生きるのにどうしようもなく向いていない。そんな人間が存在する。そして、そんな人間が自分だったりする。だから僕は引き金を引いた。
ザーザー雨が降る。ここはどこだろう。側面は壁、正面には道が広がっている。地面は土が広がり雨が降っていなければ温かい感触が伝わってきたであろう。非合法に手に入れた銃で頭を打ちぬいて死んだはずであるのに、ここは地獄とは思えない景色が広がっている。まぁどうでもいいか、もう生きなくて良い、ここで朽ち果てよう。そうして、目を閉じ意識を手放した。
温かいぬくもりを感じながら目を覚ます。
「神様! あの人が目を覚ましましたよ」
「本当かい? おはよう気分はどうだい?」
ウサギのような少年と無駄にデカい乳をさらけ出している少女が目の前に立っている。状況は読めない。ただここが地獄ではないことだけはわかった。
「・・・・・・」
「ん~まだ本調子とはいかないようだね。今温かい食べ物を持ってくるから少し待っていて。ベル君はこの子のことを見ていてくれ」
「神様~僕も手伝いますよ」
「それはとてもうれしいけど君が手伝ったら誰が彼女の相手をするんだい?」
「あ、すいません」
「じゃあよろしくね」
楽し気な会話の後、カミサマという少女は台所のような場所に、ベルという少年は僕の話相手になるために椅子を運んで目の前に座った。
「え~と、君の名前を教えてもらってもいいかな? 僕はベルクラネルと言います」
先程の甘ったるい雰囲気とは変わり少し緊張していることが伺える。どうやら気を使っているらしい。しかし、僕はこのベルという少年と話したくはないので無言を貫くことにした。
そんな僕の様子をみて少年は困ったような心配しているような何とも言えない表情で僕の顔色を伺っている。
「・・・・・・」
会話の切り口を探す少年と話したくない僕の気まずい空間。それを破ぶるように少女がおかゆをもってきた
「君たち、どうしたんだい? おかゆを作ってみたんだ! 遠慮なくたべてくれ」
「いらない」
「おかゆは嫌いだったのかい?」
温かい。それはおかゆの話ではなく人の話。この少年少女は温かい。特に少女の方は全てを包み込む母性を感じる。僕が最も嫌いな人種の一つだ。だからだろうか、無意識で口が開いてしまった。
「死にたい」
「神様…………」
死にたい、そう口にした瞬間少女は暗い顔し、少年は少女へ目を向けた。
「君に何があったかは分からないし、答えなくていい。でも一つだけ言わせてほしい僕たちは君の味方だ」
強く慈愛のこもった言葉だと思った。この少女が途轍もないお人好しなのがわかる。
「だから死にたいなんて悲しいことは言わないでほしい。生きていれば良いことなんていっぱいあるさぁ。そうだろ? ベル君!」
「はい神様!」
「良し! 僕たちもご飯にしようじゃないか。今日はじゃが丸君パーティーだ! バイト先で余ったのをもらってきたんだ」
そういい少年少女は僕を囲みじゃが丸君なるコロッケを貪りつくした。
四日後僕は生きていた。それも白ウサギと神を自称するロリ巨乳に囲まれて。臆病者の僕には自殺という行為は一生に一度の勇気を振り絞らなければできない。だから18年も自殺できず、この四日間も死ぬことが出来なかった。
「もぉ~いい加減君の名前をおしえてくれよ~」
ベットで手足をバタつかせ、最初の威厳が消え去り駄々をこねる子供と化した自称神が僕の名前をたずねてきた
「佐倉」
根負け、というには早すぎるが僕的には耐えた方だと思う。
「サクラ君ていうのか! やっと名前を教えてくれたね」
「ここはどこ?」
当初、目覚めてからの疑問を口にした。ただこれは生きる決意ができたとか、自殺を諦めたといった理由ではない。ただまた生きなければいけなくなったから聞いただけ。少女は可愛らしく首を傾げた後悲し気な表情をし、笑顔で答えた。
「ここかい? ここは世界一の都市オラリオさぁ!」
それから神様にいろんなことを聞いた。一度折れてからまた突っ張る度胸は僕にはないみたいだ。しかし、そのおかげで、ここが異世界であること、魔石というエネルギー物質を手に入れるための冒険者が存在すること、本当に神様が存在して恩恵を冒険者に刻み冒険者はダンジョンにモンスターを倒しに行っていること。他にもいろんなことを教えてもらった。
