ようこそ才能至上主義の教室へ   作:ディメラ

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グループ決め③

 

 

 

 

 特別試験1日目の夕食は終わり、20時を迎える。

 男子は既に自由時間を過ごす中、女子は大グループを決めるためにもう一度体育館に集まっていた。

 昼の時間に小グループを、この時間に大グループを決めることが学校側の予定。

 男子は2人の生徒会長が効率良く進めたために昼の時間内でグループ決めが終了したが、女子は人間関係の都合もあって当初の予定通り進めていた。

 

「こんにちは、私は3年Aクラスの佐藤。大グループ決めをするために、私が司会進行をさせてもらうね」

 

 3年生の代表生徒が下級生の前でそういえば、誰も反論する人はいないので話し合いが始まる。

 

「まず、どうやって大グループを決めるかなんだけど、私たちから一つ提案があんだよね。

 どうかな、女子も男子と同じように1年生がドラフト形式で決めていくってのは?」

 

 先程の食事の時間で男子が大グループまで決め終えていることを前提で話す三年生。

 しかし、この程度の情報はほぼ全員が知っているため、狼狽えない。

 

「1年生は問題ありません!!」

 

 一之瀬は1年代表としてハキハキと元気よく答える。

 しかし、2年生の代表と思われる生徒は答えない。

 

「申し訳ありませんが、私たち2年はドラフト制に反対です。

 2年は組みたい3年生のグループを予め決めています。なので、ドラフト制にされてしまうと非常に困ります」

 

「そっか。1年生はどう? 今の2年生の提案に何か意見がある人はいる?」

 

 2年だけ我儘、狡いなどとは言えない。

 予めグループを決めているということは2年の4クラスが3年の小グループの情報を持っていて、かつ協力していることが分かるからだ。

 つまり、この決定に逆らうことは2年全員に逆らう事と同意だった。

 

「……いないね。じゃあ、上級生で先に小グループを合体させて、その後1年生にドラフト制で決めてもらう感じで良い?」

 

「はい、一年はそれでいいです!」

 

 一之瀬は皆の顔色を伺ってから答えた。

 

「それじゃ、早速始めよっか。一年生の責任者6名はじゃんけんして指名する順番を決めておいてね。

 2,3年は分かりやすく纏まっておこう」

 

 指示を通せば、素早く行動に移す上級生。

 一年もまた彼らに迷惑をかけないように、6名の責任者が集まる。

 責任者は神室真澄(Aクラス)、網倉麻子(Bクラス)、矢島真理子(Cクラス)、堀北鈴音(Dクラス)、真鍋志保(Cクラス)、姫野ユキ(Bクラス)。

 6人は手早くじゃんけんを済ませていく。

 

「私が一番ね」

 

 1番でじゃんけんを勝ち抜けたのは堀北。

 続いて矢島、真鍋、姫野、朝倉、神室の順番で決まっていく。

 彼らは上級生が移動していたので、一度クラスメイトの元に戻り、相談を始める。

 

「流石堀北さん、勝負運あるね!」

 

「ただ運が良かっただけよ」

 

 クラスメイトに対してクールな対応は変わらない。

 だが、好感度は以前より高いため、入学当初のように冷たい視線を向けられることもない。

 

「櫛田さん、選ぶクラスは……教えてくれたクラスで良いのね?」

 

「うん。────ちゃんと確認したから」

 

 櫛田は余裕ある堂々とした笑みで答える。

 

「……本当に大丈夫なのよね?」

 

「もう堀北さんったら疑い深いんだから~。私、これでも顔は広い方なんだよ!」

 

「それは知っているわよ。ただ、私は自分の目で見たもの以外は信じられない質なのよ」

 

「うん、知ってるよ。その性格」

 

 櫛田は敢えて体言止めで表し、それがお前の欠点だと言わんばかりに誇張する。

 堀北はその意地悪な物言いに気付きながらも挑発には乗らない。

 

