麦わらの男は旅をする   作:大明神覇王

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三旅

 見聞を広めるためと祖父や育った村に何度か訪れていた海賊の頭、世界に名を残す程の高みにいる男たちを超える事を目標として自己追求の旅をしているルフィ。

 

 彼は現在、『海賊狩り』として有名なゾロと海賊専門の泥棒だという少女、ナミと共に旅をしようとしていた。

 

「成程、それで泥棒をしているのか」

 

 ルフィはナミと話をし、彼女が泥棒をしているのはある村を買うのに一億ベリーを手にする必要があるからだという事を知った。

 

「そ。海賊相手なら宝を奪っても罪悪感は無いしね」

 

「だろうな。海賊の世界は全てが自己責任だ」

 

 海賊とはときに村を襲い、略奪する悪党。

 

そんな者たちの財産を盗んだ場合、盗まれた方が悪いという事になる。弱肉強食の道理がまかり通るのが海賊の常識と言っても良い。

 

「うふふ、バギーの奴。随分と財宝にこだわっているわね。これだけあれば一千万はくだらないわ。それにグランドラインの海図もある。ルフィ、世界を旅しているのならグランドラインも通るのよね?」

 

 ルフィがバギー海賊団を逃亡させた事で彼らが騒いでいた酒場近くの小屋に保管されていたバギーの宝と海図を手に入れる事が出来た。それに満足しながらナミは質問をする。

 

 

 

「あぁ、勿論だ」

 

「良し、なら大物の海賊を狙っても大丈夫そうね」

 

「頼りにしてくれて嬉しいよ。ゾロ、おれはなるべく戦いは避ける主義だが避けられない戦いのときはお前の力を貸してもらうからな」

 

 満足気に頷くナミに苦笑しつつ、ルフィはゾロに声をかけた。

 

「言う必要はねぇよ、ルフィ」

 

 ゾロはルフィにそう答えを返した。

 

 そして、ルフィとゾロはナミと共にバギーの宝を自分たちの船へと運び終わると……。

 

「ありがとう、お前たち。この町を救ってくれて」

 

『ありがとう!!』

 

 その後はバギー海賊団を追い払った事で町の人達から感謝と歓迎を受、一日滞在した。

 

 

 

 ルフィの主義としても立ち寄った場所の特徴などはしっかりと記憶、あるいは理解するために最低でも一日は滞在すると決めているのだ。

 

「じゃあ、予定の航路としてはこんな感じでどう?」

 

「うーん、島や町には多く立ち寄りたいとは思っているんだ」

 

「なら……」

 

 ルフィとナミは海図や地図を見つつ、旅の予定を立てた。行く当ても何も無ければ遭難するのは目に見えているし、行動の意欲も違ってはくる。

 

 まぁ、ルフィは仲間が出来たから計画を立てているだけで、一人旅だと行き当たりばったりで行動してしまうのだが……。

 

 ともかく、ナミが航海術に長けているのもあって予定はしっかりとした物が出来たのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレンジの町からルフィ達は出航し、道中で発見した無人島へと向かった。当然、ルフィの意向である。

 

「ん、人がいるぞ」

 

 無人島へと上陸したルフィは少し、瞑目するとそんな事を言う。

 

 

 

「はぁ? 此処は無人島なのよ。そんな訳無いじゃない……まぁ、遭難者は居るかもしれないわね」

 

「取りあえず、行ってみようぜ」

 

 三人が歩み出し、森に入ると……。

 

「コケコッコー」

 

「しゃー」

 

「ガルルル」

 

 ニワトリのようなとさかに尻尾を持つタヌキにウサギのような耳と尻尾を持つ蛇、ライオンの鬣を持つブタなど奇妙な動物が目に入った。

 

 

 

『それ以上、踏み込むな』

 

 そして、少し進むと声が響く。

 

「おれはルフィ。仲間と共に世界を旅している者だ。この無人島をしっかりと見たくて此処に来たんだが、先人がいるなら話は早い。ちょっと話さないか?」

 

「え、えええええっ!?」

 

 ルフィは自己紹介しながら姿を一瞬で消し、次の瞬間には銃を構えている者の後ろに現れて声をかけた。

 

 

「お、お前、なんで……さっきまであそこに」

 

 当然の事ながら一瞬で自分の背後に現れたルフィに対し、銃を向けつつ男は問いかける。銃を構えている男は髪は豊富でマリモのようになっており、眉毛は繋がって髭はぼさぼさの状態だった。何より、小柄な身体は何故か宝箱に入っている。

 

 

「単に移動しただけだ。かけっこや鬼ごっこは得意なんだよ……警戒するのは無理も無いが、話ぐらいしてくれないか? 後、その状態は趣味と事故、どっちだ」

 

 

「趣味なわけ、無いだろう!! ハマっちまったんだよぉぉぉっ!!」

 

「そうか。なら」

 

 次の瞬間、ルフィは男に接近して右の人差し指で宝箱を突く。その衝撃はルフィの技術によって宝箱だけに伝播すると共に破壊された。

 

 

 

「お、おお……うおおおっ!! やったー、解放されたぁぁぁっ。ありがとう、本当にありがとう」

 

 男は銃を懐に収めつつ、ルフィに近寄って彼の手をとった。

 

 

 

「喜んでくれたならなによりだ」

 

 そして、男と共にゾロとナミの二人と合流した上で話をした。

 

 男の名はガイモン。二十年前に海賊だった彼は大岩の上に宝箱を発見した。しかし、興奮のあまり、ミスって落ちてしまい下にあった開けっ放しの宝箱にハマってしまった。

 

 それ以来、二十年もの間、島に来る海賊を追い払いつつ、大岩の上にある宝箱をいつか手に入れる事を願って守り続けてきたのだという。

 

 又、島の珍獣とも長年交流しており、愛着もわいているので珍獣狙いの海賊も追い払っているとの事だ。

 

 

 

「それじゃあ、ガイモンのおっさん。宝を取りに行こうぜ」

 

「おう、重ね重ねありがとうルフィ」

 

 ルフィは話を聞くとガイモンに宝を与えるため、共に大岩へと移動。彼を背に上がらせると大岩の壁を階段を上るかのように足で上がった。

 

 

 

「……人間じゃないわね」

 

「やりやがる」

 

 付き添っていたナミは仰天し、ゾロは喜んでいた。

 

 

 

「さぁ、遠慮はするなよ」

 

「ああ」

 

 そして、大岩の上に並ぶ五個の宝箱にガイモンは近づき……。

 

 

 

 

「う……あ……」

 

「……」

 

 彼は涙を流し、ルフィはガイモンの様子を何も言わずに眺める。

 

 ガイモンが二十年も守り続けていた宝箱。その中身は空であった。しかし、これはおかしなことでは無いのだ。宝の地図が存在する財宝、地図を手に入れた時には宝は奪われた後だというのは……。

 

「う、うおおおおおおっ!!」

 

 つらい現実を前にガイモンは只々、慟哭を周囲へと響かせたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうよ、ルフィ。これで未練も何も無くなった。この島でのんびり過ごすよ」

 

 ガイモンは夢が潰えたとはいえ、心残りは無くなった。なのでルフィが旅について来ないかと尋ねると彼は断った。珍獣は守り続けたいとの事だ……。

 

「良いって事さ。こっちも思い出になる体験が出来た」

 

「そうね」

 

「おっさんの事は忘れねぇよ」

 

 こうしてルフィ達は島を発ち、ガイモンと珍獣たちはそれを見送ったのだった……。

 


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