TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・   作:コジマ汚染患者

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どーも、26話です。
えー、すいませんが明日は更新はないです(´・ω・`)
何故って?夜勤です(´・ω・`)


第26話

「・・・」

 

「えぇっと・・・タケシさん?」

 

「タケシでいい。あまり年も離れてねーんだし」

 

暗い森の中を進むパトカーの中、恐る恐ると言った風にタケシに話しかけたのは、配信を見ていたワタル。助手席に乗ったワタルにチラリと目だけを向けながらヘラヘラ笑うタケシ。

後ろの座席には、完全に寝ぼけ眼のチャラ男と農家ニキがいた。

 

「・・・ふぁぁぁ、なんでこんな山奥に・・・わざわざ俺らが行かなくてもうみちゃんならなんとかするんじゃないですか?」

 

チャラ男は正直連れてくるか迷ったが、人手は大いに越したことはない。・・・チャラ男本人は乗り気でないようだが。

 

「うみちゃんの配信を見ていたんだが、突然切れた。その前に映っていた状況を考えると、キョウさんだけじゃマズい」

 

そう、うみがキョウと合流した際、スマホなどの配信機材は完全に放置されてしまっていた。その上スマホは操られた男が手に取った際に割れてしまっており、突然配信が終了したためどうなったのかがタケシや視聴者にはわからない状態にあった。

 

「でも、うみちゃんにはライくんがついてますし、ここまでの人数はいらないんじゃ・・・」

 

「・・・」

 

膝の上で微睡んでいるコロを撫でつつ、農家ニキが言う。ワタルは黙って何かを考えているようだった。

 

「・・・とにかく急ごう」

 

そう言うと、タケシはアクセルを更に踏み込むのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うみちゃん!どうする!?」

 

「ライ!『10まんボルト』!当てなくていい、足止めして!」

 

「ラァァイ、チュゥゥゥ!」

 

一方のうみ達は、未だ暴走しているゲンガーに追われていた。既に廃墟は半壊状態であり、ライの放った電撃もうまく当たらないほどに素早くなっていた。

 

「ゲァァァァ!!」

 

しかしどうにか視界から外れることに成功し、周囲を探し回っているゲンガーから隠れ、壁越しに様子を伺う。

 

「・・・くそ、なんて奴だ。もう手に負えん」

 

「どうしてこんなことに?」

 

散々暴れまわったことでグッタリとしているジラーチを抱えたままのキョウにうみが尋ねる。キョウは自身も訳がわからないと言った表情で説明する。

 

「それが・・・」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

倒れるうみとその頭をつかんでいるゲンガー。その光景を見たキョウは、怒りのままにゲンガーを蹴っ飛ばす。

 

「どけぇ!!」

 

「ゲッ」

 

弾みながら転がって行くゲンガーを尻目に、うみを抱き起す。

 

「うみちゃん!しっかりしろ!」

 

必死に揺さぶりながら声をかけるが、反応を示さないうみに焦るキョウ。

 

「ゲッゲッゲッゲッゲッゲ!!」

 

「!邪魔を・・・!」

 

復活したゲンガーがその後ろから襲いかかる。すると今度はその顔面をアイアンクローで捕まえるキョウ。怒りのままにその顔面を床に叩きつける。

 

「するなぁぁぁ!」

 

「ゲゲェ!?」

 

床が破砕されめり込むゲンガー。急いでうみを担ぐと、キョウはそのまま走り出す。

しかしキョウが部屋を出る前に、ドアがひとりでに閉じる。ゲンガーはゆっくりと起き上がると、両手に『シャドーボール』を構えてジリジリと近づく。

 

「・・・!」

 

「ゲッゲッゲッ」

 

必死にドアを開けようとノブをガチャガチャと動かすキョウだが、全くビクともしない。そんなキョウの焦りを見て嗤うゲンガーは、ゆっくりじわじわと近づき恐怖を与えようとする。

 

「くそ!早く開け!」

 

ゲンガーがすぐ背後まで接近し、万事休すとなった時だった。

 

「ラァァァァ!!」

 

