真・恋姫†BASARA 革命 劉旗の大望を創世する東照   作:武者ジバニャン

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駄文と勝手なオリジナル要素が含まれています。ご注意ください。
恋姫主人公である北郷一刀はでません、出しません。

それと当作品のバサラ武将たちはかなり無双してしまいますが、どうかご理解くださいますよう宜しくお願い致します。
オリジナルのBASARA武将が登場したり、オリジナルの恋姫キャラも出すことがあります。
恋姫キャラとBASARA武将とのカップリング描写などあります。

あとですが、今回家康側に二人ほどBASARA武将いれます。入れると言ってもそんなすぐに二人纏めてではないと思います。
まず一人目です。展開的に無理矢理感が全開ですが、どうか多目に見てくださると幸いです。
どうかよろしくお願いいたします。

イメージOP『Thunderclap』戦国BASARA Judge end

イメージED『黄昏』戦国BASARA3宴


第十章 再会の鬼!

前回、青州の斉国から救援要請の使者として太史慈がやってきた。

彼女の話では黄巾党が斉国の相がいる居城に攻めている最中だと言う、これを聞き入れ家康たちは出兵に決める。

家康たちはすぐさま、斉国へと行軍するのだった。

 

太史慈「.....で、三日で出発しちゃうんだもんなぁ」

 

その三日後。家康たちは公孫瓚との合同軍を率いて、斉に続く街道を進んでいた。

 

桃香「ごめんね、太史慈さん。

こんな遠くへの遠征って初めてだから、準備に時間がかかちゃって」

 

桃香は申し訳なさそうに先導してくれる太史慈に謝罪の言葉を述べるが、太史慈はそうではないと否定する。

 

太史慈「いやいやいや....逆だって、逆。

どうして三日で出られるんだってビックリしてるんだよ」

 

家康「他ではどうなんだ?」

 

太史慈「そうだなぁ。

まず助けに行くかどうかの会議だけで、10日とか半月とか掛かるかなぁ」

 

家康はこれを聞き啞然となる。日ノ本でも確かにそのような軍議は行うが、しかしそれでもそこまで時を無駄に使うほどの愚はしなかった。

それにそこまで時間を無駄にしては助かる物も助かることはない。

 

鈴々「それじゃ、会議してる間にお城が落ちちゃうのだ!」

 

鈴々は率直に口にする。正にその通りである。徒に無駄に会議など何の意味があるのか、家康や桃香もそう思っている。

 

愛紗「....一体、何をそんなに会議をすることがあるんだ」

 

太史慈「敵に勝てるかとか、助けにいって得するかとか、

周りに睨まれないかとか、そこの城主と仲が良いかとか....」

 

愛紗「......」

 

愛紗も家康や桃香と同じく啞然となるが、太史慈は情けなく言葉を続ける。

 

太史慈「後は.....いくら出したか、かな」

 

桃香「もしかして、助けてもらうにも賄賂が必要ってこと?」

 

太史慈「そうそう。私、手持ちのお金とか旅の間に尽きちゃってさぁ。

そういうのをせびられたらどうしようかって思ってたよ」

 

愛紗「.....むぅ」

 

聞いてて穏やかではない。慌てて助けを求めて来るような時に、賄賂を準備する余裕などないだろうにと桃香や愛紗たちは内心思う。

だがこの時代、黄巾党などの賊が暴れ好き放題に跋扈しているような乱れに乱れている最中。

自分の保身や富や権力を守りたい者がいるのは確かであり、そのためになら賄賂など使い何とかしようとする輩はいるのだ。

 

太史慈「とはいえ、青州じゃそれが常識だしね」

 

公孫瓚「そうだな.....。今じゃこれが当たり前になってるけど、幽州も昔はそうだったな」

 

桃香「......うん。そうだったね」

 

太史慈の話に、公孫瓚も桃香も何か思い出したのであろう。

しかしそれが絶対にろくでもない事なのは、その口ぶりからして明らかである。

 

家康「(そういうことがなければ、桃香みたいな女子が立とうなど思わないだろう...)」

 

確かに桃香のような満足に剣など振るったことのない少女が、この乱世を何とかしたいと自ら進んで立って世を平和にしたい、笑顔で満たしたいなど言う理想を抱いて体現しようと考えない。

だが桃香はそれを成そうしているのだ。

 

家康「こらこら、それを何とかしようと桃香も公孫瓚も頑張っておるのだろ。

ならば、それで今はいいじゃないか」

 

公孫瓚「....だな」

 

桃香「ん、ありがと。ご主人様」

 

先ほどに比べて顔の暗さが失せて、明るさを戻っていく。

 

愛紗「ですが、ここから斉まで長いですよ。....急がねば」

 

稟「愛紗さん、焦っても行軍速度は上がりませんよ。

それより、速度を乱して兵を消耗させないようにしないと」

 

愛紗「むぅ....」

 

何とか斉国に急ぎたいと愛紗は行軍速度を上げようと伝えるが、軍師としてそれを容認できない稟は現実的に諌める。

実際に現在位置から斉まで距離はまだまだある。そんな状態でいきなり行軍を速めても無駄に兵士たちの体力を消耗させ、疲弊させてしまい斉国に着いた頃には脱落者だって出してしまうなんて笑えない始末になり兼ねない。

 

