TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・   作:コジマ汚染患者

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(*´Д`*)<ハッピーバスデートゥーミー♪
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というわけでマイ誕生日記念に、頑張って書いて間に合わせてみました。
ドゾー(´・ω・)ノ【最新話】


第41話

「うーん、こんだけか?」

 

「まぁ妥当じゃないか?リアルに忙しいやつだっているだろうしな」

 

「そーだよなぁ、むしろよく今日呼びかけて即集まれたって感じだよな」

 

都内某所、人通りの少ない住宅地近くにある公園に、全く統一感のない人々が集まっていた。

総勢10数名、成人男性からまだ垢抜けてない学生まで、さまざまな人が思い思いに近くの相手と談笑している。仕事も、学校も違うそんな彼らの共通点。それは、うみの配信をほぼ初期から見てきた古参の視聴者であるという点であった。

 

「・・・お?」

 

「なんだ、こんなに集まってくれたのか。正直意外だな」

 

「これがうみちゃんの人徳ってやつですかねぇ」

 

そんな話し声と共に現れたのは、ラフな着こなしなツンツン頭の青年と、眼鏡をかけ、大きめのコートを着て口元を立てた襟で隠すようにした真面目風な男性だった。

見た目だけを見れば接点などなさそうな2人だが、集まった人々は2人を見ておお、と声を上げる。

 

「うっわ、チャラ男ニキだ。農家ニキもいるし!やっぱマジの話だったんだな」

 

「やはりチャラ男ニキはチャラいな」

 

「うん、存在がチャラいわ」

 

「チャラい」「チャラい」

 

「だああ!お前ら好き勝手言いやがって!チャラくねぇよ!俺だって真面目になる時はなるんだよ!」

 

青年ーーーチャラ男ニキことシゲルがうみの視聴者達に一斉にイジられ、うがー!と喚く。それを笑いながら、視聴者達は初めて出会った彼に群がり肩を組んだりつついたりして尚もイジり倒している。

 

「あーもう収集つかねー!ちょっとなんとかしてくださいよ野路さん!?」

 

「ははは・・・まぁ慕われてるんだし良いんじゃないかな?」

 

そんなー!ともみくちゃにされるシゲルを見ている農家ニキこと野路(やろ)。しばらくの間楽しんでいる様子だったが、流石に時間が惜しいということで、パンパンと手を叩いて注目を集める。

 

「はいはい、チャラ男くんをいじるのはまた後にしよう。「やめてほしいんスケド!?」それより、まずは急な話でここに集まってくれたことに礼を言いたい。ありがとう」

 

「かたいなぁ農家ニキ〜、俺らはうみちゃんがピンチとか聞いて黙ってられないだけの重度の追っかけだぜ?」

 

「そうそう、あとはポケモンに関してのファン、かな?」

 

「俺、うみちゃんとこの蜂のポケモン好きなんだよなぁ」

 

「スピアーだろ?良いよなぁアレ」

 

何を今更、と笑う人々に野路は「来てよかった」と心で呟く。一瞬笑みを浮かべ、すぐに真剣な顔へと戻るとポケットから紙を取り出す。

 

「さて、説明といこう。釣り師ニキは皆さんには緊急ってこともあって簡潔にうみちゃんが狙われてる、なんて言ったと思う。ただ正確には、狙われてる『可能性がある』」

 

「・・・」

 

真剣な空気を感じ取りシゲルと絡んでいた面々も話に集中する。シゲル自身も、野路の言葉に悔しそうに下唇を噛む。

 

「情報元については伏せる。警部ニキ・・・

警察が調べて得た情報だ、信憑性が高い。それに、うみちゃん曰く最近家の周囲で見られてる気配をよく感じているらしい」

 

時折紙を見ながらそこまで話すと、集まった視聴者の中から声が上がる。

 

「・・・それって、俺らでどうにかできんの?それこそ警察案件だと思うんだけど」

 

その言葉に、ほかの面々も頷いたり、考え込んだり、近くの者と話し合ったりしている。しかし野路は首を横に振った。

 

「ダメなんだ。警察だけだと、今回の相手は止まらない」

 

「それって・・・」

 

「相手はポケモンを使ってるンだよ。だから俺らみたいなポケモン持ちが動かねーとヤバいってこと」

 

野路の言葉に続けるように告げられたシゲルの言葉に、周囲が息を呑む。第一回からうみの配信を視聴してきた古参勢だ、ポケモンの怖さはうみの言葉と映像、両方で耳が痛くなるほど知らされてきた。それでも彼らがそこそこに危機感を持つ程度で考えてきたのは、『まだポケモンを戦えるレベルで扱えるのはうみ達だけ』、という認識があったからだ。

