TSしたらなんか相棒たちがいるんですけど・・・ 作:コジマ汚染患者
まだ見てくださる人もいるみたいでちょっと驚き、ちょっとモチベが戻ってきた。
なお完成度()
前回同様小賢しい仕込みをしてます。1度普通に読んでから、夜間モードにすると……?
あ、前回と同様の仕込みですので気づかなかった方は前話も夜間モードすると良いかも?
日本のとある警察庁ポケモン対策課「レンジャー」の事務処理部屋では、電話のコール音が途切れることなく鳴り響いていた。
「はいこちらポケモン対策課!……はい、はい、分かりました!今最寄りのレンジャーへ連絡をお繋ぎいたします!」
「今戻りましたぁ!次現場どこですか!?」
「あー、次も山!車はもう下にあるからお願いします!」
「はーい!イワークの休憩挟んだらでいいです!?」
「いやもう行って!今他の人手足りてないの!今すぐいかないと徹夜コースだから!」
「はぁ!?い、いやでも徹夜は……あぁもう!了解です!」
「頼んだ!今日はその案件だけで上がっていいから頼む!」
「はい、はい……えぇ!?ちょ、ちょっと待ってくださいね!?……タケシさーん!タケシさんいますー!?」
「あの人今現場だろ!?電話しろ電話!……いや待て、シゲル君今終わったって!繋ぐからそっちに案件回せ!」
「いえ、今タケシさんが注文したドミ〇ピザが届いたから受け取れと受付から……」
「「「「「追い返せそんなもん!!」」」」」
殺人的な量のポケモン関連の通報。それを受け止めるため、レンジャー結成から常に人員の増員が行われていた日本は、世界で最高の練度を誇るポケモン対応の専門家を保有する国として知られることとなった。
うみという、どこにも替えの効かない最強の
……なってしまった、とも言えた。
「おい、誰だフィリピンの電話繋いだ奴!?なんで一警察官に大使館の電話繋ぐんだいい加減にしろ!?」
「しょうがないでしょ!?日本にある大使館にはその倍以上連絡来ててパンク寸前なんだって!」
「だからってこっちに流されても困るってのになぁ……!
電話対応の職員たちの怒号は止まらない。他の国にはレンジャーのような専門家集団はいない。あったとしても、それは過去にうみが編纂したwikiなどの心もとない情報か、良くてうみが政府に届けた機密書類から主要各国へ提供された断片的なものを基に動く警察組織程度だった。
当然、そんなものでは実戦も経て練度が高まり続けた日本のレンジャーには遠く及ばない。進化前ポケモンや、大人しいポケモンの対応だけならまだ問題ない。そもそも被害が少ないからというのもあるが。
問題となるのは当然、凶暴性や毒性など、洒落にならない破壊力を持つポケモンや尋常ではない群れをつくるむしポケモンなどである。ポケモン発生が公然の物となって既に長い月日が経ったが、それでもポケモンの危険性を軽んじる者は多い。
各国でも、『しょせん動物』『やろうと思えば軍で対応できる』、そのような考えで動き手痛いダメージを受けたところが大半だ。無事であり、それでいてある程度の治安維持組織や部隊を確立できたのはせいぜい、アメリカや中国などの大国・主要国家だけである。対応できなかった主要国家にもあるが、そこが今どうなっているのかは一警察組織には
早い話が、『一番すごい日本に助けてもらおう、ウチじゃどうしようもない』ということである。残念ながら、過去にレンジャーの海外派遣まで話がいったことは無い。
「あー全く、嫌になるよなぁ。ポケモンについて一般にまで話が普及したせいで……せいで、はまずいか?」
「構わんでしょ、ポケモンがこんなに発見されるようになるんだったら秘匿したりする意味無いし、むしろ動きが遅くなって大変だったろう。……レンジャーの人らが今以上に少なかった、って考えたら?」
「うっわ、そりゃ無理だ。今ですら現場で稼働できるレンジャーの人たち行ったり来たりで地獄なのに」
「俺たちの電話対応や事務仕事なんて、実は割と恵まれてる方かもな……ん?」