「……あなた、そんな風に話しても大丈夫なの? 気付く人は気付くんじゃないかしら?」

 

「そりゃ、勘の良い人は私の態度の変化に気付くと思うよ。でもね、もう良いんだ。私は私だからさ」

 

 堀北はその言葉を聞いて薄い笑みが零れた。

 今までと違う櫛田桔梗。

 クラスの要が協力してくれているという事実についつい気が抜ける。

 これで、今までとは違うDクラスになっていく。

 堀北はその予感を感じ取っていた。

 

「そう。本当に変わったのね。これで、あなたと仲良くなれそうね」

 

「あはは、勘違いしないで。別に仲良くはしないよ。だって私たち、絶対合わないし」

 

 歩み寄った堀北に対して、櫛田は正拳突きのような強い言葉を返す。

 流石にイラついた堀北は言い返そうとするが、

 

「準備できたよ」

 

 丁度、上級生が各グループの責任者が先頭に立つようにまとまり終わる。

 堀北は一度その生徒たちを1人1人見渡すが、誰も知らない。

 今回の試験、櫛田の協力がなければこの時点でDクラスは詰んでいたかもしれない、堀北はそう評価を下す。

 今までのように堀北に敵対行動を見せていた櫛田なら、今回の試験は地の利があるために堀北の退学に躍起になっていただろう。

 入学当初よりも己の実力が飛躍的な成長をしたが、集団に溶け込むという点ではやはり櫛田に圧倒的に劣る。

 協力できる対等な仲間の存在に堀北は心の中で感謝した。

 

「私たちのグループは3年Cクラス、綾瀬さんが責任者を務めるグループを指名します」

 

 自信を持って堀北は言い切る。

 堀北の指名したグループは3年Cクラスの生徒が責任者ではあるが、構成メンバーはAクラスが非常に多いグループ。

 平均点を競うこの試験では、選択肢としては最適なグループだった。

 この選択は普段の学校生活、先程の夕食の時間に集められた情報を根拠に導き出されている。

 そして当然、これは櫛田桔梗の功績。

 堀北ではできない櫛田の強みを最大限に活かした結果だった。

 

「じゃあ、私たちのグループは3年Bクラス、佐藤さんが責任者を務めるグループを指名します」

 

 続いて、矢島のグループが3年Bクラスが責任者のグループを指名する。

 選んだグループはこれまたAクラスが多めに所属しているグループ。

 櫛田の見立てでは、2番目に良いグループだった。

 そして順番は回り、1年Cクラスの真鍋が責任者を務めるグループの番が回ってきた。

 

「私たちのグループは3年Bクラス、猪狩さんが責任者を務めるグループを指名します」

 

 3番目となれば、人気グループは消え、グループの総合力は低くなっていく。

 しかし、真鍋が指名したグループは櫛田の見立てでは、能力の総合値は4番目。

 このことから、真鍋は見る目がないんだなと内心見下していた。

 

「おやおや、真鍋さん。その選択で後悔はないのですか?」

 

 櫛田の内心で思ったことが今まさに口にされていた。

 もちろん、櫛田の発言ではない。発言者はAクラスの坂柳だ。

 身体の都合上、パイプ椅子に座った彼女は非常に目立っていた。

 

「……何か文句でもあるの?」

 

「文句なんてこれっぽっちもありませんよ」

 

「何なのよ、あんた」

 

 薄く笑う坂柳を真鍋は嫌そうに目を細める。

 鷹揚な態度を見せる坂柳は真鍋の選択に何か言いたいことがあるのは明らか。

 しかし、言うだけ言って引き下がった。

 櫛田はそんな坂柳を警戒する。その真意を知るために彼女へ接触するか、そのリスクリターンを考える。

 

「じゃ、次の人引いてね~」

 

 それぞれが思案する中、グループ決めは進んでいく。

 3年が指揮を取ることで効率化し、グループ決めはすぐに最後まで終えた。

 