これまでポケモンの騒動は多数発生したが、それだってうみ達が動いたおかげで奇跡的に人的被害は軽微に抑えられてきた。そしてそのポケモンへの圧倒的知識を持つうみという存在。それらによって持っていた安心感が一気に吹き飛ぶ。

 

「え、でもポケモンって・・・どーやって?」

 

「確か動画でもうみちゃんが、散々警告してたじゃん?正しい知識を持ってないと、ポケモンを・・・その、手懐けるってのは難しいんじゃ・・・?」

 

「本当ならね。・・・これはマスコミとかにも流れてないから知らなくて当然なんだけど、こっちの関係者が襲撃されたんだ。相手は銃を使ってたらしいよ」

 

「うぇ!?じ、銃・・・!?」

 

現代日本においてまずお目にかかることのない、近代兵器の名前に戸惑いの声が上がる。というか、日本で銃って・・・という嫌な予感が若干冷静な面々の頭の中に流れる。

そんな彼らに、野路はさらなる爆弾を投下する。

 

「それだけじゃない。そいつらは、うみちゃんから預かっていたポケモンの資料を根こそぎ奪っていったんだ。もう相手はポケモンについて素人じゃないと見て良い」

 

「・・・おいおいおいおい」

 

そこまで聞いて、全員が状況を理解し、頭を抱えた。銃を使うくらいなりふり構わない得体の知れない相手が、さらにそれ以上に危険でもあるポケモンすら使う可能性があるというのだ。本格的に自分たちは要らないんじゃね?というか俺ら危険じゃね?という感情に空気が支配される。

 

「さて、ここまで脅しといてなんだけど、今なら辞めるって言ってくれても構わない。こちらとしては、ぶっちゃけ死ぬ覚悟まではしてないことは織り込み済みだしね」

 

「俺らは自分の意思でうみちゃんの為に、ポケモンとの生活のために動いてるんスよ。それに巻き込むってのは流石にしないんでだいじょーぶっす」

 

野路とシゲルの言葉に、流石に命の危機があると言う事で尻込みをしているのか、沈黙が流れる。すると、その中から1人、パーカーのフードを被ったこの場で唯一の女性ーーー身長的におそらく学生だろうーーーが手を挙げた。

 

「アタシ、やりますよ」

 

「お、おい嬢ちゃん・・・」

 

近くにいた男が心配げに話しかける。すると少女はおもむろにフードをとり顔をあげる。うみのような銀髪、というわけではなかったがそれでも日本ではあまり見られない白髪と、前髪を上にあげて留めた髪留めが特徴的な頭を煩わしそうに振り、気の強そうなつり目がちな目で野路を不適に睨む。

 

「アタシはやりますよ。うみちゃんを助ける。アタシはその為にここに来たんだから。仲間外れにされんのも、何にもしないで見てるだけってのもゴメンだわ」

 

その少女の覚悟を決めているかのような言葉に、声をかけた男は怯んだように押し黙る。そしてそんな様子を見て、本気だと理解した野路は静かに話しかける。

 

「・・・名前は?」

 

「ホミカ」

 

「やる気はある・・・ね。でも流石に、女の子をそう簡単にこんな時間から動かすってのは」

 

「舐めないでよね」

 

野路の申し訳なさげな発言を遮り、少女・・・ホミカはポケットに入れていた手を抜く。そのまま手に持ったモノ・・・モンスターボールを空に放り、そこから光と共にポケモンが現れる。

 

「なぁ!?」

 

「ダッネダネ!」

 

「ポケモン!?」

 

「・・・ふぅん」

 

突然現れたポケモンに、周囲にいた視聴者達が思わず後退りして離れる。シゲルも声を上げてマジマジと現れたポケモンを見ており、野路も流石に想定外のことに目を見張る。一方のポケモンはというと、好奇の視線を受けてむず痒そうにしていた。

現れたそのポケモンは、背中に花のタネ、いや蕾のように見えるものを背負っていた。見た目はどう形容すれば良いのかわからないが、緑色の体色やその特徴的な背中から、いわゆる「くさタイプ」のポケモンだろうということはわかった。

 

「アタシはポケモンを持ってる。そこそこだけど、武術的なものもかじってる。これだけでも、十分使い道あると思うけど?」

 

そう言って不敵に笑うホミカに、野路は少し見定めるように視線を向け、やがてため息を吐いた。

 

「はぁ・・・まぁ望外の戦力ゲット、かな。ありがとう、ぜひ力を貸して欲しい」

 

「ほぇー、見たことねーなぁ。農家ニキ、分かります?」

 

