TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・ 作:コジマ汚染患者
今回はポケモン成分控えめです。
次話からまたうみちゃんメインの感じです。
では、ドゾー(´・ω・)ノ
「落ち着けー俺、大丈夫頑張れ頑張れできるできる絶対いける頑張れ気持ちの問題だっていける俺ならやれるおちけつ、じゃないおちつけ・・・」
「・・・本当に大丈夫か?うみちゃん」
キョウは、車の運転をしつつ後部座席に座るうみを見て呆れたように言う。
目のハイライトを失い、若干居心地の悪そうなライを抱きブツブツと呪文を唱えているうみ。
前々から会いたいという話を受けていたキョウと縁のある政治家との会合。それに向けて準備してきたうみであったが、すでに満身創痍であった。
「大丈夫だって父さん、私がコーディネートしたんだからバッチシよ!ちゃんとお偉いさんと会うためのドレスコードも考えてるし!何より素体が最高だもん!」
「そこじゃないんだよバカ娘・・・」
うみのとなりに座っているアンズがグッと親指を立てるが、ため息をつくキョウ。
政府の高官という立場の人間に会うということで、前回の警視総監との対談時に服を選んでくれたアンズに再度コーディネートを頼んだのだった。
「にしても、なんでうみちゃんはそんなに緊張してんの?」
「いやいや、情弱の俺ですら知ってるような大物政治家に会いに行くのに一般人メンタルの俺が緊張しないわけないじゃないですか・・・」
そんなもんかなー、と言い自身の頭の後ろに腕を回しあくびするアンズ。気楽でいいよなぁと少しむくれるうみに対して、運転席のキョウが声をかける。
「まぁそこまで怖い人じゃないから、落ち着いてしゃべれば問題ないさ。平常心で行けばいいよ」
「そうは言いますけどぉ・・・」
「ははは・・・そうだ、うみちゃん今日はなんだか見慣れないものを持ってきてるみたいだけど、一体なんだい?」
話を切り替えようと、うみが抱えているやや小さめのトランクケースをバックミラー越しにチラ見するキョウ。そんなキョウの質問にはっとしながら、うみはいたずらっ子のようににやりと笑うと人差し指を立て「静かに」のポーズをする。
「これについてはまぁ、着いてからのお楽しみということで。交渉の場に手土産は必須でしょうし」
そう言ってトランクケースを抱えなおすうみに、また何か企んでるな、と思いつつスルーする。
(うみちゃんはそんな問題を起こすような子じゃないしな・・・いや、本人の周りが勝手に起こすか)
そんなことを考えるキョウをよそに談笑するアンズとうみ。そのまま車に揺られること数十分、目的の料亭へと着した。
「おぉ~、なんかこう、ドラマみたいな感じですね」
「ほんと、まんまサスペンスものみたいね」
車を降りてすぐに料亭を見上げほえーと変な声をあげるアンズとうみ。都内にあるにもかかわらず質素な和風の建築物であり、読みづらい古文風の文字の看板や良さがよく分からない掛け軸と生花の置かれた土間などの異質な空間にやや気が引けるうみ。
「ほら、アンズはぼけっとしてないで車を見といてくれ。うみちゃんはさっさと入る」
「えっ!?あたしは残るの!?」
「今回呼ばれたのはうみちゃんがメインだし、付き人で選ばれたのは俺だ。お前は外で待ってなさい」
「えー!あたしもうみちゃんともっと一緒にいたい〜!父さん、変わってよ」
ブーブー文句を言うアンズだったが、段々と纏うオーラが濃くなってくるキョウを見て、いそいそと車の運転席へと乗り込む。
「さて、行くとしようか」
「アッハイ」
そうして料亭の人に連れられ、2人は奥の一室の前へと通される。
(・・・ここに、政治家の人がいる)
土壇場でまた緊張してきたうみに、肩に手を置きながらキョウが微笑みながらそっとささやく。
「大丈夫、君ならいける」
「キョウさん・・・はい!行きます!」
気合を入れ直し、とうとう覚悟を決めたうみは勢い良く・・・は失礼になるためそっと襖を開けお辞儀する。
「・・・失礼します」
「ああ、よく来てくれたね」
優しげな男性の声を聞き、頭を上げたうみは、にっこりと笑う。キョウも続いて部屋へと入室するが、声の主の方を見てうみとともに固まるのだった。
(・・・なんで3人もいるんでしょうか???)