「おけ! それじゃ、グループ決めは終了かな。みんな問題ないね?」

 

 佐藤は教師に指示を仰ぐ。

 教師たちから解散の指示が出れば、誰もが予定時間より早く終わったことを幸運に感じ、順々に部屋へ戻っていった。

 櫛田も友人たちと帰路につこうと思ったが、一之瀬と坂柳が集団とは違う方向に逸れていく所を目撃する。

 一之瀬は真鍋と同じグループだ。

 1年の中でもトップクラスに優秀な頭脳を持つ坂柳が何を見ていたのか、櫛田同様気になっていた。

 櫛田は2人に気付かれないように後を追った。

 

「坂柳さん。さっき、何か思う所があったの?」

 

 誰もいない廊下にまで移動すれば、2人は会話を始める。

 

「おや、一之瀬さんはまだ気付かないのですか? お優しいあなたなら私と同じような感想を持つと思っていたのですがね」

 

 クスクスと小笑いする坂柳に説明する意思は感じられない。

 一之瀬はその真意を見抜くために、会話を続ける。

 

「分からないよ。真鍋さんが猪狩先輩のグループを選んだ、それだけでしょ?」

 

「本当にそう思っているのですか?」

 

 小笑いは失せ、全ての人間を見下すような冷たい瞳が一之瀬を見る。

 人形のように整った小綺麗な顔は何の感情も映さない。

 一之瀬は普段と違う雰囲気に底知れない恐ろしさを感じ取る。

 

「例えば、猪狩先輩のグループは3年生からAクラスは1人。BクラスやDクラスを中心に形成されているグループですね」

 

 坂柳は猪狩グループを分析する。

 3年唯一のAクラス、橘は一之瀬にとって生徒会の仕事を教えてくれた恩ある先輩。2年は南雲の友人が多く、何度か話したことすらあった。

 一之瀬は言われてそれらのことに気付くが、その情報から坂柳の真意を読み取れない。

 

「他に何か気付きますか? たとえば、2年生とか」

 

「2年生? Aクラスが多めのクラスだけど、半分は他クラスの生徒って感じかな」

 

 特に違和感はない。

 強いて言うならば、そのグループにいる2年生が一之瀬には見知った顔であることだ。

 一之瀬は生徒会に所属しているため、上級生と接触する機会は多い。

 だから、同グループの2年生の顔も分かり、そのクラスまで分かった。

 そしてあることに気付く。

 

「もしかして坂柳さんが言いたい事って、私のグループの2年生が南雲先輩の友達で固まっていること?」

 

 一之瀬の気付いたこと。

 それは、顔見知りである2年がどこであったかだ。

 誰もが、南雲雅と交流がある生徒ばかりだった。

 

「フフ、流石ですね。しかし、そこから次のステップには至れてないように見受けます」

 

「まぁそうだね。正直、だから何って状況かな」

 

「あなたの素直さは本当に美徳ですね」

 

 冷たい瞳は失せ、坂柳は穏やかな笑みを見せる。

 彼女にしては珍しい心からの称賛だ。

 

「では、素直なあなたに1つヒントを差し上げましょう。これはとある方からの情報ですが、今回の試験で橘先輩が狙われるそうですよ」

 

「なっ……!?」

 

 一之瀬の反応と同じように、櫛田も驚きを隠せなかった。

 橘が狙われる。その事実が正しければ、色々と見えてくるものがあった。

 猪狩グループ唯一のAクラスの生徒であること。2年には南雲の手がかかった生徒がいること。道連れのルールのこと。

 しかし、3年生である橘を道連れするには3年の協力が不可欠。2年が力を合わせても、それだけで橘を退学に知ることは出来ない。

 

「気付きましたね? そう、2年生だけでは橘先輩を退学させることは出来ません」

 

「う~ん、平然と心読まれちゃった」

 

