ありふれた神様転生の神様の前世の魔王様は異世界に放り込まれる 作:那由多 ユラ
「アル、ヴ、ヘイムオンライン?」
〈うん! 面白いからお姉ちゃんも一緒にやろうよ!〉
「いいですけど……」
〈ナーヴギアで遊べるよ? なんならお金、りんごが出してもいいよ?〉
「いえ、分かりました。今からバイクでひとっ走り行ってきます」
〈お姉ちゃんバイク持ってたの!?〉
「昨日の戦利品ですよ。免許は当然ありません」
〈大変だねー。増えたんだっけ? お姉ちゃん狙いのヤンキー〉
「というかカイン狙いがそのままプラスされたのでしょうね。なんだか私の周囲だけ一世紀くらい時代遅れな気がします」
〈川越は魔境だった?〉
「どうでしょうね。まあ、敵の勢力のほとんどを私とカインで活動不能にしたので、りんごちゃんもこっちに遊びに来ていいですよ」
〈ほんと!? やったー! それじゃありんごALOで待ってるね!〉
「いえ、あの、今から買いに行くんですけど?」
〈待ってるから! ばいばーい!〉
という通話があり、予定外の散財をしてしまった。まぁそれは昨日の川越学生乱争(私命名)で大量の財布と高そうなアクセサリー、バイク二人分を手に入れたので痛くも痒くもないのですが。疲労に目をつぶれば。
疲労に目をつぶれば。
まぁ、可愛い可愛いりんごちゃんのために私はバイクを走らせてきたわけなんですけどね。カインはアルバイトとかなんとか言って東京の方に行ってしまい、母は仕事で居ない、詩織はまだリハビリの為入院と、つまりは寂しいんです。というわけで二週間ぶりの仮想世界です。
「リンク、スタート」
あれ?
わたし、ゲーム始めましたよね?
いつか見たような、地面と空の区別がつかない真っ白い空間に私はいた。
本当に真っ白で私のアバターの身体も見えない。見えないというか、目もないから見てないのかもしれないが、すぐに見てないわけではないというのが分かった。
白衣姿の男、歴史的大事件の諸悪の根源、
……茅場、晶彦、ですよね。
「ああ、その通りだノイント君。久しぶりだね」
ええ、お久しぶりです。というか聞こえてるんですか。
「ああ。ある用事があって私はここにいるのだが、その前に君が気になっていたであろうことを話しておこう。
SAOがクリアされたあの後、君と共に城の崩壊に巻き込まれた後のことだ」
ああ、そういえば知りませんでしたね。
「私はソードアート・オンラインのサービス終了と同時に、自身の脳に大出力のスキャニングをかけることで私の記憶・人格をデジタル信号としてネットワーク内に遺すことを試み、電脳化に成功した。現実の肉体は死亡してしまったが、まぁ君がいるのなら、君たち反逆者がいるのなら、さほど問題ではないだろう」
電脳化、ですか。都市伝説だと思ってたんですけどね。
「まだ都市伝説の域を出ないさ。ざっくり人口七十億として、成功例はそのうちたったの一人だ」
そうですか。まぁ、その電脳化に私は大して興味はありません。本題に入りましょう。
「ああ、そうだった。……そうだったそうだった。久しく対話というのをしていなかったからかね、珍しく舞い上がってしまったようだ」
割といつもそんな感じですよ、あなたは。
「……まずは報酬だ。これを受け取りたまえ」
茅場晶彦の言葉と同時に、私に肉体が与えられた。
服装を見るに、これは、SAOのアバター《noint》だった。
「それは君のデータを元にしてアルヴヘイム・オンライン用に私が作り直した君のアカウントだ。所持金とステータス、スキルはそのままコピーしてある。アイテムストレージは初期化されているが、君の気に入っていた装備品は全て使える状態で残してあるから安心したまえ」
「反則のような気もしますが、感謝しておきます」
「それは私を鍛えてくれた報酬だ。そもそもSAOプレイヤーのナーヴギアでALOにログインするとおおよそ同じことが起こる。大したことではないさ。それとは別にもう一つ。ヒースクリフの正体を見抜き、ラスボスを務めてくれた報酬を与えよう」
「は、はぁ。……なっ!?」