今までみたいに少数編成での部隊や、愛紗や鈴々、そして家康であれば全力で馬を飛ばして無双すれば大体片がついていた。

 

家康「将を名乗るなら、こういう事の扱いにも慣れないとな。

槍働きだけじゃ、軍は率いていけないぞ」

 

愛紗「.....はい。軍を率いるというのは、歯がゆいものですね」

 

家康「気持ちはワシも分かる。だから一人で焦り、抱えるものじゃない。

絆結ばれた皆がここにいるのだ、だからその時は頼みにすればいいんだ」

 

愛紗「ご主人様....はい///」

 

そう愛紗に言い聞かせるよう優しく諭す家康。そんな家康の優しさに頬を赤くしてしまいながらも、愛紗は嬉々となるのだった。

そのまま一行は行軍を続けるのであった...。

 

 

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青州・斉

 

 

一方、その斉では....。

 

人和「ちぃ姉さん。今日の食事、分けてもらってきたわよ」

 

地和「あ、人和....」

 

妹から食事を受け取る地和だが、その顔は何とも暗い。彼女ら姉妹この斉国に来てから数日が経っているが未だ黄巾党らはこの斉国の居城を攻めている。

 

地和「また攻撃が始まってる。今日も大丈夫....よね」

 

人和「どうかしらね。最近では負傷者も増えているし....武器庫の矢も尽きかけてるって聞いたわよ」

 

地和「ちょっと!そんな心配になるようなこと言わないでってば!」

 

妹からの不安しかない話に声を出す地和。しかし実際、これまでの黄巾党による攻めに籠城をしている為、城壁から射掛ける矢の数が不足し始めている。

 

人和「聞きたがってたのはちぃ姉さんでしょ」

 

八つ当たり気味に声を荒げる地和に呆れながらに言う人和。そんな地和は頭を搔きむしりながら愚痴をこぼした。

 

地和「うぅ....なんでこんな所で足止め食らってるのよ。やっぱり逃げる先、間違えたんじゃないの?人和」

 

人和「青州みたいな辺境で逃げられる場所なんて知らないわよ」

 

地和「でもぉ!」

 

人和「それに、ちゃんとしたお客さんたちの前で歌いたいって言ったのは、ちぃ姉さんも一緒でしょ?」

 

地和「そりゃ、どこだってあそこよりはマシだし.....。

でも、こんな事になるなんて知ってたら....!!」

 

愚痴をボロボロとこぼす地和、彼女はこのような事態に嫌というほど嘆く。そんな姉に自分も同じくそうだと口にする人和。

 

人和「知っていたら私だって来なかったわよ。守備隊の人の話だと、もう少ししたら、助けが来るって話だけど」

 

地和「どうだか。この青州にそんな奇特な連中が残ってるわけがないじゃない」

 

人和「....でも、助けが来ないとずっとこのままなのよ?」

 

尚もぐちぐちと言う地和に人和は現実を突き付ける。実際、この居城の周囲は黄巾党が攻めており、逃げられる隙がない。

 

人和「それとも....戻る?」

 

地和「もぅ....どうしてこんなことになっちゃったのよぉ。

ちぃたち、何か悪いことした....?」

 

 

その時であった....。

 

 

???「ちょいといいかい?そこの嬢ちゃんたち」

 

人和「だれ?」

 

地和「なによ?」

 

2人は声の方へ振り向くと....。

 

???「いやなに。アンタたちが何やら騒いでるからよ、気になってな」

 

2人が振り向いた先に居たのは、紫色の眼帯が左目を覆い、身体は...派手な布を巻き付けただけの...半裸の男。

だがその身体は一目見て分かる程、激しく鍛えぬかれていた。

彼の片手には船の錨ような形状を大きな槍の如き武器を担いでいる。

目の前の男に二人は警戒するが、男は笑みを浮かべて声をかける。

 

???「そう警戒すんな。何も取って食うってわけじゃねぇ」

 

人和「じゃあなに?」

 

???「俺はぁ、アンタたちと話しがしたいだけさ」

 

地和「あ、あんた...そんな賊みたいな風体で何言ってるのよ...!」

 

???「賊...?おいおい、俺をそこらの腐った下衆な賊と一緒にすんな。俺は誇りある海賊だぜ」

 

地和・人和「「海賊...?」」

 

男の言葉に?なるが、しかし彼は話を続ける。

 

???「ああ。それよりも、だ。アンタたちは旅芸人かい?」

 

人和「そうだけど...?それがなに?」

 

???「黄巾党みたいに黄色の衣装に身に包んで、か」

 

地和・人和「「!?」」

 

男の言葉にビクッと動揺してしまう二人。しかもそれが顔にも出てしまい今更隠そうとしても、眼帯の男には既にバレてしまっている。

 

???「アンタたち、外の奴らと何か関係あんじゃねぇか?」

 

人和「....それを話して、どうする?城主に告げ口する?」

 

???「いや?しねぇよ?」

 

地和「え!?」

 

男が告げ口されれば自分たちは終わりだと踏んでいた二人。しかし男から出たのは告げることはしないとの返答。

これに地和と人和も耳を疑う。しかし男の話は続く。

 

???「これから来る援軍にはきっとお前らを匿ってくれるいい奴がいる。そいつに頼めば何とかしてくれるかもな」

 