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〈井口〉
殺気。料亭の中でも最高レベルの個室の中は、殺伐とした空気に覆われている。息苦しい事この上ないが、こうなった原因が自分である以上誰かが言うまでは耐えるしかない。
「・・・で、今日わざわざ呼び出した訳について、話してくださるんですよね、先生?」」
神経質そうに机をトントン指で叩き続けながら眼鏡をキラリと光らせそう言うのは、防衛省で大臣を務める大和(やまと)と言う男だ。かけている眼鏡でも緩和しきれないほど鋭い目をしており、年齢的にはこの中で一番若いがそんなのお構いなしに意見を言える度胸がある。そして、実は私の元教え子である。
「こちらも忙しかったんです。少しは有益な情報をくれるんですよね?」
言外に「そうでなければ許さん」と言っているようにも聞こえる。私の呼びかけに答えてくれたのは、あくまで情報目的であり元恩師だからと言うわけではないようだ。・・・少し、少しだけ悲しいな。
「まぁまぁ大和君。言いたいことはわかるけど、少しは落ち着いたらどうだね。ほら、井口先生だって忙しい中私たちにいち早くと情報を持ってきてくれたのだし」
そう言って大和大臣を宥めているのは、同じく元教え子で現在は野党の〇〇党で一党首を務める鈴木(すずき)君。恰幅の良い体格をしており、滲み出す雰囲気も柔らかいものである。大和大臣より1つだけ年上ということもあり、少し心に余裕があるようだ。
「鈴木先輩。そうは言っても、こちらは例の謎の生物への対応で手一杯なんですよ、本来ならこの時間もまだ処理する仕事や受理しないといけない案がですね・・・」
あ、鈴木くんの呼び方が先輩になっている。少しは学生時代の彼に戻ってくれたのかな?
そんな大和大臣・・・いや、大和くんへ鈴木くんは朗らかに笑いながら言う。
「そりゃぁそうだろうさ。でも、先生が私たちを呼ぶなんて緊急の用件以外では無かったじゃないか。きっと今回もそういう類だろうさ。ね、先生?」
「・・・あぁ、君達にはわざわざ足労かけてしまったね」
鈴木くんのフォローが身に染みる。しかし、まったりと話しているだけではいけない。この後の話し合い、そしてそこにくるであろう例の「専門家」について2人に説明せねばならない。未だ私自身半信半疑ではあるが。
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時は戻り、うみがやってきたところに戻る。
どうにか現実へと戻り井口に促され席へ座るうみ。その横にキョウが座り、うみ・キョウ、机を挟んで大和・鈴木、いわゆるお誕生日席となる上座へ井口、という状態になる。
予想外に多かった相手に混乱するうみだったが、それ以上に剣呑な空気を醸し出す大和と、戸惑いの表情を浮かべる鈴木。そして、何を考えているのかわからない無表情の井口という3人の大人の視線に晒されるうみは、すでに心中「帰りたい」一色だった。
「・・・えー、とりあえず、私は森本キョウと申します。警視庁の者で、こちらのうみちゃんの上司的立ち位置にいます。本日はよろしくお願いします」
「え、あ、じ、自分はうみと言います。本日はよろしくお願いします!あたっ!?」
キョウがいい加減何か喋らねば、と自己紹介をする。それに慌てて追従したうみが名乗り礼をするが、勢い余って頭を机にぶつける。
目を点にするキョウや政治家たちに見られ、プルプルと顔を真っ赤にしながらおでこを抑えるうみには、か細い声ですいません、と言うしか出来なかった。
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〈大和〉
「本日はよろしくお願いします!あたっ!?」
(なんなんだこの少女は・・・?)
