織田信奈の野望~飛将伝~   作:Mk-Ⅳ

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第二十話

稲葉山城での一件から数日が経った美濃と近江の国境にて。翔翼らは、国に戻ることにした長政と、彼の勧めで北近江に隠棲することとなった半兵衛と重矩を見送るべく訪れていた。

 

「それでは皆さん私達はこれで。皆さんから頂いた御恩は一生忘れません」

「俺に関しては忘れて構わんぞ。そんな資格はないからな」

「…私が打ち首に処されかけたのは、ご自身に原因があるとお考えだからですか?」

「ああ、そうだ」

 

半兵衛の言葉に頷く翔翼。

 

「私が戦を長期化させることで、両国を疲弊させ講和させようとすることを利用し。補給部隊を積極的に襲撃することで美濃をより疲弊させて、民の不満を高めることで義龍殿に私への疑念を抱かせ、更に織田家との内通の噂を流し仲違いさせようとしていたのですよね?」

「それ以外の手段が思いつかなかったからな。まあ、まさか竹中半兵衛がそこの不愛想男ではなく、お前さんだったのは予想外だったがな」

 

お見通しかと言いたそうに肩を竦める翔翼。

さらりと悪口を言われた重矩は、お前だけには言われたくないと吐き捨てるように言い。あん?と翔翼が詰め寄ると睨み合い、光秀と半兵衛がそれぞれまあまあ、と間に入る。

 

「…ごほん。流石に、あのまま処罰されるのは目覚めが悪くなるのでな。だから安藤殿の誘いに乗らせてもらった」

「え、そうだったの翔兄?」

「そうだよ。まさか信澄、お前俺がただのお人好しで助けたと思っていたのか?」

「うん」

「うん、じゃない。俺がそんな人間な訳ないだろうが」

 

呆れた様に言う翔翼に、その場にいる一同がえ?やは?といった反応を見せる。

 

「何だ、その信じられないといった顔は…」

「いや、翔兄がお人好しじゃなければ、誰のことを言えばいいのかと」

 

信澄の言葉に光秀はうんうんと頷き、五右衛門は桶狭間…、とわざとらしく呟く。

 

「お前らな…」

 

当人にとっては予想外の反応を見せる仲間らに、不機嫌そうにこめかみをひくつかせる翔翼。

そんな彼の手を半兵衛はそっと握ると両手で優しく包む。

 

「理由はどうであれ、あなたに助けられたのは事実です。だからいつか恩返しをさせて下さい」

「…好きにしろ」

 

微笑む彼女に、やれやれと言いたそうに頭を掻く翔翼。

 

「それでは、半兵衛殿と重矩殿のことは、私が責任を持って面倒を見よう」

「ご迷惑をお掛け致す長政殿」

「いや、あの件ではただ遠くから見ていることしかできなかったからな。これくらいはさせてほしい」

 

深々と頭を下げる重矩に、おおらかに笑う長政。

 

「それでは我らはこれで。そろそろ帰らないと、主君に何をされるのか分からないので」

「ああ、気をつけてな。信奈殿に同盟の件よろしく伝えてくれ」

「承知しました、必ず」

 

翔翼の返答に満足気に頷くと、長政は信澄へと歩み寄る。

 

「信澄殿も達者で。早く傷が治るよう願っている」

「いやぁこんなの大したことないんで。意気込んだわりには結局役に立てなっかったし…」

 

あはは、と苦笑しながら頬を掻く信澄。彼の体には至る所に包帯が巻かれていた。

 

「そんなことはなかろう。俺には十分織田家の男らしくなったとと思うがね」

「そ、そうかな?」

「そうとも、そなたは立派に戦われた。その傷は己を卑下するものでなく、誇りにすべきだ」

 

手を取りながら微笑む長政に、照れくさそうに頭を掻く信澄。

 

「短い間だったが、そなたといられて心から安らげた感謝する。縁があればまた会おう」

 

別れを惜しみながら長政らは近江へ向けて歩き出し、翔翼らも尾張へ向けて歩き出す。

 

「大空翔翼」

「何だ竹中重矩?」

 

不意に呼び止めた重矩に、振り返ることなく顔だけ向ける翔翼。

 

「…妹のために命をかけてくれたこと、礼は言わんが感謝はしている」

「そうかい。まあ、あの子と仲良く暮らせよ。じゃあな」

 

そのまま軽く手を振って去っていく翔翼に、フッ、と笑みを浮かべると重矩は自分を呼ぶ妹の後を追うのであった。

 

 

 

 

清州城下へと戻ってきた翔翼は、違和感を感じむ?と眉を顰める。

 