地和「そんなの...有り得ないわよ」

 

???「そうでもねぇさ。そいつは俺の――最高の友だ。きっと助かてくれる、だから話してみろ」

 

人和「.....ホントなの?」

 

地和「ちょっと!人和!!」

 

眼帯の男の目をしっかりと見つめる人和は、男が噓を言っているようには見えなかった。寧ろ本当に自分たちの話を聞いてくれるようしっかりと見つめ返してくれる。

 

???「ああ。でもまずアンタたちの名前を聞かせてくれ」

 

人和「分かったわ。ちぃ姉さん...この人は噓を言わないと思う」

 

地和「......人和がそう言うなら...」

 

二人は意を決して自身の本来の名を告げる。

 

人和「私の名前は、張梁」

 

地和「ちぃは、張宝」

 

???「....」

 

男は二人の名前を聞いて察した。目の前にいるのは黄巾党を率いていると言われている人物。だが目の前にいるのは見てくれ戦いやら争いなんて出来そうにない少女たち。

男はどういう事なのか問いかける。

 

???「アンタたちが、黄巾党を従えてるって言う張角の...?」

 

人和「それは違うわ!それには理由があるの....」

 

???「理由だぁ?」

 

訝しむ男に人和はその理由を告げた。最初天和――長女・張角と三人でただの歌って踊る旅芸人の娘たちであった。

そんなある時である、怪しげな書物を手にしてから急に自分たちの歌を支持してくれる人間が増え始めたのだ。

その本――太平要術の書というらしく。彼女たちが書物を開き目を通して際、書物の内容全て歌で人を魅了するというものが書かれていたらしく、それを元にしてみせたら見事人が集まりまくったのだ。

その歌の舞台で地和が思わず「天下を取るっ!!」などと、その場のノリと勢いで観客に言ってしまったのが全ての始まりであった。

書物には魅了だけでなく洗脳に近いものも書かれていたらしく、それが災いして彼女たちに心酔していた民草だった連中は黄色の布を身につけて黄巾党を名乗りだして世を乱し始めたのだ。

 

???「なるほどなぁ。けどなぁ、そんな怪しげなもんに手を出したのがそもそも始まりだぜ」

 

人和「それは....そうね」

 

地和「....ちぃも、反省してる。でも!まさかこんな!世の中を滅茶苦茶にするようなことになるなんて思ってなかったの!!」

 

???「....」

 

二人は男からそう諭されて、不用意に怪しげな物に手を出したが為にこうなったのだと後悔している。

そんな最中....

 

 

天和「あ、ちーちゃん、れんほーちゃん、こんな所にいたー!」

 

地和「天和姉さん、その子たちは....」

 

???「あん?」

 

そこには天和が子供たちを連れてやってきた。

 

天和「あのね、避難してる子たちが、今日も歌ってほしいって」

 

子供A「うん。天和おねえちゃんたちの歌、すっごく好き!」

 

子供B「あーっ。真名を勝手に呼んだら、怒られるんだぞぉ!」

 

子供A「お、おねえちゃんたちはいいんだよ!ねぇ、おねえちゃん」

 

天和「うん、いいよー。お姉ちゃんたち、みんなにそう呼んでほしいから」

 

っと、にこりと子供たちに微笑む天和。それを見て眼帯の男は微笑みながら立ち上がる。

 

???「んじゃあ、俺はここで失礼するぜ」

 

天和「れんほーちゃん、その人は....」

 

人和「あ!ちょっと!待って!」

 

???「あ?」

 

人和は急ぎ男に声をかける。

 

人和「貴方の、名前は...?」

 

彼女の問いに眼帯男は不敵な笑みを浮かべて.....

 

 

 

 

「俺かい?俺の名は長曾我部元親、西海の鬼とはこの俺のことよ!!」

 

 

 

自らを「西海の鬼」や「鬼ヶ島の鬼」と称する、四国と西の海を束ねる風雲児にして天下人・徳川家康の熱き友情を誓い合う者。

 

 

人和「長宗我部...」

 

地和「元親...」

 

元親「アンタたちのことは、俺が援軍にくるダチに口添えしてやる。安心しな」

 

そう告げて元親はいなくなった。彼がいなくなった後天和が妹たちに何があったのか問いかける。

 

天和「あの人は?」

 

地和「う、うん....ちぃたちを助けてくれるかも....」

 

天和「そうなの...?」

 

人和「.....えぇ、今はあの人を...信じてみましょ」

 

地和「うん....」

 

天和「そうだ!子供たちにおねえちゃんたちの歌を聞かせてあげよう!」

 

地和「そうだね」

 

人和「そうね。いつまでも暗い気分じゃ、嫌だものね」

 

天和「うん!」

 

彼女たちがそう呟いている中、元親は歩きながら空を仰ぎ見ながら呟いた。

 

元親「家康....早く会いてぇもんだなぁ」

 

 

そして元親はそのまま戦い続く城壁へと向かう。

 

元親「さぁ、俺もここから暴れるとするかぁ。鬼らしくな」

 

 

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一方、未だ城を攻略せんとする黄巾党と、それを阻止する守らんとする守備隊との攻防が続いている。

攻防と言っても守り側が矢で、長い梯子をかけて来ようとしている敵勢に射掛けて妨害している。

だが既に矢の数は不足し尽きかけている。

 

食客「.....」

 

兵士A「これが最後の矢だ、大事に仕え!」

 

兵士B「投げられるものなら何でも持ってこい!

