TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・   作:コジマ汚染患者

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どうも、エタエタの実の全身エタり人間です。
大体2年ぶりだな……(震え)
まだストックが微妙にできてないけどこれ以上更新しないのは私の精神的にアレなので……エタらせねぇ、エタらせねぇぞ!(鋼の意思)
千代ちゃん「もう多分誰も話覚えてないと思うよ」


第46話

これは夢だ。

初めに感じたのはそんな感覚だった。いるのは俺の家だ。体は透けてて、よくある幽霊みたいな感じだな。

そんな幽霊のような俺の目の前には泣き腫らした顔をパソコンに向けながらぼーっとしている俺自身と、その後ろで心配げにみている相棒たち(ポケモン達)

 

『……データに問題はなさそう?いや、ほぼ素人の俺じゃあ分からないレベルの何かがあるのかも。マサキさんに見てもらった上でこれならシステムに何かウイルスがあるとかでもないんだろう。じゃあなんで急にミカが締め出された……?本人の意思で出たとは考えづらい、それに前からこのシステムには不明な要素も多かった訳だから……』

 

必死になって慣れない手つきでキーボードを叩き、画面に流れる複雑な文字の羅列を忙しなく見ていく。そうだ、イギリスへと飛ぶ数ヶ月前。俺がレンジャーに入ることを断った後位の事だ。

ミカが何故かボックスから出てきており俺の手持ちのポケモン全てがパソコンから自動で引き出されていた。しかもそれに気づいた時には、ボックスそのものが機能を停止し預けることもできない状態に。

慌ててマサキさんに連絡して原因を調査してもらったが、帰ってきたのは申し訳ないという表情と原因不明だという結果だけ。

そんなことがあって、俺の毎日の日課にこの預かりシステムをいじる事が加わることとなった。

 

『……だめだ。やっぱり俺一人じゃ無理だ……』

 

『フゥ……』

 

『あ、ごめんごめん、ご飯だったね』

 

『ライライ……』

 

『バッ、クロバッ!』

 

『ライ、クロ……。みんな、ありがとな。じゃあすぐにご飯用意するな?』

 

ポケモン達が気を遣ってくれてるのが痛いほど伝わってきて、慌てて笑いかけながら席を立つ。・・・俺は上手く笑えているのだろうか。もっと、この子達を安心させられるように頑張らないと…そう思いながらライを抱き上げ、肩にクロが乗ってミロやデオキシス、ミカが各々部屋を出ていく。ツボっちは部屋の隅で寝ていた。こいつはまぁ平常運転だからいいか。

 

ピロン

 

 

『あ、メール……え?』

 

最後に俺が部屋を出るため、ドアノブへと手を伸ばした時だった。不意にパソコンがメールを受信したことを知らせる音が響く。マサキさんとは何度かメールでやりとりをしていたし、配信の方で対応しきれなかった相談事とかも視聴者から届くため、きっとその類だろう。ひょっとしたら、マサキさんの方でシステムの不調について何かわかったという知らせかもしれない。題名だけ見て返信は後にしよう、そう思いつつ再び席に座りメールを開く。

 

『これは……でも何で急に?』

 

しかし、届いたメールは想像していたどれとも違うものだった。だが、そこに書かれていた題名は俺の心を大いに揺さぶった。思わず腕の中のライを置いてパソコンへと飛びつくほどには。

驚いたライとクロがポカンとしているのを横目に、拡大されたそのメールを慎重に確認する。

 

 

 

【君の母親を知っている】

[君の母親について知りたければ、イギリスへ向かえ。手がかりが欲しければ、〇〇大学の考古学研究室のナナカマドという博士を尋ねるといい。君の力になってくれる存在が見つかる]

 

 

 

突然のそのメールは、とても簡潔な内容であり、差出人不明という異質さを見せていた。返信しようにも、何故か存在しないアドレスとなっておりコンタクトを取る事はできない。

何故イギリスなのか。何故、ナナカマドという博士が手がかりなのか。そもそも、知っているのなら何故このメールでは教えてくれないのか。

ありとあらゆる面で、信用に値しない情報だ。差出人の意図もわからないし、わざわざイギリスへと行かねばならないという点も、俺の中に忌避感を抱かせた。

今の俺は身柄を狙われたことのある重要人物として国が保護しようと手を回しているとキョウさんやタケシさんから聞いている。一人で派手に動くのはもう難しいだろう。

それに、家にはバンギラスなどの俺が保護したポケモン達もいて世話をせねばならない。保護したものの責任として、それを放棄するわけにはいかない。

 

『……なのに、なんで。俺は……』

 

そっと胸のあたりへと手を当てる。イギリスという言葉を見てから、胸の奥が熱い。何か言いようのない焦りや悲しみといった感情が溢れてくる。何がこの体を、『うみ』を突き動かしているのか。母親に会う事ができれば、それが分かるかもしれない。

 

メールの内容を読み終え、削除ボタンへとカーソルを合わせる。……だが結局、俺はボタンを押す事ができなかった。言いようのない感情を押し込めることはできず、結果俺の手はキーボードを滑り、イギリス行きの方法についての検索を始めるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「大学に行きたい?」

