遅すぎた恋心   作:めむみん

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ええ、本日は投稿しないだろうと思っていた皆様方。今回は間に合いました。
否、間に合わせました。
間に合わせ投稿ということを考慮して読んでいただければと思います。
今日も残り30分を切りましたがお楽しみください。


悲しき戦力差

日本で若くして亡くなった人は何か一つ欲しい物を持って異世界転生出来るらしく、私もその話に乗ってここベルゼルグ王国にやって来た。

目的は私よりも先に交通事故でこちらの世界に来ていた想い人に会うため。

話では三十代後半の大人と聞いていたのに、来てみればカズマは亡くなった時と大して変わらない歳で私の方が年上だった。

そう。

少し冷静になってから気付いたのだが、カズマが反応に遅れていた理由はカズマの知っているよりも、成長しているからだろう。

声を聞いて気付いていたから多分この推理はあっているはずだ。

 

「どうかしましたか?」

「ちょっと考え事をしててね」

「何考えてたんだ?」

「カズマと私のことだよ。意味は分かるでしょ?」

 

カズマもチラチラとこちらを見ながら何かを考えていたから、同じ事を考えているはず。

めぐみんがいるから話を切り出せない。

カズマが話さないということは恐らく転生してきたとか、そう言う話を一切してないのだろうし、アクアさんが神様だと信じて貰えてないのもそこ証拠だろう。

 

「分かるけど、ここじゃ些細なこと気にしたら負けだからな」

 

この言い方からして、この世界にはおかしなことが沢山あるらしい。

今度ゆっくりカズマかアクアさんに日本との違いを聞かないといけない。

・・・カズマと二人は恥ずかしいし、やっぱりアクアさんにしよう。

いや、でもカズマと二人きりになるチャンスでも・・・

 

「あのう。何の話してるんですか?」

「説明が難しいから、また今度な」

「二人だけの秘密と言うやつですか?」

 

膨れっ面で、不満をぶつけるめぐみんは凄く可愛い。

こんな子に気持ちをストレートに告げられたら、そりゃあ惹かれるよね。

 

「いや、アクアには話せるって言うかあいつが一番知ってると思う」

「紅魔族随一の天才の我であれば、直ぐに理解できますよ!」

 

紅魔族随一の天才。

出会った時の名乗りでも言ってたけど、どれくらい賢いのだろうか?

別にめぐみんを疑ってる訳じゃないけど、紅魔族その物が何か知らないし、基準が分からない。

 

「じゃあ聞くけど、ゲームガールは何で動いてると思う?」

「魔力でしょう?そんなの誰でも使ってれば分かります」

 

こっちじゃ電気がない代わりにゲーム機は魔力で動かしてるのか。

でもゲームガールって古くない?

お父さんとかの部屋から引っ張って来て、二人で遊んでた記憶はあるけど、世代的にはD2とかプレスレVとか、テレビゲームもW11とかP23とか、他にもさっきの後継機種の3D2とか、P24とかもあったし、最近のだとツイッチとかP25も出てるしなあ

 

「じゃあ、ゲームのデータはどうやって残ってると思う?」

「それも魔力ですよね」

「残念。メモリが入ってんだ。一回分解して確認したから間違いない」

 

一番身近なのはUSBメモリだけど、ゲーム機で遊んでた頃はSDカードが一番馴染み深かったなあ。

機械に詳しくない人でも知ってるやつだけど、この世界の人は知らなくて当然か。

でも、ゲームガールがあるなら知っててもおかしくないと思うけど、あれかな?転生者が作ったのかな?

 

「めもり?なんですかそれ?」

「サキはメモリ分かるよな?」

「うん。データを記録するカードだよね?」

 

機械はあまり詳しくないけど、これくらいは分かる。

確かに異世界がどうのと言えない時には近代の物を持ってきて、これを理解できないだろうと言って、離席させるのは適しているかもしれない。

 

「つうことでめぐみんには概念その物から説明しないといけない話だから、話しても相談相手になれないんだよ」

「この我に知らない物があったとは・・・それにアクアは知ってて私が知らないと言うのがなんか嫌です」

 

アクアさんって、どういう立ち位置なんだろう?

女神様ってなんでも知ってるイメージなのに、話を聞く限り、なんて言うか、おバカキャラって感じがする。

 

「それは分からなくもないけど、まあ、めぐみんの頭脳は来るべき時に頼るからその時に頼む」

「その時は私の持てる知識を全て使いましょう!」

 

カズマは人をやる気にさせるプロだと思う。

文化祭とか、運動会とかリーダーじゃないのに、主要人物だったし、先生が本人が嫌がらなければ学級委員や生徒会長にと言ってた記憶がある。

幼馴染の私から勧めてくれないかとか頼まれたけど、カズマは一切動かなかったのを覚えてる。

小学校の頃はまだ普通に話してたのになあ。

はぁ、中学の私は馬鹿だよ。料理も出来て仕事も出来る優良物件って言うとあれだけど、いい男を放し飼いにして、勘違いで失恋されてたなんて・・・

 

「サキ、どこ行くんだ?こっちだぞ?」

 