屋敷の壁を崩しても、鍋でもいい!

ここの城壁を抜かれたらおしまいだぞ!」

 

兵士C[ちっ、連中、梯子をかけて来やがった!落とせ!落とせ―!」

 

っと、その時である。突如城内から歌声が聞こえてきた。

 

食客「....歌?」

 

突如の歌――戦場には似つかわしくない、綺麗で心を癒してくれるそんな歌声であった。しかしそんな歌声を聞いてか、守備隊の兵たちが....

 

兵士A「天和ちゃんたちだ!今日も歌ってくれてるのか」

 

兵士B「地和ちゃんたちのおかげで、籠城なのに癒されてよな...」

 

兵士C「っていうか、あんな可愛い子たちの真名を呼んで良いとか、ドキドキしちゃうよな。人和ちゃん...」

 

兵士D「わかる!俺、女の人に真名を呼んでいいなんて言われたの、母ちゃんと妹以外で初めてだぜ!」

 

兵士A「お前ら!この城壁が抜かれたら、天和ちゃんたちまでも酷い目に遭わされちまうんだ!気張っていくぞー!!」

 

兵士たち「「「「うおおおおおおーっ!!」」」」

 

先ほどの疲弊顔から一変、天和たちの歌を聞いてから兵士たちの士気が上昇している。

そんな様子を見て微笑む食客の女。

 

食客「....フッ。気合いだけで何とかなるなら、こんな事態にはならんだろうさ」

 

兵士A「子龍殿!」

 

兵士B「なら、どうしろと....」

 

食客の女――子龍は語る。

 

子龍「連中は、矢の代わりに私が散らしてこよう。

矢、一万の働き程度はしてみせるさ」

 

兵士D「待ってください、それなら我らも....!」

 

子龍「お主らはこの壁を守るのだろう?それよりも...」

 

子龍は城内で歌い、民草を元気づけてる張三姉妹に目を向けてから微笑み....

 

子龍「あの歌手の娘たちに、北方常山の趙子龍は皆を守って勇ましく散ったと伝えてくれ」

 

兵士A「子龍殿!」

 

子龍「では!さら...」

 

兵士C「お待ちください!!城壁から誰か飛び降りたようです!!」

 

子龍「なに?!」

 

 

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城壁を攻略中だった黄巾党の前に元親は悠々と不敵な笑みで現る。

 

「て、てめぇ!!一体なにもんだ!!」

 

元親「俺か?これからぶっ潰されるてめぇらに、言う必要はねぇ、なぁ!!!」

 

「ぐびゃあっ!!」

 

瞬間、男の顔を元親の飛ばした碇槍の矛先が押し潰す。

グシャリと不快な音を立てた後、男は倒れ物言わぬ亡骸と成り果てた。

仲間の1人が無惨な姿になってしまって周囲を取り囲んだ男達が一歩退いた。

 

元親「さぁて!今からてめぇら、俺の!この鬼の生贄になってもらうぜっ!!」

 

《戦闘BGM:戦国BASARA・長宗我部元親のテーマ》

 

元親は怒声と共に、碇槍を大きく振り回した。

鎖に繋がれた矛先は、逃げ遅れた黄巾党の男達を次々と巻き込む。

巻き込まれる黄巾党の奴らはある者は腕を潰され、身体中の骨が砕け散り、頭が飛ぶ。

だがそんなの元親には知ったことではない。目の前の敵はこれまで村々を焼き、男や老人、子供を皆殺しにし、女を己が性欲を満たさんと悍ましく貪り犯してきたクズども。

なればそのような悪鬼どもを皆殺しにし、狩るのは鬼と呼ばれし長宗我部元親としてやるべき事。

元親の碇槍を握る力が増す、目の前の黄巾党を睨みもまた増す。

 

元親「てめぇらに情けなんていらねぇ。地獄なんて生温い、生まれたことを後悔しながらあの世に逝きな」

 

元親はこの斉国に来る前に、黄巾党によって滅ぼされた小さな村を見つけていた。

それを思うと怒りが増していくのだ。

彼の得物――釣果・鬼糸巻鱏に炎が纏い、周りの黄巾党を巻き込みながら焼き潰していく。

 

元帳「せやッ!!おぉらっ!!」

 

 

子龍「なんと...」

 

兵士A「たった一人で....」

 

兵士B「黄巾党の奴らを圧倒している...」

 

目の前で起きている出来事に信じられないとばかりに目を疑う趙子龍たち。しかしそれでも目の前でたった一人の男が無双しながら黄巾党を悉く蹴散らしている。

だがそんな戦いぶりを見て、彼女――趙子龍は自分よりも先に打って出られたことに悔しいという気持ちがあった。

そして彼女は....。

 

兵士A「子龍殿!どちらへ!?」

 

子龍「フッ。このままただ座して見ているのは趣味ではないのでな」

 

彼女はそのまま城壁より飛び降りる。着地した彼女は、そのまま元親の所為で混乱している黄巾党の群れに向かって吶喊していく。

 

子龍「我が名は趙雲!字は子龍!黄巾の者共!!覚悟せよ!!」

 

「な、なんだ!?」

 

趙雲「ハァ!!!」

 