「フフ、この程度は誰でもできますよ。それで、ここからどうすれば橘さんが狙われると思いますか?」

 

 カムクラや坂柳、綾小路と規格外な頭脳を持つ人間を抜けば、一之瀬は最上位に優秀な頭脳を持っている。

 その頭脳をフル回転させ、彼女はある一つの結論を導く。

 

「……3年生も協力する、こと。そうすれば、大グループの平均点を落として最下位を取れる。そこから道連れのルールを使えば……」

 

「はい、その通りです」

 

「で、でも坂柳さん。そんなことするメリットって何? 大量のポイントを使う策だし。何で2,3年が橘先輩を狙って協力するかも分からない。正直、途方もない話を聞いているようだよ」

 

「そうですね。私もそう思います。だから、あなたにはこのことについて調査して欲しいんです。猪狩先輩と同じグループになったあなたには」

 

「……なるほどね」

 

 一之瀬は坂柳が接触してきた理由を全て理解した。

 この突拍子もない話の調査。彼女がどこからこの話を持ってきたのか知らないが、その確認を得るためとなれば納得がいく。

 だが、

 

「……ねぇ、坂柳さん。その情報を教えてくれたとある方って誰のことかな?」

 

「それは教えられません。そういう約束ですから」

 

 微笑む坂柳と睨む一之瀬。

 余裕は坂柳の方に軍配が上がる。

 

(絶対、カムクラじゃん)

 

 そんな中、櫛田は直感に従って1人の人物を見出す。

 試験が始まってまもないにもかかわらず、こんな変な推測するやつ1人しかいない。

 そんな根拠もない推測から答えを導き出していた。

 

「分かったよ。でも、ただの口約束だから調査が失敗しても文句とか言わないでよ」

 

「ええ、もちろんですよ」

 

 2人はそう言ってそれぞれの部屋へ戻っていく。

 櫛田はこの情報をカムクラに聞きにいくか迷ったが、今は様子見と判断した。

 試験は始まったばかり。

 余計なことに頭を突っ込んで、試験に支障をきたすわけにはいかないからだ。

 

(今日の夕食の時間に監視されまくってたけど、あいつ何やったんだか)

 

 夕食の時間、明らかにカムクラへの監視が多かったことに櫛田は気付いていた。

 だからこそ、余計な手助けは生徒会長のヘイトを買いかねない。

 今は様子見がベスト。

 櫛田はそう判断してから帰路についた。

 

 

 

 ──────

 

 

 

「カムクラさん! ゲームしましょう!!」

 

「やりません」

 

 夕食、風呂と今日のプログラムが終了した特別試験1日目。

 自室に戻って就寝の準備をしていると、石崎くんとその愉快な仲間たちがトランプやUNOで遊んでいた。

 宿泊部屋に元々用意されていた2つの机を持ってきてその上にカードを広げる。

 15人いるこの部屋でUNOで遊ぶプレイヤーは5名、トランプで遊ぶプレイヤーは4名、観戦者が3名、自分のベッドで寝転ぶのが2名。

 寝転ぶ例外2人を除けば、皆がゲームの結果を追っていた。

 

「っしゃ!! 上がり!」

 

「バカが小宮! UNOって言ってねえからやり直しだ!」

 

 指摘した園田くんが大笑いしながら、小宮くんに追加カードを配布する。

 その行動に観客もまた笑っていた。

 

「うるせぇ」

 

 ベッドの上から聞こえたボヤき声はうんざりとした声色だ。

 舌打ちの後、龍園くんがベッドから起き上がってこちらを見下ろす。

 

「おい、カムクラ。全員ボコして黙らせてこい」

 

「なぜ? 騒々しいですが、まだ就寝前の時間ですよ。僕は自由時間に制限を与える気はありません。

 そんなに嫌なら、あなたが参加すれば良いのでは?」

 

「断る。なんの賭けもないゲームを俺はやるつもりはない」

 