 

「はい。観光ついでに、折角なので海外の学校の様子とか見れたらなーって。……ダメですかね?」

 

イギリスへと渡る理由となった夢を見た翌日。大学へ向かうというナナカマド教授と、お酒で醜態を晒した事で若干しょぼんとした様子のシロナさん、俺に食べさせるため腕によりをかけて作ったと笑う教授の奥さんの3人に囲まれながらの朝食をいただく中で、教授へ大学に行きたいとお願いする。

結局、あのメールの差出人はわからないままだがこうして入国早々に教授やシロナさんと出会えたのはある種の運命だろう。まだ完全に信用したわけじゃないが、あのメールの内容以外に手がかりはない。ひょっとしたら、あのメールが示していたのはナナカマド教授ではなく、何か別の手がかりが教授の近くに……大学にあるのかも。

そう考えた俺は、教授に許可を求めた。こっそりついていくとか、ライ達の助けがあれば忍び込むことも余裕で可能だろうけど……勝手に入るのは流石にまずいだろうし。なによりバレたらシロナさんや教授に迷惑がかかる。

 

「ふむ。私としては構わない、ぜひ研究室に来るといい……と、言いたいところなんだがね。残念だが今は無理だろう」

 

「?何か、トラブルでもあるんですか?」

 

「ああ」

 

トーストを齧りながら尋ねると、教授は神妙な表情で頷く。俺の隣に座っているシロナさんも険しい表情をしており、なにやら訳ありのようだ。深掘りしていいのか不安になる雰囲気だなぁ。

 

「うみちゃんは知っているかしら。最近世界中で話題になってる、ポケモンという生物」

 

「!……ええ、まぁ」

 

「うちの大学の施設の一つに、そのポケモンっていう生き物が住み着いちゃったらしくてね。政府や警察が対応に追われてて今は立ち入りが制限されてるのよ」

 

……そうか、ポケモンの影響か。イギリスでもやっぱり起きているようだ。話を聞いてみると、どうやら鳥の姿をしたポケモンの群れが大学内で巣を作っているとのことだ。興味を持った学生がちょっかいをだし、それによって興奮状態になってしまったポケモン達によって巣の周囲は酷い有様になっているらしい。

 

「幸い人的被害は軽微らしいから、大学に入ることは制限されてないんだがね。流石に部外者を招き入れることはできん状況だよ」

 

「うへぇ、でもそんな状況でも大学の授業はやるんですね……」

 

「我々としても休校措置が妥当だとは思うのだがね。大学の上層部や警察等によると刺激しなければ安全であることは確認したということで休校まではいっていないようだ。講義は一部を除いて自主的に止めているがね」

 

大学っていうのも大変なんだなぁ。教授の話を聞きながらサラダを食んでいると、元気を取り戻したシロナさんがにっこりと笑いながら手をポンと合わせる。

 

「そういう訳で、うみちゃん!大学へ行きたいなら問題が解決した後に連れて行ってあげるから。ちょうどいいし、私と一緒に観光に行きましょう!案内するわ!」

 

「シロナ君?君はまだやるべきレポートが残っていると他の教授に聞いているんだが?」

 

「……お願いします!なんとかごまかしておいてください!」

 

「教授に言うことではないだろうその発言は」

 

「そーですけどぉ……うみちゃんと一緒に遊びに出たい……ダメですかね?」

 

「だめだ。やることはちゃんとしなさい」

 

教授とシロナさんが言い合っている間に、俺は頭の中でどうするか考える。預かりシステムが機能していない現状、俺のてもちはいつもの相棒たちのみ。

レベル的に考えればよほどの大物が相手じゃない限りは『制圧』できるだろう。つまり、シロナさん達の大学に行けば、問題は解決できる。

……だが、今俺がいるのは日本ではない。ここで俺がでしゃばったところで、良いことはないかもしれない。ここは大人しく、大学の方の騒動が治まるのを待つ他ないか。

 

「うぅ……ごめんねうみちゃん。また今度のお休みに案内するから、今日は私は学校に行くことにするわ」

 

「はい、分かりました。シロナさんも頑張ってきてくださいね。俺、一緒に出かけるの楽しみにしてますから!」

 

「……やっぱり、教授には病気って伝えて今日一緒に」

 

「シロナ君?」

 

「何でもないです……ハイ」

 

心底残念そうなシロナさんに苦笑しつつエールを送る。尚も未練がましくナナカマド教授に視線を送っていたシロナさんだったが、結局眉をひそめて名前を呼ぶ教授に睨まれ、肩を落とすのだった。

 

「フフフ、心配しなくてもシロナちゃん、楽しみができて良かったじゃない」

 

「そ、そうですけど……折角だし一緒にショッピングとかたくさんしたいじゃないですか」

 

「うーん、じゃあ次のシロナさんの休日の日に、一緒に出かけてくれませんか?町の案内ってことで」

 

