花火大会後になります。
皆様の反応をみて、続編を書くかは決めていければと。
「……暑い」
何度注意しても間違いは減らない、
それでも出会った時よりは幾分かマシな5枚の解答用紙に目を落として呟く。
夕立がなりを潜め、ひぐらしも遠慮がちになったというのに、日本の夏は容赦というものを知らない。
彼ー上杉風太郎は、この五つ子の将来を案じ、一枚、また一枚と解答用紙に朱を入れていく。
最後の五月の採点を終えた頃には陽も大分傾いていた。
背伸びをして携帯に目を落とすと、5つ子から銘々にメッセージが届いていた。
先の花火大会があってからというもの、5人からの連絡がしばしば来るようになったのだ。
確かに、次女の二乃を除いては、比較的打ち解けたように思う。
一人ずつメッセージを返していくと、
「むつみ : 今から会える??」
とのメッセージが通知された。
「時間はあるが、どこにいけばいい??」
と手短に返すと、
「いつもの公園で!!」
と簡潔な返事を得る。
汗ばんだ服を着替え、手短に支度を済ませると押っ取り刀の装いで家を飛び出した。
ー ー ー ー ー
(今日のオーディションはダメかなぁ…)
いつものように社長に車で送ってもらう時間に、ふと先程終えたばかりのオーディションに想いを馳せる。
朝方妹達に起こしてもらい、あわや遅刻かという時間に家を飛び出した一花だが、
今もたれ掛かっている車窓からは夕日が差し込んでいる。
思えば、彼がうちに家庭教師としてやってきて数ヶ月が経った。
つい先日の花火大会では、自分の将来について話すきっかけをくれた恩人にもなった。
自分の人生を振り返ってみてもこれだけ密にコミュニケーションを取った男性はいないだろう。
いつも5つ子として動いてきたのだから、当然他の姉妹も同様に感じているようで、妹の三玖に至っては恋心を抱いている節すら見受けられる。
一花も妹の健気な思いにあてられたのだろうか、いつしか自分も彼の事を考える時間が増えたように思う。
気を抜くと、出来の悪い私達に教えようと必死な彼の顔が浮かぶ。
いまだってそうなのだ。
一花は、少しでも気を紛らわそうと、夕陽を仰いでいた視線を街並みへと移す。赤信号なのだろうか。車の速度も少しずつ落ち、車が止まった。運転席では社長が信号待ちを苛立ち、頻りに窓ガラスを指で叩いている。
その時、一花は遠くに見える公園によく見知った彼の姿を見つけた。
嬉々としてメッセージを送ろうとして、メッセージを慣れた手つきで綴る。
「今、公園にいるでしょ(・Д・)
お姉さんにはなんでもお見通しなんだよ」
「送信」のボタンを押そうとして、ふと指を止める。
(えっ…)
彼に手を振って近づいてくる見知らぬ女の影を視界に捉えたためだ。否、捉えてしまったためだ。
次の瞬間、彼ー上杉風太郎は、その女を抱きとめた。
皆様のご感想などで今後を考えていきます。