TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・   作:コジマ汚染患者

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どーも、閑話です。
はいというわけで、今回はあんまりストーリーとは関係ないかもしれないお話です。
挿絵とか憧れて描いてたら見るに耐えない状態になりました。
・・・絵心が欲しい(切実)


閑話 うみちゃん家の日常

ゾロアとゾロアークを引き取り、家で世話をすることになったうみ。今日は、そんなポケモン預かり所と化したうみの家の日常をご覧いただこう。

 

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ライ

 

「・・・チャァ〜」

 

とある朝。ライは窓から差し込む日差しで目を覚ました。ふと見ると、いつもは自分より早く起きているはずの主人が未だ寝ている。

 

「ライ、ラ〜イ〜」

 

「・・・んぅ、あと五分・・・」

 

「チュゥ・・・」

 

どれだけゆすろうとも起きる気配のないうみに呆れた声を漏らすライ。だらしなく口元から垂れるヨダレだけティッシュを持ってきて拭うと、ライはベッドを飛び降りる。

 

「・・・ライ!」

 

主人が起きない以上、他のポケモンの分も朝食を用意するのだと、気合いを入れるライ。部屋の扉のドアノブに飛びつき、そのまま体重でノブを下ろし扉を開く。

 

「ライッ、ライッ、ライッ、ライッ」

 

階段を降り、リビングへと向かうライ。

 

「ライ!」

 

「キュゥ」

 

リビングにてソファを占領して眠るミロへと挨拶するライ。寝ぼけながらもそれに答えるミロだが、目はトロンとしており、すぐにまたとぐろを巻き眠ろうとする。

 

「ラーイー!」

 

「・・・ギュゥ」

 

尻尾を引っ張り無理やり起こそうとするライだが、ミロは煩わしそうにするだけで起きようとしない。むしろ物凄い嫌そうにしててだんだん攻撃的な声になってくる。

 

「ライ・・・」

 

全く動く気のないミロに諦めたライは台所へと向かう。

 

「ラーイッ、ラーイッ」

 

台所にあるドッグフード・・・が変質して出来たポケモンフーズの袋を引きずり、庭へと向かう。

 

「ラーイ!ライラーイ!」

 

「・・・グルゥ」

 

「グォッ」

 

「「スピッ」」

 

ライが呼びかけると、朝食を食べにやってくるポケモン達。バンギラスやサイドンは家を壊さぬよう少し離れた所から皿を持って待ち、スピアーは3、4匹が代表でやってきて麻袋に大量に詰めてもらう。

 

そんなこんなで全員に食事を渡したライは、いい仕事した、と汗を拭うと家の中へと戻っていく。

ちなみにゾロアークとゾロアは朝はあまり起きてこない。

 

「ラーイ!」

 

ポケモン達への食事配給を終えたライは、自分の分を皿に盛り少し遅めの朝食を摂るのだった。

 

 

 

「チャァ〜」

 

ライは、朝の食事後は基本的にゴロゴロしているか、バンギラスと遊んでいる。今はバンギラスが食事中なのでのんびりと日向ぼっこ中だ。

 

するとようやく起床したミロがソファから降り、ズリズリと這いながら庭へと向かう。ミロは大体の時間をうみと一緒に家で過ごすが、流石に水辺の方が居心地が良いのか、たまに庭の池へ泳ぎに行くことがある。

 

そんなミロを横目に見ながら、これ幸いと空いたソファへと飛び乗ると、テレビのリモコンを器用に尻尾で押すライ。テレビで朝のニュースを見るライ。しばらくすると、寝ぼけ眼のうみがあくびを嚙み殺しながら降りてくる。

 

「・・・ぁふ。おはよーライ」

 

「ライ!」

 

ソファを飛び降り、元気に挨拶するライ。うみの周りを元気に走り回るライに微笑み見ながら、朝ごはんを用意するうみ。こうしてライとうみの1日は始まるのだった。

 