「俺もさすがにワタルくん程には資料を読み込めてないんだけど・・・フシギダネ、かな?」

 

「正解。さっすが」

 

「これでもポケモンの情報に関するテストだとうみちゃんから太鼓判もらってるんだよ?さすがにわかるよ・・・チャラ男くんはもらってなかったけど」

 

「ちょっ、それは内緒って言ったじゃないですか!?」

 

「へぇ〜。まぁなんにせよ、よろしくお願いしますね、先輩?」

 

ポケモン・・・フシギダネを抱き上げながら、ホミカがいたずらが成功した子どものようにニシシと笑う。野路はそんな彼女に複雑な表情を浮かべつつほかの視聴者へと目を向ける。

 

「この中に、他にもポケモンを持っているっていう人は?」

 

「い、一応俺も持ってるぞ!アレだ、最近スレにも報告した!」

 

「・・・あ!イワーク手に入れた登山家ニキか!」

 

「ポケモン持ちが4人もいりゃあ、なんとかなるんじゃね?」

 

「俺は残るぞ!いや、もとよりやる気だったけども」

 

「俺も!」「俺もだ!」

 

「他にポケモン持ちは・・・居ないっぽいね。まぁ2人もいたのなら上々。そもそも犯人の相手したりとかの危ない事させようとは思ってなかったけどね。さて、それじゃあこれからやることを話そうか」

 

ポケモン持ちが集まり、全員の士気とやる気が最高潮に達したのを感じつつ、作戦を説明しながら野路は遠くテレビ局にて死にそうになっているであろうワタルを心配していた。

 

(・・・ワタルくん、「ままままま、まかせてくだしぁ!」とか言ってたけど、大丈夫かなぁ?)

 

 

 

 

 

 

「・・・潜入完了、っと」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(あの時の自分をぶん殴って止めたい・・・)

 

野路やシゲルが人手を集めているころ。生放送している番組の出演者という、かつての自分なら決して考えられない舞台にいるワタルは、精神が衰弱死しかけていた。

 

「現在確認される果物等の農作物の収穫量が〜」

「漁業関係者からの懸念の声が〜」

「畜産への打撃と保障が〜」

「生態系への影響が〜」

「自衛隊と警察は一体何を〜」・・・

 

(無理無理無理無理!!分かるわけねぇよこんな話!?誰か翻訳を、翻訳家を呼んでくれ!ここの言語は日本語じゃねぇ!)

 

内心では狂気乱舞(誤字にあらず)しているワタルだが、カメラや共演者の目がある為必死にポーカーフェイスを取り繕っていた。何事も第一印象は大切なのである。

 

一方の番組そのものは、穏健派と過激派の・・・と言ってもほとんど過激派の暴論だが・・・討論が白熱していた。

 

「・・・以上のような統計上の結果があるわけで、現在確認されているあの謎の生命体をどうにかせねば、日本の産業は崩壊するでしょう!それに、あの生物に関する研究も早急に行うべきです!政府はなぜか、各機関へ手出しせぬよう通達していますがね」

 

そう言って、過激派の筆頭である大学教授がチラリとこちらの側で座っている大和大臣を睨む。その言葉に続くように「そうだそうだ」「早期解決のために」などと言いながら取り巻きのような過激派連中が頷いている。

・・・いや、そもそも危険だからって政府がちゃんと関係各所に注意喚起をしてる筈だけどな、資料と一緒に。大方オーキドさん、いや博士が自分たちの知らないうちに手柄を得ることが嫌なんだろう。表情からも随分とオーキド博士を敵視しているのが伝わる。

 

「なるほど。では、これに対してどう思います?大木戸教授」

 

自身の言葉に酔いしれるかのように喋り続けていた過激派の教授の言葉に頷き、番組の司会が今度はオーキド博士(うみちゃんから言われて以降、本人がノリノリでそう呼ぶようにと言った)へと話を振る。それを聞いて、オーキド博士がふむ、と顎を一つ撫でてマイクに手を伸ばす。過激派の連中は、一通り喋って落ち着いたのか、余裕綽々でふんぞりかえっている。

 

「どうも、大木戸です。さて、何から話せば良いやら。少し気になったのでまずは質問と行きたいのですが宜しいですかな?」

 

「ふん、手短にして貰いたいですな。こんな結論の分かりきった討論に時間をかけたくはないのでね」

 

どこまでも上から目線な発言に穏健派の空木教授達がムッとする。当然俺としてもいい気分はしない。しかしそんな不遜な態度にも動じず、オーキド博士はニッコリ笑い会釈する。

 