世間話の様に愚痴をこぼしつつも、手は止めないで作業をこなす事務員や警察官たち。その時、大きな音を立てて事務処理室の扉が開いた。立っていたのはレンジャーの人員の一人だった。うみ達レンジャー発足時の人員ではなく、新隊員募集で採用された二期生の青年である。登録されている相棒はメノクラゲである。ワタルと同じ漁師の息子であったこの青年は、そのまんまワタルに自分を重ねてレンジャーに憧れて入隊してきた。その経歴や相棒となるポケモンの関係上、海での仕事に回されることが多い隊員だ。
「……!……!」
「お、落ち着け君。何かあったのか?レンジャーの待機場所は下の階のはずだが……」
慌てて走って来たのか、青年は苦しそうに咳き込みながら何かを伝えようとしていた。たまたま近くにいた職員が水を手渡すと、ひったくるように受け取りキャップを乱暴に開け、ゴボゴボと飲み干していった。
「……ぶはぁ!し、死ぬかと思った……!」
「だ、大丈夫か……?」
「ハァ、ハァ……!それどころじゃない!うみちゃん、いや先ずはキョウさんに!それと……政府にも!」
「お、おい!?なんだ、どうしたっていうんだよ?なんで、いや何を見た?」
血相を変えて食ってかかる青年に驚きつつも、異常事態の発生を予感した職員は、渡した水のペットボトルを取りつつ青年を落ち着かせようとその両肩を抑える。
しかし青年は、そんな職員の説得に答えることなくブツブツと何かをつぶやき続ける。職員に抑えられた肩が。いや、その全身が異常に震えていた。
「うみちゃんは……アレのことを言ってたのか……?いや、そもそもなんだよあんなの……!?デカいだけじゃない、あれはもう……同じ生き物か……!?」
「おい!だから、なんなんだ!君は何を見た!?」
らちが明かないと、職員が強めに青年のからだを揺する。流石にその振動に気がついた青年はハッとし、目の焦点が合う。
「お、俺はさっきまでいつもみたいに港での通報に対応してたんです……。いつも通りポケモンをメノクラゲに説得してもらったり、追い返したりしてたんですけど……」
「あぁ、確かに君は沿岸を主に派遣場所にされてたな」
「そ、それで!見て、見たんです!見てしまったんです!資料で、座学で教えられた特徴の通りだった……!でも、知らされてないぞ!?あんな、目視できる距離、陸地の近くにあの大きさで来るなんて、俺の目がどうかしてるのかと……!」
「……おい、おい待て君。まさか」
嫌な予感がして、話を聞いていた職員だけでなく事務処理室内部の人間全員が固まる。
「間違いなかったです……!嘘や見間違いはありえないです……!『でんせつ』です……!『でんせつポケモン』が、日本近海に!」
瞬間、事務処理室は。いや、その後数分後には、警察庁含むポケモンに対応できる日本の全ての組織が蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
カノモノハ マダ カエラナイカ
ツギハ モウ セマッテイル トイウノニ
ハヤク ツレテ イカネバ
カノモノ ハ モウ ジカンガ アトワズカ ダトイウノニ
「えーーーー……では、他人の研究室を借りての、キョウさんからの伝言伝えついでの説教を終わります」
「……いやはや、これはまた随分と」
「あっはhっははははh!!!」
「やめてあげないかアダム。いや、確かにこれはかなり……その、自業自得だが」
「ゑェェへへへ……ゴメンナサイィィ……」
日本から離れ、イギリスの大学研究室。そこには、正座して真っ白になったうみと、その前で仁王立ちしながら上司からの伝言メッセージ(原稿用紙5枚分)を読み終えたワタル。その横で優雅にコーヒーを飲みつつ見ていたナナカマドとアダムがいた。情緒が壊れたのか、ひきつった笑みを浮かべたうみは特徴的な美しい銀の髪が、灰化したかのような雰囲気を纏わせつつ正座した脚部から伝わる痺れを享受していた。
「……全く、俺もキョウさんから話聞いた時は呆れたよ。何やってんのこの大変な時に……」
「うぅ、すみません……」
半泣きなうみへと、ワタルは重い重いため息をこぼし、原稿用紙をリュックへとつっこみ今度はポケットへと手を突っ込んだ。
「じゃあ、次は大和大臣からね」
「まだあるんですかぁ!!!???」
「冗談だよ」
