麦わらの男は旅をする   作:大明神覇王

5 / 31
四旅

 

 ガイモンが珍獣と共に余生を過ごすと決めた無人島を出て、進んだルフィ一行は小さな村のある大陸に到着した。

 

「さて、どんな村か楽しみだ」

 

 船を止めて、陸へと上がったルフィは少し、瞑目すると……。

 

 

 

 

「ん……」

 

 眉根を寄せ、怪訝な声を洩らすと目を開けた。

 

「おーい、ちょっとこっちに来てくれないか?」

 

 次にルフィは目を開き、上からルフィ達を見下ろしている少年と彼より少し年下の子どもたちのほうを見て声をかける。

 

『うわあああ、見つかったぁぁぁぁ!!』

 

「おい、お前ら逃げるな!!」

 

 子どもたちは逃げ出し、少年だけが取り残されてしまう。

 

 

 

「……おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップだ。人々は俺を称え、さらに称え、“わが船長‘’キャプテン・ウソップと呼ぶ!!!」

 

 ルフィ達が近づいてきたのもあって、一般人より鼻の長いのが特徴的な少年のウソップは気まずげな様子を見せたのち、突如そんな自己紹介をした。

 

「この村を攻めようと考えているならやめておけ。このおれの八千万の部下共が黙っちゃいないからだ!!」

 

 次にそんな事を言ったが、どう聞いてもこのウソップの言葉は……。

 

「(嘘ね)」

 

「(嘘だな)」

 

 当然、ナミとゾロはウソップの言葉が嘘だと理解し……。

 

 

 

「おれはルフィ。世界を旅している者で海賊なんかじゃないから安心してほしい」

 

「普通に流されたぁぁぁぁっ!!」

 

 ルフィは特に気にせず、自己紹介したためにウソップは嘘を吐いた手前、いたたまれなくなってしまった。

 

 

「ところでウソップって言ったが、もしかしてヤソップさんの息子か?」

 

「父ちゃんの事を知ってるのか!?」

 

 ルフィはウソップの姿にとある人物の姿、その者が言っていた言葉から一つの質問をすることにし、見事それは当たっていた。

 

 ヤソップとはルフィが育った村を一時期拠点にしていた海賊団に属している男であった。

 

 その海賊団の誰よりも射撃の腕が優れているという長所を持っており、『ルフィ、おれにはお前と同じ年頃の息子がいるんだ。ウソップっていってな……』とルフィに何度も言った。

 

 そして、年幼いルフィをヤソップは二人目の息子であるかのように可愛がったりもしたのだ。

 

 更にヤソップの属する海賊団の船長は『赤髪のシャンクス』であり、ルフィが祖父と同じく尊敬し、超えたいと思っている一人だ。

 

『ルフィ、お前は誰もが辿り着けない高みへと至ってみせろ。この帽子はその時、返しに来てくれればいい』

 

 別れることになる前日、シャンクスが被っていた麦わら帽子を預けられ、ルフィはそれ以来、麦わら帽子を被り続けているのである。

 

 

 

 

 

 

「そっか、父ちゃんがなぁ……」

 

 ルフィ達と村へと移動し食事をとりながら、ウソップはルフィからヤソップの事を聞いていた。

 

「おっと、もう時間か……父ちゃんの事を聞かせてくれてありがとうなルフィ。何も無い村だけど、過ごしやすい村だっていうのは保証するからゆっくり、楽しんでくれ」

 

「あぁ、そうするよ」

 

 ウソップは少し慌てた様子でルフィ達へと言葉を残し、ルフィの言葉を聞くと手を振りつつ店を出て行った。

 

 

 

「ゾロ、ナミ……実はな」

 

 ルフィはウソップが去ったのを見ると声を潜めてゾロとナミに何かを言い、食事を終えると店を出、何処かへと向かったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 ウソップの住む村には場違いともいえる大富豪の屋敷が一軒建っている。しかし、その屋敷の主は一年ほど前に病気で両親を亡くした少女である。

 

「あの方向は……まさかっ!!」

 

 その少女を支える立場にある屋敷の使用人、黒髪のオールバックに眼鏡をかけた几帳面そうな男がクラハドールは屋敷から出て歩いていると煙が天高く上がっているのを発見してその場所へと向かった。