「!ええ、任せといて!良いお店知ってるから!」

 

急激に機嫌を直したシロナさんに、教授の奥さんと俺は顔を見合わせて少し笑い、ナナカマド教授はやれやれと肩を竦めていた。

その後、朝食を終えた俺は教授の奥さんと一緒に、次の休日にすることについてウキウキで考えているシロナさんと、それを呆れた様子で引っ張っていくナナカマド教授が大学へと向かうのを手を振って見送ることとなった。

 

「では、行ってくる」

 

「ええ、気を付けてね」

 

「シロナさん、いってらっしゃ……あの、い、いい加減放してくださいよぉ」

 

「もう少し。あと10分ほど。まだうみニウムが補充できてないわ」

 

「なにそのいかがわしい成分!?」

 

うぅ、なんだかシロナさん自分のポンコツっぷりがバレてから遠慮なくなってないか……?そんなことを考えていると、外出の準備を進めていた教授の携帯端末が着信音を発する。相手は友人か何かのようで、教授は電話に出て少しの間は楽し気にしゃべっていたが、段々と表情が険しくなる。

 

「……そうか、わかった。いや、ありがとう、では」

 

「……?どうしました?」

 

「シロナくん。()()()

 

「!」

 

「?」

 

仕事……?何のことだろう、シロナさんは大学生だって言ってたし。バイトか?と俺が首をかしげていると、抱き着いてきていたシロナさんが真剣な表情で頷き、先ほどまでの姿からは想像できないほど機敏に準備を済ませ、教授の車に乗り込んでしまった。

 

「あなた……またなの?」

 

「ああ。帰りがいつになるか分からん。すまないが夕食は二人だけを想定しておいてくれ」

 

「分かりました。でも、あなたもシロナちゃんもどうか無事でね?」

 

「大丈夫ですよ奥さん。無茶をするつもりはありませんから」

 

教授と奥さんが何やら不穏な会話をしている。不安そうな奥さんの肩へ手を置いた教授が安心させるように頷き、車の中からシロナさんも声を上げている。……仕事って、なんだ?

口を挟めるような空気でもなかったため黙って二人が車で去っていくのを見送り、そっと教授の奥さんに尋ねる。

 

「あの、お仕事って?教授もシロナさんも、大学の人、ですよね?」

 

「ええ。でも、それだけじゃないのよ。……あの人も、シロナちゃんも」

 

そう言って、名残惜しそうに二人が去っていった方を見ながら、教授の奥さんは不安げな表情を浮かべていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「今回は何が?」

 

車の中でカバンを開け、中身を漁る。…おかしいわね、最近はこの中に入れているはずなんだけど。

もう何回目になるのかもわからなくなるくらい行っている()()だが、相変わらずこの感覚には慣れない。私の問いかけに、視線は前から動かさずに教授が答える。

 

「大学の敷地内だ。ちょうど今朝話していた鳥型のポケモン。あれが大規模な移動を開始したらしい」

 

「なるほど。それで私ですか」

 

納得だ。私以外にも現在この国には何十人も存在しているというのに、学生である私へと一足飛びで仕事が来たというのが疑問だった。

そりゃ、自分の所属する大学なんだから私が連れて行かれるわよね。

 

「ええっと。ID、ID……あ、あら?」

 

「おいおい、勘弁してくれないかシロナくん?今から取りに戻っているような時間はないぞ」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいね……?あ、あった!大丈夫ですよ、あはは……」

 

「……帰ったら部屋の掃除もしてもらうぞ。妻に監督してもらう」

 

「うぐぅっ!?」

 

予想外の流れ弾だ。ま、まぁ大丈夫。ちゃんと今朝服も本も片づけた(当社比)し、大丈夫……。

このままじゃマズいと、話の流れを変えるため先ほど見つけ出したIDカードを眺めながら教授へと声をかける。

 

「それにしても、どうしてこうまで厳重に管理するんですかね……」

 

「……仕方あるまい、まだこの国では管理体制も、設備も、まるで足りていないんだ。問題が起こらないように管理するためには、今のところはこれが最善という考えだろう」

 

「……そう、ですかね」

 

よくある免許証のような形に、私の顔写真。ついで住所に氏名、電話番号まで載せられたそれを真上に持ち上げて眺める。裏面には英国の国旗マークと、絶対に読むことを想定していないだろう、と思える小さな文字の羅列。その一番下、最後の一行を見る。

 

『ポケモン保有者としての資格を認める』

 

「私は……あの子ともっとずっと一緒に居たい。ただそれだけなのに……」

 

そう呟いた私の言葉に、教授は肯定も否定もせず、ただアクセルを更に踏み込んだ。




言い訳的みらいよち返答↓
Q.2年くらい何してたの?
A.転職したり、ウマ娘で飯テロしてた。

Q.最近どっちも更新してないけど?
A.全て私の責任だ。だが私は謝らない

Q.これからは定期的に更新できるの?
A.定期更新?はっはっは()

次の更新は明日の22時を予定してます……実家に帰りた(ry

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