TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・   作:コジマ汚染患者

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どーも、33話です。
ポケモン剣と盾でましたね。作者は購入が間に合いませんでした(絶望)
なんでこう、タイミングが合わないのか・・・というか、まずはSwitchから買わないと(おい
では本編どぞ。また例の奴が出てきます。


第33話

「ハクリュー、『たつまき』!」

 

「フゥ!」

 

琵琶湖の湖岸。そこでは、現在ワタルとハクリューが青い龍のようなポケモンーーーギャラドスを相手取っていた。ハクリューの『たつまき』によりその場に釘付けにされたギャラドスは、怒りの表情でどうにか抜け出そうともがいている。

 

「グォォォォォ!」

 

「早く逃げろ!」

 

「!?あ・・・」

 

ギャラドスが身動きができないのを確認し、レポーター達に逃げるよう声をかけるワタル。すると、ポカンとした表情で見ていたレポーターが我にかえる。しかし、次の瞬間、逃げるどころかマイクを手にし未だ現実に戻ってきていないカメラマンの持つカメラへと騒ぎ始める。

 

「みなさん!ご覧になっているでしょうか!龍です!新たな龍と、謎の人物が現れました!・・・あの青い二匹の龍は一体どんな関係なのでしょうか!?」

 

「あんたアホか!?今は逃げろって言ってんだよ!あいつが目に入らないのか!?」

 

性懲りも無く撮影を始め、あまつさえワタルへと質問まで始めたレポーターに信じられないものを見る目で怒る。しかし、レポーターはそれでも怯まずワタルへとマイクを突きつける。

 

「あなたの龍が止めているじゃないですか!凄いですね、あれは一体どうなっているのでしょうか?」

 

「ふざけんな!あれだっていつまでも続けられるわけじゃあないんだぞ!?早く逃げてくれないと巻き込まれるんだって!」

 

「ああ!?ちょっと何するんですか!弁償してもらいますからね!」

 

「ああもう、それでいいから早く逃げろって言ってんだろうが!?」

 

「フゥ・・・」

 

ワタルがレポーターの突きつけたマイクをひったくり、放り投げる。一瞬惚けた後、烈火の如く怒り始めたレポーターだが、ワタルの剣幕に押されて黙り込む。その後ろでは、たつまきを維持するのが辛くなってきたハクリューが苦悶の声を上げる。

 

「グォォォォォ!」

 

「!?まずい!」

 

咄嗟にワタルがレポーター達を突き飛ばした時だった。ハクリューのたつまきから強引に体を捩ることで脱出したギャラドス。その余波がワタル達を直撃し、全員後方へと吹き飛ばされたのだった。

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

「ぐっ・・・」

 

悲鳴を上げるレポーターを庇い、肩から地面に激突したワタル。嫌な音と共に激痛の走る右肩を押さえながら立ち上がると、少しだけ心配げにハクリューが戻ってくる。

 

「まだ行けるか、ハクリュー?」

 

「フゥ」

 

「俺はいいから。とにかくあいつを止めるぞ」

 

「・・・フゥ!」

 

俺よりお前はどうなんだ、と言うように右肩を見るハクリューに、問題ないと言い聞かせるワタル。実際には今尚激痛に目眩がするが、それを必死に押し殺す。

 

「・・・メール?うみちゃんからか!」

 

ズボンの左のポケットから鳴り出した着信音を聞き、素早くスマホを取り出す。届いたメールを最速で読み進めるワタルの頬に冷や汗が伝う。

 

「ハクリュー。・・・反撃だ、思いっきりやるぞ」

 

「フゥ!」

 

(これは・・・上手くいくのか?というより、間に合うか・・・!?)

 

こちらを睨みつけ湖岸を突き進んでくるギャラドスを見ながら、ワタルは引きつった笑いを零すのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ズバット!『きゅうけつ』!」

 

「ズバッ!」

 

「ブォォォォ!」

 

「ヒトモシ、『ほのおのうず』だ!」

 

「・・・!」

 

一方、動物園に現れたドンファンを相手取っていたキョウとタケシ。2人の相棒達は必死に技を繰り出すが、ドンファンを止められないでいた。

 

「かってぇぇなぁぁぁちくしょう!」

 

「タケシ、正面からは行くなよ!」

 

「了解っす!」

 

ズバットの牙もヒトモシの炎も、ドンファンの硬い表皮に阻まれ有効なダメージを与えられていない。しかし、注意を引き付けることはできたようでズバット達を追いかけるドンファンを横目に、男の子をタケシが素早く回収するのだった。

 

「どーします?これマズくないっすか?」

 

