麦わらの男は旅をする   作:大明神覇王

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十七旅

 

 統治はしっかりとし、平和であったのに何故か民衆が暴動を起こし、それが広まっていくことで乱れ始めた祖国を救うべく、元凶の組織であるバロックワークスに潜入したアラバスタの王女であるビビと護衛隊長のイガラムは刺客が送り込まれた事で正体がバレた事を悟った。

 

 偶然ではあるが、二人にとっての刺客を倒したルフィは事情を聞くとアラバスタまでの護衛と輸送を引き受け、自らの祖父である海軍中将ガープと彼の友であるという元帥のセンゴクに連絡をし、協力関係を結んだ。

 

 更に二人が死亡したという偽りの情報を広める事でアラバスタまでの道のりを妨害されないようにもしたのだった。その際、バロックワークスの副社長を務める女性、オールサンデーとも取引を結んだ。

 

彼女が裏切らない事は見聞色の覇気で確定している。

 

そして、アラバスタまでの道のりだが……島の磁力を記録する事でその島から離れてどこへ行こうとも記録した島への進路を示す『永久指針(エターナルポース)』をビビが持っていたのでそれを使う事とした。

 

とはいえ、あまりに速くアラバスタへと向かおうとすれば死亡が偽りだとバレる可能性があるので、あえて遠回りとなる航路でルフィたちは進んでいる。

 

「随分と穏やかだな」

 

 ウイスキーピークまでを航海していた時は荒れるに荒れた天候や波だったのに対し、今は穏やかな状況が続いているのでルフィは呟く。

 

「あの海だけは特別なの、リヴァース・マウンテンから出る7本の磁気が全てを狂わせていたから」

 

「ですが、グランドラインの海はやはり、普通の海を行くより困難な海である事は心しておいてください」

 

 ビビに続いて、イガラムが重要な事だと真剣な表情で忠告する。

 

因みに船にはビビの家族とも言えるカルガモのカルーもいた。

 

「了解だ」

 

「まぁ、あの時みたいに常に忙しいのはなるべく勘弁してほしいところだわ」

 

「そうかい? すっかり、この船の運転に馴染むことが出来たからアタシとしては歓迎したいんだけどねぇ」

 

 ナミがグランドラインでの最初の航海を思い返しつつ、苦笑するとアルビダは挑戦的な笑みを浮かべた。

 

「流石、アルビダ様。常に自信満々で素晴らしいっ!!」

 

「いや、おれはナミに賛成だ。楽な航海の方が良い」

 

「おれとしてはどっちでも……」

 

 サンジがアルビダを囃し立てるようにする中、ウソップにゾロは自分の意見を述べた。

 

「おれはあるがままを受け入れるだけだ……む、島だな」

 

 ルフィは前方に大きな島を見つけた。其処へ進んでみれば行く先々にあるのは森林の数々、この島は【リトルガーデン】と呼ばれている島である。

 

「ビビ王女、イガラムさん。先にも言ったように、おれは見つけた島には足を踏み入れるようにしている。探検に行かせてもらうぞ」

 

 どのみち、時間をかけた航海をする事は話し合っており、海軍への連絡も含め、かなりの協力をしてもらっているので二人としては文句も無かった。

 

 それに……。

 

「私も行くわ。じっとしていたら色々考えちゃうし、気分転換にね」

 

「ビビ様が行くなら、私も当然、行きます」

 

「クエー」

 

 ビビ達も気分転換としてルフィに続くことにした。

 

「おれは言わずもがなだ」

 

「それならルフィ、ゾロ。食糧が足りねぇから食えそうな獣がいたら獲ってきてくれ」

 

「おれは良いや」

 

「私も残るわ」

 

「アタシはルフィに同行したいところだけど……今回は船を守る事にするよ」

 

 それぞれ、方針を決めてそれに準じる事にした。

 

「それにしてもこういう所は懐かしい。小さい時は爺ちゃんから良く、修行として幾つもの無人島でサバイバルさせられたからな」

 

「へ、へぇ……」

 

 ウソップが皆を代表するかのように相槌を打った。

 

 

「そうそう、こういう所を歩く際には少しでも厚手のものを着た方が良い。虫刺されとか毒を持つ植物が付着したとき、皮膚から侵食されないようにな。他にも……」

 

 ルフィは自分の体験談によって危険について備えさせようとしたが……

 

「ルフィさん、私は貴方に従います。是非とも同行させてください」

 

「同じく……」

 

「ク…クェェェ……」

 

 ビビにイガラム、カルーは「あの時はこうして、死にかけた。こうして、死にかけた」と苦笑しながら言うルフィへと震え混じりに言った。

 

「強くなるためには、逆境を何度も跳ねのける必要もあるからな」

 

「そういう問題じゃないと思うぞ」

 

「一体、どういう幼少生活を……いや、聞かないようにするか」

 

「本人、気にしてないだけで過酷な生活、してるのは確かね」

 

「只者じゃない訳だ」

 

 ゾロは当然だと頷き、サンジは反応に迷い、ウソップは多少恐怖し、ナミは曖昧な反応、アルビダは苦笑を浮かべる。

 

 ともかく、こうしてルフィにゾロ、ビビにイガラムとカルーの5人がリトルガーデンの地に足を踏み入れたのだった……。

 

 

 リトルガーデン、その島は密林のジャングルで構成され、古代種に恐竜が住んでいる。

 

