魔竜の竜王の力を宿した白兎   作:希望の忍者

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ベルが迷宮都市(オラリオ)の地へと足を運びます。
最初の方は、ベルが旅に出てからの出来事を簡潔にした話です。

ベルの性格が旅を重ねて色々と変化しています。


迷宮都市(オラリオ)

祖父の死に枯れ果てるまで涙を流し続けたベル。

泣き疲れ眠りにつき、夢の中で出てきた“男”【アクノロギア】の邂逅とベルを弱者と断言する。

 

ベルは自分の弱さに悔み、嘆き、怒りなど内に秘める想いの全部をアクノロギアにぶつける。

ベルも八つ当たりだと言う事も解っているが、叫ばずにはいられなかった。

アクノロギアにとっては戯言にしか聞こえないだろうが、それでもベルに何かを感じ、弱者と強者の違いとその差と結末を語る。

 

アクノロギアの邂逅の夢から覚めたベルは、戦う為の強さ、守護る為の強さ、世界の理不尽や不条理に勝つなにものにも揺るがない不動の心の強さ等の様々な強さを手に入れる為に決意し旅をする事にした。

 

ベルは強さを手に入れる目的で、強くなるにはどうしたらいいのかを常に考えながら旅先で数々の人々の出会いや別れを積み重た。

 

旅の途中の出来事の危機的状況で、再びアクノロギアと邂逅し、時が来たと言って『魔法』を授けた。

 

授かった『魔法』で危機的状況を乗り越えたベルは疲れ果て眠りにつくと、待っていたかのように目を閉じてそこに立っていた。

そして、アクノロギアは何も言わずにベルを稽古をつけた。

 

次第にベルは強くなっていった。

 

 

 

 

 

──いつからだろうか……口調すら変え、一人称は“僕”から“俺”になったのは・・・・・・

 

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆

 

 

ガラガラガラ……

 

行商人「色々とすまねぇなあんちゃん。馬車に乗っけられずに護衛なんか頼んじまって……」

 

ベル「別に構わない。アンタが()()()()()へ向かう行商人だったから、ついでに道案内してもらえるなら、これ位の護衛は当然だ。それに俺は馬車が嫌いだからな」

 

行商人「そっか……」ブルルル

 

顔を覆う様に被ったフード付きの外套(マント)を全身を隠す様に身に付け、背中には大きな布でくるんだ物を背負っている()()、ベル・クラネルは目的地に向かう為、道中同じ目的地へ向かう行商人に護衛という名目により同じ目的地へと同行する。

 

途中で馬が止まり、ブルルッと鳴く声が聞こえた。

 

行商人「着いたぜ。彼処が神々と冒険者が集いし都と言われた『迷宮都市(オラリオ)』だ」

 

行商人が指を指した方角に目を向けると、整備された街道を走る馬車の道、小高い丘から見える一つの光景。

大きな壁に囲まれる巨大な都市、蒼穹(そうきゅう)の空に向かって伸びる白亜の巨塔。視線の先の壮大な光景に目を見開く。

 

そして馬車は入門近くで停車する。

 

行商人「それじゃなあんちゃん。頑張って立派な冒険者になんなよ」

 

ベル「ああ。ありがとう」

 

そして、旅の修行を得て心身共に強くなったベル・クラネルは目指した場所へ辿り着いた。

 

 

ベル「此処が世界の中心と呼ばれる場所であり、神々と冒険者が集い富と名声、運命の出会い等の全てが揃う『世界の中心』と言われる場所。

迷宮都市(オラリオ)』か……」

 

 

魔竜の竜王の力を宿した白兎は世界の中心の街へと踏み入る。

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆

 

迷宮都市(オラリオ)

 

その都市の中央には世界で唯一モンスターが溢れる大穴『ダンジョン』と入り口の上にそびえ立ち蓋の役割を持つ巨大な塔『バベル』があり、バベルには毎日富、名声、力、野望、目標を志しダンジョンに挑戦せんとする神々からモンスターと戦う為の力、『神の恩恵(ファルナ)』を与えられた者達、『冒険者』が大勢向かっている。

 

 

ベルは都市に入ろうとする門の前にずら〜っと並ぶ商人の馬車と旅人達の長蛇の列に加わり時を待った。

長い時間を待ち続け漸く順番が回り、黒い服を着た獣人の男性──噂で聞く都市管理機関(ギルド)の職員だろう。

男性は笑いかけ冒険者志望を歓迎し、旅の途中で噂を聞いた『神の恩恵(ファルナ)』の有無の確認し他国の密偵かを検問する為に照明(ランプ)を背中に押し当てる。

押し当てた照明(ランプ)神血(イコル)に反応する魔道具(アイテム)と説明される。

 

検問の途中にもう一人の門衛、帯剣した男性が腕を組みながら声をかける。

 

???「また()()()()()が来たな」

 

一目でわかる冒険者。それもそこらのゴロツキな奴等では相手にはならない程の実力者。

着崩した服の肩部分には象の頭を象った神様の派閥(ファミリア)紋章(エンブレム)

褐色の肌に無精髭(ぶしょうひげ)を生やした冒険者の男性は目を合わせて質問してくる。

 

???「どうしてオラリオに来た?食い扶持(ぶち)を稼ぎに来たなんてつまらない理由じゃないだろう?