「翔翼殿、城の方がやけに静かですね」

「ああ、城に人の気配が殆ど無いな」

 

光秀も同じものを感じたようで、何かしら騒がしい清州城が嘘のように静まり返っていた。

 

「おお、皆様方お戻りになられましたか」

 

一向に気がついた町人らが次々と話しかけてきた。

 

「ただいま戻った。ところで城の方がやたら静かだが戦でも起きたのか?」

「いえ、美濃の方で謀反があったとか噂が流れてきたら、信奈様が小牧山の方に居城を移すといって数日前に留守役以外の家臣の皆様を連れて行ってしまわれました」

「そんなあっさりと本拠を移されるとは、流石は信奈様ですね…」

「珍しいことなのか?」

「武家と言うのは伝統や慣習を重んじますので、よほどのことが無い限り大名が居城を変えることはしないのです」

 

光秀の説明に、ほう、と興味深そうに顎を撫でる翔翼。確信的な政策を執る信奈や道三しかしらない彼からすれば、保守的な旧来の大名の方が珍しいのである。

 

「あ~~~~~!!!」

 

そんな話をしていると、聞き慣れた声が響いてきた。

 

「この無駄にデカい声は勝家か、何で残っているんだあいつ?」

 

声のした方を向くと、ものすごい速度で駆けてくる勝家が見えた。筆頭家老である彼女も信奈に着いて行ったを思っていたために意外そうな様子の翔翼。

駆け寄ってきた勝家は翔翼の襟を掴むと、激しく揺さぶってきた。

 

「竹中半兵衛が謀反を起こしたってだけでもビックリしたのに、何で引き抜きにいったお前が混ざってんだよ!」

「知らん、人、違いだ。てか、離せ、吐く」

 

織田家一の剛腕持ちである勝家に容赦なく揺さぶられ、翔翼の顔色が青くなっていく。

 

「勝家、いくら翔兄でもそれ以上はヤバいから放してあげなよ…」

「ああ、信澄お帰りなさいませって、わぁぁぁあああ!包帯だらけじゃないですか!?ホントに何してきたんだよ翔!!」

「引き抜き工作だ、謀反に、など加わって、ない」

 

両手と膝を着いて吐き気をこらえる翔翼、そんな彼の背中を光秀が擦る。

 

「鬼みたいに暴れる野盗顔した奴なんてお前以外にいないだろッ!!」

「宣戦布告か、上等だゴラァッ」

「どうどう、どうどう」

 

気にしている部分を踏み抜かれキレる主を、慣れた手つきで宥める五右衛門。

 

「…それで、お前はここで何をしているんだ?信奈は小牧山に行ったのだろう?」

「信盛がお前達の連絡役に残ってくれって」

「…そうか、ありがとうな」

「え、何でそんな可哀そうな奴を見る目で見てくるんだよ!?」

 

軍事以外は正直大して役に立たないので、厄介払い同然の扱いをされていることに微塵も気がついていない勝家に。思わず暖かい視線を向けてしまう翔翼。

 

「何だよ、どうせ待ってたのがあたしでがっかりしてんだろ。ふ~んだ、どうせあたしなんか可愛くないもんな!」

 

拗ねた様に頬を膨らませてそっぽを向いてしまう勝家。そんな彼女を翔翼はん?と不思議そうに見る。

 

「そんなことはなかろう。十分可愛いと思うがな」

「だ、だってあたし他の皆みたいに頭良くないし、腕っぷししか取り柄ないもん…」

「人間そんなもんだろ。百人いればそれぞれ違ってくるもんだと思うがね。お前にはお前の良さってのがあるんだから気にするな」

「…例えばどこら辺が?」

「素直なところとか、ご飯をいっぱい食べるとこなんか俺は可愛いと思うがね」

 

上目遣いでおずおずと問いかけてくる勝家に、翔翼は迷わず答える。

 

「で、でも食べ過ぎる女の子って男は嫌がるって聞いたし…」

「少なくとも俺は悪いとは思わん。幸せそうにしているお前を見るのは好きだな」

「~~!!」

 

あっけらかんと言い放つと、勝家の顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。

 

「それと可愛いってのとは違うが、戦場では敵を引き付けてくれるから俺も動きやすくて頼りになるし――「わー!わー!もういいからァ!!」むがっ!?」

 

なおも誉めようとする翔翼の口を、慌てて両手で塞ぐ勝家。すると密着することになり、彼女の豊満な胸が押し当てられる。

 

「(この馬鹿何やってんだ!ええい、引き剥がせん!)」

 

ふくよかな感触に困惑しながら引き剥がそうとするも、相手の方が腕力が強くどうにもならない。

 

「胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要胸など忍びに不要…」

「(…やっぱり、大きい方がいいんでしょうか?)」

 

他の仲間に視線で助けを求めるも、五右衛門は虚ろな目で同じことを呟いており、光秀は程よい大きさの自分の胸に手を当てて何か考え込んでいた。

 

「わぁ流石翔兄、尾張一のたらしだね~」

 

呑気そうに言う信澄に。翔翼は失礼な、と抗議したかったが、口を塞がれていてくぐもった声しか出なかったのだった。

 

 

 

 

尾張の北部にある小牧山では、美濃攻めの新たなる拠点の建築が急速に進められていた。

勝家を加え、小牧山に到着した一同を、もう1人の筆頭家老である信盛が迎え入れた。

 

「どうもどうも皆さんお帰りなさいませ。美濃では色々とおありだったようで大変だったでしょう。信奈様もとても心配なされていましたので、早く顔をみせてあげて下さいね」

「そうか、ならこの縄を解いてもらいたいのだが?」

 

にこやかに語る信盛に。到着して早々に信盛の手によってお縄にされ、三角形の木を並べた台の上に裾を捲られて正座の状態で、柱に括り付けられた翔翼が抗議の声を上げる。すると、信盛ははてさてはて?とわざとらしく首を傾げる。

 

「君は何か申し開きすることがある筈ですけどね~???」

「竹中半兵衛の調略に失敗したすまん」

「他にもありますよね~稲葉山城で起きたこととか、ねぇ?色々と情報を集めたりとかねぇ、嘘の噂を撒いてあげたりとか、ねぇ。この普請でただでさえクソ忙しいのにのによぉ」

「さて、知らんな」

「そうですかそうですか。では、こちらも然るべき処置を取らなければいけませんね~」

 

信盛が指を鳴らすと、配下が側に置いてあった四角形の石を翔翼の太ももの上に投げ落とすように載せた。

石の重みで脛の部分に三角木材の稜線が食い込み、激痛にぐぉ…ッ!と苦悶の声を漏らす。

 

「僕も親友にこんなことはしたくないんですよ~。早く楽になりましょうよぉ」

「(楽しんでいるようにしか見えないんですが…)」

 

嘆くような素振りを見せる信盛だが。その光景を見ている光秀には、とてもそうは見えなかった。

 

「さあ、光秀殿らはお先に信奈様の元へどうぞ。彼は僕とじっくりとお話したいそうなので」

「この、鬼、めぐぁ…ッ」

 

非難の目を向ける翔翼の言葉を遮るように、指を鳴らし石を追加で乗せさせる信盛。

 

「行こう光秀。キレた信盛には逆らわない方がいい…」

 

光秀の袖を引きながら顔を青ざめている信澄。五右衛門ですら怯えた様に主に向けて合掌して念仏を唱えていた。

取り敢えず従った方がいいだろうと判断した光秀は、翔翼に向けて手を合わせるとその場を去ることとした。

 

 

 

 

「…信澄が勝手に飛び出して行ったと思ったら、包帯だらけで戻って来るし。あんた達一体何してきたのよ?」

 

仮設ではあるが城主の間にて、上座に座るうつけ姿の信奈は愛用の地球儀を指で回しながら呆れた目をしていた。

 

「ご迷惑をおかけしました、ごめんなさい」

 

下座に座り平伏する信澄。対する信奈はバツが悪そうに頭を掻く。

 

「…まあ、あんたをいつまでも手元の置いておこうとしたあたしも悪かったわ。信盛に『こればかりは信澄様を幼子の頃のままと見ていた姫様にも責任はあるでしょう。人間いつまでも子供扱いされるのは嫌なものですよ、男なら特にでしょうね』って言われたし。だから、ごめんなさい」

「姉上…」

 

深々と頭を下げる姉に、込み上げる想いで目頭が熱くなる。

 

「…で、光秀はいつまでそうしてる気よ?悪いのは全部あの馬鹿(翔翼)なんだから」

 

続いて信奈は、部屋に入ってからというものの、平伏したまま動かない光秀に視線を向ける。

 

「ですが…」

「結果は出したんだし生きて帰って来たんだから、怒ったりなんかしないわよだからこの話は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グァァァァァァアアアアアア!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでおしまいよ」

「今翔翼殿の出すことがないだろう悲鳴が聞こえましたよ!?」

 

何事もなかったかのように話を進める信奈に、思わずツッコミを入れる光秀。

 

「よくあることだから気にしなくていいのよ。ウチでやってくならこういったことに慣れなさい」

「は、はぁ…」

 

