ありふれた神様転生の神様の前世の魔王様は異世界に放り込まれる 作:那由多 ユラ
「とりあえず、殺す殺さないは置いといて宇未ちゃんの服をどうにかしなきゃだね。ハジメくん、幼女サイズの服持ってるかな…」
「わ、私南雲くんに聞いてきますね!」
一度その場から離れたかった愛子は壁の向こう側へとかけていった。
「南雲くーん!女性用の服を貸していただけませ…ん…か?あの、貴女は?」
愛子がハジメのもとへ来ると、ウィルやユエにシア以外にもう一人、長く艶やかなストレートの黒髪が薄らと紅く染まった頬に張り付き、ハァハァと荒い息を吐いて恍惚の表情を浮かべている女性がそこにいた。
「む、お主の仲間か?妾の名はティオ・クラルス。最後の竜人族クラルス族の一人じゃ」
「は、畑山愛子です。ってそうじゃなくて!南雲くん、この際なんでもいいので服を一着貸してください!」
「お、おう。ほら」
ハジメは愛子に白い服を手渡す。
愛子はワンピースの類だと判断し、ハジメに「ありがとうございます!」と言い残して壁の裏へ戻っていった。
「これは、…ハジメくんの趣味?」
愛子が持ってきた服を宇未に渡し、とりあえず着せてみた。
畳まれた状態で、ワンピースかと思われたものは、
男性用のワイシャツのみだった。
裾は太もも半ばほどまで隠しており、大事な部分は十分に隠せているが、下着を付けずに着たからか全裸の状態よりも恥ずかしがっていて、前と後ろを手で必死に抑えている姿は希依だけでなく愛子までも頬を緩ませるほどの破壊力を持っていた。
「はわわわわわっ、宇未ちゃん、なんだか裸よりもえっちぃですよ!」
「か、神様、似合います、か?」
「ちょー可愛いけどごめん、その仕草は反則すぎる」
「へっ?もしかして似合ってないですか?」
「いや全然!…宇未ちゃん、その格好で町の服屋さんまで我慢できる?」
「神様がしろと言うのでしたら、頑張ります」
「ごめんね、ハジメくんの趣味があれなばっかりに。あと希依って呼んでいいよ。確かに神だしなんならその中でも偉い方だし世界観によっては狂信者が無礼だなんだつって殺しかねないけど基本ほかの神達からは娘扱いか妹、姉扱いがほとんどだから宇未ちゃんもそうしてちょうだい」
「えっ、なんて?」
「お姉ちゃんと呼んでください!」
「で、でしたらお姉様、と呼ばせて頂きますね」
「なんで!?愛子ちゃん、どうしたらいい?」
「頑張ってくださいね?お母様?」
愛子はとても美しく恐ろしいような笑みを浮かべていた。
「やめて!様付けとかされるの正直苦手なの!宇未ちゃんの神様だって実はズキズキしてたんだから!
愛子ちゃんには是非ともママと呼んでほしい!」
「呼びません!もう絶対にお母さんともお母様ともママとも呼びません!」
「えと、お姉、ちゃん?」
希依に上目遣い、目を潤ませてのお姉ちゃん呼びは希依に多大なショックを与えた。
ギュッ
希依は宇未の腰が折れるのではないかというくらい強く抱き締めた。
「おい、そろそろ町に戻…る…。喜多、お前そんな趣味あったのか」
「あるけどこれは違うから!そもそもこの服用意したのハジメくんでしょうが!」
「あるのかよ…」
用事が一通り終わったようで希依達のもとへティオも共に来ると裸ワイシャツの幼女を抱きしめる希依の姿がそこにあった。
「とりあえずハジメくんのでいいから女性用の下着と下に履かせるものちょうだい」
「俺の女性用下着ってどういうことだおい!」
「えっ、まさか持ってないの?毎晩夜の営みの後眠る時にユエちゃんとシアちゃんの下着をクンカクンカしてないの?」
「ハジメさんにそんな趣味が!?」
「…ハジメ、えっち」
「おいこら信じるな」
「ご主人様、妾のものでいいのなら、いい感じに蒸れた脱ぎたてのものを…」
「誰がご主人様だ!あと脱ぐんじゃねぇ!先生やめろその若干諦めたような目!」
「し、仕方ありませんよね、南雲くんも男の子なんですし、美人さんを二人も連れてるんですもんね」
「…ハジメ、私のもいらない?…私、いらない子?」
「ゆ、ユエさん?続きは宿屋で、な?」
「ユエさんだけズルいですぅ!私も!」
「妾も!」
「だぁあああ!!まとめて相手してやらぁあ!」
「あ、あれが南雲ハジメさん…ちょっとイメージと違うような…」
「ギャグコメディ成分がかなり割増されてるからね」
「なるほどです」
百合空間にハジメが乱入することにより時の流れすらも狂わすカオス空間に変貌してすぐのこと。
クックが「ガウッガウッ」と吠えながら希依のもとへ駆けつけてくる。
「どったのクックちゃん。…いやいや、約6万の魔物なんて殺したら死体が臭すぎて街滅ぶよ?そんな臭すぎてなんて草すぎる滅ぼし方したら草生えるどころかジャングル爆誕だよ?
というわけでハジメくん、波にのまれる前にウルに帰るよ!」
「いやすまん、何言ってるかさっぱりわからん」
「ここが魔物で洪水になるから急いで町に戻ろうと、そう言いたかったのですよね?かm…お姉、ちゃん」
「いえーす、その通りだよ。って訳だからハジメくん!急いで帰るよ!全ては宇未ちゃんの服を手に入れるために!」
「お、おう」
若干引き気味なハジメ達は魔力駆動四輪に乗り込み、希依と宇未はクックの背に乗ってウルの町に戻るのだった。