「・・・とにかくこれ以上人のいる場所に近づかせないことを最優先だ」

 

男の子を担いで戻ってきたタケシの言葉に、渋い顔でそう答えるキョウ。その時、ポケットに入れていたスマホにメールが届く。

 

「・・・」

 

「まったく、あんなに硬い奴にどーすればいいって・・・キョウさん?」

 

メールを確認しニヤリと口角を上げるキョウに訝しむタケシ。キョウはそんなタケシに黙ってスマホの画面を見せると、ドンファンを見据え立ち上がる。

 

「見たな?その子を連れて行っとけ」

 

「ういっす。にしても相変わらず無茶苦茶ですね、うみちゃんは」

 

キョウと同じくニヤリと笑うタケシは、不安げな男の子を担ぎ直しキョウへスマホを返す。

 

「全くだ。・・・こっちは抑えとく、2分だ」

 

「了解」

 

手短に言葉を交わすと、全速力で走り去るタケシ。残されたキョウは、ドンファンと戦うヒトモシとズバットを見据える。

 

「頼むぞ、うみちゃん・・・!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『そっちはどうや、うみちゃん?』

 

「はい、問題ないです。メールは送っておきました!」

 

一方キョウ達へとメールで指示を出したうみはと言うと、ミロにつかまって海を物凄いスピードで突き進んでいた。本来はデオキシスに頼んで飛んでいくところだが、彼には別の仕事を頼んでおり別行動中だった。

海面へと一度飛び出し、スマホで家にいるマサキからの連絡を受けるうみ。マサキは、今回の騒動を治めるためにうみが考えた作戦のため、必死にパソコンに向かっていた。

 

『しっかし、正気かいな、あの装置はまだ未完成なんやで?』

 

「あはは・・・まぁ、今回必要な機能は使えるみたいですし今はあれで大丈夫ですよ」

 

自身の作った機械に不安げな様子のマサキと、それを笑い飛ばすうみ。うみの笑いに少しだけ不安が和らいだマサキは、真剣な口調に戻る。

 

『今んところうみちゃんの指示通りに準備はしとるで。あとはキョウさんらがあれを動かせばすぐや』

 

「了解です。・・・!こっちももうすぐ着くっぽいのでまた後で。何かあったらメールでお願いします!」

 

『オッケーや!』

 

通話を終え、スマホを仕舞いミロにしっかりと抱きつく。通話中ややスピードを落としてくれていたミロが一気に加速する中、うみは心の中で祈っていた。

 

(どうか、最終手段を使う事になりませんように・・・!)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ハクリュー!『たつまき』!」

 

琵琶湖にてギャラドスを相手取っているワタルは、自身が劣勢に立たされていることを自覚していた。

 

(こいつ・・・!さっきから俺と後ろの人らばっかり狙いやがって・・・!)

 

本能的にワタル達無力な存在を狙い攻撃してくるギャラドス。ハクリューが阻んではいるが、どうにも守りの戦いの経験が浅く、またハクリュー自身の戦闘スタイルに合っていないのかやりづらそうにしている。

 

「ハクリュー!らちがあかない!水中に引き摺り込め!」

 

「フゥ!」

 

「ギャァァ!」

 

ワタルの指示を受け、ハクリューがギャラドスへと絡みつく。怒りのままにそれを振り解こうとするギャラドスだったが、それより早くハクリューが自身ごと湖へと引き摺り込んだ。

 

「ギャァァ!」

 

「フゥ!」

 

水中でハクリューを振り解いたギャラドスは、そのままかみつこうと突進してくる。

それを躱しつつハクリューが尻尾での痛烈な一撃を与える。ギャラドスが苦悶の表情を浮かべるが、すぐにまたハクリューへと襲いかかる。

 

(本来は水中戦の方は相手の領分かもしれないけど、人的被害がない分こっちもやりやすいはず・・・!)

 

水中で戦うため指示を出せないという問題点はあるが、ハクリューならいけるはずと信じて湖面を見据えるワタル。激しい戦いに湖面が水飛沫で見えなくなる。

 

「ガァァァァ!」

 

「!?」

 

(なっ!?)

 

その時、ハクリューが戦う水飛沫のあがる場所から少し離れた場所に、ギャラドスが現れる。

 

(ハクリューはまだ戦っている・・・じゃあさっきの奴じゃない!?)