「ギャア!!!」

 

何人か見事な槍捌きにて討ち取りながら元親の背後に立つ。

 

元親「あ?アンタ...」

 

趙雲「いやなに、一人だけいい恰好させるのはズルいと思いましてな、フッ」

 

元親「....ハハハッ!そうかいそうかい!アンタ、この鬼と張り合おうってのかい?いいぜ!ついて来れるなら、来な!」

 

趙雲「おう!」

 

 

元親と趙雲はそのまま黄巾の連中を駆逐していくのである。

 

 

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2人が今黄巾の連中と戦う中、家康たちは更に東に進み、群境を超えて....目指す斉国の城まで間もなくであった。

 

愛紗「見えてきたぞ!」

 

愛紗の指さす先に広がってるのは、城の周りに城下町とそれを囲む城壁まで備えた、想像以上にちゃんとした街だった。

 

公孫瓚「連中、相当な規模だな....。聞いてた話よりも多くないか?」

 

桃香「でも、まだ城門は壊されてないよ」

 

桃香が言う通りまだ城門は破壊されてない模様、それどころか何やら城の外で戦闘が行われている様子である。

 

稟「はい。どうやら味方が上手く敵を押し留めて城門を守っているようですね」

 

愛紗「ああ。だが...」

 

愛紗がそこで言葉を止めたのはその城門前で明らかに違和感があったのだ。

 

電々「ねぇねぇ。お城の人達、なんで矢を撃ち返してないの?」

 

雷々「あっ、ホントだ!普通は矢を使うよね。来るなーって!」

 

家康「恐らく....矢が尽きているのかもしれないな」

 

そうである。城壁の上から矢が射かけるのは籠城でする反撃の基本中の基本。

なのに目の前の城壁ではそのような様子が一切ない....しかし上から落としているのは別のものである。

 

愛紗「恐らく、石ですね。

中の建物でも崩したのではないでしょうか」

 

公孫瓚「けど、なんだ?黄巾党の連中、まだ城門を壊していないが...それどころか、城壁にすら登っていないし....」

 

家康「.....ん?」

 

すると家康の目に何か身に覚えのある姿が一瞬見えたような気がする。

 

桃香「ご主人様、どうしたの?」

 

稟「家康さま...?いかがされました?」

 

家康「いや....あれは....まさか」

 

家康は目を擦りもう一度凝視する。すると彼の視界に、碇のようなモノに乗って黄巾党を轢き潰す男の姿が映る。

その男の姿を見て家康は見間違いではないと確信する。

 

家康「あれは....間違いない」

 

そう口にする家康に対して、雷々が何か策がないか尋ねる。

 

雷々「ねぇねぇ稟さん。何か凄い作戦ってないの?」

 

稟「そうですね。現状、敵の動きが何やら正常ではないようですし、背後より攻撃をと思うのですが...」

 

稟の軍師として意見を聞くなかで家康が....

 

家康「...それでいこう」

 

稟「え?」

 

桃香「ご主人様?」

 

愛紗「それは....」

 

公孫瓚「一体....」

 

太史慈「どういうこと?」

 

鈴々「にゃ?」

 

電々・雷々「「?」」

 

皆が?となるが家康は向こうで戦う人物が自分が知る彼ならば、このまま自分が先頭になって合流して敵を挟み討ちにすればと考える。

しかしそれに愛紗が何か感じ、まさかと思い問いかける。

 

愛紗「ご主人様!まさか、ご自身が先頭になって行かれるおつもりですか!?」

 

家康「そうだ」

 

愛紗「危険すぎます!!ご主人様は大将なのですよ!!」

 

太史慈「あれ?家康がそうなの?」

 

稟「家康さまは戦のご経験があるので、戦場においては家康さまが指揮を執って貰っているのです」

 

太史慈「へぇーそうなんだぁ。家康って強そうだし、凄いねぇ」

 

家康の強さを改めて知る太史慈。武人としての性か、強いと聞かされてそれがどれぐらいか確かめたいと内心思ってしまう。

そんな彼女をよそに、愛紗は激しく反対する。

 

愛紗「反対です!ご主人様はどうしてそこまでして、自ら危険なことをなさるのですか!?」

 

家康「ワシとて何も好んでいくわけではない。しかし現状...城の者たちを助けるにはこれが一番なんだ」

 

愛紗「しかし...!」

 

桃香「ご主人様....でも」

 

鈴々「お兄ちゃん...」

 

雷々・電々「ご主人様...」

 

公孫瓚「家康...」

 

 

皆としては家康にそこまでして無茶をしてほしくはないが、だが彼我の戦力差を考えるならば家康の言う事ももっともである。

非現実的ではあるが、家康のような婆沙羅者の武は正に多勢を覆すことも出来るのも事実。

愛紗と同じく正直家康に無双できる力を持っているとしても、主と仰ぐ彼に無茶や無謀をしてほしくはない。

しかし現状を覆すことを出来るのも家康...ならば稟は。

 

 

稟「....分かりました」

 

桃香・愛紗「「稟さん!?|稟!?」」

 

家康「ありがとう、郭嘉」

 

稟「ですが!....お願いがあります」

 

家康「...なんだ?」

 

稟「....真名で呼んでください。私は家康さま以外の誰かに仕えるつもりは毛頭ありません...ましてや曹操殿ですら仕える気はありません」

 

家康「....」

 

稟「....」

 

彼女の瞳は潤んでいるものの、それでも必死に訴えるのが家康には理解できた。それに彼女は軍師として家康を支えたいと言う強い気持ちを抱いている。

彼女の覚悟、それを無下にはできない。

 

家康「分かった....では、頼む。稟」

 

稟「っ!...はい!!」

 

主である家康に真名を呼んでくれたことに感激し、涙目になる稟。その最中、愛紗が....

