The middle of justice and evil 作:カラシニコミ
その後、最後に殺害された女性の家から指紋が見つかり、家宅捜索で殺害された全12人のヒビの入った頭蓋骨が押収されたことで、その町内に住んでいた無職の男、武中 忠之が逮捕され、最高裁まで行ったが判決は変わらず死刑となり、その2ヶ月後に死刑が執行された。
「出来れば捜査するー。とか、逮捕するー。とかそういうのはやめてくれないか?お前と組手を何回もしてきたから実力が分かるからお前とは戦いたくない」
「もちろんそのつもりだよ。実は暗殺したかったのは僕も同じだから」
「警護対象者じゃなかったのか?」
「ウチとしても邪魔な人だったからね。まぁ、
もう変わらない運命だろうけどもね。さぁ、こんなところで長居してたらお巡りさんが来ちゃうよ?近所で通報した人が居たみたいだし。これは上手いこと処理するから」
そう言いながら不知火は落ちた生首を足で転がす。
確かに遠くからパトカーのサイレンが聴こえる。早めにここから離れるべきだろうな。
反対側にある民家から渡ってこの場を離れると、
「1人で外出したことには何も言わないけども、誰か殺すならオレを連れていけ。後々の工作くらいはするために」
黒のトヨタ·クラウンRSから腕を出してそう俺に言う。なんで俺の居場所が分かった?
「『なんで俺の居場所が分かった?』って顔してるな。部屋で野球観戦していたタカムラのアメリカンバタフライナイフがGPS上で動いていたからな。タカムラに聞いたらお前に貸したって言うからな。それより、遺体の工作はいいのか?」
「あぁ、知り合いが専属の武偵としていたから。ダメだったら消すからいい」
「お前もこれで立派な犯罪者だ」
「『立派な』って言葉がついてるのに嬉しくないのは初めてだ」
そう言いながらクラウンの助手席に乗って拠点に帰る。
転校して2日目。朝のニュースではクモ膜下出血で死去した、とされていた。アイツ、報道機関と繋がりがあるのか....一体何者なんだよ。
「今日帰り、カラオケ行こうぜカラオケ!」
「悪い!今日俺部活だわ!」
「俺も部活のミーティングがあるから無理」
他の奴らは部活に入ってるのか...履歴書に○○部所属。○○年ベスト8。とか書くために。
「そういえば圭吾って部活入らねーの?」
と、話してきたのは一般の小学校にいた時の友達の大下 夏樹。
「何も考えてねーんだよなぁ....」
「なら、一緒にテニスやろうぜテニス!」
「....帰宅時間ってどのくらい?」
「....帰る気マンマンやな....日が暮れたら終了だぜ。火曜日はウェイトトレーニングと3kmランニングで終わりだ」
「なら、入るか....遊び程度やけどやってたし」
ウェイトならベンチプレス75kg上がるし、強襲科では、蘭豹に10km走って5分休憩しての繰り返しをさせられてたからキツいものじゃないからな。
「よっしゃー!なら、ペア組もうぜ!俺、アキレス腱断裂で長期離脱してたからペアがいなかったんだ!」
「分かった、分かったから熱くなるな。明日承諾書貰いに行くから」
そうして俺はソフトテニス部に入部することになった。
拠点に帰ると俺以外のメンバー全員が集まってた。
「俺、ソフトテニス部に入る事になったから」
「そんなのどーでもいいんだよケイゴ。そろそろ明かせよ。その昨日よりかは細くなったけどそれでもまだ太い右腕についてを」
「なんで気がついた?」
「一緒に拠点で生活してて、急に右腕だけ太くなるなんてなにかあるに違いねーだろ。味方の情報を知らないとこれから動きずらいだろ」
流石にストレスを溜めすぎたか.....話さないといけない事になると思っていたからしょうがない....話すか。
「これについては自分でも分からないことが沢山あるが、今分かっていることは全て話す。
まず、俺はほぼほぼマル乗能力者に近い存在だ。感情的ストレスや身体的ストレスで筋力が増幅する仕組みになっている。基本的には体が楽になる事で徐々に収まっていく。名前はストレス性筋力増大症候群。亮哉と紗彩は武偵校に居た時に俺は毎日欠かさずルーティンをこなしていただろ?それはストレスを体に溜めないためにしていた事の1つだ」
「でもマル乗じゃないってどういうこと?」
「ここからは僕が説明するよ。彼が話すには辛い話だからね」
俺は気がついてはいたが、スルーしていたやつが出てきたな。
「不知火くん!?」
「ここに来た理由は後々話すよ。その話の続きなんだけど、増進するのは筋力だけじゃなくて、頭脳もそうなんだ。実はこの力を持っている人は、町内女性殺害事件の犯人が誘拐した子供なんだ。その殺害した女性の家庭の子供を誘拐して予防接種と偽って、細菌を接種させていたんだ」
「事件のことは知ってたけど、そんなことは知らないよ?」
「国家機密1級だからね。ここで話してることは絶対に話しちゃいけないよ?そして、その能力を持っている人は5人いる。1人は田沢圭吾。それはみんな知ってるよね?そして、君たちが知っている人の中にも1人いるんだ。」
「誰だよ。圭吾みたいな感じの奴は1度もいなかったぞ?」
「まぁ、俺とは違う形で力を手に入れていたからな」
「って事はケイゴは知ってるんだな」
そりゃそうだ。この前まで同じチーム内に居たからな。
「ちょっと考えれば分かるだろ。」
そう言っても答えが出てこない....これでも元武装探偵かよ。
「元under the genius所属。現ケースストライク隊長の南 優奈ちゃん。この前、Sランク武偵になったよ」
ケースストライク。強襲科と狙撃科のAランクの4人で構成されていて、2年の中でSランク2人とAランク2人とEランク1人で構成されてるバスカービルに続く質の高さが売りのチームだ。真面目な優奈のことだからどこかのチームに入ってるとは思ってたけど....まさか隊長とはな。
「エ、Sランクになったの?南さん!?同年代のSランク武偵って、強襲科の神崎アリアさんと狙撃科のレキさんしか知らないよ!?」
「アイツの能力は俺に対になる様な感じに技が特化している。その能力に気が付いたのは任務中に人質の治療をしながら銀行強盗のメンバー全員の足首に向けて見ずに発砲して当てたことがあったからだ」
その日は優奈が見たいドラマがあったのに録画してる暇もなく駆り出されてイライラしていた。この2つで同じ能力を持っていたことが証明される。
「で、その話はこの辺にしておいて、不知火。何の用だ?」
正直、この能力がバレることは何一つ問題は無い。いつかは話さないといけないことだったからな。今最も恐れているのは不知火のこれからの言動だ。この能力の話をする為だけに拠点まで来た訳では無いだろう。
「じゃあ、この話はここでお開きという事で、本題に入らせてもらうよ。」
そう言って不知火はSOCOMを取り出して銃口を向けた。それは今回のメンバーのリーダーに向くことは無く、その隣にいた人物に向いた。
「元鏡高組地方総監担当、アルスタイト·ロイド。君を殺人の罪で逮捕する」
その時にロイドに向けられた笑顔は今までの中で1番殺気を帯びた笑顔だった。