「ゲゲゲェェ!?」

 

「!ライ!?」

 

ライがゴーストに吹っ飛ばされてできた壁の穴の隣から、新たに穴をブチ開けながら猛スピードで突っ込んでくる。勢いそのままに、ゲンガーの横っ面をドロップキックし、ゲンガーは予想外かつ視覚外からの一撃で反対側の壁にめり込む。

 

「ラ、ライ・・・?」

 

「フーッ、フーッ」

 

普段と様子の違うライに戸惑うキョウ。目はハイライトが消え、周囲に電気を纏いゲンガーを睨みつけている。

 

「ゲッゲッゲ!」

 

「ヂュゥ!」

 

壁から抜け出たゲンガーが、そのままライへと襲いかかる。対するライも、ためらいなく突撃していく。二匹がぶつかると、そこを中心に衝撃波が広がり、キョウは吹き飛ばされドアにぶつかる。

 

「いっ・・・なんだこれは」

 

一瞬顔をしかめ、ライとゲンガーの方を見てキョウは愕然とする。

二匹共速度を誇るが故に、互いの攻撃を受けるより避ける方が多い。それは人の目には決して捉えられない状態へと移行する。

 

「ゲェッ!」

 

「ヂュゥ!」

 

・・・一言で言うなら、キョウは完全にヤムチャ視点に立たされていた。

 

ライが電撃を放てば、ゲンガーは『シャドーボール』で相殺し、ゲンガーが『シャドークロー』で接近戦を仕掛ければ、『かげぶんしん』からの『ボルテッカー』でライが撹乱・轢き逃げアタックを狙う。どちらもスピードが早すぎてキョウには見えない。

 

「・・・そうだ、ヒトモシ!」

 

ふと、自身の相棒の存在を思い出し周囲を見渡すキョウ。すると少し離れた位置で気絶しているヒトモシを発見する。ライの戦いの邪魔にならぬよう急いで回収する。すると突然ライとゲンガーが正対して止まる。

ゲンガーは笑みを更に深くし、ライとの高速戦闘で消耗しているにもかかわらず狂気の笑い声を出す。

 

「ゲッ・・・ゲゲゲ、ゲッゲッゲッゲッゲッゲ!!」

 

「・・・」

 

そんなゲンガーに耳障りだ、と言わんばかりに電撃を放つライ。しかしゲンガーは、電撃を受けたにも関わらず笑いをやめない。それどころか、たまたま側にいた弟の霊を鷲掴むと、口の中に放り込んだ。

 

「「!?」」

 

これにはキョウも、キレていたライも唖然とする。その間にも、ゲンガーはライの戦闘していた場所へと手を伸ばし、見るも無残な焦げた物体と化したゴース・ゴーストを引っ掴むと、それすらも取り込んでいく。

 

「ゲッゲッゲッゲ、GEGEGEGEGEGEGEGEGEGEGEGEGEGEGEG!!!」

 

そうして全てを取り込んだゲンガーの体に異変が起きる。体の尖った部分がより鋭利となり、目からは理性が消える。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・というわけで、あのように暴走し始めたポケモンから急いで逃げていたタイミングで、うみちゃんが目を覚ましたってわけだ」

 

「・・・」

 

キョウの説明を聞いて、うみは頭を抱える。

要するに、本気を出したライとの戦闘でハイになり、より戦えるように霊やポケモンを取り込んで無理やり自身を強化したというわけだった。

 

「道理であのゲンガー理性を失うわけで・・・あの子、レベルが70+25くらいに強くなってるし・・・」

 

「?レベルだと?」

 

「ああいえ、実は目を覚ましたあたりからなんか見えるようになっちゃって」

 

そう言いながらライを見つめるうみ。既にマジギレモードを解除しているライの頭の上に、『100(+20)』というような数字が見える。そして暴れるゲンガーを見ると、同じく頭の上に『70+25』という数字が浮かび上がる。

 

(これどう見てもポケモンのレベルだよなぁ・・・。きっかけはやっぱりあれかぁ)

 