 

愛紗「...ご主人様」

 

家康「どうした?愛紗」

 

愛紗「ご主人様のお気持ち分かりました。ですが、護衛にわたしも同行させてください。

ご主人様のお背中、このわたしがお守りいたします」

 

家康「....」

 

桃香「愛紗ちゃん...」

 

彼女も譲れないのだろう。どうあっても引き下がる気はないらしく家康は自身が折れることとした。

 

家康「わかった。ならば愛紗も頼む」

愛紗「はい!この関雲長!必ずや!!」

 

桃香「愛紗ちゃん、ご主人様をお願いね!」

愛紗「はい!...鈴々、桃香さまを頼むぞ!」

鈴々「任されたのだ!」

 

雷々「雷々たちも頑張るよ!ご主人様!」

電々「頼りにしてね!」

 

公孫瓚「私も居るからな」

 

太史慈「任せっきりにはしないから、安心して。必ず城にたどり着いて合流させるから!」

 

家康「ああ!...よし!!」

 

家康は皆の前に一歩前に出て大きく声を上げる。

 

 

 

家康「今より斉国の居城を救援に向かう!!ワシが先頭を取る!行くぞ!!絆と共に!!」

 

「「「「うおおおおおおーっ!!」」」」

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

家康たちが全力で向かって来てる中、元親と趙雲は未だ黄巾の連中と戦っている。

 

元親「オラオラオラァ!!」

 

趙雲「はあああっ!!」

 

碇槍を豪快に振るい続けて、黄巾の者共を蹴散らしていく。それを追う形で趙雲も槍を振るいながら奮闘していた。

まるで嵐の如く、敵を次々に屠りなぎ倒していく。

 

元親「オラオラ!どぉしたぁ!!この程度かぁ!!!」

 

碇槍で周りの敵を巻き込みながら碇槍を振るうその姿――正しく鬼。

 

元親「うおおッ!どぉりゃあっ!」

 

一触――碇で複数の敵を引き寄せ、引き寄せた際にまるで獲物を待っていたかのように至近距離での追加攻撃を容赦なく叩き込み潰していく元親の固有技。

 

趙雲「はぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

趙雲も負けじと槍を振るう。そして周囲に押し寄せた黄巾党が血飛沫を上げて吹き飛ぶ。

 

趙雲「恐れる者は背を向けろッ! 恐れぬ者は掛かって来い! 我が名は趙子竜! 一身これ刃なり!」

 

燃え盛る炎のような気合と共に槍が次々と繰り出される。彼女も元親に負けじと武人として意地を見せる。

 

元親「へっ。やるじゃねぇかアンタ」

 

そう不敵に笑みをこぼす元親に、趙雲も負けじと笑みを浮かべる。

 

趙雲「なんの。まだまだこれからだ」

 

元親「そうかい!ならついて来な!」

 

趙雲「おう!」

 

二人は地を蹴り、敵の群れに尚も食い掛る。趙雲の戦場での動きはまるで死を招く蝶のように美しく、元親は荒ぶり猛る全てを喰らう戦鬼であった。

自由自在に動いて命を奪う趙雲の槍は思わず敵も見惚れてしまう程に輝き、元親の碇槍は敵が全て恐れ怯えてしまう程燃えている。

 

趙雲「なんて御仁だ...一切息切れもせず」

 

元親の荒ぶる姿に驚きながらも趙雲は槍捌きを緩めない、しかし....

 

趙雲「(だが...私の方は正直キツイ、か...)」

 

趙雲の方は元親と違って、段々と槍に繊細さが薄れて来ている。そこを敵は見逃さなかった。

 

「女の方が限界だ!!そいつからやれ!」

 

趙雲「出来るならするが良い。但し……そう易々とできると思うなッ!!」

 

振るう槍はまるで暴風の如く黄巾党を跳ね飛ばしていく。当然元親にも襲うがしかしそれらも続々と何言わぬ屍となっていく。

尽きる事なく元親と趙雲を囲む黄巾党は槍が振るわれる度に死者となっていく。

だが永久に動かぬ死体と成りつつも、黄巾党の恨みと執念は残り続けた。

蝶のように動く趙雲の動きを阻むように黄巾党の屍は垣を作り始める。

 

趙雲「チッ!!」

 

槍を振るう彼女は徐々に狭まる足場を苦々しく思ったらしい。

誰の耳にも聞こえるように高々と舌打ちをした。

趙雲の心中に徐々に募っていく苛立ちと共に焦る。

激しい悔しさと同時に湧き上がる死の予感。

 

趙雲「だがッ! 私はまだ負けん! 負ける訳にはいかんッ!!」

 

募っていく不安を振り払うように彼女は吠える。っが、元親が叫ぶ。

 

元親「おい!後ろだ!」

 

趙雲「っ!」

 

