせたら・・・!」

 

三体は神と呼ばれる伝説のポケモンである。とくにディアルガとパルキアは、とある街を一つ消し去りかけたという前科もある。そしてこのやぶれたせかいは、現実の世界とつながっている。現実での破壊がこちらでも同様に起こるのと同じく、こちらの世界が破壊されれば、現実にも影響を及ぼす。

 

「止めないと・・・!」

 

「GUGYUGUBAAAAーーーーーー!!!!」

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

ギラティナがパルキアに噛みつき、パルキアは悲鳴をあげる。二体が争う中、ディアルガが二体ともを巻き込み『りゅうせいぐん』を放つ。

 

「GAGYUGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

組み合っていたパルキアとギラティナは、避けるのが間に合わず直撃を受ける。パルキアは片腕を負傷し、ギラティナはきゅうしょにあたったのか、大ダメージを受け大きめの小島に墜落する。

 

「!ライ、行くよ!」

 

それを見たうみは、急いでギラティナの元へと向かうのだった。

 

「GUGYUGUBAAAAーーーーーー!!!!」

 

「GAGYUGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

ギラティナが堕ちた地点までやってきたうみ。息を切らせつつ上を見ると、ディアルガとパルキアが未だ戦闘を続けている。

 

「・・・?」

 

しかしそこで、うみは少し疑問が出る。ディアルガはどうやら、こちらに向かって来ようとしている。しかし、それをパルキアが立ちふさがり止めようとしているように見えた。

 

「ひょっとして、パルキアはギラティナが目的じゃなくて、ディアルガはギラティナを狙っている・・・?」

 

だとしてもパルキアがディアルガを止める理由にはならない。一旦それらを保留し、うみは慎重にギラティナに歩み寄る。

うめき声をあげるギラティナに触れられるくらいまで接近すると、うみはミロに指示を出す。

 

「ミロ、『アクアリング』」

 

「キュゥゥゥゥゥゥゥ」

 

ミロが力を込めると、水のリングが発生し、ギラティナの体を包むようにして回転を始める。

 

「・・・GU」

 

「落ち着いて。今直してるから」

 

そう言って真剣な顔でギラティナを見つめるうみ。しばらく敵意のこもった目で見返していたギラティナだったが、大人しくなる。

 

「・・・なぁ、なんで俺を狙ったんだ?」

 

「・・・」

 

おもむろにそう尋ねるうみ。ギラティナは喋ることなく、ただうみを見つめる。

 

「お前がどんな理由で俺を狙っていたのか、ひょっとして狙いは俺じゃなくて複数人の人間でたまたま俺が目に入っただけなのか、そこは分からない」

 

おかまい無しに聞かせ続けるうみ。途中、ディアルガのりゅうせいぐんが流れ弾として降ってくるが、ライが迎撃する。ギラティナは言葉を発することも、鳴き声で返すでもなくうみを見つめ続ける。

 

「・・・でもなぁ。もしも俺を狙っていたのなら、一つ言いたい事がある」

 

そう言っておもむろに振りかぶるうみ。次の瞬間、ギラティナの顔、頬の部分にペチンと弱い音がなる。

 

「俺だけをねらえよ!誰か無関係の人を巻き込むな!お前の行いは、お前だけじゃない、ポケモンという種と人の関係に影響する事だぞ!?」

 

殴られた事に驚いたのか、感情の見えない顔が心なしか驚愕の雰囲気を纏う。

 

「それにここはお前の世界だろ!?もしこのままお前やあいつらが戦い続けたら・・・世界が壊れるんだぞ!?」

 

「俺は、お前ら伝説も含めてポケモン皆と人とを繋ぎたい!でもお前らがこんな事をしたら・・・世界にとって危険だと判断されたら・・・ダメなんだよ・・・」

 

だんだんと弱くなる声。うみは正直自分の言っている事がギラティナには分からないんだろうな、と内心では分かっていた。自分でもかなり人の都合ばかりな話だと理解している。ただ、それでもどうしても、分かってもらおうと必死になる。

 

「人とポケモンの共存はこれからなんだ・・・もし俺が欲しいっていうのならくれてやる。だから・・・」

 

ギラティナの頬に顔を埋めるうみ。ギラティナはなおも黙って聞いていた。ふと、うみの目から涙が流れる。ギラティナはそっと羽を動かし、うみを掴む。

 

「!・・・ギラティナ?」

 

すると急にうみの体が光り始める。その光はうみから、羽を通じてギラティナへと流れていく。

 

「これって・・・?」

 

「ーーーーーーーーー」

 

よく分からない現象に戸惑ううみ。ギラティナはその光を受けつつ体を持ち上げる。

ミロのアクアリングが解除され、それと同時にうみから発せられていた光が収まる。

うみをゆっくりと自身の背に降ろすギラティナ。

 

「ギラティナ?」

 