なんとも複雑な表情でそれを見つめるうみ。レベルだけを見ればライの方が上だが、その差はほぼ無く、また互いにタイプ相性は良くも悪くもない。ヒトモシならわざ次第では相性は良いが、レベル差がありすぎる。(ヒトモシは20と出ている)決定打に欠ける上に相手は暴れており、もし街へと下りてしまえば危険であり、ここで止めなければならない。

 

「・・・とにかく、なにか、なにか打開策は・・・」

 

懸命に考えを巡らせるうみ。ふと上を見上げた時だった。

 

「・・・ん?」

 

夜空に流れ星のようなものが見える。こんな時でなければ、と思っていると、その流れ星がこちらへと降ってくる。

 

「ちょちょちょっ!?キョウさん、あれ、あれ!」

 

「ん?うぉあぁぁ!?」

 

ドゴシャッという音と共に落ちてくる流れ星。舞い上がる砂けむりにむせながら一体何が、と見てみると、そこには家に留守番で置いてきたはずのデオキシスがいた。

 

「デオキシス!?なんでここに!」

 

「ーーーー」

 

うみの質問には答えず、そっとボールを差し出すデオキシス。うみが戸惑いつつ受け取ると、勝手に中からミロが出てくる。

 

「ギュァ!」

 

「うわっ!?」

 

出てくるや否やデオキシスへとメンチを切るミロ。後ろ姿だけ見えているキョウには綺麗なポケモンだな、と思われているが、うみからは角度的に見せられないような顔が丸見えである。

ミロにメンチを切られながらも知らんぷりなデオキシス。ますますミロが怒る中、うみが慌てて抑える。

 

「あーもう、取り敢えず落ち着いて・・・」

 

ふと、そういえば破壊音が止んでるな、と思いつつ振り返るうみ。

 

「あ」

 

「あ」

 

「ラッ・・・」

 

「キュゥ?」

 

「ーー?」

 

廃墟の破片を持ちながらこちらへと振り返るゲンガーと目が合う。

両陣営の間に謎の間が生まれる。最初に動いたのはゲンガーだった。

 

「GEーーーーー!!」

 

「〜〜〜〜!?ライ『10まんボルト』、ミロ『ハイドロポンプ』、デオキシス『リフレクター』!」

 

こちらへと突っ込んでくるゲンガーに、咄嗟に手持ち達へと指示を出すうみ。ライとミロのわざを躱し飛びかかるゲンガー。しかし、デオキシスのリフレクターが間に合い寸前で止まる。

 

「デオキシス、そのまま維持!」

 

「ーーー」

 

「キョウさん!」

 

「なんだ?」

 

「今はとにかく、ゲンガーを倒すことだけ考えましょう。うちの三匹で倒しますので、キョウさんは操られていた人達を回収、お願いします!」

 

「・・・ああ、わかった!」

 

頷き、走り出すキョウを見送ったうみは、再度ゲンガーと対面する。

 

「・・・GEGEGE」

 

「・・・?ジラーチ、お前・・・」

 

ふと、うみの肩になにかが乗る。それは、何やら悲しげな表情を浮かべたジラーチだった。ジラーチはうみになにかを伝えようと必死に手を振り回す。

 

「な、なんなんだ?」

 

ジラーチの意図が読めず困惑するうみ。と、ライとミロが同時にゲンガーへと仕掛ける。『ボルテッカー』で電撃を纏い突撃するライを、巻き込むようにして『ハイドロポンプ』を打ち出すミロ。背後からのハイドロポンプに巻き込まれながらもライが走る。するとハイドロポンプにライの電撃が混ざり、その勢いのままにゲンガーへと向かう。

それを見たゲンガーはまた狂ったように笑いながら受け止める体制に入る。

 

「GEGEGE!」

 

「!?」

 

「な!?受け止めた!?」

 

まさかの光景に驚くうみ。ゲンガーはミロとライの連携技を真正面から受け止めてしまった。ありえない、と目を見開くうみは、ゲンガーの頭の上の数字に驚愕する。

 

『78+30』

 

「バカな、レベル合計が100を超えてる!?それに自身のレベル自体が上がって・・・!」

 

(まさかこの短時間でけいけんちを蓄えてレベルアップしてるのか!?)

