ありふれた神様転生の神様の前世の魔王様は異世界に放り込まれる   作:那由多 ユラ

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姉妹転生 016

四月。花見の季節であり、花粉の季節であり、そして何より新生活の始まる季節。

 

SAOに囚われていた学生達のために作られた中、高一貫の支援学校も四月に始まる。

 

そして今日は入学初日、入学式の日なのだが、私の日常は二年前のものに戻っていた。

 

「カイン! とりあえず学校まで走ればすぐです!」

 

「暇かよコイツら!! どっから湧いてきやがんだ!」

 

いつか起きた戦争ほどの規模では無いのですが、それでも数百人規模の襲撃にあうと、遅刻は約束されたも同然だった。

 

そもそも、学校の最寄り駅まで来てから襲われると、本当に付けられてるのか、実は日本中に潜んでいるのではないかと疑わしいものです。

 

まあそんなわけで、それなりに都会なこの地を私とカインは数百人を引き連れて走り回るわけです。

 

 

 

 

 

警察仕事しろマジで。

 

 

 

 

 

学校に辿り着いたものの、既に入学式は始まっているのか周囲に教師らしき人間は一人もいなかった。私たちはグラウンド中央まで引きつけると、振り返る。

 

「みじん切りになりたくなきゃ首を出せ。さもなくば殺す」

「ここなら逃げ場はねぇぜ、銀脚ィ! ギャハハハハハハハ」

「カーイン、いい加減こっちにつけや。そして頂点に立とうじゃねえか!」

 

「キャラ濃すぎません!?」

 

「彩織、お前が言うな」

 

刃物を構える者。鈍器を構えるもの。拳銃を抜く者。チェーンソーを起動させる者。拳を構えるもの。

 

統一性の欠けらも無い彼らは見慣れたものだった。

 

そして、殲滅も慣れたもの。

 

「死体の山を築きましょう」

 

「グラウンドを血のプールにしてやんよ」

 

殴っては投げ、ちぎっては蹴り、だんだんと出来ていく死体の山に積み重ねていく。

 

死体の山なんて言いましたが、一人も死んではいませんよ。せいぜい手足が一、二本なくなっている程度です。どうせすぐに誰かしらが通報するので問題ありません。

 

チャイムが鳴ると同時に、最後の一人を山に蹴り放る。

 

 

「相変わらず、大したことありませんね。準備体操にもなりませんよ」

 

「彩織、怪我はねぇか?」

 

「ありません。カインこそ、大丈夫ですか?」

 

「問題ねぇよ。返り血だ。彩織も返り血すげぇぞ」

 

二人とも、血に濡れていない部分を探す方が難しいくらい血濡れていた。

 

「いつもこんなですけど……」

 

「制服だから目立つっつってんだ。切腹したみてぇになってんぞ」

 

「まぁ、遅刻に対する反省ってことにしておきましょう」

 

「つぅか不可抗力だろ、これ」

 

「財布も持ってる人少なかったですからね。キャッシュレス決済なんて廃れてしまえばいい」

 

「……お釣りとか楽なんだけどな、あれ」

 

「どこまで主婦思考なんですか。彼女である私が女子力低いみたいに思われたくないのでやめてください」

 

 

 

 

とまぁ、そんなこんなで私たちは遅れながらも無事登校することが出来ました。

 

本来高校二年生であろう年齢の元SAOプレイヤーの集まる教室の戸を開けると、当然のように私たちに注目が集まった。

 

「白神彩織です。ちょっと数百人程の暴漢に襲われて遅刻しました」

 

ぺこりと一礼。

 

「祈和歌夢だ。以下同文ってな」

 

一瞬教室が沈黙に包まれ、直後――

 

「「「きゃあああああ!!?」」」

 

少ない女子生徒達が悲鳴をあげ、男子生徒も顔を顰めている。

 

 

 

 

 

その後、パニックが起きた教室に医者や警察官が訪れて混沌を極めた。

 

私たちは警察署に連れていかれ、事情聴取を受けて帰宅しました。学校で一、二を争う重要なイベントであるファーストコンタクトを私とカインは殺人鬼で終わってしまったみたいです。

 

 

 

 

そして次の日。入学二日目から本格的な授業が始まります。内容は、中学三年生半ばから高校一年、二年の授業を限界まで効率化された授業になるそうです。

とはいえ、私のすることはSAO前と変わらない。バックの中には最低限の筆記用具に財布、そして一日分の本十冊ほど。事前に届いていた教科書は一通り読み終えました。内容は頭に入っています。

 

授業中、同じクラスの詩織、アスナ、リズベットにチラチラと視線を向けられている。

 

……はっ、もしやまだ何処かに返り血の落とし忘れが!?

