再就職なり色々環境が変わった中で遅れてしまいました…言い訳はありません。
sideケイタ
それから俺達は森の中へとたどり着く。鍛冶屋から森までの道のりはやはり妖精であるが故に空を飛んだのだが、他のみんなは流石プレイ歴が長いだけあって上手だった。それに対して俺は何度バランスを崩したことだろうか…やはり人間にはない物を操るにはとにかく慣れるしか方法はないのかもしれない。
「よし…まずはケイタにスキルアップをやってもらおうか。」
「スキルアップ?何をすればいいんですか?」
「ああ、君には今から出てくるモンスターを退治してもらうんだ。今のレベルだとみんながいるとはいえこれから挑むクエストは難しい…そこで、ある程度レベルを上げてスキルも取得するのが今の君には先決だと思ってね。」
俺はそう言われて自分のスキルを確認すると、見た限りは明らかに初期のスキルである。これでは某RPGゲームのス●イムみたいな雑魚にすら太刀打ちできないだろう…
「とりあえず、敵のモンスターがどこにいるかをユイ探してもらおう…ユイ、出てこい!」
「ユイ?」
キリトさんが『ユイ』と名前を呼ぶと、テ●ンカーベ●サイズの小さな妖精の女の子が召喚される。
「どうしましたか、パパ?」
「パパ!?」
ユイちゃんはキリトさんのことをパパと呼ぶ。いくら同じ妖精とはいえサイズは一回りも違うし、似てる要素が見当たらずだ…どういうことなのか理解が追いつかない。
「どうしたんだ?」
「あ、あの…そのユイって子は貴方の娘さんですか?」
「はい!私はパパとママの娘です♪」
「えっ?」
すると、キリトさんとアスナさんを指差してユイちゃんは二人を『パパとママ』と呼んだ上でその娘だという爆弾発言をした。いやいや、この二人を足してもこの子に引き継がれる要素はないだろう…さらに理解できなくなり混乱する。
「ゆ、ユイちゃん!恥ずかしいからあまりよその人には言わないでって言ったはずだよ!?」
「そ、そうだぞ!?俺達の関係をビギナーに話したらややこしくなるから!」
二人は慌ててユイちゃんを説得しようとする。彼女はどうしてなのかと言わんばかりにきょとんとした様子で理解しているのかがうやむやだ…
「すみません…お二人がそのユイちゃんのご両親というのは本当でしょうか?」
俺は迷わずキリトさんとアスナさんにユイちゃんとの関係性を訊ねる。本当の親子だとしたら別に知られてもいいはずなのだが…
「まあ、ある意味本当だよ…なあ、アスナ?」
「そうそう、私達は…ね!」
何か怪しいかもしれないが、これ以上深掘りするのはゲーム空間上ではタブーだ。腑に落ちない部分もあるが二人を信じるとしよう…
「とりあえず、信じますよ。それで、君がユイちゃんかな?」
「はい。私がユイですけど…」
「俺はケイタって言うんだ。今後も一緒にパパ達と冒険すると思うから、よろしく!」
「こちらこそよろしくお願いします、ケイタさん♪」
こうして、俺はユイちゃんとも仲良くなるのであった。また友情の大きな輪が広がっていく…
「それで、ユイちゃん…もし良かったらパパに関する貴重な話とか教えてもらえないかな?できることなら…「ケイタぁ~?」…こ、こねえ!?」
すると、背後から怒りのオーラを纏ったこねえが忍び寄っては俺を睨みつける。これは逆らうと無事で済まないだろう。
「みんなと仲良くなるのもいいけど、ケイタの為にわざわざスキルアップに協力してるんだから…迷惑をかけたらダメだからね?」
「は、はい…」
こねえは今にも火山が噴火しそうな感じで俺を威圧してくる。これはマジギレの一歩手前と言えようか、本気で怒らせたこねえは俺でも制御できないぐらいに恐ろしいものだ。怒らせて得する点など存在する訳がない…
「シリカってケイタと一緒だとイキイキしてるわね…シノンもそう思わない?」
「私もこんなシリカは初めて見たわ。やっぱり、弟の前だとありのままの自分を出せるのかしら?」
後ろでリズさんやシノンさんも話しているのだが、まさにその通り…こねえは普段だと大人しくて少し地味な印象に映るが、俺の前だといつも元気に振る舞っているのだ。
「そ、そんなことないですよ?相手が弟だろうと誰だろうと関係ありません!」
「でも、今日のシリカちゃんはいつもより元気に見えるよ。ユイちゃんとキリトくんもそう思うよね?」
「はい、今日のシリカさんはいつもより明るいです!弟のケイタさんがいるのといないのでは違うのかもしれません。パパはどうですか?」
「俺も気持ちは分かるよ。やっぱり、弟や妹と一緒だと楽しくなるよな!」
こうやってみんなにも俺達姉弟が仲良しであることが理解されて俺は凄く嬉しい。一方でこねえは恥ずかしさのあまり何も言えない状況ではあるが、内心は満更でもないだろう…
「まあ、これからも仲良くしていこうよ…こねえ!」
「う、うん…」
ミシミシ
俺達が談笑していたその時だった…目の前の地面が割れてそこから人食い花みたいなモンスターが現れた。いよいよ冒険の幕開けと言ってもいいだろう!
