TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・ 作:コジマ汚染患者
今回から数話、ネタ及び平和回です。
それと今回は短めです。
人間寝なくても案外なんとかなりますね(瀕死)
「ライ!」
「・・・ああ、ライちょっと待ってて」
翌日、自宅へと戻ってきたうみは、目覚ましを持ってきたライにお礼を言って起き出す。
廃墟でのゴースの一件から2日。解決後、警察署にて自身の立ち位置を確立したうみだったが、ひとつだけ問題が残っていた。
「・・・おじいちゃん、怒るかなぁ」
「?」
ベッドに腰掛け、ライを撫でながら呟く。今日はおじいちゃんことガンテツの退院の日だ。そして、事情説明のためにキョウが訪ねてくる日でもある。
「もしやめろって言われたらどうしよう・・・いやでも、こんなチャンスがまだあるとも限らないし・・・」
ブツブツ呟きながらライを撫で続けるうみ。
結局ポケモン達が朝ごはんを催促しに来るまでずっと悩み続けるのだった。
「・・・あっ」
時は過ぎ、昼頃の病院。ガンテツの病室へとやってきたうみは、ガンテツの腕のギプスが外されているのをみて嬉しそうに駆け寄る。
「おじいちゃん!」
「ん?おお、うみちゃんか。これでもう大丈夫だぞ」
そう言ってやや筋肉の落ちた腕を振るガンテツ。元気そうなその姿に嬉しそうに頷くうみを、他の患者が取り囲む。
「いやー、もううみちゃんは来なくなるんかぁ」
「寂しゅうなるなぁ」
「ガンテツ爺さん、うみちゃんしっかりと守りんさやね」
「分かっとるわ。そがなこと言われんでもようわかっちょる」
「ライちゃんももう来んくなるんかねぇ・・・」
「ライ!」
「大丈夫ですよおばさん。また今度見舞いに来ますから!」
「本当かい?最近はせがれも忙しいみたいで見舞いに来てくれる人なんていなかったから嬉しいよ」
ひたすらに撫でられ、飴をもらいながらお別れの挨拶をしていくうみとガンテツ。病室を出て、最後の検査の後に病院を出る。
「わしがおらん間ちゃんと生活できとったか?」
「うん。食事はお隣のおばあちゃんに作ってもらったけどね」
日々のなんてことない日常やガンテツの病室での話など、両者の近況を話しながら歩いていると、病院を出てすぐのところでキョウが車の横に立っていた。
「・・・うみちゃん、この人は?」
若干不審な者を見る目でキョウを睨むガンテツ。キョウはガンテツに一礼すると、手帳を取り出す。
「どうもはじめまして。自分は森本警部補・・・警察の者です。本日はうみちゃんの現状と行っている仕事についてご説明をと思い伺いました」
キョウが手を出すと、ガンテツも黙って手を差し出す。二人がガッチリと握手すると、そこからミシミシメリメリと嫌な音がする。
「・・・お話は帰ってからにしましょう」
「そうしましょうか」
(な、なんでこんなにピリピリしてんだ・・・?)
二人の只ならぬ雰囲気に、一人ビクビクするうみだった。
「全くこのバカモンが!!」
「す、すいませぇん!?」
ガンテツの家へと移動した三人。現在うみは、ガンテツから相当なお叱りを受けていた。
「うみちゃんは人にために動く人間じゃからあっちこっち行くのはしょうがないとは思っていた。しかしな!自分のことをもっと大切にせぇ!」
「・・・はい」
畳の上で正座状態でこってりと絞られるうみは、すでに半分真っ白に燃え尽きている。キョウはと言うと、机を挟んで向こう側で繰り広げられているお叱りとガンテツの勢いに驚きの表情を浮かべている。
「・・・っと、すいませんお客がいるのに」
「い、いえ。お気になさらず。本来なら私が先に行うべき説教ですので」
大人として、うみを止めるべき立場だったと自覚しているキョウはうみを助けることはない。ライも主人が悪いことをしたと言うのは感覚で分かっているためあえて無視して昼寝中である。
「・・・これ以上言っても仕方ない。今日はここまでにしよう」
「はい・・・。あばばばばば!?」
ガンテツの言葉にようやくか、と息を吐きながらぶっ倒れるうみ。正座の時間が長過ぎて足が地獄のような痺れを引き起こしていた。