 

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バンギラス

 

バンギラスの1日は朝食後、鍛錬から始まる。庭から入ることのできる森に入り、どこかを目指すバンギラス。少し歩き、ひらけた木の無い場所に出る。そこには、拳の後が残る大きな岸壁があった。

 

「・・・グル」

 

そこにやってくると、バンギラスは目を閉じ、精神を集中させる。木々のざわめき、鳥のさえずり。そういった自然の音だけの空間の中で、ひたすらじっと佇み動かないバンギラス。一羽の鳥が、さっと木から飛び立つ。その衝撃で落ちた木の葉が、ヒラリヒラリとバンギラスの前へと舞い落ちてくる。

 

「・・・!」

 

バヒュッと尋常では無い音とともに繰り出される貫手。その手の爪には、落ちてきていた木の葉がしっかりと貫かれていた。

木の葉を払いつつ、今度は手をそっと体の前に持ってくる。手を合わせ、拝み、その後片方を腰だめに構え、撃ち出す。

 

「・・・ッ、・・・ッ」

 

ひたすらに拝み、構え、放つという作業を機械的に続ける。思い出されるのは、数週間前に、伸び悩む特訓の気晴らしにとうみから聞いた話。

 

『最終的に音を置き去りにできるようになればライも驚くくらいになれると思うよ?なんにせよ、一日一万回!感謝を込めるのを忘れないこと!』

 

その特訓法について初めて聞いた時、バンギラスは天啓を得た気分だった。常に戦い続けることで浮き彫りとなるライやミロとの明確な差。ライには速度、そして技の威力で負け、ミロには自身の自慢の一撃を受けてもなおそよ風のように気にしないタフネス。

 

部分的に見ても総合的に見ても、どうあがいても二匹には勝てなかった。それは、ひたすら強さを求めるバンギラスにとって容認し難い事実であった。

 

ーーー超える。あの二匹をーーー

 

信念と意地、そして超えるべき目標を見据え、今日もバンギラスは拳を振るう。

 

 

始めて3日後、まさかただの冗談だとは死んでも言えなくなったうみは、まぁ本人がいいならいいか、と影から覗きつつ全てを諦めるのだった。

 

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スピアー

 

うみの舎弟状態となっているスピアー軍団だが、基本的には指示がなければ自由に過ごしている。巨大な巣にいるコクーンやビードルを育て、世話をし、新たなスピアーへの進化を促す。

 

「スピッ!」

 

「ス、スピッ!?」

 

しかし今日の朝、巣から何匹かのビードルが消えるという事件が起きていた。スピアー達は上へ下への大騒ぎで捜索するが、 庭の何処を探しても見つからない。慌てたスピアー達は、巣に残るもの以外で分隊を作り、森の中へと捜索に入る。

 

高度を上げ上空から探す部隊、低空飛行で木の下を探す部隊、そして地面に下り、歩いて捜索する部隊。それぞれがそれぞれの捜索法で森中を探す。

 

「ビー、ビー」

 

「!スピッ」

 

すると、ビードルが一匹、木の上でブラブラと垂れ下がっているのを発見する。すぐさまスピアーが回収し、巣へと運んでいく。そのビードルがいた付近を中心に、残ったもので捜索を続けていると、

 

「ビー!ビーッ!」

 

何処からかビードルの悲痛な叫びが聞こえてくる。慌てて探すと、上空を飛ぶ鳥・・・いや、ピジョットがビードルを一匹足で掴み悠々と飛んでいくのを発見する。どうやら、ビードルが運悪くピジョットに見つかり餌として捕まったようだ。

 

「スピッ!」

 

「「スピッ」」

 

リーダー格のスピアーに続き、部隊総出でピジョットを追いかけるスピアー達。それに気づいたピジョットは、飛ぶスピードを上げ、振り切ろうとする。

 