 

 実はクラハドールには裏の顔がある。彼は三年前まで凄腕の海賊であり、『クロネコ海賊団』の船長、キャプテン・クロだった。

 

 だが、海賊稼業に嫌気がさして平穏な生活を営む事に決めた。そして転がり込んだ村にあった屋敷の使用人となったのである。

 

 もっとも屋敷の主人とその妻が死んだのは彼にとっても計算外であり、ならばと部下で催眠術師のジャンゴによる催眠術で娘に遺書を書かせる事で財産を手に入れ、部下の海賊に村の者達を襲撃させようと計画し、正に今日、それを実行しようとしていたのだが……。

 

 

 

 

「な、何なんだこれはっ!! まさか、お前たちがやったのか……」

 

 キャプテン・クロが辿り着いた煙が上がっていた場所。

 

 それは彼の部下たちが乗っている海賊船のある場所であったが、船のある海岸では彼の部下がジャンゴも含めて倒れ伏しており、焚火の近くに麦わら帽子を被った男に三刀を携えた男、海賊船にあったであろう宝を運んでいる女がいた。

 

「ああ、ご覧の通りだよ。そして、キャプテン・クロだったか? 最後の一人であるあんたを呼び出したんだ。其処のジャンゴって男にあんたが立てた計画も全部、喋って貰ったから全部知っている」

 

 麦わら帽子を被った男、ルフィは覇気の一つで生物の発する心の声や感情を聞く能力をもたらす『見聞色の覇気』とそれとは別に生命自体のエネルギーとでも言うべきか……肉体を鍛え抜く事で手に入れた生命の感知能力をもってこの村に海賊が潜んでいる事を察知し、ゾロとナミの二人と共に奇襲を仕掛け、キャプテン・クロ以外の海賊を再起不能の状態にした。

 

 そして、今はキャプテン・クロが現れた事で彼の方へと向かって歩き、多少の間合いを取って止まった。

 

 

「そうか、やってくれたなガキがっ!! どこの馬の骨か知らんが、よくも俺の計画を台無しにしてくれたなぁぁぁぁっ!!」

 

 キャプテン・クロは自分の計画を台無しにされた事に激昂し、両手袋の五指に刀の刃が融着している特殊な武器を装備し、次の瞬間には姿を消した。

 

 

 

「(死ね)」

 

 キャプテン・クロは無音の移動術、抜き足を習得している。それをもってキャプテン・クロは相手に気配を感じさせず、姿を見せる事も無く殺す静の殺人者なのだ。

 

 そして、キャプテン・クロは微動だにしないルフィに接近し、殺そうと両の五指による刃を振るったが……。

 

 

 

「う……」

 

 何故か、キャプテン・クロはルフィの身体をすり抜けてしまう。だが、これは彼の錯覚のようなものである。

 

 実際にはルフィがほんの僅かに横へと移動して回避しただけなのだから……。

 

「ふしっ!!」

 

 ルフィは背後に居るキャプテン・クロへ振り返りもせずに左の肘打ちを彼の背中へ炸裂させる。

 

「うがぁっ!!」

 

 背中から生じた衝撃は彼の内部に浸透し、搔き乱す事でダメージを与え、意識を失わせることで地面に倒れさせたのだった……。

 

 

 

 

 

 

「す、凄ぇ……あいつ、あんなに強かったのかよ」

 

 この海岸にはキャプテン・クロの他にルフィによる焚火の煙を見た事でもう一人、来ていた。それはウソップである。

 

 彼は自分の村に海賊がいた事、屋敷の執事であるクラハドールがキャプテン・クロだった事にも驚いたが、何よりルフィの超絶的な強さに驚き、それに伴う勇姿に惹かれた……。

 

「おーい、ウソップ。手伝ってくれないか?」

 

「ああ、分かった」

 

 呼びかけられた事でそれに応じて海岸へと向かい、キャプテン・クロとその一味を捕縛するとルフィが乗ってきた船に用意されていた電伝虫によって海軍に通報した。

 

「(ルフィの仲間になりてぇ)」

 

 彼は作業の最中、そんな思いを持っていたのであった……。

 

 


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。