「他には何か質問はないかい?」
話を聞いて一つ決意したことがある。
「僕を眷属にしてください」
「君は冒険者になりたいのかい? まさか、ダンジョンに死にに行く気じゃないだろうね!」
「違う。生きなければいけないから冒険者になる」
話を聞いて一番向いていると思ったのが冒険者だ。身一つで何も考えずにモンスターを殺せば生きられる。なんとも楽な仕事なんだろうか。それに最悪死んでもいい。
「君が生きたいと思ってくれたのは素直にうれしい。だけど君は僕からみて不安定だ。とても冒険者としてモンスターに立ち向かえるとは思えない」
「問題ない。僕はモンスターに立ち向かえるし、殺せる。僕をあなたの眷属にしてください」
僕は土下座をして頼んだ。神様が土下座を知っているかどうかは分からないが誠意・熱意は伝わるだろう。
「わかった顔を上げてくれ。君を僕の眷属にしよう。ただし! 3つ守ってほしいことがある。1、死なないこと2、当分はベル君と一緒にダンジョンに潜ること3、家族に頼ること、君と僕そしてベル君は家族だ! 困ったこと辛いことがあったら僕達に頼るんだよ」
難しいことを言うと思った。だから肯定も否定もせずただうなずいた。
「よし、じゃあ恩恵を刻もうか、そこのベッドに服を脱いでうつ伏せになってくれ」
神様は僕の返事に満足したようだ。僕は上着を脱ぎベットの上に伏せる。
「じゃあ刻むぜ~~~と」
さっきまでノリノリだった神様が止まった。
「どうしたのですか?」
「いいや、なんでもないよ! よしこれでオッケー。服を着な体が冷えるぜ」
イケメン風に答える神様、だが少し悲し気に見える。僕が異世界から来たことで何か不具合でも起きたのだろうか。
「僕の恩恵に何かありましたか?」
「何も、何にもおかしいことはないさぁ。これが君のステータスだよ」
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Lv:1 サクラ (女)
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
<魔法>
<スキル>
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渡された紙には全ての能力が0と書かれていた。どうやら恩恵を受け取ったばかり人のステータスは皆このようなものらしい。何もないことに安堵する。
ガチャと上から音が鳴った。
「ただいま戻りました」
「お帰りベル君! そんな君に朗報だよ。なんとサクラ君が僕たちのファミリアに入団することになったんだ」
「え~~! 本当ですか、神様! サクラさん!?」
「本当さ! サクラ君は僕たちの家族になったんだ」
「わかりました! サクラさんよろしくお願いします!」
いつ何時も楽しそうに話すなと僕は思う。その輪に入りたいと思う自分もいる。しかし、彼らの期待や愛情を受け取ればそれにつぶされ、また途轍もない、言いようのない、恐怖、自殺願望に悩まされるだろう。だけれども僕は差し出された右手を掴んでしまった。
「ベル君・サクラ君今夜は入団祝いでパーティーと洒落こもうじゃないか!」
僕達はその夜一生分のじゃが丸君食べた。少なくとも僕はそう思う。
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Lv:1 サクラ(女)
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
<魔法>
<スキル>
【脇役】
半径10m以内にいる仲間のステータス上昇
【自殺願望】
自殺願望を持つ限り死ねない。自殺願望の強さに比例してステータス上昇
生きたいと思うと不幸になる。
このスキルは主人公に救われるまで継続
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読んでくれてありがとう