マッハ2で飛ぶことも可能なピジョットに追いつくことができないスピアー達。必死に追いすがるも、結局ピジョットについて行けず、根を上げてしまう。それを見たピジョットは、ニヤリと笑うと、悠然と飛び去ってしまうのだった。

 

「「「「・・・」」」」

 

 

 

 

スピアー達を撒き、巣へと戻ってきたピジョット。ビードルを巣に放り込み、羽繕いを始める。いつ食われるか、とビクビクするビードルを捕食者の目で見つつ、ピジョットはゆっくりとビードルに迫る。

 

「・・・!?!?」

 

殺気を感じるピジョット。咄嗟に巣から飛びのくと同時に、無数の針が巣に突き刺さる。近くの枝へと掴まったピジョットは、それがスピアーの針であることがわかる。偶然なのか狙ったのか、ビードルを避けるように突き刺さる針を見て、先ほどのスピアー達であると確信する。

 

「・・・」

 

「ビーッ、ビーッ」

 

喚くビードルを無視して周囲の気配を探るピジョット。先程の針攻撃『ミサイルばり』を受けた時から感じていたこと。・・・「羽音が聞こえない」。

 

 

「・・・ピジョットォォ!」

 

翼をはためかせ、『ふきとばし』を繰り出すピジョット。吹き荒れる暴風で木々や草が激しく揺れる。ビードルも必死に巣の残骸にしがみつき飛ばされないようにしている。しかし、それでも周囲にスピアーの気配も影もない。

 

困惑するピジョット。すると、またしても背後から殺気を感じる。素早く羽ばたき、このままではまずいと野生の勘から上空へと逃げる。

 

「!?」

 

ところが、木々の間を抜け上空へ出てピジョットは愕然とする。ピジョットを囲むようにして、無数のスピアー達が空を埋め尽くしていた。

 

「・・・ピジョッ!」

 

しかし相手はたかがむしポケモン、己の方が強さでは上だと、ピジョットは戦闘態勢に入る。が、スピアー達は動かない。来ないならばこちらから、とピジョットが羽ばたいた時だった。

 

「ピジョッ!?」

 

背後から三度針が飛んできて、ピジョットに突き刺さる。最悪なことに、無数の『ミサイルばり』の中に一つだけ『どくばり』が紛れており、ピジョットの体の自由を奪う。

 

地面へと落ちて行くピジョット。落ちる最中、木々の間を落ちる際、ピジョットは見た。

 

そこには、木の葉を身体中に貼り付けなんらかの木の樹液で匂いをごまかし張り付くもの、地面を這い回る草花を身に纏い黄色い派手な体を上手く森に溶け込ませたもの。

 

地面に倒れ伏し、這い寄ってくるスピアー達を見ながら、ピジョットは最後まで自分がなぜやられたのかを理解することはなかった。

 

 

 

 

一方のスピアー達。彼等はピジョットが動かなくなったのを確認すると、そっと飛び上がり、周囲の安全を確認する。

 

「スピッ」

 

「スピッ」

 

針のような手を空へ向けて降ると、上空にいたスピアーが陽の光を針で反射させチカ、チカチカッと光信号を送る。

 

それに答えるように同じく太陽の光で信号を送ると、上空の部隊が巣へと戻る。それを確認し、ビードルを回収すると、スピアー達はピジョットを抱え帰って行くのだった。

 

後に残されたのは、壊されたピジョットの巣の残骸だけだった。

 

『え?スピアー達も強くなりたい?・・・ん〜、例えば、森の中がスピアー達の戦場でしょ?なら、これ見てみる?ゲームだけど、結構面白いし、森林の中での戦闘のヒントが得られると思うよ!特にこの主人公の老蛇がすごく渋くてかっこいいんだよね〜!あ、でもこのリボルバー使いの人もいいな〜』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

サイドン

 

サイドンは、朝食事を終えると、誰よりも早く動き始める。

 