 スリルがないと楽しめないらしい。

 

「ビビってんのか、龍園?」

 

 同じ室内に入れば会話は存外聞こえるものだ。

 僕たちの会話を聞いたCクラスの時任くんが煽る。

 

「クク、ポイントを賭けるってなら遊んでやってもいいぜ?」

 

「上等だ」

 

 売り文句に買い文句、龍園くんはベッドから降り、時任くんは立ち上がる。

 どんどん、2人はヒートアップしていく。

 

「おいおい、賭けの対価がポイントだけってのはやりすぎじゃねえか?」

 

 そこに突っ込むのはAクラスの橋本くん。

 今日の昼頃は部外者だったにもかかわらず、今の段階ではこのようなツッコミを入れても非難されていない。

 

「たかがゲームと言えど、何かを賭けた方が盛り上がる方が面白いだろう? 

 この点、ポイントは分かりやすくて賭けやすい」

 

 意見を曲げるつもりがない龍園くん。

 しかし、橋本くんも引かない。

 

「そりゃそうだ。その点に関しては俺も賛成するよ。だが、もう少し穏便なゲーム、いや、ルールを追加しねえか?」

 

「ルールの追加だ?」

 

「ああ、お前の要望通りポイントを賭ける奴は賭けていい。

 だが、賭けたくない奴、賭けられない奴もいるはずだ。だから、ポイントの対価になるものを賭けてもいいってことにしないか?」

 

「例えば?」

 

「秘密の暴露ってのはどうだ? 

 いわゆる罰ゲーム……自分の恥ずかしい過去、今の好きな人、性癖の暴露とか誰にも言ったことのない秘密ならなんだっていい。

 あるいは勝った奴の質問に負けた奴1人が絶対に答えなきゃならないとかなんてのもいい」

 

 ポイントは分かりやすい対価だが、何も絶対的なものではない。

 秘密の暴露、人によってはポイントより厳しい対価になるかもしれないからこそ、代替品になり得る。

 橋本くんの意見は学生らしく、ゲームは盛り上がるだろう。

 

「なるほどな。良いぜ、そのルールでなら乗ってもいい」

 

 龍園くんが納得を示せば、他の皆も納得する。

 その後、橋本くん主導の下、ルールが決まった。

 対価はゲームの1位になったプレイヤーがゲーム終了時に以下3点の内、1つを最下位プレイヤーに選択できる。

 1000ppの支払い、秘密の暴露、絶対服従の質問・命令。

 最後の質問に関しては答えられない場合はプレイヤー全員に1000ppを支払わなくてはならないというルールです。

 

「カムクラ、お前も参加しろ。まさか、負けるのが怖いなんて言わないだろうな?」

 

 ニヤニヤと笑う龍園くん。

 どうやら、彼の目的の1つは僕を負かすことらしい。

 

「分かりました。僕も乗りましょう」

 

 僕がそう言えば室内が少し沸いた。

 ゲームが盛り上がりそうなことを確認できたので、すぐにゲームを始めるためにカードを用意する。

 1回目のプレイヤーは僕、龍園くん、時任くん(Cクラス)、橋本くん。

 先ほどルール決めに関わった4名です。

 僕たちが1つの丸机を囲うように座っていけば、高円寺くんを除く全ての生徒が集まってくる。

 

「ルールは守ってくれよ、龍園」

 

「クク、親睦を深めるために守ってやるよ橋本。だからどんな命令でも聞けよ?」

 

「おいおい、流石にAクラスを裏切れとかはやめてくれよ?」

 

「バカが、そんなシラケた命令するかよ」

 

 ノリノリな龍園くん。

 本当はゲームがしたかったようだ。

 

「それではカードを配っていきます」

 

