遅すぎた恋心   作:めむみん

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更新が二日程遅くなり申し訳ありません。
今回はサキとめぐみんのやりとりがメインとなります。
感想において今回サキの神具とチートが明らかにと回答していましたが、ストーリー変更を一部行ったために、公開が少し先になるとお詫び申し上げます。
繰り返しになりますが、本シリーズではカズマの幼馴染が主人公であり、主人公の名前は独自の基準に基づき名づけられ、キャラ設定もまた独自設定であり、準オリジナルキャラクターであるため、苦手な方はご覧にならないことを推奨します。


招かれざる客

「やっぱり、咲希、なのか?」

 

彼は間違いなくそう言った。

つまり、彼は紛うことなき佐藤和真なのである。

となってくると私としては色々問題がある。

まず第一に大人になったカズマと会う用意はあっても同年代の和真と会う用意はない。

第二にこの仮住まいを和真によって追い出される可能性。

第三は最も大事なことで第一と被ることもあるけど、急に和真と会って緊張が高まり、平常心を保つのが精一杯。

今は何とか笑顔作れてるけど、いつまで持つかも怪しい。

そんな中、和真の質問に答えるべく首を縦に振ると、助け舟が出た。

 

「カズマ大丈夫か?それと二人は知り合いなのか?」

 

さっきまで一緒に話していたお姉さんだ。

固まって動かなくなっていた和真はお姉さんの確認でようやく口を開いた。

 

「あ、ああ。めぐみんありがとう。あとは自分で片付けるから袋持ってきてくれないか?」

「カズマ動いてはいけませんよ。まだ破片が散らばっているので、ダクネスあとは頼みました」

 

めぐみんはそう言うと部屋から出ていき、ダクネスと呼ばれたお姉さんが食器や料理を集め始めた。

ぼおっと見ていたけど、私も手伝わなければと思い、和真に近付こうとしたその時、彼がこちらを凝視していることに気付いた。

 

「えっと、和真久しぶり。急に現れてごめんね。足大丈夫?」

「お、おう。久しぶりだな。一応大丈夫かな。俺こそ変な反応して悪かった」

 

変と彼は言うが、当然だと思う。

何故ならここにいるという事は日本で命を落としたことを意味するのだから。

それに、疎遠になっていた幼馴染との再会は反応に困るだろう。

会いたいと思っていた私だって、何を話したらいいか分からない。

私がこちらにいると思ってもみない和真の驚きは私よりも大きいだろう。

 

「気にしてないよ。私居ない方がいいよね?」

「いや、そんなことは……泊まるとこも金もないんだろ?」

「それはそうだけど……」

 

カズマは私が不良だった親戚と付き合ってると思ってる訳で……

絶対に気まずい。

 

「まあ見ての通り、四人で暮らすにはデカすぎる屋敷だから遠慮するなって」

「あ、ありがとう」

 

結局甘えしまった。

しかし、どうしよう。

事情を話すには、二人きりの方がいいだろうけど、今、めちゃくちゃ緊張してて、二人きりになったら絶対まともに話せない自信がある。

せめてアクアさんが来てくれればいいのだけど。

 

「袋持ってきましたよ」

「助かる。そうだめぐみん。悪いけどサキの部屋用意しといてくれないか?」

「いいですけど、夕飯作り直さなくてもいいのですか?」

「俺が作るから頼む」

 

和真って料理出来たんだ。

私、未だに料理焦がしたりしちゃってるのに。

やっぱり和真は器用だ。

お気に入りのぬいぐるみが切れた時も治してくれた。

私が泣きじゃくる横で、不器用に励ましながら。

そう言えば、調理実習の時、和真の班が終わるの早かったなあ。

なんだ知ってることだったのか。

 

「おーい、咲希聞いてるか?」

「へ?えっと、どうしたの?」

「めぐみんが部屋を案内するから荷物持ってついてってくれ。その間に料理とか準備しとくから」

「あ、ありがとう」

 

なんだろう。

優しさよりも、遠ざけられてる気がする。

考え過ぎだろうか?