 

ワタルは勘違いしていた。暴れているのが一体だけだったため、ここにいるギャラドスは今戦っている個体だけだと。

そして経験もしていなかった。突然の多対一戦も、野生ポケモンとの連戦も。

 

「!・・・くそ、逃げろ!」

 

「ひっ・・・!」

 

「お、おい!逃げるぞ!」

 

新たに現れたギャラドスがワタル達を睨み、突っ込んでくる。咄嗟に背後にいた報道陣へと逃げるよう叫ぶワタル。流石にまずいと分かっているようで、素早く報道陣が走り出す。だが、腰を抜かしたレポーターがいまだに立ち上がることができないでいた。

 

「っ!くそ!」

 

突っ込んでくるギャラドスの前に立ち、庇うように手を広げるワタル。迫りくるギャラドスが上げる水飛沫を浴び、腕の痛みに耐えながらもこれまでか、と目を瞑る。

 

「ーーー、ーーーー」

 

「ギャァ!?」

 

「・・・!あれは・・・!」

 

と、その時だった。上空から放たれたエネルギー弾が、突っ込んできていたギャラドスの脳天に直撃し、ギャラドスは盛大に頭を水面へとうちつけ気絶する。

突然の事態に逃げようと走り出していた報道陣や座り込んでいたレポーター、果てはワタルまでもがポカンと口を開けて目が点になる。

はっとしたワタルが空を見上げると、そこにはうみ家で見慣れたシルエットが浮かんでいた。

 

「うみちゃんとこの・・・えーと、宇宙人?」

 

「ーーー」

 

名前が思い出せず取り敢えずシルエットであだ名をつけるワタル。

なんとなくツッコミを入れるような感じに理解不能な言語を喋るデオキシス

デオキシスは、うみの家からスピードフォルムで一気に琵琶湖のワタルの元へと飛んできたのだった。

ワタルの元へと降りてくるデオキシス。そして、腰に巻き付けられたやや大きいサイドポーチの中から機械を取り出す。

 

「ーーーーーーー」

 

「これか・・・サンキュー、指示はもう受けてる。あとは任せろ」

 

デオキシスが差し出した大きめのコーヒーメーカーほどの大きさの無骨な機械を受け取りそう言うワタルに、デオキシスは一つ頷くと来た時と同じ超スピードで飛んでいくのだった。

 

「・・・さて、と」

 

デオキシスを見送り、琵琶湖へと向き直るワタル。そのタイミングでギャラドスを倒したハクリューが湖面から飛び出しワタルの元へと戻る。ハクリューの後からは、きぜつしたギャラドスがプカーっと浮かんでくる。

 

「えーと、ここを押すんだったか」

 

カメラに写るといろいろまずいか、とコソコソと自分の体で隠しつつ機械についていたモンスターボールの柄のボタンを押すワタル。

すると、機械から駆動音が響き、動き始める。一瞬光が出たと思うと、機械についていた円形の下皿部分に一つのモンスターボールが現れたのだった。

 

「うみちゃんが言うには、『引き出しシステム』だったか。よく分からんが、取り敢えずこれで解決できるかな」

 

そう言って顔を上げたワタルの視界が青に染まる。

 

「のぁぁぁぁぁ!?」

 

「フッ!?」

 

水流が突如ワタルとハクリューを襲い、押し流され吹き飛ぶ1人と一匹。ずぶ濡れになりながらもガバリとワタルが飛び起きると、琵琶湖の湖面から顔を出す数え切れない数のギャラドスが睨み返していた。

 

「ははは・・・まじかよ」

 

ヒクヒクと頬を引きつらせるワタル。あまりの光景にとうとうレポーターが泡を拭いてガクリと気を失う。カメラマン達に至っては、既に走り去ってしまっていた。

 

(まぁいてもらっても困るんだが、せめてこの人を持ってってくれなかったかなぁ)

 

呑気にそう考えるワタルに向け、再びギャラドス達が水流を放とうと大きく口を開ける。それを見たワタルは、とっさに手に持ったモンスターボールを放り、ハクリュー指示を出す。

 

「ええい、もうどーにでもなれ!行ってくれ、『ミロ』!ハクリューは『りゅうのいかり』!」

 

ワタルが投げたボールから飛び出したのは、見る者を魅了する圧倒的な美しさを誇る七色の鱗を持つ尾に、赤みがかったピンクの触覚が儚げに揺れる神秘的な姿をしたリュウグウノツカイを思わせるポケモン。目を瞑りそこに佇んでいるだけで周りの空気を変えるほどの美しさ。今もしここに他の人間がいれば、あまりの美しさに声も出ないだろうその美の集大成のようなポケモンは、迫りくるギャラドス達をゆっくりとその視界に収める。

 

 

「・・・ア゛ァ?」

 