「ありがとうございます。では質問させて貰います。・・・あなた方の言葉を借りれば謎の生命体・・・私はある人物から聞いた通称で呼んでおりますが、それに対して対処すると言っておりましたな。具体的に何か策がおありなのですかな?」

 

すると、嘲笑を浮かべて相手の教授がマイクを手に取った。

 

「何か、も何も。警察や自衛隊を投入すべきでしょう。ニュースにもなっていたが、あの生命体達はそれなりには危険であるようですしな。一部は研究のためにも捕獲が望ましいでしょうが、必要であればもちろん駆除が妥当でしょう」

 

その言葉に、今度はオーキド博士と俺の顔に笑みが浮かぶ。俺の方は嘲笑だったが、オーキド博士のそれは困ったような笑みだった。

 

「なるほど。しかしそれは残念ながら不可能であると言わざるを得ないですな」

 

「・・・なに?」

 

「・・・ふむ、それではここで少し私は下がりまして、その手の専門家へ説明を頼むとしましょうか」

 

そう言ってオーキド博士はマイクをそっと・・・俺かよ!?

 

(無理無理無理!博士待って、MATTE!?俺はあくまでいるだけって話だからここにいるんですが!?)

 

(いいからいいから。もしもの時はサポートしたげるから、頑張るんじゃぞ?)

 

(なら、警視総監殿に、あの人もうみちゃんの資料は読み込んでたはず・・・)

 

(・・・)

 

(け、警視総監ォォォ!?ナンデ!?顔背けて「スマナイ」とかボソッと言わないでください!?笑ってますよね?その震える肩は絶対笑ってますよね!?)

 

そうしてまさかのタイミングで回ってきた出番に、一層緊張が高まる。相手方の方はと言うと、興味なさげ・・・いや、あれは大学の教授がバカの学生を見る目だな。ムカつくがこれはしょうがない、今の俺は「何故か不相応な場所にいる男」程度の知名度しかないんだから。

 

(・・・あーもう、ドウニデモナーレ!!)

 

「えー、どうも。警視庁の方から来ました、(一応)特別顧問のワタルです。今日ここにきたのは、皆さんが特殊生物と呼ぶ存在について説明するためです」

 

俺の言葉に、穏健派・過激派両陣営からざわめきが起こる。俺の出演は急な話だったんだ、話す内容についても全部うみちゃんのカンペ頼り。一旦落ち着くまで待ち、静かになったところで説明に入るーーー

 

「待て!何を言っている、あの生物に関しては全ての詳細が不明という話ではなかったのか!?」

 

(・・・はぁ?)

 

そこで不意に、過激派の席に座る人物の1人、見るからに自己顕示欲の強そうなガリガリの禿げたどっかの教授が喚き散らす。その表情は必死そのもので、何故かこちらをバカにした様子ではなく驚愕の色が大きかった。

 

「えー、それについても説明いたします。どうかご静聴頂ければと・・・」

 

「ええいうるさい!どうなんだ!何故貴様がポケモンについて知っているのだ!」

 

「ですからそれは・・・なんですって?」

 

今、この人・・・いや、ジジイはなんと言った?

 

「・・・チッ、余計なことを」

 

おい、過激派筆頭のジジイ。お前の方もなんで、なんでそんな舌打ちをする?

 

「・・・何故ポケモンという名称を知っているのですか?今から発表するつもりだった、まだ公になっていない情報を何故知っているのですか?」

 

俺の言葉に、禿のジジイの顔が真っ青になる。周囲の他の研究者の様子をサッと眺めるが、そんな顔をする人間は他にはいない。皆「ポケモンか・・・」「何が語源の名称だ?」など言っており、初めて知ったように見える。

 

「えっと、それは・・・その・・・」

 

「何故です?どうやって知ったのでしょうか?・・・答えられないんですか?」

 

「う・・・うぅぅう〜〜!!」

 

怒りの感情の昂りで、声が段々と低くなっていくのを自分で感じる。相手の方は、頭を掻きむしりながら忙しなく視線を泳がせていた。

 

「え、え〜、何やらおかしなことになっておりますが、ところで、ポケモンっていうんですね〜!なんとも言えないですがいい呼び方だと思いますよワタクシ!」

 

場の空気が妙なことになっているのを感じ取り、司会が慌てて話題の転換に走る。明らかに引き攣った笑みではあったが、それでもカメラへ向ける顔は常に笑い続けているのは、芸能人としての意地だった。

 

「落ち着いて下さい◇◇さん。まだあなたの順番ではないでしょう。これから説明してくれるというのです、楽しみにお聞きしましょう」

 

「!そ、そうですね!私の番ではありませんでした、失礼しました」

 