でも和真の表情は明らかに引き攣っている。

これは何としても誤解を解かなければならない。

 

 

 

魔女っ子めぐみんに部屋へと案内されているのだが。

先程から沈黙が続いている。

並んで歩いているのに、無言で廊下を歩くのはキツいものがある。

何か話題はないかと考えていると、めぐみんから質問が飛んできた。

 

「サキとカズマは、どう言う関係なのですか?」

「えっと…」

 

当然の質問だと思うけど、どう説明するのが正解なのだろう。

普通に幼馴染だけで、いいのだろうか。

でも、カズマのあの反応からして、それだけじゃ足りないような気もする。

と言っても昔結婚の約束してたなんて言うのも違う気がする。

ここは幼馴染だけ言って様子を見てみよう。

 

「幼馴染かな。最近会ってなかったんだけどね」

「そうですか。昔のカズマはどんな人でしたか?」

 

昔の和真か。

小学校、幼稚園の話。

記憶は朧気ながらも、和真と遊んだことは覚えている。

忘れた記憶もあるだろうけど、それだけ一緒にいたということだ。

 

「和真は、私なんかよりも賢くて、手先が器用で、じゃんけんでは絶対に勝てないし、意地悪なこともしてくるけど、優しくて、困ってたらいつも助けてくれてたよ」

「カズマはカズマなのですね。怠け癖はなかったですか?」

 

めぐみんの知るカズマと、相違はなかったのだろう。

納得と言った感じで頷いていた。

そして、新たに聞かれた怠け癖。

これについては思い当たる節がない。

誰よりも真面目に授業を受けていたはず。

不登校になったと聞いた時は凄く驚いた。

 

「なかったかな。宿題を授業中に終わらせるくらい真面目に勉強してたくらいだから」

「それはいつ頃の話ですか?」

「小学生の時だよ」

「しょうがくせい?」

 

しまった。

ここ異世界だった。

何も考えずに話すのはまずい。

今後の教訓にしなきゃ。

 

「えっと、六歳から十二歳までの間に通う学校が小学校で、そこに通う子達が小学生になるかな」

「なるほど、つまりちゅうがくせいとこうこうせいと言うのは、学生を小中高に分けた名称なのですね?」

 

中学生と高校生について以前に話題に上がったことがあるのだろう。

それにしても、理解力があって助かる。

相手型に存在しない概念を教えることの難しさは、祖父母へ電子機器の使い方を教える時に嫌ほど思い知らされている。

 

「う、うん。中学と高校は三年間通うことになってるよ」

「幼いころは勤勉だった訳ですか。その後に何があったのでしょう?あっ、着きましたよ。サキの部屋はここです」

「凄い広い。私の部屋より一回り以上大きい…」

 

客人にこれほどの部屋って、やっぱり普通の家じゃなかった。

 

「元は貴族の屋敷だったらしいですからね。私もこの屋敷に来た時は驚きましたよ。こんな所にタダで住ませて貰えるなんて」

「家賃タダなの?」

「ええ、この屋敷に来る悪霊を祓って、幽霊屋敷の印象が無くなるようにお願いしますと言われたそうです」

 

運の良さも相変わらずのようで、本当に彼なのだなあと思う。

こんな屋敷にタダで住めるなんて、普通ない。

条件付きとしてもその好条件に出会える運の良さは折り紙付きだ。

 

「荷物を整理して終わったら声をかけてください。私は隣の部屋にいますから」

「ありがとう。めぐみん」

「どういたしまして。あっ、最後に一ついいですか?」

「いいよ。知ってることなら何でも答えるよ」

 

この時何でもと言ったことを私は後悔することとなる。

この質問自体は単なる引き金に過ぎないのだが、答えると言わなければ、引き金を引くことはなかったのだから。

 

「カズマのこと好きですか?」

 

好きと言うのは、この場合間違いなく恋愛対象としてだろう。

ここで幼馴染だからと言うのは愚策だ。

出来れば言いたくないと言うか恥ずかしい。

しかし、何でも答えると言った手前黙る訳にもいかない。

こうなったらやけだ。

堂々と言ってやろう。

ここで深く息を吸い、心を落ち着かせて私はめぐみんに言った。

 

「うん。私は和真のこと好きだよ。結婚の約束した頃からずっと」

 

最後まで言い切り、めぐみんの驚く顔を見ようと目を開けると、思っていた表情とはまるで違う辛そうな顔をしていた。

 

「そう、ですか。分かりました。では私も言わなければなりませんね」

 

急なこと過ぎて私は理解が追いついていない。

私も言わなければって何を?

この場合カズマをどう思ってるかなんだろうけど。

嫌な予感がする。

「カズマのことが大好きです。どれくらいかと言うと爆裂魔法に対する想いと等しい程に」

 

やっぱり、めぐみんもカズマを想っていたのか。

比喩がよく分からないけど、多分彼女の中では最高位の表現なのだろう。

そう言えば夢でもカズマとイチャイチャしてたような……

あっ、思い出した!?

めぐみんもダクネスさんもアクアって言う女神様も私は知ってる。

今更気付くとは、遅過ぎやしないだろうか。

あんなにも見ていた夢での登場人物だったと言うのに、今の今まで忘れていたのだから。

 

「サキ、カズマは私が貰います。結婚の約束とやらは知りませんでしたが、カズマを渡すつもりはありません!」

 

いきなりの宣戦布告。

めぐみんって男らしい所があると思う。

別に体型が男の子っぽいとかは思ってないけども。

 

「何か変なこと考えてませんか?」

 

この子は私の心が読めるのだろうか?