茅場晶彦の隣には、私が立っていた。ノイントが立っていた。かつての、前世の私に似た者が立っていた。装備は今の私が着ているものと同じだが、質が良いように見える。そして何より、背から白く大きな天使の翼が生えている。
「一体、どういうことですか」
「名をドイツ語で数字の九を意味する《
「素晴らしい!! マーベラス!! エクセレント!! 翼が銀色なら完璧ですが、どういうことですか?」
「アルヴヘイム・オンラインはアバター作成時に九つの種族から一つ選択することになっている。君のアバターは音楽妖精族のプーカという種族だ。悪いが私が勝手に決めさせてもらった。
そしてこの
「つまり、全クリ状態のアカウントということですか」
「厳密には違う。
「それで、何をしろと?」
「好きにして構わないさ。君には今、神に等しい権限が与えられた。かつてのように遊ぶのも、ラスボスの座を奪い取るのも好きにするといい。だがきっと、いつか君にはこの力が必要になるときが来るだろう」
健闘を祈る。そう言い残して、茅場晶彦は
その後はプレイヤーネームを設定して、私は妖精の世界に投げ出された。
文字通り、はるか上空から。
「…………は?」
下を見ると、一面緑の絨毯が広がっている。
「そういえば、飛べるんでしたよね、この世界」
前世の感覚を思い出し、翼を出現させて飛ぶ。白の半透明な翅が背から生え、飛行に成功した。
十七年ぶりの飛行! これはテンション上がります!
っと、遊びたいところですが、とりあえずりんごちゃんと合流が先ですね
おっきい木の所にいるよ! とメールで伝えられましたが……。
あれですね。明らかに一本だけ、世界樹やユグドラシルなんて名前が似合いそうな木が見えました。
幸い近かったのか、全速力の空中散歩で五分。木のある街に到着し、りんごちゃんと合流が出来ました。
私を見つけるとトテトテと駆け寄ってきてくれました。
「お姉ちゃん!」
「こんにちは、りんごちゃん。名前はこっちでもnointですよ」
「りんごはapple、いつも通り呼んでね!」
腰にギュッと抱きついてくるりんごちゃんを軽く抱き返してから離す。
「はいはい。では遊びましょうか。どこかいいところはありますか?」
「んーとねー、
「それ、多分襲われてるだけですよ」
「……そうなの?」
泣きそうな顔で訊いてくるりんごちゃん。やめてください! その顔は私に効きます!
「冗談ですよ、冗談。きっとりんごちゃんが可愛いから遊んで欲しいんですよ」
「お姉ちゃんも綺麗だからもっといっぱい来るね!」
あーもー! この子は本当にもう!
りんごちゃんの武器は短刀。私のストレージに残されていたりんごちゃん用に創った短刀、《りんご飴》を渡す、というか返しました。いつかカインにも舞突錐を返さなきゃですね。
赤ばっかりですか好戦的なプレイヤーは!
「切る! 斬る!
木々を飛び移りながら赤い短刀で首を落としていくりんごちゃん。火妖精は為す術なく殺されていく。
「退けー! 強いぞこのケットシー!」
「ガキ一人相手に逃げろってか!?」
「……私もいることをお忘れなきよう、よろしくはしないで構いませんよ」
片手で振るわれる銀色の大剣が赤を散らしていく。襲ってきた火妖精のパーティは私が殺した二人で最後だったようで、他に襲いかかってくる者はいなかった。
「大したことありませんね、ここのプレイヤー」
「……お姉ちゃん、さらに強くなってない?」
「ソードスキルのないこの世界はどうやら私向きみたいですね。いつか空中戦もやってみたいです」
「お姉ちゃん、もうラスボスより強いんじゃない?」
「SAOでレベル最大値のステータスですからね。そう簡単に負けるわけにはいきませんよ。さ、夕方まで喋りながら探検と行きましょう」
「おー!」
~あとがき。というか、今回の愚痴~
別に人間卒業とか職業体験をサボってる訳では無いんですよ!
ただ姉妹転生以外ボツが発生しやすいことしやすいこと……。
オリジナルも書きたいのになー。
別に感想とかくれてもいいんですからね!(ツンデレ風味)