 

そんなうみの最悪の予想を裏付けるように、ライと近接戦に持ち込んだゲンガーのレベルが更に1上がる。

 

「冗談じゃない、なんでこんな急激に・・・!」

 

すると待機していたデオキシスが、アタックフォルムへと変化してライの加勢に入る。二匹の猛攻を笑いながら捌くゲンガー。ミロも攻撃のチャンスを伺うが、ライ達が射線に入ってしまうため攻撃できない。

 

(どうする・・・!このまま際限なく強くなるとしたら、このままじゃライ達ですら手に負えなくなる・・・!)

 

必死に思考を巡らせるうみ。すると、足元からズボンの裾を引っ張る感触がする。

 

「・・・?」

 

「ピッカァ!」

 

そこにいたのは、目の青いピカチュウだった。そのピカチュウは、うみが気づくと嬉しそうに笑い、そのまま肩まで登ってくる。

 

「うわっと、な、なんだ?」

 

「ーーー」

 

「ピカピーカ、ピカッチュウ!」

 

やたら嬉しそうなピカチュウと、なぜか自身のいる方に登ってきたピカチュウに圧迫され肩から追い出されてしょげこんでいるジラーチ。

すると突然、ピカチュウの体が光り始める。

 

「これは・・・!?」

 

「・・・。ミュゥ!」

 

「ミ、ミュウ!?」

 

光が収まると、そこには幻のポケモン、ミュウがいた。ミュウは驚くうみをみると、プクク、と笑いながらその周りをクルクルと回る。

 

「レビィ!」

 

「セ、セレビィまで!?一体どうなってるんだ!?」

 

どこからともなく現れたのは、時を旅するポケモン、セレビィ。ミュウにセレビィにジラーチ、突如集結した幻のポケモン達に驚くうみ。

 

「レビィ〜!」

 

「ミュウミュウミュウ!」

 

「ーーー!」

 

すると三匹は、ふわりと宙に浮き、未だ戦いを続けるゲンガーの元へと向かう。

 

「・・・!」

 

「ーーー?」

 

「GEGEGE GEGEGE!!」

 

三匹に気づいたライとデオキシスは呆然と三匹を見上げる。暴れ続けそれに気づかないゲンガーだったが、三匹から何かのエネルギーが放たれ動きが止まる。

 

「GU!?GE、 GEGEGE!?」

 

「!ライ、デオキシス、ミロ、ストップ!」

 

チャンスとばかりに攻撃しようとした相棒達を止め、ゆっくりとゲンガーに近づくうみ。ゲンガーはそれに気づきながらも、身動きできず睨みつけるだけである。

 

「・・・」

 

目と鼻の先までうみが近づくと、三匹がより強い光を放つ。

視界が真っ白に染まり、目を細めていたうみは、遠くの方でなにかの映像が流れてくるのに気づく。

 

そこは農場のような場所だった。そこには、沢山の種類のポケモン達がのんびりと暮らしている。と、顔が黒く塗りつぶされており見えない男が一人、ボールを持ってそこから出てくる。

 

『・・・なんだ、6Vじゃねぇか。いらね』

 

そう言ってボールを放る男。出てきたのは、まだレベルも低く子どものゴースだった。

 

『お前もういいわ、行っていいぞ』

 

『・・・?』

 

そう言って歩き出す男。ゴースは訳がわからないらしく、慌てて男についていく。

 

『・・・ああもう!だから、お前はもう来なくていいって!野生に帰れ!』

 

ビクッと怯えるように立ち止まるゴース。男はそれっきり振り返ることはなかった。

そしてしばらくの間森の中を一人浮いていたゴース。やがて朝日が照らし、逃げるように洞窟へと入る。しかしそこにはニドキングがいた。

 

『ゴァァァァァ!』

 

『!?』

 