呼ばれて振り向くと私は部屋を通り過ぎていて、リビングからカズマとめぐみんが顔を出してこちらを見ていた。

カズマのこと考えてたら周りが見えなくなってた。

気を付けないと。

 

「ごめん。また考え事してて、気付かなかった」

「しっかりしてくれよ?これ以上仲間に問題児は増やしたくないからな」

 

仲間・・・

カズマは私を仲間と呼んだ。

多分、本人的にはそこまでの意味はないのだと思う。

今後このパーティーに入らせてもらうとか一人で出ていくとかはまだ決めてないと言うか話してすらないし。

それでも仲間と言う親しい相手に使う名称を使ってもらえて嬉しい。

仲間だけでこんなに喜んでいて大丈夫なのだろうかとも思うけれど、状況が状況だから仕方ない。

 

「そうですね。カズマも大変ですからね」

「おう。よく分かってるな。今度からは近所の子供とガチで喧嘩するとか、すれ違った人に急に襲いかかるとかするなよ?」

 

めぐみんってそんなに危ない子だったの?

中二病なこと除けば普通の子だと思ってたのに。

 

「紅魔族は売られた喧嘩は買う種族です。問題児ではありません」

 

売られた喧嘩を買う種族ってなんだろう?

いつでも戦争してそうな感じがするのは気の所為だろうか?

 

「じゃあ、ゆんゆんの勝負全部受けろよ」

「あれは喧嘩じゃないので」

「・・・今度ゆんゆんに勝負じゃなくて喧嘩を吹っかけたら戦ってくれるって教えていいか?」

「いいですよ。その代わりと言ってはなんですけど、ゆんゆんにカズマの読んでるイラスト付きの本の中にゆんゆんに似た子が居たと・・・」

 

カズマが慌てて口を塞ぎに行ったけど、めぐみんが何を言わんとしてたかは分かる。

大人向けの絵本で、キャラクターとゆんゆんって子が似てる本を持ってるのだろう。

 

「お、俺は何も言わない。だからお前も何も言わないいいな?」

「もちろんです。その代わり仲間の年下魔法使いものと後輩ものと妹もの以外は全部燃やします」

「・・・お前、それは露骨過ぎるって、あと妹枠はアイリスとかこめっこでお前はとっくに卒業してる」

 

私的には幼馴染ものがあれば残しておいて欲しいけど、今私がそれ言うのは違うような気がする。

それにこの二人私の事とかリビングで待ってるダクネスさんのこと完全に忘れて話してる。

 

「じゃあそれも燃やします」

「・・・せめて誰かに譲るとかじゃだめか?」

「また見せて貰えるじゃないですか?あとダストとかだと後々これ返すから金くれ的なこと言って戻ってくる可能性がありますからね」

 

カズマが考えそうな狡い手もお見通しのようだ。

こういう悪知恵に私は何度も騙されたり、助けられたりしたっけ。

自分が守られる側だと非常に助かる反面、敵に回すと厄介なタイプだからなあ。

 

「・・・ぶっころりーにあげるのはダメか?簡単に見に行ける相手じゃないだろ?」

「はぁ、それならいいでしょう。そんなに燃やすのが嫌ですか?」

「嫌って言うかこの世界で数少ないあれを燃やすのは人類にとって大損失だと思う」

 

カズマの言い方からして、日本の漫画なのかもしれない。

となると遠方の知り合い、恐らく名前からして紅魔族の人だろうか?その人に送ってまで燃やしたくない気持ちも分からなくはないけど、いくら日本のものだからってエロ本を燃やすのを人類の損失って言うのは言い過ぎだと思う。

これがワンコースとかドラゴンポールとかなら人類の損失と言っても認めるし、私も全力で止めにいくけどなあ。

 

「バカなんですか?あと、私が妹枠を卒業した件について詳しく」

「だってお前二つ下だろ?一緒に風呂入るまでは妹枠だったけど、そこからは後輩枠になったって言うか・・・」

 

えっ・・・

混浴する仲なのこの二人?

これ勝ち目ないんじゃ・・・

カズマの照れてる顔を引き出せるめぐみんはもう彼女と言ってもいいんじゃないだろうか?

混浴までして、お互い好きと伝えているのに付き合ってないって何?

期待せずに済むから付き合ってて欲しかった。

いや、それはそれで辛いんだけども。

と色々考えながら聞いているとカズマと目が合った。

今自分が何を喋っていたかを思い出し、顔がみるみる赤くなって行った。

やっぱり、さっきのは完全に二人の世界だったようだ。

 

「年齢が重要なのですか?カズマの基準はよく分かりませんね。でも私の中でカズマを意識し始めたのも、案外お風呂に入った時なのかもしれませ・・・」

 

ようやくめぐみんも気づいたようだけど、この場には私とダクネスさんがいる。加えてこっそり帰ってきていたアクアさんが廊下の影からひょっこりこっちを覗いている。

二人が気付いたのは私とダクネスさんだけ、この後二人がどう反応するのかが気になる。

 

「えっと、アレだからな。風呂に一緒に入ったのは二人とも粘液塗れになってそれでだな」

 

カズマが私に言い訳するように話し出したけど、二人とも粘液塗れになると言う状況がイマイチ理解出来ずに固まっているとダクネスさんが急に叫び出した。

 

「粘液塗れだと!?どんなプレイを二人はしていたのだ!?」

「ちげえよ!!ジャイアントトードに捕食されためぐみんがぬるぬるのまま、嫌がらせで俺に抱きついて俺までぬるぬるになったんだ!お前の変態思考で誤解されたくねえよ!」

 

私としても粘液塗れと言う状況は特殊な店くらいしか思いつかなかったけど、どうやら違うらしい。

あと、何故かダクネスさんがハアハア言ってるのは何故だろう?

