TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・ 作:コジマ汚染患者
「両方」やらなくっちゃあならないってのが「作者」の辛いところだな。覚悟はいいか?俺はまだだ(´・ω・`)
というわけで、第5話です(´・ω・`)
コイキングを釣り上げた翌日。俺は今度は、持てるだけ必要なものを持って山の方へとやってきていた。
「でもおじいちゃんも来るとは思わなかったなぁ・・・」
「何を言っとるか。ふらっと出て行く前科もちじゃろうがうみちゃんは」
そう、山に入るとおじいちゃんに伝えたところ、行ってはいけないと言い出してしまったのだ。
「前も夜に出歩いて危険な目におうたんじゃろうが。それに山は素人がむやみに入るところじゃないんじゃ」
正論を並べられぐうの音も出ない状態になった。それでもどうにか説得して、おじいちゃんがついてくることを条件に山に入ることを許可してもらった。
「しかし、なんで山に入りたいんじゃ?わしが言うんもなんじゃが、何もないぞ?」
「調べたいことがあるんだよ。・・・何かに会えるといいんだけど」
「獣か?ダメじゃ、猪や熊以外にも、危険なもんはぎょうさんおる。何にも会わんのが一番じゃろうが」
軽く怒ったようで、護身用に持ってきた鉈を担ぎ俺を優しめに小突くおじいちゃん。
「でも、それじゃあダメなんだよ。山の状況を調べておかないと、大変なことになるかもしれないんだ」
「よく分からんが・・・その手に持っとるかめらもその為か?」
今回俺は、配信しつつの山上りは流石に危険だと思い、記録用にビデオカメラを用意した。背中のリュックには、ロープや非常食、十徳ナイフなど、おじいちゃん監修の元用意したサバイバル用具が詰まっている。ライはと言うと、パンパンになったリュックの上に鎮座している。・・・流石に重いんだが。
「じゃあ入るぞ」
「うん」
真剣な顔になったおじいちゃんにつられ、こちらも気を引き締める。そして、おじいちゃんが先頭に立ち山の奥へと進むのだった。
「何も出ないね」
「最初にゆうたじゃろうが。何もないのが一番よ」
山を探索して2時間ほど。渓流へとたどり着いた俺たちは、お昼を作りつつ休憩していた。
結局半日調べて結果は遭遇0。ポケモンにも他の獣にも合うことはなかった。獣はともかく、ポケモンに会えないと言うのは少し焦る。
神(自称)は「ゆっくり変化していく」と書いていた。しかし、既に人を襲い始めたポケモンがいるかもしれない以上、それを俺はほっとけない。俺はポケモンが好きだ。しかしこのままポケモンが『害獣』として認識されてしまえば、そこから先はポケモンと人との争いだ。そんな形の関係なんて俺は嫌だ。だからこそ、不安要素は消しておきたい。
「ごめんおじいちゃん、もう少し調べてもいい?」
案内役兼お目付役のおじいちゃんに頼むと、おじいちゃんは渋い顔をしつつも頷いた。
「・・・片付けをしなさい」
「・・・!わかった!」
そうしてうみが午後の探索の準備をしているなか、ガンテツは周囲を戸惑いの表情で見回していた。
「・・・どうしたの?」
「いや・・・。うみちゃんは早く準備しなさい」
うん、わかった。そう言って作業を続けるうみを見つつ、ガンテツは思案する。
(流石におかしい・・・。確かに獣に会うのは危険じゃし合わないに越したことはないが・・・この山は別に手入れが行き届いとるわけでもない。普段なら小動物程度であれば遭遇するはず・・・)
「なにより、なぁ・・・」
ガンテツは自分が座っている倒木の後ろを見る。うみは気づけなかったが、そこにはまるで砲弾か何かに貫かれたかのような大穴が開いた木があった。
(やはり危険だ。今すぐうみを連れて帰るべきだ)
頭の中の理性が叫ぶ。やはり帰ろう、そううみに言い聞かせようとしたその時。
ガサッ・・・
「!!」
ガンテツの後ろで草が揺れた。とっさにうみを守れるよう近くへ走る。
「おじいちゃん?」
「静かに!何かおる・・・!」
鉈を抜き、慎重に草むらへと向けるガンテツ。後ろでは、うみがガンテツの言葉に驚き、無意識に背後へ隠れようとする。
ガサガサッ・・・ザザッ
「・・・!?こいつは、いったいなんじゃ!?」
現れたのは、全身が鎧のようなものに覆われた得体の知れない生き物だった。そいつはこちらをじっと見ている。
「ようわからんが、とにかくうみちゃん。逃げんさい」
刺激しないよう小声で囁くが、返事がない。どうしたのかとちらりと振り返ると、そこには顔面蒼白でガンテツの服を掴むうみがいた。
「どうした、怖いじゃろうが、とりあえず逃げんと・・・」
「・・・おじいちゃん。逃げよう」
「ああ、わしも後から逃げる。ちゃんと追いつくから、早くお前だけでも・・・」
「違う!あれはサナギラス・・・!山すら崩せる力を持ってる!そんな鉈じゃダメだ!逃げないと!」
錯乱気味に叫んだうみに反応したのか、サナギラスがこちらへ向けて前傾姿勢をとる。
(あれは・・・確かサナギラスの特徴は・・・!!やばい!)