ペシン、という気の抜けるような音がした。ギャラドスの群れは、何が起きたのか分からないと言った表情でポカンとその大口を開けていた。ギャラドスが複数体で放った強力な水流は、ミロが尻尾を一振りするとともに呆気なく弾かれたのだった。

ギャラドスの群れがフリーズする中、ミロの美しく整った表情が段々と変化し、ちょっとお茶の間には見せられないくらい釣り上がった目が、ギャラドス達にありえないはずの『プレッシャー』を放っていた。

 

「ギュァァァァァァ!!」

 

「「「「「「グェアアァァ!?!?」」」」」

 

「・・・えぇぇ・・・」

 

ミロが怒りの咆哮とともに放った『ハイドロポンプ』が、やや離れた位置にいたギャラドス達を吹っ飛ばす。慣れない形の戦闘とはいえ自分達が苦戦していたはずのポケモンが涙目で空を舞う光景に、ワタルはものすごく帰りたくなっていたのだった。

 

「フゥ!」

 

「・・・よし、あっちはミロ・・・さんに任せよう。俺らはこっちだな」

 

ハクリューが心配げに顔を覗き込み、慌てて再起動したワタル。ミロが吹き飛ばしている方向とは別方向から襲ってくるギャラドスを相手するべく、ハクリューと共に気合を入れ直すのだった。

 

 

 

「キュア゛ァァァァァァ!!!」

 

「「「「「ヴェアァァァ!?」」」」」

 

「・・・俺らもういらねぇんじゃね?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方のキョウ・タケシチーム。タケシが離脱している間、ドンファンをなんとか二匹で誘導し被害を抑えていたキョウだったが、限界が訪れる。

 

「!?」

 

「ヒトモシ!」

 

ヒトモシが回避しきれずドンファンの突進に巻き込まれてしまう。ここぞとばかりにドンファンがヒトモシへと迫り、慌ててズバットがそれを止めるべく上空から向かうが、明らかに間に合わない距離である。

 

「くそっ!」

 

キョウがヒトモシを回収すべくモンスターボールを向けた、その時だった。

 

「ブルルルァァァァァァ!!!」

 

「グルァァァァァァ!!!」

 

「!」

 

転がり迫るドンファンと倒れるヒトモシの間に突如緑の巨体が落ちてくる。その巨体は鎧のようで、背中には無数の背びれが覆っており、凶悪な顔つきだがどこか悟りを開いたかのような穏やかさもある。特徴的な丸まっての『ころがる』攻撃をするドンファンだが、その緑の鎧のようなポケモンは両手でガッチリと受け止めてしまう。

 

「間に合いました!キョウさん、もう大丈夫っすわ!」

 

「!タケシか!」

 

その様子を呆気に取られて見ていたキョウの背後から、タケシが駆け寄る。その手にはワタルがデオキシスから受け取ったものと同じ機械と、モンスターボールがあった。

 

「あれは、うみちゃんの家にいた・・・確かバンギラスと言ったか」

 

「ええ、流石の馬鹿力っすね。いっけー!バンギラス!そのまま投げ飛ばしちまえ!」

 

「グルァァァァァ!」

 

「バモッ!?」

 

タケシの指示を受け、ドンファンを持ち上げるバンギラス。まさか自分が持ち上げられるとは思っていなかったのか、予想外の事態に慌てて足をバタつかせるドンファン。

そんな足掻きを無視してバンギラスが全力で地面に放り投げる。ズドンという重い地響きと共に投げられたドンファン。怒りの表情でフラフラと立ち上がるが、バンギラスの姿が消えていた。

 

「!?・・・!?」

 

気配のかけらもないバンギラスに戸惑うドンファン。キョロキョロとあたりを見回していると、突然背後から痛烈な『きりさく』を受ける。

 

「ブルァァァ!」

 

パニックを起こしたドンファンが、丸まって逃げるように転がっていく。しかし、その進行方向にまたしても突然バンギラスが現れる。それに気づくも、急には止まれないドンファンはそのまま轢き倒そうと加速する。

 

「バンギラス!かわせ!」

 

「・・・」

 

「バンギラス!?」

 

タケシが回避を指示するが、バンギラスは避けない。驚くキョウとタケシを他所に、バンギラスはおもむろに目を瞑り、手を腰だめに構える。集中し、五感を高め、空気を切るドンファンの転がってくる音や地響きを感じながら精神統一をするバンギラス。

 

「・・・っ!グラァ!」

 

「バ、バモァ!?」

 

振り抜かれた拳は、ドンファンにも、離れた位置で見ていたキョウ達にも知覚できなかった。

 

ーーーーーーーーーパァン!!