 

「私だけカエルの粘液をまだ味わっていない・・・これは放置プレイの一環か?」

「サキ、アイツは気にするな。居ないものだと思ってくれ」

「仲間に対してこの言いよう!流石カズマだ!もっと罵ってくれ!」

「とまあ、ドMの変態だからアイツが変なこと言っても気にしないで欲しい」

 

カズマの説明がなくともヤバい人だってことはよく分かる。

落ち着いた淑女って言う第一印象が一瞬にして崩れ去った。

なるほど、問題児の仲間がこれ以上増えて欲しくないと言う理由が分かった。

となると、私が常識人と振る舞えばワンチャンあるのだろうか?

さっきの会話からめぐみんも問題児扱いされているようだし。

 

「わ、分かったよ」

「それで話を戻すとジャイアントトードって言う巨大なカエルの粘液塗れになって、ぬるぬる落とす為に仕方なく一緒に入ることになったんだ」

「ええ、お前のことは女として意識してないから一緒に入っても大丈夫だとか、このまま入らないとは飛んだ腰抜けだとか言われてノリで混浴することになりました」

 

売られた喧嘩は買う種族ってそういうことなの?

何かが違うような気がする。

それは買っちゃいけない喧嘩だと思う。

 

「だからあの時二人で脱衣所に居たのね。てっきりめぐみんがお風呂に入ってる所にカズマが覗きに行ったのかと思ってたわ」

 

と急にアクアさんが現れた。

アクアさんは知ってたらしい。

詳しい事情は知らなかったみたいだけど。

カズマは多分覗きをする程の肝は持ってないと思う。

 

「そんなことする訳ないだろ」

「エロマさんならやりかねないと思うんだけど、ねえ、この手は何?」

 

多分エロマとか呼んだことと、ギルドで何かをやった事の両方だと思う。

まあ、エロ本を何としても守ろうとしてたし、エロマと呼ばれても仕方ない気がしなくもないけど。

 

「お前ギルドでやらかしたらしいな?」

「わ、私は悪くないわよ!そ、それよりそこの子は誰なの?」

 

私に話題を振ることで、逃げようとしたようだけど、離して貰えなかった為、大人しく捕まってる。

 

「はぁ、俺の幼馴染のサキだよ。この件でもお前に話がある」

「え?カズマの幼馴染?」

 

カズマと同じく二重の意味で驚いていることだろう。

私がここに居るということは既に日本で死んでいるということ。

加えて、カズマの知り合いが近しい歳で転生しているとすると本来はカズマがショック死してから数日とか数週間で死んだことになるのだから。

 

「はい。カズマの幼馴染のスズキサキって言います。ここに来る時の案内人に、青髪のアクアさんに話を聞くように言われました」

「分かったわ。話は夕飯食べてからでいい?」

 

私は構わないと頷いたけど、リビングに入ろうとするアクアさんをカズマが引き止めた。

 

「サキの件はいいけど、先に何があったか説明しろ」

「酒樽一個分丸々水に変えちゃったけど、お金が無くて・・・」

「逃げたのか」

「カズマさんにツケといた」

 

酒樽一個分の値段って簡単に払える額なのだろうか?

アクアさんが捕まってない時点でカズマにツケるというのは確実性のあるものらしい。

カズマが金持ちになってるのか、酒の価値が低いのか。はたまたその両方か。

 

「・・・今回はサキに免じて許してやる。その代わり夕飯のあとわかってるな?」

「それはもちろんちゃんと相談に乗るわよ!なんならこの子のこと私がちゃんとバックアップするから」

「それならいい。もう冷めちまってるけど、飯食おう」

 

一悶着も二悶着もあったけど、やっと夕飯を食べられる。

この数時間で私の勝ち目のなさがよくわかった。

でも、それでも、折角こんなにも歳が近い状態で会えたのだからやっぱりカズマを振り向かせたい!

そんな想いを胸に夕飯に挑むのであった。




幼馴染が空気になってるとの声が上がっても謝りません。
カズめぐがイチャコラしてただけとの主張には黙秘権を行使します。

サキには夕飯シーンで話してもらうつもりが夕飯前がいい区切りになっちゃったのに加えて、夕飯シーンの合わせた文字数が一万二千文字で次のストックにしたい欲に負けてしましました。
次の更新は●●を!が水曜日に更新だと思います。

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