 

「ちげぇよバカ。授業中に本読んでんじゃねぇって目だ」

 

私の後ろの席のカインが小声で言った。

 

「問題ありません。大学を受験する予定はありませんから」

 

「もしかしてお前真性のバカだったりするか?」

 

「何を失礼な。私のIQは二百くらいありますよ」

 

「大バカだ。人間を知らないバカだ」

 

「偏差値も八十くらいあります」

 

「人並みを知れ」

 

「人波? あぁ、川越祭りのときにできる人間版流れるプールですね?」

 

「……埼玉県民あるある言われても困るっつうの」

 

「詩織は越生(おごせ)を《えっちぃ》と読んだ逸材ですよ」

 

「ちょっと待ってなんで私に飛び火してんの!?」

 

ブンッと、腰あたりまで伸ばしている黒髪が傘のように広がる勢いで詩織が振り向きながら叫ぶ。

 

「白神詩織さん、私語は慎んでください」

 

憐れ詩織。

 

昨日の騒ぎを知る教師は私たちと関わりたくない者がほとんどなのです。

 

 

 

 

 

 

お昼休み。昼食はカインが重箱に三人分(詩織と彩織とカイン)のおかずとお握りを詰めて持ってきてくれている。当初、中等部のりんごちゃんと合流して四人で集まるつもりでしたが、アスナ、リズベットに誘われ、そこそこの大所帯になってしまいました。

 

集まったのは、アスナ、キリト、リズベット、シリカ。そして、私、詩織、カイン、りんごちゃん。私は全員と一応面識があったものの、早くに離脱してしまいまともに面識が無かったカインとりんごちゃんの自己紹介から始まった。

 

「りんごは樹生りんご! 十四歳! ゲームだとアップルだよ!」

 

「……祈和歌夢。リアルでもカインで頼む」

 

りんごちゃんの元気いっぱいな自己紹介とは裏腹に、カインの自己紹介は消極的なものだった。

 

「一応補足しておきますと、りんごちゃんは弩が付くほどのお嬢様で、カインは刺青が彫られてますけど決してヤンキーではありません。あと私の彼氏です」

 

「よろしくね! えっと、閃光アスナさんに、鍛冶神リズベットさん、漆黒の剣士さん、だよね? 」

 

りんごちゃんのセリフに顔を引き攣らせる三人。

 

「……ねぇ彩織さん、あなたりんごちゃんにどんな教育をしていたのかしら?」

 

「私のようにはなるなとさんざん言い聞かせていました」

 

「失敗してるじゃないのよ」

 

リズベットが苦笑いしながら焼きそばパンにかぶりつく。……妙に似合いますね、リズベットに焼きそば。

 

そういえば、シリカとりんごちゃんは同じクラスでしたか。

 

「シリカ、クラスでのりんごちゃんはどんな様子ですか?」

 

りんごちゃんの箸の動きが止まった。

 

「えっと、静かですよ? ……ずっと読書してて先生を困らせてましたけど」

 

「べ、勉強なんてしなくても大丈夫だもん。りんご頭いいもん」

 

「バカが量産されてやがった!?」

 

「あららら……」

 

「あんたマジで教育向いてないのね」

 

「そんなことありませんよ。教え子であるシリカとかヒースクリフはいい子じゃないですか」

 

「でもでも、珪子ちゃんはずっとペン動かしてて先生が指名しにくそうにしてたよ!」

 

「そういえば団長も……」

 

「先輩、二度とユイに近づくな」

 

漆黒の剣士のエクストラスキル《親バカ》が発動。

 

しかし、効果はいまひとつだった。

 

「残念でしたね。既に私とユイは一緒に勉強するくらい仲良しです」

 

人間、感情に対して未熟者どうし、反逆者や身内以外なら一番の仲良しかもしれない。

 

「《妹の数少ない友達、ただしAIでかつロリ!》みたいな!」

 

「……詩織、教室であなたのことを《ご主人たま》と呼んで社会的地位をどん底に叩きつけますよ」

 

「残念だったね彩織。昨日彩織が血塗れで登校したせいでお姉ちゃんの私までどん底だからもう手遅れだよ♪」

 

「妹が妹なら姉も姉ね」

 

「どういうことですか鍛冶神(ヘファイストス)

 

「せめてリズベットって呼んでくれないかしら!? ……出来ればリアルじゃ本名がいいけど」

 

「いやだって、知りませんし。あなた達の名前」

 

「「「「えっ……」」」」

 

アスナ、キリト、リズベット、シリカが固まった。

 

「今更覚えるのも面倒ですし、私のことはノイントと呼んでくださって構いませんよ。詩織もカオリの方がいいでしょう?」

 

「えっ? ……あー、まぁ、うん」

 

「先輩、一応SAOでのことはタブーなんだが……」

 

キリトが頭を抱えながら言う。

 

「ふっ、SAOでの出来事を小説にしてネットに投稿してる私達に言うことではありませんね」

 

「……カイン、お前のとこのリーダーだろ」

 

「ハッ。嘗めんなよ漆黒の剣士(ダークセイバー)。ウチのリーダーはノイントと書いてノイントだぞ」

 

「お姉ちゃんはお姉ちゃんと書いてノイントだよ!」

 

「伊織は天使と書いてノイントだからね」

 

「伊織さんは先生と書いてノイントさんです」

 

「忘れましたか、私の名はノイントです」

 

りんごちゃんの悪ノリに詩織とシリカまでもが乗っかってきた。

 

「打ち合わせでもしてたのか!?」

 

黒の剣士の叫びが辺り一面に響き渡った。

 




《平和な日常、ただし全員は戦闘民族》みたいな!

ユラさんの中で巫女子ちゃんブームが凄いんです。みんな読もう、クビシメロマンチスト。

以下感想催促

感想なんて不要よ。そんなもの無くたって、私は書き続ける。書きたければ勝手に書けばいいわ。(クール極振りのクーデレ風)

……あれ、催促出来てなくない?
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