「おお、うみちゃんとこのー、ええと・・・サイドンだったかな?」

 

「グォッ!」

 

畑へとやってきたサイドンに、畑仕事をしていた老人が声をかける。老人へと手をあげつつ挨拶するサイドンは、かつて人を襲っていたポケモンとは思えない。

 

「今日はうちの畑だったか?しかしサイドンが来てから仕事が楽になったよ〜。さて、今日はよろしく頼むよ」

 

「グルッ」

 

バシバシと背中を叩く老人に、気合十分の鼻息で答えるサイドン。サイドンは現在、付近の畑を持つ住民の元で仕事の手伝いをしているのだった。なぜそうなったかというと、

 

『あぁ!あの夜の!』

 

『?・・・あっ』

 

サイドンがうみの家にやってきた頃。サイドンを家に連れて帰る際、サイドンが襲っていた男に出会ったのだった。

 

『そ、そいつ人を襲うだろ!なんでそんな奴を連れてるんだ!』

 

『え、ええと、違うんです!』

 

うみは必死に男へと事情を説明した。うみの家から決して出ない、人は襲わせないと説得するうみ。しかし男は、少し考えた後、ある提案をした。

 

『・・・なぁうみちゃんや。一つ考えがあるんだが』

 

『?』

 

そこで男が提案したのは、サイドンを自分の持つ畑の仕事の手伝いに使わせてくれ、というものだった。自分を襲ったような化け物だが、その時体験した物凄いパワーは、重機以上に働くことも可能だろう。また暴れるのでは、という恐ろしさはあるものの、それでも畑仕事が楽になるならそのくらいのリスクは気にしない、と言った。

少し悩んだうみだったが、当のサイドンがお試しで手伝いに行ったところ、とても楽しそうにしていたためまぁいいか、とgoサインを出したのだった。

そうして畑仕事を手伝い始めたサイドンだったが、その噂を聞きつけた他の住民も、「ぜひうちの畑も手伝って欲しい」と言うようになり、結果日毎に交代制で畑仕事を手伝うのが、サイドンの仕事のようなものになっていた。

 

「おー、あいかわらず早いなぁ」

 

感心する老人の目の前では、サイドンが専用に用意してもらった合金製の鍬を持って畑を耕していた。その有り余るパワーでズンズンと耕すサイドン。結果、1日どころか、お昼頃には全ての仕事が終わっていた。

 

「いやー、さすがだねぇ。これ、少ないけど持ってってよ!」

 

そう言って老人が差し出したのは、野菜が詰め込まれた大きなカゴだった。喜んでそれを受け取ったサイドンは、老人に手を振りながら、カゴを抱え帰路につく。

 

「グッ、グッ、グルル〜♪」

 

鼻歌を歌いつつうみの家に戻るサイドン。カゴを抱えたまま庭へと向かう。

 

「グルァァァァァァ!!!」

 

「ライ!」

 

そこでは、いつものように遊びと称したバトルを行うバンギラスとライの姿があった。バンギラスの腰の入った正拳突きを華麗にかわし、顔面へとケリを叩き込むライ。

奥の方ではスピアー達が何か鳥のようなものを、うみが趣味で用意した肉焼きセットで焼いている。サイドンにはよくわからない音楽を流し、リズミカルに回しているスピアー達。・・・針でどうやって持ってるんだろう。ミロは池で優雅に泳ぎ、たまに池に落ちるビードルを尻尾で外へと弾いている。

 

そんないつもの光景を眺めつつ、労働後の昼寝に入るサイドンだった。

 

 

 

 

一方ゾロアークは、蝶々を追いかけ回すゾロアを、微笑ましいものを見る目で一日中眺めているのだった。ここだけが一番平和である。




あ、ちなみにデオキシスはボールの中です。彼は基本うみちゃんが呼ぶまでじっとしてます。

次回、うみちゃんの水着回。

次回もお楽しみに

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