うみが自己紹介で頭を強打しているとき、それを見ていた大和大臣は心の中の動揺を必死に隠していた。井口恩師からの連絡を受け、「現状を打破するための情報が手に入る」と言う話につられやってきた。
恩師の事は信頼しているし、先程は疑ってかかっていたが内心期待していたのだ。謎の生物、それも対処不能の新発見としか言いようのない存在が日本中で見つかり、それに対応する現場からあげられる理解不能の報告。
体当たりで装甲車が凹んだ、体が流動的な毒性の強いヘドロでできている、銃がほぼ効果を出さない。そういった子どもの空想のような生物の報告と共にやってくる「自衛隊の出動を」と言う要請。
諸々の今請け負っている問題への解決策。それがわかるかもしれないと無理にでも時間を作ってやってきた。
(しかし、来たのは専門家・・・ではなく少女?一体先生は何を考えている・・・!?)
しかし目の前にいるのは日本ではなかなか見ない銀髪の小学生にも見える少女だ。どう好意的に見ても専門の研究者には見えない。先生から説明を受けた時にも思っていたが、なぜ少女。
「・・・先生。これは一体どういうことですか!」
机を叩き、立ち上がりながら井口先生に詰問する。睨み付ける形になってしまったが、先生は動じることなく静かに、諭すように言った。
「・・・座りなさい、大和くん。今は客人の前だ。それに、説明はしたはずだよ?」
「・・・っ、大和という。若輩の身ながら防衛省で働いている者だ」
受け流されてしまった。だが、礼節を欠くのは確かにいけない。手短に挨拶すると、今度は鈴木先輩が笑いながら挨拶していた。
「自分は鈴木っていいます。〇〇党の者です、よろしくね・・・えーと、うみちゃん?」
「は、はい!」
「あっははは、緊張してるかな?まぁこんなおっさんたちに囲まれたらそりゃ怖いよな!」
「は、ははは・・・」
鈴木先輩は何を考えているんだか。少なくとも自分よりは落ち着いて相手していると言えるが、本題はそこじゃないだろう。
「・・・ふむ、手紙のやり取りは少ししたが、会うのは初めてだね。私は井口という。今は一介の政治家もどきだよ。よろしく」
「は、はい!本日はお時間をいただきありがとうございましゅ!」
「「「「・・・」」」」
「・・・ありがとうございます」
(しかし、見れば見るほどただの少女にしか思えない。こんな子どもが一体どんな情報を・・・?)
すると、井口先生が何やら鞄から資料のような紙束を出してくる。
「私はすでにこれは拝見させてもらった。この2人の分はあるかな?」
「あ、はい。もう渡してお話をしてもよろしいので?」
「ああ、構わないとも。それに話は早いに限る。」
そう言って先生はこちらにチラリと目配せをする。・・・確かに急いではいましたけど、そんな皮肉っぽく言わなくても。相変わらずこの人は少し意地悪だ。
「どうぞ」
「・・・どうも」
気づくと、目の前に資料が置かれていた。・・・いかんな、どうも先生や鈴木先輩に会うと気が緩む。置かれた資料に意識を向け・・・
(待て、なんだこれは?資料?・・・辞書の間違いじゃないか!?)