 

その場のあらゆる存在が置き去りにされ、さらには音すら遅れた。そんな、究極に極められた一撃を放ったバンギラスは静かに立っている。その横を通り過ぎるように転がっていたドンファンだったが、次第に勢いが落ち、完全に止まった時には、右頬に拳の跡を作り気絶した状態であった。

 

「・・・キョウさん、やっぱうみちゃんとこのポケモンやばくないっすか?」

 

「・・・否定できないのが辛いところだな」

 

2人は現実逃避をするようにそう呟くと、ドンファンを捕獲すべく空のモンスターボールを取り出すのだった。

一方のバンギラスは、確かな手応えを感じた喜びからか、自身の拳を見つめつつ嬉しげに尻尾を振っているのだった。

 

 

 

 

「・・・」

 

「っちょ、バンギラス!?尻尾をそれ以上振るな、地面が、ヒビ、ヒビ入ってる!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・そうですか、解決して良かったです。・・・ええ、こっちはたいしたことなかったです。はい、はい。じゃあまた今度回収に向かいますね。それでは」

 

うみは、ワタルとキョウからの解決の連絡を受けながら、宮島に大量発生した鹿のようなポケモン・・・オドシシの群れを誘導し、森へと帰していた。宮島へとついた段階でミロを一度マサキの元へと預かりシステムで送り、ライと共に島中を巡ってオドシシを集めていたのだった。

 

ミロとバンギラスをマサキの作った預かりシステム(仮)を用いてキョウ達の元へと送り、対処にあてるという作戦がうまく行ったことに安堵したうみ。しかし、その表情は暗かった。

 

(・・・今回の件はこれからを思うと大打撃かな。幸いにもこっちは人的被害はなかったけど・・・)

 

最後のオドシシを山へと帰し、戻ってきたデオキシスに抱えられ帰るうみ。道中ずっと今回の事件による被害とポケモンへの世間の心象について憂慮していたうみだったが、突然デオキシスが速度を上げ急降下したことで思考が途切れる。

 

「うわぁ!?デオキシス、どうした!?」

 

「ーーーーー」

 

「ライ!ライライ!」

 

「っ!?」

 

慌ててうみが尋ねるが、デオキシスは上を見上げたまま何も答えない。すると、リュック内にいるライが突然騒ぐ。いったい何が、と思いつつデオキシスの見ている方を向いたうみは絶句した。

 

「GYAAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

雲の切れ間、太陽の光に紛れるようにして現れたのは、体色が緑の、東洋風の龍のような体をしたポケモン。そのポケモンは、咆哮を上げつつ口元へとエネルギーを貯め、うみ達へと向かって『はかいこうせん』として撃ち出す。

 

「ーーーーー!」

 

「うわぁ!?」

 

デオキシスがスピードフォルムへと変わり、うみをサイコキネシスで保護しつつトップスピードで逃げる。間一髪で躱したうみ達だったが、なおもポケモンは追いかけてくる。

 

「そんな、なんで・・・!」

 

背後から咆哮を上げ迫るポケモンを見つつうみは叫ぶ。

 

「なんでレックウザが襲ってくるんだよォォ!!?」

 

「GYAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ、とりま一件落着やな」

 

うみが追いかけ回されている頃。うみの家のリビングでパソコンに向かい続けていたマサキは、騒動が解決の方向に向かい安堵のため息をこぼす。んーっと背伸びして机に突っ伏すマサキへ、スピアーが湯呑みをそっと差し出す。

 

「ん?おお、ありがとさん。・・・しっかし、なんやえらいことになってもーたなぁ」

 

こりゃ一波乱あるで、と呟くマサキ。スピアーがお盆を持って出て行き、リビングに1人になったタイミングでマサキがおもむろにキーボードを叩き、とあるデータを開く。そこには、不定形のデータの塊のようなものがいた。

 

「・・・こいつが、切り札になるんやろうか、はたまた鬼札になるんか・・・さぁて、どないしようかな」

 

『ksけjくぃじcjdんdjx?』

 

「まぁええか。これはわいの考えることやあらへんしな」

 

そう言ってマサキはデータを閉じ、パソコンの電源を切るのだった。




オリジナルアイテム
預かりシステム(仮)携行型
マサキがうみの持っている預かりシステムをもとに、携行できるタイプとして作成したもの。色は全体的に黒。現在はシステムからポケモンを取り寄せる引き出し機能のみ使えるもの二つと、逆に預かりシステムへと送るしかできない機械が一つの計三つしかない。前者はワタルとタケシがデオキシスから受け取ったもので、うみがミロをワタルに送るために使ったのが後者。

次回 (命がけの)狩りごっこだね!

次回もお楽しみに
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