振り向けばそこに黄巾党の兵が自分に向かって剣を振り下ろす所であった。

 

趙雲「しまっ!」

 

その時だった、一騎の馬が敵中に飛び込んできたのだ。そこから降りたのは家康と共に乗ってきた関羽である。

 

家康「はあああっ!!」

 

「ぶびゃあ!!」

今にも趙雲が切られる所を家康が拳で以て、彼女に刃を振りかざす黄巾党の一人を吹き飛ばし、城壁にめりこんでしまった。

人間でこんな芸当出来るわけがないと趙雲は呆気になるが、家康は彼女に無事か問いかける。

 

家康「無事か!」

趙雲「え....あ、はい....(拳で、人を城壁まで殴りとばした...)」

 

家康「無事でなによりだ!」

愛紗「ご主人様!」

 

直ぐに愛紗が家康の傍まで駆け寄り、周りにいる敵を睨みながら主である彼を守らんと偃月刀を構える。

 

趙雲「(....偃月刀....では、あれが関雲長か)」

 

家康「愛紗!彼女を!」

愛紗「はい!」

 

家康に命じられた愛紗はすぐに趙雲に駆け寄る。

 

愛紗「大丈夫か!」

趙雲「あ、ああ」

愛紗「まったく無茶をする」

趙雲「その手に持つ青龍刀……お主、もしや武勇の誉れ高き関雲長殿か?」

 

愛紗「いかにも。我が主、劉玄徳と徳川家康の求めに応じ、斉国を御助けする為に来た。動けるか?」

趙雲「……無論だ。助太刀に深く感謝する」

 

趙雲は力強く頷く。彼女は力が戻ったのか立ち上がり、愛紗は趙雲の承諾を得て微笑を浮かべた。

 

愛紗「うむ。まもなくわが軍の部隊が敵の背後から攻撃する。我等と共に退いてもらいたい」

 

それを聞いた趙雲は意地の悪い笑みを浮かべる。

 

趙雲「なるほど....混乱している隙に、か」

愛紗「そうだ」

趙雲「わかった。素直に貴方の言葉を聞いておこう」

愛紗「ならば話は早い。今は敵を打ち砕き、早々に退くとしよう」

 

素直に責めを受け入れた趙雲に愛紗は微笑する。

そして改めて自分達を囲む黄巾党を睨み付け、互いに口を開いた。

 

趙雲「良いだろう。名高き関羽に背中を預けられるのならば、私も本気が出せると言う物だ」

愛紗「ふっ、頼もしいな」

趙雲「....お互いに、な」

 

不適に笑いあい、両者は背中を合わせる。

 

趙雲「聞けぃ! 下衆ども! 我が名は趙雲! この名を聞いてまだ恐れぬなら、我が命を奪ってみせよ!」

愛紗「そして賊徒よ、刮目せよ! 我が名は関羽! 天の御遣いにして徳川家康が一の家臣! 我が青竜刀を味わいたい者は掛かって来るが良い!」

 

互いに背中を預けた2人の名乗り。

その声は黄巾党にとって、死の宣告のように響いた。

互いの隙を補うように呼吸を合わせ、2人は死の舞を舞う。

2人の周囲に黄巾党の血飛沫が飛び、悲鳴が轟いた。

 

「ぎゃあ!!」「うびゃ!!」「がはっ!!」

 

愛紗の偃月刀が暴風の如く振るわれ、その度に黄巾党の頭が次々に跳ね飛ぶ。

趙雲の槍が稲妻の如く振るわれる度に貫いた身体から噴出した鮮血が宙を舞った。

奴らからすればそれは地獄絵図と言って良いだろう。

立った2人の凛々しくも美しい少女に黄巾党は成す術も無く屍と成り果て死んでいく。

 

趙雲「どうした賊徒よ! 我はまだ健在ぞ! 我が命を脅かす者はおらんのかッ!」

愛紗「どうした! 下衆と言えども男であろう! 我と思う者は名乗りを上げよ!」

 

2人の挑発に刺激された黄巾党が殺到するが、無駄な事だった。

 

愛紗「はぁぁぁぁぁぁぁッ!」

趙雲「せぇぇぇぇぇいッ!」

 

気合いと共に振るわれた槍と青龍刀が全てを斬り裂き、貫く。

っとその時である。

 

 

太史慈「でえええええええいっ!!!」

 

「がぁっ!!!」

烈火如き激しく敵を貫いたのは、太史慈の槍の猛撃だった。

 

愛紗「太史慈!」

 

太史慈「敵さんほとんど恐惶状態だから攻め時だよ!」

 

「「「「うおおおおおおーっ!!」」」」

 

彼女の言葉に桃香と公孫瓚の合同軍兵士たちは戦意高々に黄巾党を攻める。

 

愛紗「ご主人様!」

 

 

家康「愛紗!ここは任せた!」

愛紗「はい!...え?ご主人様!?」

 

突如家康はそのまま拳を振るいながら突き進む。

 

家康「うおおおおおおーっ!!」

元親「家康...フッ。やっぱり居やがったぜ」

 

家康の姿を目の当たりにした元親は、友との再会に喜びに満ちていくのが分かる。

 

元親「フッ。....うぉおおおおらああああああああーっ!!」

 

元親も碇槍を振り回して敵を薙ぎ払いながら、自身の方へと向かって来てる家康の下まで駆ける。

そして家康の拳と元親の碇槍が真っ正面からぶつかり合い、その反動か爆発にも似た衝撃波が周囲の黄巾党を巻き込み全て吹き飛ばした。

 

家康「元親」

元親「家康」

 

二人は互いに顔を合わせてから、フッと笑みを浮かべて....。

 

元親「こっちでもいい顔してるじゃねえか、家康…」

家康「友と向き合える、それが嬉しいのさ!」

 

元親「なら始めようぜ、鬼と東照の宴をよ!」

家康「嗚呼!」

 

互いに見合った二人はそのまま、まだ居る黄巾の連中に顔を向けると...