置かれていたのは、六法全書もかくやと言わんばかりの分厚い紙束であった。横を見ると、鈴木先輩も口をぽかんと開けてズッシリと重みを感じる資料を見ている。
「これは一体なんの資料だ・・・」
思わず小さく呟いてしまう。というか、普段見る仕事の資料をまとめても負けるんじゃないかこの量は。
「では、説明に入らせてもらいます」
目の前で座り直し、自分も資料を持ってそう宣言する少女・・・うみちゃんだったか?の声にはっとし、資料の最初のページを見る。
・・・そこからは終始、頭が理解を拒むほどの膨大な情報と、異常なその内容に開いた口が塞がらなかった。
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〈うみ〉
「・・・以上が、ポケットモンスター。縮めて、ポケモンに関する基礎的な情報です」
そう言って締めくくった俺は、チラリと3人の政治家の様子を確認してみる。井口さんという政治家へ頼み事をするためにこうしてポケモン説明会(仮)をしたわけだが、ちゃんと資料をたくさん用意しておいて良かった。3人とも真剣な表情で資料を読み込んでいるが、ある程度資料を先に読んでいる井口さんがいち早く読み終わり、ため息をついている。
他の2人の人ももう直ぐ読み終わりそうだし、そろそろ質問攻めとか来そうだ。
「・・・ふむ」
「・・・ふぅ」
「・・・はぁ」
(・・・いや、なんか言ってよ!?)
3人とも読み終わったのに、一切喋ることなく虚空を見つめている。いやなんか居心地悪いからなんか言ってほしいんだが!?
「・・・うみちゃん」
「!はい」
すると、ようやく井口さんが口を開く。俺だけでなく大臣のお二人も顔を向け、静かにその発言を聞こうとしていた。
「・・・書いてあることは読んだ。しかし、分からない。ポケモン、と言ったか。なんなのだこの生物は?いや、そもそもこれは生物なのかな?」
その質問に俺は少し心が痛くなりながらもどうにか答える。
「俺にもまだ詳しいことは断言できません」
「なっ!?ではどうしてここまで!」
大和大臣・・・だっけ?が驚きの声とともに抗議しようとする。でも、ここで止まるわけにはいかない。今は俺のターンだ。
「でも、少なくとも人と無条件で敵対するような存在でないことも断言できます。・・・出てくれ、ライ」
「ライッ」
「こいつは・・・」
話の中で徐にボールを取り出し、相棒であるライを出す。ライは出て直ぐに元気に鳴きながら俺の横にやってきて、嬉しそうにスリスリと腕に頬擦りしてくる。
3人の高官の人たちは、ライを見てその見たことのない姿に驚いているっぽい。
「この通り、この子は俺の相棒です。それは決して、この子が特別人懐っこいとかじゃない。他の現在確認されているどのポケモンも、基本的に慣れれば人と共に生きることができる存在です」
ライを撫でながら話を続ける。さっきから驚いてはいるが、3人とも話を理解しようと真剣だ。
(この人たちになら・・・)
言いたい事を言う。これまでは押し付けるだけだった。今度は、開示できることは全部開示して『識ってもらう』。
「そして同時に、ポケモンはその個体によって差はありますが、簡単に人を殺せるような存在でもあります。例えばこのライは、電撃を操り、しっぽの一撃で岩すら砕けます」
「電撃・・・だと?」
「さらに言うなら、先日琵琶湖に出現したポケモン・・・ギャラドスなら、水流のビームも撃てますよ。・・・ポケモンによってはそれ以上のことも」
俺の発言に少し腰が引けた様子の大和大臣と鈴木大臣。しかし、そこで井口さんがふむ、と一声上げる。
「なるほど、大体分かった」
・・・!?