絶望の表情を浮かべたうみに、何も持っていない手をポケットから出しつつワタルがんべっとベロを出した。それに安心するやら気が抜けるやらで、うみは思わずへにゃりと体を前方へと倒す。
「説教タイムは終わり。色々と聞きたいこともあるけど……ほら、まずは日本に戻ろう。いい加減自覚しなよ、自分が超重要人物だってこと」
「あ、ちょっと待ってください足ガガガ……いや、知ってはいるつもりなんですけど……」
「じゃぁ自覚が足りないね。レンジャーの仕事でも絶対うみちゃんだけでは行かせないで俺や農家ニキがついていくのなんでだと思ってるの。戦力的には余裕でも、君の護衛が外せない理由とか、分かってる?」
「うぅ……」
ワタルからの、本当に心配していることが分かる言葉にうみは肩をすくめる。自分勝手な今回の旅行に余計な人員を割かせないため、というのは先程言い訳として言ったが、キョウの置き説教(言い訳を先読みされてカウンターの説教が出てきた)に封殺されているため何も反論ができない。
「……でも、待ってくださいワタルさん。今、ちょっと色々とあってこちらの警察とも話をしてるんです」
「はぁ?警察……?なんでイギリスで???」
「ふむ、それについては私も話に入った方が良いかもしれんな」
うみの言葉に困惑していたワタルに、傍観者だったナナカマド教授が手を上げた。そして、入国時のうみとの出会いから大学でのポケモン騒動と事後処理、ついでにうみが警部と行った取引についての説明を行った。
最初は真剣に聞いていたワタルだったが、うみが警部に情報提供とその他諸々の支援を取り付けた話を聞き天井を見上げ顔を手で覆った。
「……またこの、こんの頭幼女……いやもう疲れた、ツッコミたくない……」
「え、えへへ」
「笑いどころじゃない」
「はい……」
またしても自分から正座してしょげるうみを横目に、ワタルは教授たちへと頭を下げる。
「もうほんと、何から何まで申し訳ないです。こんなアホの子の世話してもらって……」
「いや、構わんよ。久しぶりに孫と戯れた気分で楽しませてもらったしね」
「僕としても、中々に素晴らしい出会いだったよ。むしろ出会えた奇跡にありがとう、かな?」
嬉しそうにそう言う二人に、もう何も言えなくなったワタルはじろりとうみの方を見て指をつきつける。
「うみちゃん!」
「ひゃい!」
「とりあえず、事情は聞いた。うみちゃんの母親の情報について、結果が出るまでは待つ。でも、結果が分かり次第さっさと帰るからな!あと!これからの行動は俺と一緒にしてもらうからな!流石にもう一人行動は許せん!」
「は、はいぃ!」
「……はぁ、分かったらもう言う事は無いよ。終わり」
その言葉に、うみは膝を崩して床でのたうち回る。そんな無様な姿を見つつワタルは用意された椅子に腰かけ、深い深いため息をついた。ナナカマド教授は新しくコーヒーを淹れたマグカップを用意し、ワタルへと渡す。
一方アダムは、苦しむうみの脚をツンツンして苦しむ様を楽しんでいた。
「ああそうだ、ワタル君、だったかな?ここに滞在中の宿泊先の当てはあるのかね?」
「え?ああ、一応泊まれるようにホテルは予約してますけど……」
「うみちゃんの護衛だというのなら、もしよければ我が家に泊まるかね?幸い、うみちゃんの部屋はまだ使えるベッドもある」
「え、いいんですか?でも、急な話でナナカマドさんのご家族にも迷惑なんじゃ……」
「いや、先程連絡したが家内はもう来ると思って喜んで夕食を用意しているそうだ」
「早すぎないです!?」
ナナカマドとワタルがそんな話をしている一方で、辛うじて足の痺れから復活したうみは改めてアダムと共に遺跡の写真や研究報告を眺めていた。
「んで、この文字が『あ』」
「ほうほう、分かりません」
「だよね。ちなみに本当は『あ』じゃなくてこの箇所だけで『私の名前』って意味だけどね」
「いや、知らない言語についてボケられても反応できないですって!」
あっはっは、と笑うアダムに頬を膨らませながら抗議するうみ。そんなことをしていると、不意に一つの写真に目が行く。
「もう……ん?」
「?うみちゃん、どうかしたかい?」
「あ、いえ……この写真、見ても?」