 ディーラー兼オブザーバーである金田くんがトランプカードを配っていく。

 1回目のゲームはババ抜き。使用枚数はジョーカーを1枚含めた53枚のトランプ。

 時計回りの順に各プレイヤーが右隣の人の手札を1枚取り、順に手札を取っていき、手札がなくなった者から順に勝ち抜けていく。

 最後まで手札にジョーカーを持っていた者が負けというシンプルなルールです。

 53枚のカードは僕が14枚、他3人が13枚と配られる。

 

「この勝負貰ったぜ」

 

 時任くんは自信満々で告げる。

 彼の手札は5枚、配られた段階で4ペアあることは運が良い。

 龍園くんが7枚、橋本くんが9枚残っているので、有利にゲームを進められるだろう。

 

「カムクラは6枚か。こりゃ、この勝負俺が1番不利だな」

 

 僕の残りカードは6枚、スペードの10からエースまでの5枚+ジョーカーが手札に揃っている。

 これがポーカーだったなら、僕はロイヤルストレートフラッシュという役が出来ているので負けることは無かっただろう。

 

「橋本から時計回りだ。ほら、俺のカードを引けよ」

 

 順番は橋本くん→時任くん→龍園くん→僕。

 ゲームはすぐにスタートして、橋本くんが早速ワンペア揃えて捨てていく。

 

「龍園、お前をこのゲームで最下位にして罰ゲームを食らわせてやる」

 

「ポイントをせびらないのか? いつもクラスのポイントについてうるせぇお前らしくねぇな」

 

「いらねぇよ。それ以上に良い罰ゲームを決めれたからな。

 先に宣言してやる。お前は今日が終わるまで────オネェ口調だ」

 

「……面白ぇ。そっくりそのまま罰ゲームを返してやる」

 

 煽り合う2人だったが、時任くんはペアを揃えられず、このターンは龍園くんのカードが減る結果になった。

 

「さて、お前にも良い罰ゲームがあるんだカムクラ」

 

 手札を広げる僕に彼は手を伸ばしながらそう告げる。

 どうせくだらないことだが、一応聞いてみましょう。

 

「その罰ゲームは?」

 

「────伊吹に告れ」

 

 その一言に観客が大盛り上がりする。

 

「構いませんよ」

 

 異性の話題、特に恋愛関係の話となれば思春期真っ最中の高校男子は猿のように騒ぎ上がる。

 龍園くんは僕のカードを引き、ペアを揃える。

 

「実際の所、お前は伊吹のことどう思ってるんだよカムクラ」

 

 次は僕が橋本くんのカードを引く番。

 橋本くんは雑談がてら話を広げてくる。

 

「友人ですよ。彼女に恋愛感情は一切ありません」

 

 凡人の友人。

 この世界に入らなければ出来なかった縁だ。

 

「断言か。仮に龍園の罰ゲームで告ったとして、OKされたら付き合うか?」

 

「罰ゲームの内容次第です」

 

 好きでもない女性に想いを告げて恋人になったとして、その告白が罰ゲームだということを告白さえしなければ軋轢は生まれない。

 それに、僕がこの手のゲームで負けるわけがない。

 僕が橋本くんの手札を引けば、ワンペア揃い、残りカードが4枚となる。

 その後、テンポよくゲームが進んでいき、3周目。

 毎周全てカードを揃えたので、僕の1位が確定した。

 

「おい、お前は何の罰ゲームを考えている?」

 

「そうですね。最下位の人には、恋愛関係の秘密を暴露してもらいましょうか」

 

 ゲームを盛り上げるため、そして僕が知りえない感情について参考を増やしたいがためにこの罰ゲームに決定する。

 罰ゲームが決まれば、3人のゲームはスムーズに進んでいった。

 白熱したゲームの結果、最下位は橋本くんに決まった。

 その後、橋本くんは恋愛関係の自分の秘密を暴露し、室内はさらに盛りあがった。

 

 

 僕たちはメンバーを増やして2回戦を行った。

 

 

 




よう実アニメ2期で、真鍋は登場します。
やたら可愛いです。声も良いです。

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