グランドラインのでたらめな気候によって古代の時代の環境が閉じ込められてしまっているのである。

 

だが、そんな恐竜よりも文字通りの大物がこの島で生活を営んでいた。

 

「ふふ、随分な大役をボスは任せてくれたもんだガネ。これも私たちが高く評価されている証拠だ」

 

「そうね」

 

 ジャングルには似つかわしくないロウで構成された家の中に頭の上に『3』と髪を結って固定している男に帽子を被ったお下げの少女が居た。

 

 二人はバロックワークスのエージェントであり、男の方はMr.3で少女の方はミス・ゴールデンウィークである。

 

「まさか、100年前に海を荒し回った巨人族の海賊団、それを率いていた二人の頭がこんな秘島にいるとは、しかも懸賞金はまだ有効。合計は二億、素晴らしすぎるガネ」

 

 Mr.3が紅茶を飲みながら見ている机の上にはドリー&ブロギーと書かれた手配書があった。

 

「忘れられてるだけだったりして……」

 

「誰もが君みたいなマイペースじゃないんだから、そんな訳なかろう。それに巨人族は長命。可笑しな事は何も無いガネ」

 

 そして、彼は部屋に置かれた幾つかの道具を見る。

 

 

「では、そろそろ仕事に取り掛かるガネ」

 

「え~、面倒くさいなぁ」

 

 そして、立ち上がり家の扉を開けて、外に出た時……。

 

 

 

 

 

「二人とも、こんにちは」

 

「っ!?」

 

「……こんにちは」

 

 部屋の外には二人の存在を感知した事でこの場へと向かい、出てくるのを待ち伏せしていたルフィが居て彼は挨拶する。

 

 Mr.3は驚愕し呑気にゴールデンウィークは挨拶を返す。

 

 

 

「ふっ」

 

「がっ!!」

 

「あっ!!」

 

 二人の額を人差し指で突いて生命エネルギーによる干渉を行った。

 

「さて、おれはお前たちのボスだ」

 

「分かったガネ」

 

「分かった……」

 

 脳の機能を掌握され、一種のトランス状態にされた二人はルフィの言う事に頷いた。

 

 

「では、まずビビとイガラムあるいはMr.8とミス・ウェンズデーが死亡したという情報は流れているか?」

 

 バロックワークスのエージェントである事を自己紹介させた事で知ったルフィは先ず、確認するべき事を聞く。

 

 

「その二人なら死亡したという連絡は聞いているガネ」

 

「同じく」

 

「なら、お前たちがこの地で任された仕事は?」

 

 これにより、二人の仕事の詳細を知ると……

 

「なら、Mr.3はこの電伝虫を使って繋がった相手に任務は達成したと伝えろ。連絡が終わったら、帰る準備だ。ゴールデンウィークは先にこの島を出る準備をしていると良い。準備が出来たら、後はこの島を出て、近くの町で自分たちの特技を人のために使う仕事をしろ。良いな?」

 

 

「分かったガネ」

 

「分かった」

 

 頷くとそれぞれ、ルフィの指示をこなすために家の中へと入る。

 

 

 

「よう、お前たちまた会ったな」

 

『!?』

 

 そして、次の瞬間にはMr.3達へボスの命令によりアラバスタへのエターナルポースを届けようとしたアンラッキーズに上空にて対面した。

 

 アンラッキーズの二匹はまさかの遭遇にグラサンを割る程に目玉を飛び出させ、口を大きく開き、舌を伸ばしながら驚愕をする。

 

「悪いが、逃がしてやれる状況じゃない。降参か、抵抗するか選べ」

 

『……』

 

 ルフィの言葉と軽く漂う闘志にアンラッキーズはお互いのパートナーと視線を交わし……。

 

「その覚悟に敬意を表そう」

 

 アンラッキーズはルフィへと立ち向かったのだった……。

 

 

 

 

 二

 

 

 

 リトルガーデンのとある場所、其処では巨人族の二人による幾日も幾日も決着のつかない決闘が行われていた。

 

「ゲギャギャギャギャ、今日は良い日だなブロギーよ」

 

「ガババババ、そうだなドリーよ。良い友人に会えたのだから」

 

 眼鏡状の顔当てがついた兜を被った細身の巨人、ドリーと丸っこい体型に扇のような形になっている特徴的な髭、角つきの兜を被った巨人であるブロギーが酒を飲み交わし、笑う。

 

 

 

「おれも二人の素晴らしい戦士に会え、心滾らせられる決闘を見る事が出来て良かった」

 

 二人の決闘を見、感動したルフィは酒でも与えて讃えたいと考えた。

 

 だが、ブロギーが先にメリー号で待機していたサンジ達に出会っており、そのまま、全員で軽い宴が行われたのであった。

 

 

 

 

 

 更に……。

 

「これから、よろしくなピクチャにヴァルチィ」

 

 二度は見逃され、三度目は戦ったが敗北、しかし命は取られなかった事でアンラッキーズの二人はルフィに屈服。

 

そして、『お前たちを気に入った。良かったら一緒に旅をしないか?』という言葉に賛同し、Mr.13はピクチャ、ミス・フライデーはヴァルチィと名を改めてルフィの仲間となったのだ。

 

 

 宴により、それぞれが楽しい時間を過ごしたのであった……。

 


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