「それで、うみちゃんが警察の方と働くと言うのはどういうことです」
キョウに向き直って座り直すガンテツ。キョウは真剣な表情のガンテツにうみにも話した内容を事細かく話す。
「・・・というわけで、うみちゃん自身の意思を尊重しつつ、このような結果となりました」
「・・・」
説明を終えたキョウは、黙り込んだままじっと床を見つめるガンテツの返事を待つ。
「・・・うみちゃん」
「あばばば・・・あ、はい!」
未だ呻いていたうみにガンテツが話しかける。
慌てて座り直し返事をするうみ。そんなうみに対し、ガンテツは不安のこもった言葉をかける。
「うみちゃんは分かっているのか?警察とともにライくんのようなポケモンに関わることの意味を。きっと君が見たくないもの、信じたくない事実。そう言ったものがうみちゃんを苦しめるぞ」
ガンテツの言葉にはっとするうみ。キョウも苦い顔で事の成り行きを見守る。
うみは、今までのポケモンのトラブルや事件を思い出していた。
(ゾロアークも・・・ゴースも。もっと最初ならサイドンの時も。そうだ、この世界にポケモンが来るってことは、ポケモンと人との対立を目にし、実際に体験するってことなんだ)
うみは少しの間考える。やがて、その顔には微笑みが生まれる。
「・・・大丈夫、わかっているよおじいちゃん」
「・・・!」
「確かに、俺はポケモンと人との共存を目指すって言ってるし、そのために警察とも連携する。・・・そりゃあ多くの人がポケモンを否定するかもしれないし、ひょっとしたら俺が信じたくないような事件も立ち会うかもしれない。でも、だからこそなんだ。おれはそういう事件を、そういうことに関わってしまったポケモンと人との関係を直せるような仕事がしたいんだ。
・・・だから大丈夫。俺、逃げないし、折れないよ」
キョウはうみのその言葉を聞いて少しだけ驚く。ガンテツはしばらくうみの表情を見て、決心が変わらないことを悟るとため息をつく。
「はぁ・・・全く、わしが病院で寝とる間に随分とまぁ。・・・分かったよ、やりたいようにやりなさい」
「!ありがとうおじいちゃん!」
「ただし。・・・どうしても辛くなったら、わしのとこに来んさいな」
満面の笑顔でガンテツに飛び込むうみ。ガンテツはそんなうみを受け止め、目を細めて頭を撫でる。そんな二人の姿を見ながら、ふっと微笑むキョウ。
「・・・ところでキョウさんや」
「?何でしょう」
「うみちゃんを任せることとなっておるんじゃが、どれ。一つ手合わせしようか」
「・・・ゑ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キョウが何やら雲行きの怪しくなった対談に冷や汗をかき始めた頃。
警察署の中に作られた対策課の部屋で、ワタルとタケシが話し込んでいた。
「・・・それは本気なのかい?」
「ええ」
真剣な表情のワタルに、そうかー、と頭をガリガリ掻くタケシ。普段から細い目をハの字にしながらワタルの持ってきた資料を手に取る。
「にしても、君のとこの親御さんは、これどう考えても反対されたんじゃないの?」
「ええ。爺さんからいいの一発もらいました」
そうだろうな、と右頬を真っ赤に腫らしたワタルを見つつ呟くタケシ。
ワタルは、なんと通っていた大学を休学してまで、対策課で働くと言いだしたのだった。
「にしてもなんでここまでやるの?やる気満々の俺がいうのもなんだけど、君一応一般人だし、これ警察案件だからね?」
タケシは書類をバッサバッサと仰ぎ、言外に辞めとけよ、とワタルを説得する。しかし、ワタルは意思を変えることなく真剣な目で答える。
「・・・俺だって最初はあんまり首突っ込まないつもりでしたよ。でも、ミニリュウと出会って、うみちゃんに会って、ポケモンってのを知って。・・・もう部外者だとか言ってられないんです。俺、ポケモンと人とが分かり合える世の中にする、っていううみちゃんの願望と同じ思いを、もう持ってしまいましたから」
そう言い切るワタルを見てため息をつくタケシ。