「GARUKYUAAA」

 

うみを背中に乗せ、そのまま飛び上がるギラティナ。ライとミロが驚きつつそれを見送る。

 

「!GAGYUGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

こちらに気づいたディアルガがりゅうせいぐんを放つ。しかしギラティナは、それをするりするりと躱していく。パルキアは、ディアルガに向けてはどうだんを放つ。直撃し、怒りからか滅多やたらにりゅうせいぐんを放ちまくるディアルガ。パルキアとギラティナは直撃弾だけをうまく躱し接近していく。

 

「!ギラティナ、左!」

 

「・・・!」

 

うみも自身が確認できる範囲で指示を出し、援護する。ギラティナはうみの指示に従いすいすいさけていく。パルキアも、空間を切り裂く事で自身の周りに異なる空間を作りバリアとして扱うという反則じみた能力で防御している。

 

「GAGYUGYAAAAーーーーーー!!!!」

 

業を煮やしたディアルガが、距離をとる。背中にある鎧のような装甲が伸び、胸の核が光り出す。

 

「『ときのほうこう』!?まずい、今あれを撃たせたらこの世界壊れるかもしんないぞ!?」

 

既にこのせかいはディアルガとパルキアの戦闘によりボロボロとなっている。もしディアルガの切り札を撃たせてしまえば、限界がきているこのせかいが崩壊しかねない。

 

「・・・GU」

 

「・・・」

 

「?うわっ!?」

 

ディアルガをにらんでいたギラティナは、横にやってきたパルキアにうみを放る。パルキアは片手で優しくうみを受け止めると、負傷していない方の腕にエネルギーを貯める。

 

一方のギラティナは、その身を一瞬にして影に落とし、その場から消え去る。

 

「!『シャドーダイブ』!?」

 

パルキアの手からそれを見ていたうみが叫ぶ。もうすぐにでも発射可能、という状況になっていたディアルガは、標的が消えた事に驚き隙が生まれる。

それが命取りだった。

ギラティナは突如ディアルガの背後に現れ、痛烈な一撃を決める。

 

「GA・・・!?」

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

ディアルガは離れていくギラティナに向け、わざを放とうとする。しかし、そのタイミングで目の前にきているパルキアに気づく。

 

「いぃっけぇぇぇ!!『あくうせつだん』!」

 

「GUGYUGUBAAAAーーーーーー!!!!」

 

パルキアは腕に集まったエネルギーを、思い切り振り抜くと同時に刃として発射する。

ギラティナにばかり集中していたディアルガには、それを避ける事ができなかった。

 

「GAGYUGYAA!?」

 

あくうせつだんがクリーンヒットし、墜落するディアルガ。小島に落ちていくディアルガの元へと、ゆっくりと下降していくパルキアとギラティナ。島へと降り立ったパルキアは、そっとうみを降ろす。

 

「ライライー!」

 

「キュゥ!」

 

「ライ・・・ミロ・・・!」

 

うみの元へ、ライとミロがものすごい勢いで駆けてくる。2匹を受け止め、ぎゅっと抱きしめるうみ。

 

「・・・ごめん、心配かけた」

 

「ライ!」

 

「キュゥ・・・」

 

嬉しそうに、しかし少し怒り気味に答えるライとミロ。そんな2匹を連れ、ディアルガに近づく。

 

「ミロ、『アクアリング』、頼める?」

 

「キュゥ」

 

ミロに頼みディアルガにもアクアリングを使ってもらう。そんなうみ達を見守り、ディアルガにも攻撃することのないパルキアとギラティナ。

 

「・・・どうして俺を助けてくれたんだ?」

 

ディアルガの治療中、パルキアに尋ねるうみ。しかしパルキアはそれに答えず、ディアルガを見て、そしてうみを見た後、ギラティナに近づく。

 

「・・・GUGYUGAAA」

 

「・・・」

 

なにかをギラティナに言い、そのまま飛び上がるパルキア。最後にうみを一瞥し、空間に穴を開け飛び去っていくのだった。

 

「・・・いや答えてよ・・・」

 

パルキアを見送りつつ呟くうみ。しばらくすると、ディアルガが目を覚ます。

 

「・・・GA」

目を覚ましたディアルガは、ギラティナを襲うでも暴れるでもなく、うみを見ている。

 

「ディアルガ。なんでお前がここにきたのかは分からないけど・・・もう気も済んだだろ?なぁ、どうしてこんな事になったんだ?」

 

うみの質問に対し、ディアルガは答えない。しかしゆっくりと起き上がると、ギラティナを見、そして崩壊寸前のやぶれたせかいを見る。

 

「GAGYUGYAAAA!!!」

 

そしていきなり咆哮を放つ。至近距離すぎてうるさく、思わず耳を塞ぐうみ。ディアルガの咆哮が止むと、うみは周囲を見て驚く。伝説三匹の戦闘により崩壊寸前だったやぶれたせかいは、まるで時間が戻ったかのように元どおりとなっていた。