「おじいちゃん、横に飛んで!早く!」
「!?」
さっとガンテツに指示を出しつつ飛ぶうみと、反射的に横っ飛びするガンテツ。
すると先程まで2人がいた場所を、高速でサナギラスが通り抜ける。
「か、間一髪・・・!」
「なん・・・という・・・」
なんとか避けれたことに安堵するうみと、後ろのサナギラスを見て絶句するガンテツ。
そこには、突っ込んだ衝撃で大穴の空いた木と、その先でサナギラスがめり込み巨大なヒビの入った岩盤があった。サナギラスは、自身の背後から圧縮ガスを噴射して高速で突っ込むことができる。それに加えての鎧のような体。それが生み出す結果は見ての通りである。
「逃げよう、おじいちゃん!」
「っ、お、おう」
うみの言葉に頷くガンテツ。急いでその場を離れる2人に、ライも流石に状況を読んで、横っ飛び時にリュックから飛び降りたまま2人を追う。
その後ろでは、完全に2人をロックオンしたサナギラスが、岩盤から這い出て少しずつ追いかけてくるのだった。
「・・・どうじゃ!?」
「・・・ダメ!まだ来てる!」
サナギラスから一心不乱に逃げる2人。しかし、その背後から木の倒れる音が近づいてくる。どうやらサナギラスは先ほどと同じように突撃を繰り返しつつ追いかけてきているようだった。
「・・・しょうがない!」
うみは突然サナギラスの方を向いて立ち止まる。それに驚くガンテツ。
「何をしとる!はよう逃げんか!」
「おじいちゃんは先に行って!俺とライであいつを止める!」
「いかん!あんなものを食らったら一たまりもないぞ!」
なんとかうみを連れて逃げようとするガンテツだったが、次のうみの言葉に固まる。
「このまま逃げてたら、あいつが住宅街まで来ちゃうよ!」
「!」
もしもあの化け物が人の住む圏内までやってきてしまったら。木どころか岩盤を破壊するほどの化け物だ。想像するだけでもゾッとする。
「しかし・・・!」
だがガンテツにとって、もはやうみは本当の孫のようなものである。そんな彼女をおいて逃げることはできない。
「・・・きた!」
ガンテツの葛藤をあざ笑うかのように、木々をなぎ倒しつつサナギラスが追いついてくる。猪や熊よりも小さいというのに、今やその姿を見るだけで恐ろしい。
「ライ!準備はいい!?」
「ライ!」
臨戦態勢に入ったライ。それを見たサナギラスは、先程まで感情の見えなかった動かない顔に驚愕の雰囲気を纏う。そして次の瞬間には、ライを敵と判断したのか、うみとガンテツから視線をそらす。
「フーッ」
「・・・」
そうして、ライとサナギラスとの間に緊張が走る。あたりが静寂に包まれ、見守るガンテツとうみの間にもプレッシャーがかかる。
「・・・!」
「ライ!『かげぶんしん』!」
最初に動いたのはサナギラスだった。先程と同じように高速での体当たり。対してうみは、サイドン戦でも使ったかげぶんしんでの撹乱を狙う。
「・・・!」
「ラッ!?」
「!ライ!?」
しかし、サナギラスは3匹に別れたライたちの中から、あっさりと本物を見分け、弾き飛ばしてしまう。幸いにも、ライは吹き飛ばされた先にあった枝を器用にも尻尾でつかんで耐える。
「・・・」
「!?しまった!?」
しかし、サナギラスはゆっくりとうみ達の方を見る。吹き飛ばされたライは、サナギラスを挟んで反対側だ。
(まさか、あえてあっち方向に吹き飛ばしたのか・・・!?)
まさかの事態に固まるうみ。と、またしてもサナギラスが高速での体当たりを敢行する。その狙いは当然のごとくうみ達。ライも慌ててこちらに戻るが、距離が離れすぎていた。
(完全に舐めていた・・・!相手が野生だからと油断してた・・・!)