「・・・それに、ポケモンを持ってる人材は貴重でしょう?俺みたいに協力的なやつは特に」
「・・・かぁー!全くいい性格してるよワタル君。いいぜ、キョウさんに掛け合ってみよう」
「・・・!」
ありがとうございます!と立ち上がって頭を下げるワタル。いいよいいよと手を振りながら、タケシも立ち上がる。
「それじゃあ、とりあえず準備しよっか!」
「?何をですか?」
頭に?マークを浮かべるワタルにニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべるタケシ。
「実はさっきうみちゃんから連絡があってね・・・ポケモン持ちで時間空いてる奴集めてやるらしいぜ?ポケモンバトルの特訓合宿」
「・・・!」
「なんせ現在確認されている中で一番強いうみちゃん直々の特訓だ。もう農家ニキとチャラ男君は参加するって言ってるよ。・・・答えは聞いたほうがいいかな?」
タケシの言葉に、ニヤリと笑い宣言するワタル。
「もちろん・・・やります!」
タケシはその言葉に一層笑みを深め、ワタルの肩を叩きそのまま準備に連れて行くのだった。
「あ、一応言っとくが泊まるとこはうみちゃん家だから。なんかポケモンがめっちゃいるらしいぞ。機嫌損ねたら握りつぶされて毒針で刺されるらしい」
「・・・は!?」
一瞬の間の後、ワタルの驚愕の絶叫が廊下に響くのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・あの、本当にやるんですか?」
「?おう、気にせんでええぞ。こう見えて昔は結構動けたからな」
ガンテツからの突然の決闘の申し込みを受けたキョウ。現在はうみの家の裏庭で二人が相対していた。病み上がり、それも老人であるということで気が引けているキョウ。そんな相手の事は意に介さず、甚平姿で素足となった足を踏みならしているガンテツ。
「まぁ、わしも結構なまっとるし3分。その間に一本取った方の勝ち、どちらも取れなんだ時は・・・まぁうみちゃんを任せるにたると認めよう。及第点としてな」
要するにうみが世話になるとして、うみをしっかりと守れるのかを知りたいという事だった。
・・・だとしてもなんで格闘?と思いつつもその場の流れで行われることとなった。
「えーと・・・じゃあ、お互い怪我なく終われるようにしましょう。・・・出来るだけ」
二人が準備完了したところで、うみがホイッスルを持って少し離れたところに立つ。一応審判役としてである。
「では、どうぞ!」
piーーーーー!
うみが笛を吹き、乾いた音が鳴り響く。
「遅い」
「ーーー!?」
さっと構えたキョウだったが、いつのまにか目前まで迫ってきたガンテツに驚愕しながら左に躱す。すると先程まで顔のあったところをガンテツの貫手が通り過ぎる。
たまらず背後に飛びのくキョウ。しかしガンテツはまるで予知していたかのようにスィーッとついて動き、ぴったりとくっついて離れない。
「ちょ、ガンテツさん・・・!あんた一体・・・!?」
「喋っとる場合か!?ほれ足!」
未だ驚愕が抜けきらないキョウの隙をつき、ガンテツが足払いを仕掛ける。しかし、キョウは素早く飛び上がり、そのまま空中で回転してのかかと落としを仕掛ける。
「・・・ッしぃ!」
「ほぅ・・・!」
それを両手をクロスして受け止めるガンテツ。互いに相手を振り払い距離を取る。余裕、というよりいたずらの成功したかのような笑みを浮かべるガンテツに対し、キョウは冷や汗が垂れる。
「ガンテツさん、あんた格闘技の経験でもあったのか?」
キョウの質問に、よくぞ聴いてくれた、と嬉しそうに語り出すガンテツ。
「いやぁ、昔から色んなもんに手ェ出してのぉ。カポエラムエタイ柔道柔術空手合気道剣道サバットキックボクシング少林寺その他諸々、色んなもんを少しだけかじってはやめを繰り返しておったわ。なんせ家柄なのか武道には目がなくてな。それに、昔はこう見えて戦艦乗って戦ってたくらいじゃからなぁ、海軍式格闘術も少しは覚えとるぞ」
「・・・なるほど」
(いやなるほどじゃなくないですか?)