金か、名声か、それとも他の何かか?」

 

ベル「(噂で聞いたが、確かあの紋章(エンブレム)は【ガネーシャ・ファミリア】確かオラリオでも大きなファミリアでその主神は『群衆の主』と呼ばれて民衆に人気を誇る神様だと言われている)

………()()()()()は冒険者やって強くなれば自然と集まるモノだろ?俺が来たのは、もう大切なものを失わない為の力、護りたいものを護る為の強さを手に入れる為、強くなる為に来た」

 

ベルは目の前の冒険者にハッキリと目を見て問われた質問に対して理由を話す。

すると冒険者は一瞬目を見開いて驚愕の表情になるが、スグに顔を戻しベルを見つめ「そうか、そうか」と納得するように頷き、途中でギルドの職員が「ハシャーナ、勤務中だ」となかに割って注意すると…………

 

ハシャーナ「そう言うなって。お前等ギルドは真面目すぎる」

 

ハシャーナという冒険者の男性は笑ったまま肩を(すく)める。

見た感じ、ギルド職員と冒険者が都市の門衛を務めている。

やがて検問は終わったのか、“問題無し”とギルド職員が魔道具をしまう。

それから冒険者登録するにはギルド本部に行けと説明され

、登録の条件についても『神の恩恵』を授かった者……【ファミリア】に入団している事が最低条件だとなれた手順を丁寧に説明される。

 

 

【ファミリア】とは超越存在(デウスデア)である神様が結成する組織。下界の者は神様達と契約し『神の恩恵(ファルナ)』を手に入れ、眷族となる。

そして眷族(ファミリア)とは……苦楽を共にする家族というモノもあれば、別目的での結成された眷族も存在する。

 

 

ハシャーナ「まぁ、いい神と巡り会えるといいな()()()()()

 

ベルは今、フード付きの外套(マント)を着て顔が見えない程深く被り、背中には大きな布でくるんだ物を背負っているが、ベルを“お嬢ちゃん”と判断したのは外套の上からでも細い体の線と、時より袖口から見えたシミがなく白く細い腕と高い声で判断したのだろう。

 

 

ベル「…………すみません。こんなナリだが、俺は()だ」

 

 

顔を隠していたフードをとるが、今のベルの容姿は()()にしか見えないのだ。

 

処女雪の様な白髪も長旅で、まともに髪を切っていなかった為伸びっぱなしで、背中まである白くフワフワで綺麗な長髪。その深紅(ルベライト)の瞳は吸い込まれそうな程綺麗で、顔は中性的であるが健康的でシミの無い白い肌。背もあまり高くないので、外見は小動物である白兎を思わせる。

 

 

ハシャーナ「えっ!?マジかその外見でか!!?

いや、すまねぇな。間違えた詫びとして、俺からのアドバイスだ。

外見で判断されるような所はやめておいた方がいいかもな。そいつ等はお前の外側だけ見て、本質を見てくれそうに無いから。【ファミリア】に入るなら、お前の内側を見てくれる神様に巡り会えるといいな」

 

ベル「あぁ。俺もそうなる事を願っている」

 

冒険者とのやりとりを終えたベルは開放されている門扉に進む。

 

ベル「さぁ此処からはじめよう。このオラリオからの冒険を………」

 

これから始まる出来事が、期待に胸を膨らませ門をくぐり抜けると──そこは美しい街並みだった。現在地の門前広場から真っ直ぐ伸びる大きな目抜き通りに、整然とした石畳の上を行き交う馬車、建ち並ぶお店の数々。視界奥の荘厳な白塔を中心に栄えるオラリオの街並みは、今迄旅先で訪れた村や街など比較にならない程であった。

 

そしてその街並みを歩く沢山の亜人(デミ・ヒューマン)──そして剣や鎧を纏った冒険者達。

帯剣した麗しいエルフ、大斧を背負うドワーフの戦士、とんがり帽子と杖を携える小人族(パルゥム)の魔法使い。

元居た村にはヒューマンと、後は僅かに獣人がいるだけだったし、旅先で訪れた村々もこれほどまでに多種族が居ることはなかった。

思い浮かぶのは『異国情緒』流石迷宮都市である。

 

このオラリオに来たら必ず行くと決めていた場所へ向かおうとすると、人集(ひとだか)りに遭遇した。人垣に近寄り尋ねると、なんでも都市の最大派閥(トップ・ファミリア)である【ロキ・ファミリア】の『遠征(えんせい)』からの帰還だそうだ。