 

家康「はあああっ!!」

元親「うおおおおおおーっ!!」

 

二人は黄巾の連中に飛びかかる。

 

 

元親「おい!身の程知らずの田舎もんがよぉ...わかってんだろうなぁ?この長曾我部元親様を、楽しませろよ!!」

 

「くっそぉ!!や、やっちまえ!!」

 

「「「「「うおおおおおおおお!!」」」」」

 

彼の挑発に触発した黄巾兵どもが一同に襲い掛かる。これを見た元親は自然と笑みが浮かぶ。

 

元親「へッ!おい!....オォラァっ!!!」

 

固有技「一触」...碇槍を敵目掛けて投擲し、引っ掛かった複数の敵をそのまま引き寄せ....。

 

「なんだぁ!!うぎゃあ!!」「引っ掛かって逃げ出せネェ!!」「たすけてくれぇ!!」

 

元親「おやおや、情けねぇなぁ...オラオラオラァ―――ーッ!!!!!」

 

引き寄せた敵共を、情け容赦なく次々に碇槍で力一杯込めた叩き付けや、豪快な薙ぎ払いの二段攻撃を繰り出す。その豪快な攻撃に黄巾兵たちは、抵抗すら出来ずそのまま鬼の餌食となっていった。

 

元親「まだまだぁ!!終わらねぇぞぉ!!せい!ハッ!イィヤッホウ!!」

 

固有技「十飛」...碇槍を空中の何処かにかけてぶら下がり、そこからの突進蹴りを打ち込み続々と黄巾兵らをひき殺して死体というには余りにも酷い形へと変えてゆく。

 

「おい!やべぇぞ!!にげよう!!」「逃げるってどこへ!!?」

弱音を吐き始める賊共。しかしそんなのは西海の鬼には無意味である。

 

元親「おいおい、逃げるなんざぁ野暮だぜ?もっと俺様を楽しませてからぁ....あの世に逝くんだなぁ!!オラァ―――ーッ!!」

 

元親は一心不乱、縦横無尽に碇槍を振いまくる。それに逃げさせる暇を与えない位に...。

その容赦ない阿修羅のような戦いぶりに愛紗は驚愕する。

 

愛紗「なんだ...あの男は...!」

 

そしてそれは家康もそうである。

 

家康「とぅあ!!せやっ!!」

 

 

「がはっ!!」「うぎゃ!!」「あぎゃ!!」

 

拳を振るう力を敵に体に叩き込む。一発一発が強力でまとも食らって敵が纏っている防具は一瞬に砕け、人体すらタダでは済まず亡骸となっていく。

 

家康「せやっ!!てあっ!!ハアッ!!負けられんっ!!」

 

渾身一撃...家康が繰り出す様々な通常の攻撃に力を貯め、より強く強力な打撃を敵に与える。

力を貯めながら拳を奮っていた家康は、正面に正拳突きを放つ技を繰り出す。

 

家康「ハァっ!!受けてみろっ!!!」

 

三発も真っ正面に放たれた剛撃は、地面を大きく抉り黄巾の連中を巻き込み諸共砕いてしまった。

その人外な荒業に趙雲と、そして家康の強さに興味を抱いていた太史慈は啞然としてしまう。

 

趙雲「ば、バカな....」

太史慈「家康....すごっ」

 

彼らの激しい反撃に黄巾の連中の生き残りは逃げ出し始めた。

 

「こんなのはやべぇ!!」

 

「一度退却しろっ!!」

 

「お頭に知らせるんだぁ!!」

 

次々に逃げ出す黄巾の連中。稟はそれに対して追撃を命令する。

 

稟「追撃してください。出来るだけ多く、敵を討ち取ってください!」

 

鈴々「了解なのだ!」

 

雷々「電々いくよ!」

 

電々「うん!」

 

公孫瓚「私もいくぞ!」

 

彼女らが率いて追撃が行われる中、桃香は愛紗の下に駆けつける。

 

桃香「愛紗ちゃん!」

愛紗「桃香さま」

 

桃香「ご主人様は...?」

愛紗「あちらに...」

桃香「え...?」

 

愛紗が指さす先には....。

 

家康「元親、ワシに力を貸してくれるか?」

 

元親「へっ。みずくせぇな家康!」

 

家康「そうだな」

 

互いに笑い合う家康と元親...。

 

家康「鎖で結ぶ絆に...」

 

元親「未知への航海に、幸あれ...」

 

 

こうして再会を果たした家康と元親の二人だった...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまで。斉国の話はまだ続きます。二人目のBASARA武将も出します。
どうぞよろしくお願いいたします。

正直、北郷一刀は出来れば出して欲しかった

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