威嚇され、怯えながら逃げるゴース。

その後も、さまざまな場所を転々とするが、どこにいっても気味悪がられ追い出される。

そんなある日必死に日の光を避けながら飛び回っていると、突如謎の穴を見つける。その穴は先の見えない、真っ暗な穴だった。一瞬ためらうも、そこへ飛び込むゴース。

そして、その穴の先で別荘へと転移し、弟と出会う。弟の言葉を聞いたゴースは、弟と少しの間話をして、弟へと『さいみんじゅつ』をかける。

 

『キュィィィィ』

 

『あ・・・あ・・・ねえ、さ・・・まも・・・る』

 

その時のゴースの感情が流れてきて、うみは呟く。

 

「・・・そうか、『居場所が欲しかった』のか、お前」

 

気がつくと、真っ白い空間に立っていたうみ。

目の前にはゴースが一体。ゴースはうみを見つめながら、申し訳なさげに黙っていた。

 

「暴れたんじゃなくて、弟さんの願いを・・・『ここを守りたい』って願いをお前なりに叶えたかったんだな」

 

うみの言葉を聞き、ポロポロと涙を流すゴース。うみはそんなゴースにゆっくりと近づき、その触れるだけで寒気を感じさせる体を撫でる。

 

「・・・!?」

 

「辛かったろうな。寂しかったんだろ?だから、弟さんの手助けをして、自分を仲間だと認めてほしたかったんだな」

 

ひたすら撫で続けるうみに呆然とするゴース。やがて現状を理解すると、滂沱の涙を流す。

 

「・・・キュィィィィ」

 

「もう、いいんだ・・・弟さんを、もう解放してあげないか?」

 

ゆっくりと頷くゴース。現実のゲンガーの体から、靄のように弟の魂が出て行く。ゲンガーの体は段々と元に戻り、ゴーストに退化し、やがてゴースへと戻っていった。それを見たセレビィがすかさず『時渡り』で穴を開け、弟の魂を姉・・・ゆかの死んだ時間へと送る。ジラーチは手を組み、祈りを捧げる。祈りにより願いは叶えられ、弟の魂は、時を超え、姉の魂とともに天へと登って行くのだった。

 

「・・・お前はどうするんだ?」

 

白い空間の中、ゴースにそう尋ねるうみ。崩壊が始まった空間の中、どうしていいかわからず黙り込むゴース。

 

「・・・うちに来いよ。流石に廃墟ってわけじゃないけど、色んな仲間が居るんだぜ?」

 

「・・・!?」

 

惚けた表情で顔を上げたゴースに、満面の笑みを向けるうみ。そんなうみの表情に、再度涙を流しながら必死に頷くゴース。

 

「・・・じゃあ、帰ろうか。一緒に!」

 

そう言ってうみはゴースに手を伸ばすのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うみちゃん!」

 

男達を回収し、崩壊音が途絶えたことに不安を抱きながら戻ってきたキョウ。しかし、そこにある光景を見て絶句した後、全てを察しゆっくりと車へと帰っていった。

 

そこには、月明かりに照らされる廃墟の中、膝の上で眠るゴースを撫で続けるうみと、その相棒達。その周囲で三匹の幻のポケモン達が、嬉しそうにその姿を見ているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・うみちゃんは?」

 

「・・・もう少しかかるかもな」

 

戻ってきたキョウを見ながら、タケシがうみの安否を訪ねる。

 

「にしても、ポケモンに操られた人間ねぇ・・・最悪ですねこりゃ」

 

「ああ」

 

二人の目の前には、縛られた状態の男が二人。ゴースト達に操られた人達だった。完全に記憶はなく、ただ別件の前科持ちだったためこうして捕縛しているのだった。・・・彼ら自身は、捕まったことよりもなぜか激痛の走る頭部を気にしていたが。

 

「キョウさん、一応見つけましたけど・・・」

 

「おう、すまねぇな、こんなこと頼んじまって」

 

半壊した廃墟から、ワタル達3人が出てくる。手には布に包まれた頭蓋骨が四つあった。

 

「ほんとっすよ!俺初めてっす、人の頭の骨触ったの!」

 

「逆に初めてじゃなかったらキョウさん達のお世話になるんじゃないかな・・・」

 