 

「ディアルガ?」

 

それを見届けたディアルガは、空へと駆け上がり、そのままパルキアの開けた空間の穴を通ってどこかへと消えてゆくのだった。

 

「・・・」

 

「・・・?ギラティナ?」

 

ディアルガを呆然と見送っていると、ギラティナがうみの目の前に何かを置く。

 

「これ・・・玉?」

 

置かれたのは、鈍い銀色に光る玉だった。なんでこれを、と思いギラティナを見る。最初に感じていた恐怖のプレッシャーはかけらも感じず、むしろなんとなく申し訳なさそうであった。

 

「・・・ぷっ、あはははははっ」

 

あまりにギャップがありすぎたのと、なんだか可愛く思えた事で笑ってしまううみ。それを見て少し不機嫌そうに呻くギラティナにごめんごめんと言いながら、うみはギラティナに近づく。

 

「まぁ、なにがどうであれ・・・ディアルガを止めるのを手伝ってくれて、ありがとう」

 

そう言ってギラティナを撫でるうみ。少し目を細めそれを受けるギラティナ。しばらく撫でられた後、ギラティナはうみからはなれ、力を行使する。

 

「これって・・・帰るための?」

 

うみの目の前には、新幹線の中を写した鏡のようなものができていた。ギラティナはそっと頷く。

 

「GARUGYUAーーーーーー!!!!」

 

ギラティナはうみを見送るように咆哮を上げ、空の向こうへと消える。それを見上げながら、うみは嬉しそうに笑う。

 

「じゃあね、ギラティナ。また会えたら、今度は一緒に遊ぼう?」

 

うみはライとミロを連れ、現実世界へと帰るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・戻ってきた?」

 

気がつくと、うみは新幹線の席に座っていた。他の乗客も無事であり、皆一様に首を傾げつつ新幹線を降りていく。

 

「ふぅ・・・色々あったね」

 

「ライ」

 

膝の上に座っているライと、腰のミロの入っているボールを撫でつつ、うみは笑う。

 

「次は、ちゃんとあの三匹とお友達になりたいな」

 

そう言って窓の外に出た月を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってもう降りる駅じゃん!?あああ待ってぇぇぇぇ!?降りますぅぅぅぅぅぅ!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

やぶれたせかいを悠然と飛ぶギラティナ。力を取り戻した彼は、先程出会った人間について考えていた。赤いジャンパーにジーンズ。傍らには電気を扱うポケモン。性別というものは違うようだが。

 

 

ーーーまるであの時の人間のような奴だったなーーー

 

ギラティナは遠い記憶、花のようなポケモンととある少年との出会いの記憶と、少女との会話を思い出しながら久しく感じた『楽しい』という感情を噛みしめるのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

異世界とも、異空間とも違うどことも繋がっていないなぞのばしょ。そこにいるポケモンは、先の一部始終を見ていた。

 

『ふむ・・・何かと思えば、また奴らか。懲りないものだ、また世界を壊そうというのか』

 

三匹の争いを見てため息をつくポケモン。

 

『しかし・・・あの三匹を、まさか人間が止めるか』

 

そう言ってポケモンはうみを見る。その声には、若干の喜色が込められる。思い出されるのは、「遠い過去の記憶」

 

『ふふ・・・まるで○○○のような少女だな』

 

そう言って笑うと、ポケモンは眠りにつくのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

唐突な人物紹介ィ!!

●● うみ 性別 女 身長140cm 体重○○キロ

主人公。TSした元男。ツルーンペターンストーン。よく分からないうちに女になっていたが、最近慣れ始めた(つもりでいる)。ライやミロなど、自身がゲームで使っていたポケモンを所持している。現在は他にも、バンギラス、サイドン、スピアーなどを保護している。性格はズボラでいい加減。結構私生活でもドジをする。料理は人並み()で、自炊はやろうと思えばできるが、自宅の台所が身長に合ってないため、諦めて他人任せにしている。生活費を稼ぐために配信をして有名になろうと考えていたが、ぶっちゃけ配信そのものが趣味と化している。ポケモンに関しては廃人でないと自負しているが、結構詳しい。さらにポケモンに対して盲目的な愛着を持っており、ぶっちゃけポケモンと人とどっちを取る?と聞かれたら僅差でポケモンを取るくらいにはいかれている。また、○○タイプのポケモンに対する○○○○○○を持っており、条件さえ達成すれば全ての○○に住むポケモンを従えられる。現在使用不可。




作者は こんらん している!(・∀ .)
わけも わからず 初期案を 二個 消費した!

はいというわけでもともと2話使って戦わせようと思ったんですが、テンションのままに書いてたら1話で終わりました(・∀ .)

次回、配信です。

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