「まて!まだそいつへの質問がまだだ!逃げるんじゃねぇ!」

 

筆頭のジジイの言葉にハッとして、そそくさと座ろうとする禿に思わず叫ぶ。だが相手は取り合おうとせず、座ったまま無視を決め込んでしまった。そこで完全に切れて、マイクを机に叩きつけるように置き卓を乗り越えようとする。

 

「上等だ、そっちがその気なら・・・!」

 

「ま、待てワタルくん!生放送だぞ、この場でのソレは不味い!」

 

「でも!」

 

小声で叫びつつ引き止めようとしたオーキド博士に肩を掴まれる。言っていることはわかる、生放送で全国区へここの映像は流れている。こんな場で相手をぶん殴ってしまえば、この後の俺の意見も発言も「生放送でキレ散らかした変な奴」として無意味なものになる可能性がある。

 

「どうしました?ぜひ教えて下さい、あなたの知るという情報を」

 

(こンのクソジジイども!!)

 

受け取り方によっては煽りにも聞こえるように過激派筆頭のジジイが行ってくる。失言したのだろう禿もソレに便乗してニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。もう我慢ならん、と俺がオーキド博士の静止を振り切って飛び出そうとした時だった。

 

「アホかー!!」

 

「えっ?ブベラッ!?」

 

ニヤついていた禿ジジイの顔面に拳がめり込み、椅子から転げ落ちる・・・どころか吹っ飛んでカメラへ激突した。

 

「「「「「・・・え?」」」」」

 

俺やオーキド博士、相手の筆頭ジジイにカメラマン。穏健派過激派その他含む全ての人間が呆気に取られる中、失言禿クソジジイを吹き飛ばしたグーパンチを振り抜いた体勢のままだった人物が、そのピンク色のおさげを振り乱し、普段のテレビでは快活そうな笑みを浮かべているその顔に般若のような形相を浮かべて仁王立ちした。

 

「オンドリャこのクソジジイ!あんたあんだけ騒いどって弁明なしとか視聴者舐めるんも大概にせんかい!釣り師ニキが聞いとんやろが!ウチも含めてスレ民ぜんっいん敵に回したで今ァ!うみちゃんの配信を見習わんかい!というか一日100回以上は見とけアホンダラァ!」

 

白いホットパンツと黒い靴下という本人の快活さと明るさを表したようなその服装は、彼女のアイドルとしての正装。縦横無尽にステージを駆け回り、時折おバカっぽい発言もするお茶の間のアイドル。しかして今のその姿は、怒りのあまりタガの外れた発言と合わさり触れれば炸裂するダイナマイトのよう。そんな彼女のキャッチコピーは、「ダイナマイト プリティ ギャル」

 

「ウチの前でアンタに嘘も誤魔化しも許さんで!さぁ、さっさと質問に答えるんや!」

 

そう言ってふんぞり返る少女・・・『アカネ』の姿に、ワタルは望外の味方を見つけて喜ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?スレ?ニキ?」

 

一方スタジオ内で見ていたマネージャーは、担当アイドルのその醜態に頭をかかえて隅っこで蹲るのだった。




スレ民招集
謎の少女登場(御三家初登場)
失言クソジジイとキレるワタル(釣り師ニキ)
とうとう出てしまった例のアイドル型トラウマさん
さぁて、またちょっと書いてて楽しくなってきた・・・(*´ω`*)

失言禿クソジジイ
今回過激派で出てきた研究者(ジジイ)。この放送の後、最悪のしくじりで過激派筆頭に切り捨てられる予定。次回には墓穴を掘って寝てるかもね。

過激派筆頭クソジジイ
オーキド絶対ぶっ潰すbot。今後まだ出番があるかもね。(いい出番とは言ってない)
割と有能で、研究者としてはオーキド博士とタメを張る。ただオーキド博士が絡むとぶっ潰すbotと化す。

例のトラウマアイドル
関西弁のお茶目なアイドル。普段から可愛こぶっていた本性が今回で露わになり燃えた。なお、「変にぶりっ子するより良い」ということでこれまで以上のファンを得て本人は大爆笑する。マネージャーは引っ張り回されて泣いてる。実はとあるスレ、とある配信で・・・?

主人公無双系の物語を書くとき。主人公側を無能にするか、それとも主人公の周り、もしくは敵を無能にしがち。というのをどっかで聞いた気がしゅる(´・ω・)
・・・強敵とか好きだから敵側を超有能にすればいいのでは・・・( ゚д゚)!?
そんなわけで我々は真実を掴むため、富士の樹海の奥地へと向かうのだった・・・。

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