プンスカと怒るチャラ男に対し、そう呆れた言葉を呟く農家ニキ。ワタルは黙ったまま深刻な表情で手に持った頭蓋骨を見つめる。

 

「・・・配信が途中で終わったことはある意味僥倖だったのか」

 

「ん?どういうことっすか?」

 

ワタルのつぶやきに首をかしげるチャラ男。するとタバコを加えながらキョウがそれに答える。

 

「ポケモンのせいで人が死んでるんだ。もしこれをそのまんま公開すれば、ポケモンは一気に危険生物として駆除対象待った無しだったろうな」

 

「うっわ、スッゲー危なかったんすね」

 

「だからこそ困ってるんだよ・・・報告書どうしよう」

 

頭を抱えるタケシの肩を叩き、苦笑いするキョウ。ワタルだけでなく、農家ニキやチャラ男も今回の件の問題とその深刻さに顔をしかめる。

 

「でも・・・俺、こいつと離れる気は無いっすよ」

 

そう言ってコラッタの入ったボールを握りしめるチャラ男。農家ニキも、コロを抱きしめながら頷く。

 

「俺も、コロを駆除するなんてことになったら絶対抵抗します。命かけてでも」

 

そんな二人を見て懐かしいものを見る目をしながら歩き出すキョウ。

 

「・・・なら、頑張んねーとな。ポケモンの為に、人間のために」

 

そう言ってキョウは、うみを再度呼びに行くのだった。

 

(・・・未知。不可思議。それらを体現したかのような存在であるポケモン。そしてそれに関する知識が異様に豊富な少女。そしてそれを守るようにして鍛えられている相棒の存在。それに加えて今回の暴走的行動・・・)

 

「うみちゃんや・・・おじさん根が腐ってるからよぉ。どうしても考えちまうんだわ」

 

ーーー君は・・・一体『何』なんだ?

 

タバコの火を消えしながら、いくら考えても答えの出ない思考を振り払うキョウだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(・・・どうしてこうなった)

 

うみは、あまりにもいろいろありすぎて思考能力が低下した脳内でそう呟いた。

三匹の幻のポケモン達はそれぞれにどこかへと去っていった。・・・一匹を残して。

 

「・・・?どうしたんだ?」

 

「ーーー!ーーー!」

 

セレビィ・ミュウが手を振りながら去っていったのに対し、何故か涙目でうみの服の裾を引っ張りながら何かを伝えようとするジラーチ。

何が言いたいのかさっぱりなうみは、取り敢えずジラーチを落ち着かせようと試みる。

 

「取り敢えず落ち着いて。何か言いたいことがあるのか?」

 

そう言って裾を引っ張る手を取ってゆっくり言い聞かせる。するとジラーチは、なぜか瓦礫の下から無事なペンと紙を引っ張ってくる。

 

「・・・?」

 

何かを必死になって書き始めるジラーチ。数分後、涙目のジラーチが見せてきた紙を見て愕然とする。

 

『おうち つれてって

ねるとこ ない』

 

「・・・えー・・・」

 

ポケモンを保護し始めてしばらく経つが、問題を起こしていないポケモン自ら保護を求めてきたのは、これが初めてだった。




ちなみにヒトモシは気絶したまま忘れ去られ、キョウのボールの中で涙していたとかいないとか。

オリジナル設定紹介
ゲンガー(殺意のすがた)
周囲のゴーストポケモンや幽霊・亡霊を取り込むことで一時的にメガ進化並みのパワーアップをした姿。レベルとは関係のない原理のため、際限なく強くなる。今回の場合、うみが精神的説得を行ったために勝てたが、IFルートでこのまま戦闘を続けていた場合本当にメガ進化したゲンガーに全員魂を取られてBAD ENDになっていた。

もし作者がうみちゃんの立場なら、ジラーチの保護とかウェルカムです。
うみ「ところでミュウだけ何もしてなくないか?」
作者「ミュウは面白そうだったからうみの気配につられてきてただけです」
うみ「マジモンの部外者!?」
次回、うみちゃんとTSの醍醐味

次回もお楽しみに
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