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〈井口〉
異常。
頭の中に浮かんだのはまずその一言であった。すでにもらっていたものと合わせて読んだ資料を思い出す。ポケットモンスター、ポケモン。今こうして目の前で見ても、少し現実味が無い話だ。
(しかし、だからこそ最近の騒動にも納得がいく)
始まりは、都内で起きた謎の火災事件だった。結局通報された半分以下しか火の手が無く、目撃者の話でも突然消えたと言う話ばかり。しかもその後ポツポツと至る所で発生し始めた怪事件、その原因こそがおそらくポケモンなのだろう。
「つまり君が言いたいのは、ポケモンというのは危険な面もあるが、しっかりと管理して育てれば良いパートナーとなる、ということだろう?」
「・・・はい」
目を点にしている少女ーーーうみちゃんを見る。話初めは緊張が見られたが、もうすでにそれは無く、あるのはただ知ってほしいという意志を感じる姿勢のみ。それだけでもそれなりに良い子であり、信じるに値する存在だとは思う。しかも内容は、今最も得るべき情報だ。そして、この騒動・・・いや、苦境を乗り越えられれば、きっと日本は・・・。
「先生、信じるのですか?この荒唐無稽な話を」
「ふむ、君は彼女の話が嘘だと?」
静かに、大和くんに逆に質問を返す。すると大和くんは、苦い顔でメガネをクイっと上げる。
「・・・嘘だとは断言しません。実際に自分の関係する事案を考えてもこの話に当てはまる部分はあります。ですが、それを全て信用するというのは早計かと」
「いいや、早計どころでは無い。むしろ遅いと考えられる」
「!な、何故でしょう?現在のところその・・・ポケモンによる被害について、目立った死傷者は一般には確認しておりません。下手に手を出すことさえなければ、野生の獣同様、近づかなければ問題無いと・・・」
「それじゃあダメです」
「・・、なに?」
大和くんの発言に、うみちゃんが待ったをかける。訝しむような大和くんの視線も気にせず、うみちゃんはライというらしいポケモンを撫でながら続ける。
「人に好戦的な人、温厚な人がいるように、ポケモンにだって大人しいもの、暴れるものがいます。例えば先のポケモン騒動。三つの箇所で同時に起きたにも関わらず、ほぼ被害無しで収められましたが、あくまで俺や対策課のキョウさん達が頑張ってくれたからです。先程どんなポケモンもしつけたり、慣れれば人と共存できると言いました。犬や猫を飼うのと同じです。ただ、言い換えればそうでなければ死の危険すらあると言うことです。例外を除き、ポケモンは体当たり一つでも人を殺す、最低でも大怪我を負わせることができます」
そこで一区切りつけ、何やら躊躇うように顔を歪ませるうみちゃん。しかし、意を決したように再度言葉を紡いでいく。
「はっきり言います。現行の自衛隊や警察ではポケモンが万が一暴れたとして、まず対処は不可能です。対処するには、同じポケモンを扱うしか手はないです」
「・・・!」
大和くんが息を呑んでいるのがわかる。実際自分も「そんなバカな」と言ってしまいたい。しかし与えられた情報と自力で得た情報、そしてこれまでの騒動の流れを統合して考えることで分かってしまう。
この少女の言うことが正しいと。
「では、君はどうすべきだと考える?」
ゆえに聞きたかった。この自分たちの考えの及ばない域にいる少女の考える打開策を。
うみちゃんは、ちらりと隣に座る警察官ーーーキョウと言っていたなーーーを見て、そっとトランクケースを机に置く。
「これから見せるものについて他言及び他者への提供をしないようお願いします」
そう言って手渡されたのは、先ほど渡された資料と比べれば半分にも満たない紙束。
「これは何かね?」
恐る恐る受け取りつつ尋ねる。
「それは・・・とびっきりの化け物です」
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「つ、疲れた・・・」
「おつかれ。もうこのまま家まで送ればいいかな?」
「あ、はい。今日はありがとうございます」
ひ、疲労感で喋ってただけなのに体がうごかねぇ・・・。
俺の頼みを聞いてもらうためのとっておきを渡したあと、想像以上にスムーズに話は進んだ。結果だけを言えば、あの場にいた3人の政府関係者に協力体制を築くことに成功した。対してこちらが切った手札は情報のみ。それに、もっとも重要なものは省いて今必要最低限のものだけ渡したから、情報アドは以前こちらにある。