カズマが好きかと聞いたのも、私の回答をある程度読んでいたからだろう。

じゃなきゃ、あんなにも早く反応できるはずがない。

私はめぐみんに試されていた。

なら、それに応えるしかない。

 

「何も。それより、私もカズマを誰かに取られるのは嫌だから全力でいくよ」

「ふっ、そうでなくては困ります。サキ、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね。めぐみん」

 

第一村人との握手がまさかのライバルとしてのものとなるとは思ってもみなかったけど、これはこれでいいかも。

などと考えているとめぐみんに釘を刺された。

 

「一つ言っておきますが、私だけを警戒していると足元救われますよ」

「えっ?」

 

一瞬、意味が分からなかった。

しかし、その後のめぐみんのため息で何となく察した。

どうやらカズマはモテるらしい。

好きな人がモテるのは嬉しいような、辛いような。

複雑な気持ちになる。

 

「分かった。気を付けるよ。私も質問していいかな?」

「ええ、何ですか?」

「もし、私がカズマとは何でもないって言ったらどうしてたの?」

「その時はもちろん。カズマは私の男だからちょっかい出すなと牽制するまでです」

 

うん。

めぐみんって絶対カズマよりも、ずっと男らしいと思う。

これは強敵に出会ってしまった。

どうしよう。

私に勝ち目なんてあるのかな?

いや、あるかないかじゃなくて勝たなければ!

そう決意を胸に部屋に入り、扉を閉めてから思った。

私、荷物持ってないと。

そう、荷物と言うか、天使さんから貰った武器しか持ってない。

ポケットとかにも何も入ってないし、この武器をどこに片付けるか考えるとしよう。

・・・あまりの広さに逆に迷ってしまう。

あっ、これにしよう。

傘立てみたいなのを見つけた私はそこに刺した。

これで良しと。

めぐみん呼んで、戻ろう。

そう思い、扉を開けようとした時、声がした。

 

「婚約者がいたのですね」

「婚約者って大袈裟な。でもまあ、そう言うことにはなんのか」

 

カズマとめぐみんの会話だ。

二人は、いや、カズマがめぐみんをどう思っているのか。

それが問題だ。

 

「それでカズマは婚約をどう思ってますか?」

「もし仮にあの時の婚約が生きていたとしてだな。それを意識してたとしたらお前に好きだと思うとか言わねえよ」

「…そ、そうですか。それにしても、もうちょっといいセリフないんですか?」

「しゃあねえだろ。自分でもはっきり分からないんだからさ」

「まあ、ヘタレなカズマにそこまで期待してませんから」

 

…どうしよう。

出にくい。

それにこの会話だと、私勝ち目ないのかな。

元は和真と会うだけが目的だったのだ。

そんなに落ち込むことはない。

そのはず。

でもこうして会ってしまった。

己の悪運の強さを思い知らされる。

 

「そろそろサキも準備出来たんじゃないか?」

「そうですね。軽装でしたし、お金も持ってないようでしたし」

「やっぱり金はなしか。俺もこっち来た時金なくて困ってたよ。冒険者登録に金かかるなんて聞いてねえし焦ったぜあれ」

 

カズマもお金持たされずに転生したのか。

この転生計画杜撰な所があると思う。

 

「マジですか。それでお金はどうしたんですか?そう言えばバイト転々としてましたよね?」

「バイトの話アクアから聞いたのか?登録料はアクアがエリス教徒のおっちゃんにアクシズ教徒と思って、女神アクアその人だから、お金貸してってお願いして恵んでもらった。で、おっちゃんから女神を騙ったらダメって叱られてたな」

「逆にエリス教徒で良かったですね」

「全くだよ。アルカンレティアでの反応見たら乱闘になってた可能性すらある」

 

アクアさん、女神って信じて貰えてないんだ。

可哀想に。

…そろそろ出てもいい頃合かな?

 

「準備終わったよ」

「そうか。飯出来たから戻るぞ」

 

私は、この世界で何を成せばいいのだろうか。

当初の目的は理解しているけど、この状況は神の悪戯にしては出来すぎてる。

こうなったら、やれるだけのことはやってみよう。

あの感じだとまだ付き合ってはいないだろうから、まだ可能性はあるだろう。

例え彼の気持ちがめぐみんへ傾いていたとしても。




設定に変更が出たのは時系列ですが、前回までの投稿に影響はありません。
当シリーズの更新は未定ですが、次の更新はこの素晴らしい読者様に祝福を!の予定で、2/28(日)を予定しています。
次回の更新は遅れないように善処します。

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