私たちは先程光ったと思われる場所へと降り立ち周辺を探索していた。
鬱蒼とした森の木々はぐねぐねと曲がっており、まるでこちらを睨んでいるようにも感じる。木の根本には怪しいキノコが生えていて、淡く発酵してるものありかなり不気味だ。そして何よりそのキノコらが放出してるであろう胞子、それが何よりも不快だった。
「ケホッ…長居すると体に悪そうですね…」
「そりゃ悪いさ。だからこうやるんだ」
魔理沙さんは正八角形の物(八卦炉というらしい)を軽く吹かして胞子を吹き飛ばしている。
「便利ですねそれ」
「そう、すごく便利だ。コンロみたいに使ったりもできるし、最大火力だと山の表面を消し飛ばしたりもできるぞ」
「振り幅大きいですね」
「ああ、弾幕ごっこも私はこれを使うんだ。やっぱり弾幕は壱に派手、弍に派手、参に派手って相場が決まってるんだぜ」
「派手な弾幕…憧れます。私はそんなに派手派手なことできる力がないので」
「それならこれをくれてやろう」
魔理沙は帽子の中をゴソゴソと漁り、何かを取り出して餅子に手渡す。
「なんですかこれ?クラッカー?」
「それは魔理沙様特性“弾幕クラッカー(仮名)”だ!普通のクラッカーみたいに使えば熱魔法が飛び出る使い捨てのマジックアイテムだぜ。ちなみに名前は募集中」
「結構物騒な物ですね…ありがたく頂いておきます」
「もう2、3個あるがこれ以上は有料だ」
そう言って魔理沙は帽子をポンポンと叩く。
「というかよく入りますねそんな帽子に」
「この帽子も特別性さ。八卦炉を作ったやつに協力してもらって物がたくさん入るようにしたんだ。ちょっと大きめの鞄程度でしかないけどな。」
「そっちの方が欲しいです」
「高いよ?」
「…買う気はないですが、いくらですか?」
「買い手が出せる金額の倍だ」
「売る気はないんですね…」
「払えさえすれば売るよ」
とてもユニークな人だ、と餅子は思った。最初はほんとにビビってたが全然悪い人じゃないなというのが感想だ。悪い人じゃないとは思うが性格は良さそうとは感じない、なんと不思議な人だ。
* * * * * * * * * *
魔理沙の話を聞きながらしばらく森を歩いた。しかし彼女は人間、そして博麗の巫女でもないのによく異変に絡むらしい。
以前に永琳様が起こした(よくわからないが厳密には違うらしい)永夜異変でも彼女は活躍したらしい。こないだは畜生界にも行ったとのことで、妖怪の私よりよっぽど濃い人生を送っている。
「というかまだつかないのか?」
「うーん、一応この辺のはずなんですけど…」
「しかし、どんなウルトラスーパーエクストリームアルティメットキノコに出会えるのだろうか、すごくわくわくするな。な?」
「いや私は別にキノコに思い入れがあるわけじゃないので特に…」
「はぁ…お前にはキノコの良さをとことん教え込まなきゃならんようだな。食べたり魔法の材料にもなるんだぞ?」
「ウサギはキノコなんてあんまり食べませんし、私は魔法使いでもない上にキノコがなくても色々とできるので…」
「はぁ、これは教育しがいがあるな」
「教育ってキノコってそんなに重要な_________」
彼女の話の途中で自分の意思とは別に反射的に耳が立った。ウサギは耳が良い。本来の動物であるウサギは小型草食動物、か弱い被捕食者である。我々は獣に対抗する力を持っていなかった、ならばどうやって守るか?それは敵を事前に察知する事である。その手段として我々の先祖は聴覚を選んだ。周りくどい言回しだが、一言で言えば「敵を察知した」のだ。
上?前?後ろ?横?…ちがう、この音は……
「魔理沙さん!あぶない!下です!!」
私は魔理沙さんに飛びかかって、襲撃者の魔の手から魔理沙さんを守った。その際に襲撃者の一部?が私の肌をかすめる。
「……!」
この感触…この感触を知っている…
「いてて…な、なんなんだ??」
「おそらく敵…そして多分目的の物です!」
襲撃したものが地面に引っ込むと、ちょっとした地響きとともに5-6mはある黒く光る巨大なものがゆっくりと地面から這い出してきた。
「こ、これは…!」
「「キノコだ!!」」
歓喜の声と驚愕の声の二つが混じり合った同じ言葉が魔法の森に響いた。