(まぁ、俺の予想が正しければそろそろヤバイんだけどなぁ。・・・それよりも驚いたのは、大和さんの態度の変化だよなぁ)
最初から「誰だお前」みたいな感じだった大和さんだけど、最後会合を終えた後は見送りまでしてくれた。
『これからの日本の為にも、宜しく頼む』
そう言って頭を下げる大和さんは、すごい意外だった。
どんなに言われようと俺は見た目完全に少女だ。そんな俺にすぐ対応して頭を下げられる人だとは最初の感じからは思わなかった。
「これから、な・・・もっと頑張らねぇと」
そう呟きながら、俺の意識は段々と暗闇の中へと落ちていくのだった。
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「どう思った?」
見送りを済ませ、振り返った自分に井口先生がニヤニヤしつつ聞いてくる。
「・・・言わなきゃなりません?」
「いやすまんね。大丈夫、見れば分かったから」
カラカラと笑う先生と、その横で豪快に笑う鈴木先輩。なんとなく拗ねるような感じになるが、ジト目で睨んでいると2人とも笑いを引っ込める。
「・・・にしても、なんて少女だよあの子」
鈴木先輩の思わずと言った感じのつぶやきに、心の中で同意する。
まさかあれほどまでに情報を集めているとは思わなかった。しかも彼女はまだ未成年、子どもだ。
「最後の最後で、とんでもない爆弾を落としていったがね」
「・・・ええ、全く」
先生の言葉に同調しつつ、懐から資料を取り出す。最初にこれを見て、話を聞いた際のことを思い出す。
『なんなんだこれは!?こんな存在があり得るのか!?』
『はい。その中の一部は既に確認済み、既にこの世界にいます』
『ちょ、ちょっと待ってくれ!こんな化けも・・・ポケモンが、これからも・・・!?』
『ええ、出てくるでしょう』
『彼らはポケモンであり、なおかつその枠組みを超える程の規格外。分類名としては、「でんせつ」と呼ぶポケモン。それはその種類と特徴のリストです』
「『でんせつ』ねぇ。どいつもこいつも恐ろしいことしか書いてないんだが?」
そう言って引きつった笑いを浮かべる鈴木先輩。おそらく自分も険しい顔になっているのだろう。そんな自分達に、先生は静かに告げる。
「・・・あの子はこれからもっとも重要な存在。この国の存続に関わってくることになるだろう。2人とも、分かっているね?」
その言葉に、先輩と2人で頷く。
「ええ、分かっています。あの子を、うみちゃんを助け、力を合わせる」
「まー、それしか現状を打破できる方法もないですね」
そうして決意を新たに、自分達は夜空を見上げため息をつくのだった。
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『・・・もしもし?』
「俺だ。今大丈夫か?」
『ああ、問題ない。それで、手に入ったか?』
「ああ、面白いくらいたくさんな。そっちは?」
『こちらも問題ない。護衛や監視もいなかったから簡単だった』
「そいつは重畳。こっちも早急に渡せるようにする。あとは頼むぞ」
『了』
「・・・さぁて。お仕事、いっちょ頑張るとしますか」
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暗い洞窟の中、そのポケモンは怒りのままに暴れていた。
『GURURURURUAAAAAAA!!!!!』
巨大なその体で鍾乳石をなぎ倒し、その体から出る冷気で地底湖を凍てつかせ、周りにある全てを破壊せんと暴れ続ける。
そのポケモンにあるのは、怒りの感情のみだった。それも、なぜそれほどまでに怒っているのか、なぜこんな洞窟にいるのか。そんな思考を挟む余地もないほどに怒りはボルテージを上げていく。
咆哮と共に再度暴れ始めるそのポケモンの背後で、静かに見守るポケモンが1匹。
『・・・やはりダメか・・・』
ポケモンは、無力な自分に歯噛みしつつ、断腸の思いで暴れるポケモンに気づかれないようその場を離れるのだった。
仕事と学校帰りに異様に体がだるい。しかも食べ物の味が感じられない。
長期休暇入って、まさかと思いつつ病院へ行く。
お医者さんがすっごい深刻な顔して診察する。
長時間待たされ、戻ってきたお医者さんとの会話。
「はい分かりましたよー」
「どうでした?」
「コロナじゃないねー」
「ほっ(安堵)」
「でもすっごい重いインフルだね」
「はっ!?」
通りで39度超えたと思ったら・・・
皆さん、手洗いうがいしっかりして体調には気を付けましょう!
・・・いやまじで