「トロール……」
レイラは驚いてつぶやいた。転生者のレイラでも先が読めなかったから驚いたのか…………と、いうわけではない。
(原作と違う…………何で2匹もいるの?!)
そう、トロールは2匹いたのだ。
ハーマイオニーは愕然とした顔をした。
「そんな!なんで校内に!?は、はやく逃げましょう……」
そんなレイラ達を見逃すほど、トロールはバカではなかった。うなり声を上げ、近づいてくるトロールから逃げようと、レイラ達は後ずさるがすぐ壁についてしまう。 1匹が棍棒を振り上げ、レイラ達めがけ振り下ろした。
「キャアアア!!!」
ハーマイオニーが甲高い悲鳴をあげる。
「
レイラの唱えた『盾の呪文』がトロールの棍棒をはじく。そのトロールが戸惑っている間に、もう1匹のトロールが2人めがけて棍棒をバットのように振った。
「──────っ!!」
とっさに、腰に差していた番傘を抜いて棍棒を防ぐ。防御魔法がかかってあるこの番傘は並大抵の力じゃ折れることはない。
「っハーマイオニー、杖を出してください」
「えっ?」
突然のレイラの声にハーマイオニーは震えながら、戸惑ったような声を出した。
「そのまま扉まで走れますか?外に出て、鍵さえ閉めれば流石のトロールも出てこれないと思うので」
トロールからの攻撃を『盾の呪文』と番傘で防ぎながら、レイラはそう言った。
「わっ、分かったわ」
恐怖で震えながらも意を決したハーマイオニーは、レイラの合図で扉に向かって走った。レイラもハーマイオニーを護りながらドアに向かって走ろうとした時、
「なっ!?」
1匹のトロールがレイラ達の進行方向に立った。まるで先を読んだみたいに。
「そっそんな、さっきまではそこにいなかっ…………」
「っハーマイオニーッ!!」
思わず立ち止まったハーマイオニーめがけて目の前のトロールが棍棒を振った。
レイラはハーマイオニーを扉の方に突き飛ばした。
ドガァンッ
「レイラァァッ!!」
防御魔法をかける時間もなく、レイラは棍棒で壁に叩きつけられた。
「ゲホッ」
床に落ちたレイラは、少し血を吐いて不敵に笑った。
「やりますね…………トロールの癖に…………番傘のお陰で助かりました」
「大丈夫!?レイラッ!」
ハーマイオニーが言う。
「大丈夫です。鍵は開きましたか?」
「ダメなの!呪文かけても開かな…………きゃぁぁぁぁぁ!!」
トロールがハーマイオニーめがけて棍棒を振りかぶった。
ガキィンッ
間に飛び込んだレイラが番傘で棍棒を防ぐ。
「
レイラがトイレに向けて呪文を放つと、トイレは粉々に壊れた。トロールがそちらに気をとられている間に、
「
開いた番傘に呪文をかけたレイラは、それをハーマイオニーの前に浮かせる。
「ハーマイオニー!そこから動かないで下さいね!」
そう言ったレイラは、賢くない方のトロールに向かって走った。そして呪文を放つ。
「
それが見事命中し、そのトロールはズゥンと音を立てて倒れた。
「
そのトロールに呪文を唱える。縄がトロールの体に絡み付いた。その時、
ガンッ
もう1匹残っていたトロールがレイラの頭を殴った。色々なガラクタを巻き込んでレイラは床を滑る。と、そこに、
「大丈夫!?ハーマイオニー!!」
と、ハリーとロンが飛び込んできた。
「トロールが2匹!?」
「てか、レイラ!大丈夫!?」
レイラは、ぼんやりとした頭でハリーとロンの声を聞いた。
「ハリー……ロン……ハーマイオニー…………」
頭から流れ出た血で片目が見えなくなった。開いた目で見えたのは、ハリー達に棍棒を振りかぶったトロールの姿だった。
(嫌だ………………失いたくない…………)
トロールが棍棒を振り下ろす。
「嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!」
レイラは叫んだ。
その時・・・
ドクンッ
レイラに異変が起きた。
ボガッ
ハリーは恐る恐る目を開けた。トロールが棍棒を振り下ろしてきたが、何も痛みを感じない。
「オ、オイ」
ロンの震えた声が聞こえた。そちらを見ると目を見開いたまま、何かを指差している。ハーマイオニーは目からポロポロと涙を流していた。
ロンの指の先を見ると・・・
「──────っ!?」
レイラが左腕でトロールの棍棒を防いでいた。杖は持っていない。
「レ、レイラ!?」
声をかけるが返事はない。と、次の瞬間・・・
ドガァァァンッ
レイラがトロールを蹴り飛ばした。吹っ飛んだトロールは、トイレの壁を突き破って城の外へ飛び出した。この城には防御魔法がかけられていたはず。それを突き破るほどの力でレイラは蹴り飛ばした。
トンッ
外に飛び出たトロールを追いかけてレイラは外へ飛び出した。
そこへ、
バタン
トイレの扉が開いた。そこにいたのはマクゴナガル先生、スネイプ先生、クレィルだった。
「止めなさい!Ms.ユオハーゼ!止まりなさい!」
「止めるんだ!レイラ!」
マクゴナガル先生とスネイプ先生が叫んだ。その声にピクリと反応したレイラは宙に浮いたまま、ゆっくり振り返る。
彼女の、その目は紅く染まっていた。
「────────ッ!?」
マクゴナガル先生が息をのんだ。
レイラの纏う雰囲気に違和感を覚えたのだ。彼女の瞳にはこの場にいる全員を圧倒するほどの殺気を帯びていた。
その隙にトロールはレイラを棍棒で殴った。レイラは部屋の壁にぶつかった。
パラパラッ
細かい瓦礫と共にレイラは床へ降りた。そして紅い瞳のまま、言った。
「先生、あいつは俺に殺させてくれ」
その言葉に、その場にいた者は戦慄した。あの
・・・じゃあ、こいつは誰だ?
「っ止めろ。レイラ、もうこれ以上はするな」
青ざめた表情をしたまま、スネイプ先生が言った。
「ふーん、つまんないの」
右手で杖を取り出したレイラはそれをトロールに向けた。
「
呪文が当たった箇所から血を出したトロールが固まって地面に落ちていった。
「さて、と。
レイラは部屋の壊れた場所を全て完璧に直した。
「手ェ出して」
それが終わると、レイラはハーマイオニーに言った。
「て、手?」
「ほら、早く」
恐る恐るハーマイオニーは手を出した。その手をガッと掴んだレイラは、
「やっぱり怪我してる。
と、呪文を唱え、ハーマイオニーの手にあった切り傷を直した。その瞬間、レイラは目を閉じて崩れ落ちた。
「レイラ?レイラ!?」
フフンフフンフフン