side珪太
「ただいま~!」
俺は部活を終えて家へとたどり着く。しかし、いつもだったら『おかえり』と言ってくれるこねえからの返事がない…
(夕飯の準備はできている…ってことは、一つしかないな。やってることもいる場所もね!)
そして、向かった場所は階段を上がってから右に曲がった奥にあるこねえの部屋…ここにいるはずだ。
「お邪魔しま~す…って、そうだと思ってたよ。」
ドアを開けると、そこにはベットに寝転がっているこねえの姿があった。アミュスフィアを装着しているということはゲームにログインしているという訳だ…それも着ている衣服がワイシャツだけというだらしない格好のままである。
(やれやれ、帰ったらすぐ着替えろと言う姉がこれじゃあどうしようもないよな…)
ゲーム中のこねえを見て流石に俺も呆れてしまう。いつもは少し天然だけどしっかりしているこねえがこんなだらしなくては弟として情けない…
(それにしても、実にイヤらしい格好だ。俺が彼氏だったら確実に襲ってるな…)
「ん…」
「!?」
すると、突然こねえが目を覚ましてはアミュスフィアを取り外す。どうやらやっていたゲームが終わったようだ…
「えっ?」
目を覚ましたこねえは俺を見て驚き顔を赤らめる。どうやら自身の状態と目の前の状況を把握したらしい。
「お、おはよう…こねえ?」
「いやああああああああああ!!」
「ぎゃああああああああああ!!?」
そして、俺はこねえから酷い目に遭わされるのであった。半分は(いくら実姉とはいえ)異性の部屋に勝手に入り込んだ俺の自業自得ではあるが、流石に実の弟を下着泥棒か何かと同じように痛めつけるのはいかがなものだろうかと思う。
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「こねえ、本当にごめん…」
「ふんっ!」
しばらくして夕食の時間を迎えたものの、こねえの機嫌はどうやら直りそうもない…おまけに、俺の殴られたり引っ掻かれた痛みは引きそうもない。実を言えば俺達のルールとしてこねえの部屋に勝手に入ってはいけない(ただし、こねえは俺の部屋に入っても問題なし)というのがあるのだが…それに関しては何度も破ってしまっており、その度に許してもらっている。(色んな手を使って…)
「それじゃあ、ケーキ5個!これで許してくれるかな?」
「…」
ケーキ5個を提示してみるがこねえはそっぽを向いたまま無反応だ。何回もルールを破れば流石に女神のこねえもただでは許してくれないかもしれない…こうなったら財布の危機も承知だ!
「だったら、高級アイスも追加!これで許してください!!」
俺はさらにスーパーに売ってある高級ブランドのアイスを追加して食い下がった。これでダメなら俺は二度と許されることはないだろう…これで許してもらえるのなら高級アイスなんて安いものかもしれない。
「うっ…今回は許してあげるけど、次はないからね?」
とりあえず、こねえはこういうことにチョロいということは前々から知っていたので予測できていた。やっぱりそこは普通の女の子なのだろう…
「それでさ、訊きたいことがあるんだけど…こねえのやってるALOってどういうゲームなの?」
「そうだね…簡単に言えば仮想空間で妖精となって他のプレイヤーと冒険するゲームだよ。」
「なるほど、それは楽しそう!」
まさにVRならではと言えるだろう…妖精となって空も飛ぶってだけでも面白そうなゲームである。俺も昔はよくこねえとゲームで対決していたけど、こねえの簡単な説明からしてそれらよりもきっと面白いのかもしれない。
「もしかして、珪太もやりたくなった?」
「俺もやりたいに決まってるじゃん!こねえが楽しくやってるゲームを俺がやらない訳にはいかないでしょ?」
「でも、ちょっと無理かな?珪太は昔から高所恐怖症だから空を飛んだだけで『怖いよ~』なんて言うんじゃないの?それに、アミュスフィアは私のしかないし。」
「それもそうか…」
そう言われるとその通りだ。俺が高所恐怖症なのはどうであれ、アミュスフィアはこねえのヤツしかない…まさにゲームに慣れる慣れない以前の事態だ。
「とにかく…好奇心だけでやるようなゲームじゃない、これだけは言っておくね。ごちそうさま…」
それだけを言い残してこねえは食べ終わった食器とコップを片付けて自分の寝室へと消えていく…その背中を見て俺の中で何かが動くのであった。
(好奇心だけ…か。見てろよ、こねえ…必ず見返してやるからな!)
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「ありがとうございました~。」
翌日の放課後、俺は口座に預けていた全額を引き下ろしてからゲームショップに立ち寄っては念願のALO…『アルヴヘイム・オンライン』の中古ソフトと中古のアミュスフィアとオーグマーの特典付きセットを購入した。お値段は合計で所持金の半分である僅か3万という破格の安さだ…その理由は噂によると近い内にアミュスフィアに代わるフルダイブデバイスが出るのではという話が浮上しているからである。その為、アミュスフィアやそれに対応するソフトだけでなく最近起きた『オーグマー事件』の原因となったオーグマーの売上低下もあって、それらの商品が全国各地のゲームショップにて大安売りされるという異常事態が発生しているのだ。俺からすれば安くゲットできてラッキーな話だけど…
「よお相棒!随分と上機嫌じゃねえか?」
すると、親友の友亮がいきなり俺の目の前にひょっこりと現れる。本当にコイツは神出鬼没だ…
「友亮、今日は部活じゃないのか?」
「いやぁ、キャプテンが『好きなアニメを今週こそは絶対リアタイで観たい!』って言うから急遽休みになっちまってよ…」
それにしても、こんなラグビー部で大丈夫なのだろうか?もうすぐ都の高総体が控えているのに練習をサボっていたら勝てるものも勝てない。だから、ウチのラグビー部は毎年初戦敗退を繰り返しているのだ。
「だったら自主トレをすればいいじゃないか。いちいち俺を冷やかしに来る必要はないだろ?」
「そんなこと言うなっての!俺とチビ太の仲じゃねえか…なっ?」
「だからチビ太はやめろって何度も言ってるだろ…それで、俺に何の用?」
「お前がゲームショップから出てきて楽しそうだったから声をかけてみたんだが…何を買ったのか?」
「ああ、俺もVRゲームをやってみたいと思ってね…ALOを買ってみたんだよ。アミュスフィアもオーグマーもセットで3万だぜ?どうだ!」
「俺の時よりもめちゃくちゃ安いじゃねえか…運の良いお前が羨ましいぞ?」
友亮はこう言うが、運の良し悪しではなくて単に今のゲーム業界の事情が色々とぶれてる時期に買っただけであり特別に褒められることでもない。(運が良いのは確かだけど…)
「いやいや、そんなもんじゃないよ…っていうか、お前もALO持ってるんだな。それじゃあ、明日一緒にやろうよ。お互いに部活は休みだしさ!」
「OK、お前に妖精の世界のいろはを叩き込んでやるから覚悟しとけよな?」
「それじゃあ、また明日な…」
「ああ!」
そして、俺は友亮とALOで遊ぶことを約束して帰路に就く。いよいよ明日、俺にとっての新しい冒険が始まる…そう考えると胸の高鳴りが止まらなくなった。
To be continued…
いよいよ次回、珪太がALOデビューします!SAOの二次創作と言っておきながら現実での話が多すぎ…(^^;
まあ、僕は現実主義者なのでw(ファンタジーは嫌いじゃないけど…)