「いいよ~……げっ、それか」
「?」
少し気になったのでその写真を手に取ったうみは、一応許可は得とこうとアダムへと写真を見せる。すると、最初は上機嫌に説明や解説をしてくれていたアダムの顔が歪む。
一体この写真に何が、と思っていると、うみの後ろから話を終えたナナカマド教授とワタルが写真を覗き込む。
「うぅむ、その写真か……」
「え。あ、教授」
「……俺には何が何だかわからないな。何かの動物の絵か?」
「うむ、確かに動物なのだが……」
「それねぇ、今まで近いフォルムの生物は考えたけど、現存するどの生き物にも当てはまらないんだよ。だから、壁画を描いた何者か、若しくは描いた集団が何かの動物を見間違えたり、誇張して描いたってのが考えられるんだよねぇ」
そう言ってアダムが、うみの手から写真をそっと取り研究室に置いてあるホワイトボードへとマグネットで留める。
写真には、若干ひび割れた壁画の一部が写っている。文字はほぼなく、デフォルメされたアニメのような印象を与える生き物が二匹、描かれていた。二匹は向かい合うように描かれており、その周囲では人間のように見える絵が描かれており、どの絵も絶望して頭を抱えていたり、必死になって子ども?の手を取って二匹から逃げているように見える。
向かい合う壁画の片方は、四足歩行に突き出た後頭部、背中の大きな羽が特徴的だ。対するもう片方は、二足歩行で首は長く、背中には二枚の羽を広げている。
「……あれ?」
「?どしたうみちゃん」
「あ、いえ。何でもないです」
写真を眺めていたうみだったが、不意に妙な既視感を覚える。その感覚は、写真の中でも、特に中心の二匹の生き物へと感じていた。
その感覚は、知識として知っているからとか、映像や写真を見たとかの感覚ではなかった。どちらかと言うと、まるでここ最近、若しくはかつて実物を目にし、感じたかのような……
(どっかで見た……?ポケモンか?いや、この絵そのものはデフォルメが効きすぎて判断がつかない。でも、なんだこの、喉に骨が引っ掛かったみたいな変な違和感……)
コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス コロス
「っ、また……」
(また変な痛みが……なんなんださっきから)
「うーん、ワンチャン若い子の発想力とかでわかったりするかなって思ったんだがねぇ?」
「ふむ、しかしまぁそんなに頼るわけにもいくまい。これは私たちの仕事だろう」
「言えてるね。さて、それじゃぁこれについてはまた今度、という事にして……ワタル君だっけ?」
「あ、はい」
「君とうみちゃん、結局すぐには帰らないんだろう?」
「えぇ、まぁ……」
ワタルが戸惑いつつ答えると、アダムはそれを聞いてニヤリといたずらっ子の様に笑う。
「よし、じゃあ明日は時間をもらえるかな?連れて行ってあげよう、僕の権限で」
「連れて行くって、どこにですか?」
「おいおいうみちゃん?話の流れでわかるだろう?ここさ、ここ」
ハヤク コイ
「この写真を撮った、遺跡の調査にさ!」
「……ああ。……ああ。分かった、すぐに用意しよう」
「どうしタ?」
「ターゲットが動いた。明日、遺跡調査に同行するとのことだ。護衛もいるようだが、構わないだろう?」
「……あア。じゃア、そコを狙うんダナ?」
「そうだ。当日、遺跡内部に侵入し……」
あのクソガキを、コロせ。
「緊急事態!退避!退避ー!」
「早くしろ!遺跡が崩れる!」
「おい待て、なんだあれは!?」
「知るか、早くしろ!崩落に巻き込まれたら助からないぞ!」
「白……いや、灰色の……」
「!閉じ込められた!?いつの間に……!」
「な、なんで氷が……!?」
「さ、寒い……!急に気温が!?」
「ヒィ!?う、うしろぉぉ!!」
「は?……な、うわぁぁぁぁぁ!?」
『……………………』
アア、ヨウヤク クルカ
…………ン?
オイ、ナニ コチラヲ ノゾイテイル?
次回はまぁ、早ければ今月中にでもってことで何卒。
さすがに見づらいかもなのでここまで大袈裟な仕込みは今後しないです。大事な時にはするかもですが、そこは許して……