ツッコミ不在で睨み合う二人に心の中でツッコむうみ。ガンテツの予想外な一面や、初めて見た映画のような戦闘に色んな意味でドキドキしてくるうみ。
「じゃあこちらも行きます・・・よ!」
「・・・!ふふふ、いいねぇ!」
今度はキョウの方から距離を詰め、上段蹴りを仕掛ける。ガンテツはそれを上体そらしでよけ、蹴りの勢いのままに一回転して襲ってきた拳をそのままバク転で回避する。
少々離れた距離を埋めるように互いが接近し、今度はボクシングスタイルの拳の応酬が始まる。両者共にガードなどと言う考えを廃し、拳をよけ、繰り出し、相手と拳を打ち合いながら一歩も譲らない。さながらラッシュの早さ比べでもしているかのような光景だった。二人の後ろに見えないはずの人型の何かが見える・・・ような気がする。
「・・・!?!?」
そんな二人の攻防を見た通りすがりのバンギラスは、お手本のような二度見をしてその後うみの横で食い入るように二人の戦いを観戦するのだった。
「そこぉ!」
「なんの!」
今度は足技まで入り、より激化する戦闘。キョウが上段下段と蹴りを連続で繰り出し、その後飛び上がり足で相手の腕と顎をはさみ粉砕しようとしたり、それをするりと躱したガンテツが甚平姿とは思えないくらい機敏に懐に飛び込み、腕を顔の前で構えて無限の螺旋を描くようにしてパンチの嵐を繰り出したりするのを眺めながら、3分などとっくに過ぎてしまっているタイマーを持ちつつ、
(・・・いつからバトル漫画始まった?)
と心の中で呟くのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いやぁ、なかなかいい試合だった。やるじゃないかキョウ君」
「いえいえ、俺なんてまだまだです。またいつかしましょうガンテツさん」
その後10分経ってようやくうみが現実逃避から戻り、ストップをかける。二人はどうやら拳を交えた事で友情のような何かでも芽生えたらしく、熱い男らしい握手をしている。・・・ガンテツ的には合格のようだ。
「これからもうみちゃんをよろしく頼むよ」
「ええ、きっちりと世話します」
「・・・あの、もういいですか?」
話がついたようなのでうみが恐る恐る話しかける。
「ああ、どうしたんだいうみちゃん」
「いえ、取り敢えずタケシさんには伝えたんですけど、キョウさんにも言っとくべきかなぁって思って」
そう言って特訓合宿の提案を説明するうみ。キョウはうみの提案を聞きふむと頷く。
「なるほど、ちょうどいいだろう。たしかに個々のポケモンの練度向上は最優先事項だ。・・・任せてもいいのかい?」
「はい!俺自身そんなバトルに自信があるってわけじゃあないですけど、少なくとも最低限のことは教えられると思うんで」
そうして、後日うみの家における特訓合宿が決定するのだった。
「ああ、そうだうみちゃん。一人、ポケモンに関与する人物として会って欲しい男がいるんだが」
キョウの言葉に首をかしげるうみ。
「?分かりました。その人って何をしている人なんですか?」
「マサキ・・・俺の仕事の手伝いをしてくれている、少し訳ありの学生なんだ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とある研究所。マサキが盗み見たさまざまな研究データの出どころの一つであるその場所では、有名な科学者達が集まり、ポケモンに関する研究をしていた。
「・・・ダメです博士、この個体も完全な収容は不可能です。どうやら身体中が毒性の強いヘドロで出来ているようです」
博士と呼ばれるその男は、助手を務める男の言葉に顔をしかめる。
「・・・見れば見るほど醜悪な姿だ。これで生きている生物だなんてな」
その視線の先、二重構造の強化ガラスの先の白い部屋では、紫色のどう見ても触れてはいけない類のものに見えるヘドロが鎮座していた。
そのヘドロの周囲や下の床は、今なおそのヘドロで溶け始めている。
「べァアアアア・・・」
「・・・ふん、バケモノめ」
動き出したそのポケモンにゴミを見るかのように吐き捨てる博士。するとその時、慌ただしい部屋の中に、血相を変えた研究者が入ってくる。
「何事だ」
「報告します!未確認生物一型が、脱走しました!」
「!」
その報告に、今まで気味悪いほどに無表情だった博士が目を見開く。
(いかん、『あれ』はある程度こちらの言う事を聞く丁度良い研究対象だったと言うのに・・・!早く捕縛せねば・・・!)
「急いで通路を一部封鎖、一型を確保しろ」
「は、はい!」
博士の言葉に頷くと、慌てて走り去って行く研究者。再度ヘドロ状のポケモンを見つめる博士の顔には、凶悪な笑みが浮かんでいた。
「・・・貴様らの秘密、私が全て暴いてやるからな」
どんなことをしても。
そう言って博士はその部屋を後にするのだった。
・・・いつからバトルものss書いてたっけ(´・ω・`)
ガンテツさんはその後やっぱり無茶しすぎで寝込みました。
次回、うみちゃん×ハート○ン軍曹
次回もお楽しみに