「よし、練習には丁度いい相手だな。リズとシリカはケイタのサポートに、アスナはヒーラーとして後方支援に入ってくれ!」
「ちょっ…残ったあんた達はどうするの?」
「俺達はケイタに後ろからアドバイスする。シノンもまだこっちでのプレイ歴は浅いけど、戦闘スタイルが射撃だからな…それに、これはリズのスキルアップも兼ねているからそれを忘れるなよ?」
「リズさん、頑張ってくださいね!」
「貴方ならきっとできると信じてるわ。」
「あんたら、後で覚えておきなさいよ…」
何があったかはよく分からないが、リズさんはキリトさん、リーファさん、シノンさんの三人を睨みつける。恐らくは本職が鍛冶屋だから戦闘スキルがイマイチなのだろう…ある程度の予測はつく。(完全的な初心者の俺が言える立場ではないが…)
「とにかく、今はモンスターを倒すことに集中しましょう。こねえもOK?」
「私はいつでもいいよ!」
「リズさんとアスナさんもバックアップをよろしくお願いします。」
「はいはい、分かりましたよ…」
「頑張ってね、ケイタくん!」
「は、はい!それでは皆さん、行きましょう!!」
『オー!』
そして、俺達はモンスターに立ち向かっていく。俺にとっては初めての戦闘ではあるが不安はない…何しろ、いくら野球を辞めてブランクがあろうとも身体能力に関する不安は一切ないからだ。
「まずは俺が切り込みます!うおおおお!!」
「ケイタ、待って!」
「ぐえっ!?」
先陣を切って俺がモンスターに突っ込んだその時、触手が俺の腹部に命中して10m後方まで飛ばされる。初期スキルだとこんなものだろうか…HPも大幅に減ってしまう。
「ケイタくん、大丈夫?」
「ええ、身体は平気ですけどHPが…」
「心配しないで…þú fylla heill austr(スー・フィッラ・ヘイル・アウストル)!」
アスナさんが呪文を唱えると、俺のHPは瞬く間に全回復した。ひとまずは命拾いしたというところか…
「とりあえず、HPは回復させたよ。」
「ありがとうございます。それじゃあ、戻りますね!」
俺は戦列へと復帰してこねえとリズさんのバックアップに入る。今の自分では自ら切り込むのは無理だ…こうなったら後ろに回るしかないようだ。
「リズさん、こねえ!」
「ケイタ!」
「あんたね、初期スキルなのにバカのように突っ込むってどういう考えをしてるのよ…」
「すみません。とにかくここは俺がバックアップに回ります…二人は前から攻撃を!」
「分かった、リズさん…」
「ええ、言われなくても!」
こねえとリズさんは先陣を切ってモンスターに攻撃を仕掛ける。計画通りであればこの二人が切り開いた道を俺が突っ込んでとどめを刺すという構図だ。
「「はああああああ!」」
こねえは剣(ディフェーザ)、リズさんはハンマーのような武器(スミサリィメイス)でモンスターに一発を浴びせる。この合わせ技にはモンスターのHPも大幅に減少!後は俺がとどめを刺すだけ、そう思ったその時…
「うわっ!」
「シリカ!?」
モンスターが突然上から触手を振るい、それがこねえに命中して地面に叩きつけられる。これは大ピンチだ…
「大丈夫?」
「私はなんとか…」
モンスターは容赦なく二人を見下ろせる場所まで迫っていた。このままだと仲良く揃ってやられてしまう…そう思った俺は助けに行こうと自らモンスターへと突っ込んでいく。
「こねえ、危ない!ぐわっ…」
「ケイタ!」
俺はこねえの代わりにモンスターの触手の餌食になってしまった。このままだと食べられてゲームオーバーに!ただ、相手も素の力が強いのか自力で触手から脱出ができない…もがいている内に口への距離は迫り、HPもみるみる減っていく。
(こねえ、助けて…)
「私の…私の弟に手を出すなぁああああ!!」
心の中で助けを祈っていたその時、こねえは大きな声を上げてモンスターに斬りかかる。その姿は今まで弱気なイメージがあった彼女からは想像できないぐらいの怒りで、その勢いのままに剣でモンスターを真っ二つに斬り裂いた。
『す、凄すぎる…』
この様子を見た他のメンバーは揃って驚いていた。みんなもこんなこねえを見たことがなかったのだろうか…とにかく、俺は自分のことをこれぐらいに大事だと思ってくれていることを知り嬉しく感じた。
「こねえ、助かったよ。ありが…」
バシッ
俺がこねえに感謝を伝えようとすると、突然と彼女は右の頬をビンタしてきた…痛みはバーチャル空間故に感じないが、衝撃に関してはリアルに伝わる。
「貴方何やってるの!勝手なことばかりして…」
「えっ?」
「大体いつもそうでしょ!私の言うことは聞かないし、感情に任せて人に迷惑をかけてばかり…しかも、アスナさんやリーファさんに対しては鼻の下を伸ばして!だから私はALOをやらせるのは反対だったんだよ…」
こねえは涙目になりながら、俺への怒りをぶつける。正直な話、彼女からここまで怒られたのはこれが初めてで何も言えないし、何と返せばいいのかが分からない…それほどのインパクトだ。
「ごめん。でも、俺はこねえを守りたかったから…」
「もう言い訳は聞きたくない…ケイタなんかもう知らないんだから!!」
そう言うとこねえは羽を広げてどこかへと飛び去っていく。俺達の仲は一瞬にして引き裂かれたのだ…これからどうすればいいのか、それが頭を過り絶望のどん底へと叩き落とされた…
To be continued…
これだけ待たせといてこの程度のクオリティー…この先が不安になりますね。
それと、一応予告しておきますが…この物語はあと4話ぐらいで完結する予定にしております。また何か決まったら改めて報告するので暫し待たれよ!
それでは…