最大派閥のファミリアの冒険者。一目で見ようとするも人集りが多いため隙間から見る。確認出来たのは鎧を傷だらけにしたヒューマンや亜人(デミ・ヒューマン)達。

ドワーフの大戦士、通常のエルフよりも耳が長い恐らく王族(ハイエルフ)の魔道士。大荷物を抱え、見た事のない武器や杖や大きな盾が日差しを浴びて燦然(さんぜん)と輝く光景は歴戦の冒険者の風格が彼等彼女等にはあった。

やがて人々や他の冒険者までが声の調子を高めた。「金髪金目の……!」「【剣姫】だ!!!」と、

 

興奮した彼等を他所にその姿を見たのは一瞬だったが……

金の長髪に、銀の防具。鞘に収まった一振りの剣。

その一瞬の最中確かにその容姿は女神にも勝る美しさがあった。

 

だが、竜王(アクノロギア)との修練の末に培った。第六感には、今迄見て来た者達よりも復讐心が灯す『黒き炎』が宿っていた事が感じ取れた。

 

【ロキ・ファミリア】の『遠征』帰りを見終えたベルは当初の決めていた場所へ向かう。通りの人達に話を聞くと、その場所は現在地から近い都市南東部にある事がわかり、そこへ向かう。

迷宮街(ダイダロス)という貧民街(スラム)があるから気を付けろー”と注意を受けたベルは目的地へ歩いていると、途中で難癖をつけてきたり、ベルを見て舌舐めずりをするゴロツキ共が前後方から現れるが、ベルは長旅で培った末の修練にてゴロツキ共をボコボコに返り討ちにした。

 

一応肩掛けや胸元に何処かの【ファミリア】の紋章(エンブレム)があったが、先程の都市最大派閥(ロキ・ファミリア)と見比べるも、あんなゴロツキ共が居るんじゃ大した事ないだろうと記憶の片隅に置いた。

 

そして目的地に到着したベルが来たかった場所は……無数の墓がひしめく、墓地だ。

『第一墓地』、または『冒険者墓地』とも呼ばれるオラリオの共同墓地。ダンジョンで散っていった者達が埋葬されている、冒険者達の眠る地。

裏通りから長い階段を下りて辿り着く広い空間には誰もおらず、白い石材で造られた無数の墓標に目を細め、奥へと進む。

やがて見えて来たのは漆黒の巨大な記念碑(モニュメント)。他の墓標とは造りが異なる……『古代』の英雄達の墓に、ベルは辿り着く。

 

 

ベル「これが……」

 

5M(メドル)はある漆黒の記念碑を目の前にして、瞳を見開いた。まだ幼かった頃に祖父が読み聞かせ愛読となった『迷宮神聖譚(ダンジョン・オラトリア)』。

このオラリオの地で紡がれた史実、英雄達の軌跡。

己を賭して、地下世界からのモンスターの侵攻を食い止め、多くの命を救った偉大な英雄達。初心の頃に戻った様に胸を震わす。そんな彼等の墓の前にベルは立っているのだ。

漆黒の記念碑には物語の中で知った英雄達の名が刻まれている。全ての名前に目を通したベルは心が彼等の勇姿を讃えようとしたのか涙を流しそうになってしまった。

記念碑の周りには沢山の花束が置かれていた。英雄達は今も尚人々から敬意と誇りを表されているのだろう。

気の利いたものを何も持って来ていないベルは自分の至らなさに項垂(うなだ)れつつも、姿勢を正し、記念碑に告げる。

 

ベル「…………俺は英雄達の様に成れるかどうかはわからない。けど大切な人が出来たら、その人の為に強くなりたい。その人と過ごせる日々を守りたい。英雄も人なんだ、大切な人との幸せを共に生きたい。そんな英雄に俺はなります」

 

ベルは英霊達の墓標に澄み切った蒼穹の空に見守られながら黙祷(もくとう)を捧げた。

墓標に背を向け街へと戻る。冒険者になる為に【ファミリア】を探す。

 

ベル「さてと、まずはギルドへ行って【ファミリア】の募集している一覧表でも貰って来ようか」

 




『ダンまち』の新作のネタが浮かび上がりますが全部は続けそうにありません。誰が使ってくれると有難いです。
殆どが『仮面ライダー』とのクロスオーバーですけどね。
・ベルに『ウィザードラゴン』が宿って【ファミリア】の否【オラリオ】の最後の希望になる物語だったり……

・ベルの前に鏡の中のベルが現れて、鏡像ベルが【リュウガ】になったりして実像ベルとの存在をかけて戦ったりもしたりとか。

・ベルが異世界から【モンスターライダー】になってオラリオで、モンスターと絆を結んで新たな英雄譚を綴ったり……

・趣向を変えて、ベルの性別が“女”で、女性の英雄譚を綴る物語が始まったり等が思い付く『ダンまち』のネタです。

ベルのヒロイン候補

  • シル・フローヴァ
  • リュー・リオン
  • サンジョウノ・春姫
  • ヘスティア
  • 作者のお任せ

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