あっけからんと言い放つ信奈に、光秀はそういうものなのか、とどうにか己に言い聞かせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こ、殺せェ!いっそ殺せぇい!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人が絶対言わないだろうことを叫んでましたけど、本当に大丈夫なんですか!?!?!?」

「あーじゃあ、そろそろ終わりね~」

 

光秀は有り得ない事象に、本気で心配になるも。まるで刻を確かめるように軽く言う信奈に、もう何も言う気が起きなくなるのであった。

 

 

 

 

光秀らを下がらせた後、信奈は戸口まで行くと。地面に転がされて放置されている翔翼がいた。

 

「いつまで寝てんのよ、さっさと起きなさいよ」

「鬼かお前は?」

 

軽く蹴りを入れてくる主君に、翔翼は悪態をつくも生まれたての小鹿のようにして起きる。

そんなことことはお構いなく、信奈は彼を連れて自分の部屋へと戻る。

 

「さてと、あんたには罰が必要よね」

「人間には情けが必要だと思うぞ?」

 

当たり前のように言う信奈に、本気で抗議する翔翼。冗談抜きで虐め抜かれたばかりで、これ以上は流石に冗談で済ませられなかった。

 

「ほら、そこ座んなさい」

「自業自得とはいえ、優しさが欲しい」

 

翔翼の愚痴を無視し縁側へ歩いていくと、柱の隣を指さす信奈。

 

「…ほらよ」

 

観念したように翔翼が指定された場所に座ると、脚の間に信奈が座り込む。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

「……?」

「何よ?」

「いや、罰は?」

 

何もしてこない信奈に、困惑する翔翼。鉄砲でもぶっ放されると思っていただけに人一倍であった。

 

「いいから、ジッとしてればいいのよ」

「…おう」

 

強めの口調で言いながら背中を預けてくる信奈。表情は見えないも、赤かく染まっている耳や声音が固いことから緊張していることは伝わってくる。

 

「(恥ずかしいならするなよ…)」

 

口にすると面倒なことになるだろうから、黙っておくことにする翔翼。それに悪い気分でもなく、寧ろ心地よいとさえ感じられるのだから。

 

「(そういや、昔はよくやってたな)」

 

仕官したばかりの頃は、当主となる前の彼女と暇があれば城を抜け出して、見晴らしのいい丘の上でこうして2人で尾張の景色を見ていたものだ。

最近は彼女は当然のことながら自分も多忙となり、こうして寛ぐ時間は殆どなくなってしまっていた。

 

「…信奈」

「ん~?」

 

伝えたいことがあるので翔翼が話しかけると、昔の感覚が戻り楽になったのか、気楽に答える信奈。

 

「すまなかった。身勝手な理由でもしかしたら、お前の名を傷つけてしまっていたかもしれなかった」

 

公算が高かったとはいえ、稲葉山での事件でもしも翔翼らの関与が公になっていれば、最悪信奈に卑怯者の烙印が押される可能性は十分にあったのだ。軽薄な行動であったと避難されても否定できず、信盛があれ程怒るのも当然と言えよう。

 

「…それでも助けたかった人がいたんでしょ?」

「…ああ」

 

見上げてくる目は全てを見通しているように澄んでおり、揺るぎなき信頼が向けられていた。

 

「ふ~んそっか」

「すまん」

 

興味深そうに相槌を打つ信奈。どこか寂しさも匂わせる彼女に、申し訳なさを感じ謝る翔翼。

 

「謝らなくいいわよ。あんたの『ここ』は広すぎて、あたしだけじゃ収まりきらないんだから」

 

そういって信奈は振り返ると、翔翼の心臓がある部分の指で軽く押す。

 

「?どういう意味だよ?」

「♪~」

 

言葉の意味が解らず問いかけるも、信奈は再び背を預けてくると上機嫌に鼻歌を歌うだけで答えようとしない。

 

「(まあ、いいか)」

 

悪いことを言われているようでもないみたいなので、無理に聞き出すことでもないかと思い。久々の触れ合いを楽しむことにしする翔翼、昔のようにそっと信奈を抱きしめると。ビクッ!と体を震わせるも、嫌がる素振りを見せないので匂いも嗅ぐ。

 

「ちょ、嗅ぐな!汗臭いからッ!」

「そうだな、一番好きな匂いだ」

「~~~~~!!!」

 

翔翼が囁くように言うと、耳どころかうなじ辺りまで真っ赤になり縮こまる信奈。そんな彼女の反応に愛らしさを感じ頭を撫でる。

 

「可愛いなぁ信奈は」

「ッッッッ!!!」

 

もう一度囁くように言うと、頭から煙を吹き始める信奈。そんな彼女に、翔翼は思わず口角を吊り上げると頭を撫で続けるのであった。

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