トレーナーの付いていない野生のポケモンだからと、どこかこちらが有利だと慢心していた。しかし今となっては後の祭り。サナギラスの突っ込んでくるのがスローモーションで見える。
(これが走馬灯なのかな・・・ごめんなさい・・・おじいちゃん)
自身のわがままに付き合わせて、危険な目に合わせてしまったこの世界での祖父へと心の中で謝るうみ。もう当たる、という距離までサナギラスがやってきた時だった。
「おおおおおおおあああああ!」
「っ!?おじいちゃん!?」
「・・・!?」
ガンテツがサナギラスとうみの間に入り、持っていた鉈の側面で防御しようとする。しかし、そんなものでどうにかできるような体当たりではなく、2人とも吹っ飛ばされてしまった。
「おじいちゃん!」
「・・・かはっ!」
吹っ飛ばされた2人は、ちょうど背後にあったなだらかな崖から転がり落ちて行き、やがて茂みの中へと入っていった。
「ラァ!!」
「!?!?」
それを見て怒りの形相になったライは、追いつくと同時に『かわらわり』を、隙だらけのサナギラスの横側面に叩き込む。油断していたサナギラスは、効果抜群の一撃を受け、吹き飛ばされる。
追撃しようとしたライだったが、まずはパートナーの無事を確認せねば、と急いで崖を下っていくのだった。
「全治3ヶ月ですね」
サナギラスとの遭遇の後。吹き飛ばされ、崖から落ちた俺たちは、サナギラスの追撃を逃れ急いでおじいちゃんを隣町の病院へと連れていった。結果は右腕の骨折と肋骨一本にヒビ。サナギラスの体当たりをまともに食らってこの結果なら、奇跡的といっていい結果だろう。
「にしてもガンテツ爺さん、あんたも歳なんだし、山で遊ぶんはほどほどにしときいよ?」
「はっはっは、耳がいたいな」
サナギラスのことを正直に話すわけにもいかず、山で孫と戯れていて誤って崖から転落、という話になっていた。
診察を終えて病室から顔見知りの医者が出て行き、ガンテツは傍らでずっと黙っていたうみを見る。
「・・・なんじゃ、その辛気臭いツラは」
「・・・」
勤めて明るく話しかけるが、うみは俯いたまま何も言わない。窓の外へと目を向けつつ、ガンテツは呟く。
「これはお前のせいじゃないぞ」
その言葉に弾かれたように顔を上げるうみ。その目の周りは泣きはらしたかのように赤くなっていた。
「だって!俺が、俺が山を調べるって言ったから・・・!」
「ライ・・・」
そう言ってまた泣きそうになるうみと、それを心配そうにリュックの中から見つめるライ。病院内ではリュックに隠れるよう言われていたので近くには行かず、リュックの中から心配げに見ている。
ガンテツはまた俯いたうみの頭を、無事な左手で撫でる。
「それでもお前さんは、自分じゃのうて他の住民のことを考えとった」
「!」
「あんなのがおるなんて誰も知らんじゃろうや。あれは避けられん事故じゃったっちゅうことじゃ。でもうみはあのとき、自分が逃げることで他の人が襲われることを良しとせんかった。・・・うみ、お前は優しい子じゃ」
そう言って撫でてくれるガンテツ。呆けたような顔で聞いていたうみだったが、すぐに顔をくしゃっと歪ませて、泣き出す。
「ふっ・・・ぐっ、ぐぅっ・・・」
「よしよし、泣いたらええ。今はしっかり泣いとけ」
その後、面会時間が終わるまでうみはガンテツの元を離れようとしなかった。
「・・・ライ」
「チュゥ?」
自宅へと戻り、1人の夜を過ごしていたうみ。リビングのソファで喋ることなくじっとしていた。しかし、おもむろにライへと話しかける。
「あいつに、勝てる?」
「・・・」
あいつ、と言うのがサナギラスを指しているのはライにもわかった。サナギラスはタイプいわ・じめん。サイドンと同じく、ライのでんきわざは効かない。こちらが圧倒的に不利。しかしそれでも、うみはライを連れて行くつもりだ。うみの真剣な顔を見て、ライは元気よく頷いた。
「ライ!」
「・・・ありがとう」
そっと微笑むと、ガンテツからもらったサバイバル用品をリュックへと詰め直す。
そしてパソコンを立ち上げると、すぐさま一つのファイルを開く。
「・・・力を貸して」
開かれたのは預かりシステム。頭の中に都合よく入ってきた使い方で、様々な機能をアンロックしていく。そして、ボックス内にある5つのボールの中からある一つをクリックする。そのポケモンの詳細が書かれているタブが開くと、その斜め上にあるマークをクリックする。
程なくして、パソコンの前にあるものが置かれる。それをうみは直ぐにライへと渡す。
「・・・行こう、ライ」
「ライ!ライライ!チュゥ!」
やる気満々なライを連れ、うみは家を出た。
目指すは、サナギラスのいた山。
「・・・リベンジマッチだ」
山のとある場所。そこには、悠然と佇むサナギラスの姿があった。サナギラスは、微動だにせずじっと木陰にいる。その身には、最後にライが与えた『かわらわり』のダメージか、若干の凹みがある。と、突然サナギラスは光りだす。目も開けてられないほどの光の中、サナギラスの姿が変わってゆく。手が生え、足が生え、尻尾が伸び、体自体がさらに大きくなる。2メートルほどのおおきさにまでなると、光が収まっていく。そこには、もはやサナギラスの姿はなかった。
「・・・ゴアァァァァァァ!!!」
暴君が、産声をあげた。
毎日投稿がここまで続くとは正直思わなかった・・・いやまあ行ける限りやるけども(´・ω・`)
次回、バンギラス戦です(´・ω・`)ノシ