日曜日の早朝、僕はジョギングを終えて、部屋へ戻ろうとしていた。
ジョギングはルーティンというよりは突発的。自分の才能を十全に使用するために感覚を整えているに過ぎず、言ってしまえば暇潰しだ。
そんな気晴らしのような行動中、寮の出入口で人目を気にしてコソコソと移動する女子に遭遇する。
「……あっ」
目が合ったことで女子は声を漏らす。
深々と被った黒キャップとマスクで顔を、防寒対策で羽織っている黒のジャンパーで髪を隠しており、洒落っ気のない格好だ。
「お、おはよう、カムクラくん。あははは」
不審者のような格好をした女子は観念したように挨拶する。
骨格や身長、僅かに見える桃色の髪から既に誰かは分かっていたが、声を出した事はダメ押しの情報だ。
「おはようございます、一之瀬さん」
一之瀬帆波、現Cクラスのリーダー。なぜこのような格好で寮を出ようとしたかの想像は難しくない。
「……ええと、その格好、運動してきたの?」
「はい」
とりあえずの話題提示のために、一之瀬さんは首にかけたタオル、黒のトレーニングウェアと順に見る。
さっさと自分の目的達成を優先すれば良いのに律儀な人です。
「ちょっと新鮮な光景かな。カムクラくんもトレーニングするんだね」
「コンディション維持の為に身体を動かしています。負荷のかかるようなことはしていません」
「あぁ〜、なんか納得。何らかの目的のためとか、好きだからとかじゃなくて、ただ黙々と自分を整えるみたいなイメージの方がしっくりくる」
イメージ、一之瀬さんから見た僕の印象。
僕らしさなんてものは取り除かれたはずだが、この学校に来て時間が経過したことで、そんな一面が現れたのだろう。
「コンビニに行くつもりですか?」
「うっ、やっぱりバレたか。朝早いから誰にも会わないと思って油断したなぁ」
照れ隠しをする一之瀬さん。
彼女は友人に恵まれ、1人で行動することが少ないことから、人目を気にして移動する。
しかし、今は休日の早朝。服装や態度を普段からきっちりと整えている彼女だが、流石に気が抜けていたらしい。
「実は、昨日遊びすぎちゃってね。そのせいで食料調達をミスってしまいまして……」
「ズボラな一面を見られたのが僕で幸運でしたね」
「ほんっと、変な噂流さないでください! お願いします!」
「流しません。それより、あなたは朝食のためにコンビニへ行こうとしていたのですよね?」
僕が確認すれば、彼女は頷きで肯定する。
「なら、借りを1つ返したいので朝食を提供しましょうか?」
「……えっ、いいの!?」
彼女は大きく目を開いて大袈裟に驚く。
唐突に声量が上がるあたり、余程予想外の提案だったようだ。
「あっ、ごめん。凄いありがたい提案だったのと、美味しいと噂のカムクラくんの料理をこんなタイミングで食べれるとは思ってなくてさ〜」
「では、交渉成立ですね。30分後に僕の部屋に来てください」
「30分後? ……あぁ、朝食の準備なら手伝うよ!」
「いえ、シャワーを浴びたいので。あなたも着替え直した方がいいでしょう」
「あっ、なるほど」
寝起きも相まって普段よりも頭が回っていないらしい。
「それと、もう1つの借りの方についても話したいので、頭に入れて置いてください」
「……うん。わかった」
意味を察したであろう声のトーンだった。
部屋番号を伝えた後、僕たちは1度解散した。
──────
シャワーを浴びた後、すぐに朝食の準備をする。
髪を乾かし終え、昨日作ったサラダと自作のドレッシングを机に置き終えると、玄関のチャイムが鳴った。
「おまたせ〜」
不審者のような格好は消え、カジュアルな服装の一之瀬さんと再会する。
心做しか眠気も飛んでいるように見え、随分とテンションが高く感じた。
「サラダだけ用意できました。先に食べててください」
「ええ〜、悪いよ。私も手伝う」
「今日の朝食はあなたへの借りを返すため。大人しく椅子に座っていてください」
善意に満ちた行動を止めた後、僕は彼女に嫌いな食べ物を聞く。
特にないようなので、僕は予定通りメインであるエッグトーストを用意する。
アボカドと卵、トマト、チーズ、そして少し手を加えたマヨネーズを食パンの上に置いたら後は焼くだけ。
飲み物は牛乳を希望されたので、幸運にも昨日買ったばかりのものを出した。
「このドレッシング、どこに売ってるの?」
一之瀬さんはサラダを取り分けながらそう聞く。
「自作です。酸味はそこまで強くないので、苦手でも食べやすいかと」
「おぉ〜、見慣れないと思ったらそういう事か」
用意しておいた割り箸を使い、彼女はサラダを口に運ぶ。
シャキシャキと何度も噛み、丁寧に味わえば、上機嫌にもう一つまみする。
「これ、りんご酢と何を混ぜ合わせてるの?」
「そのドレッシングは──」
僕は彼女にドレッシングの材料を教えていく。
携帯のメモ機能を使いながら話を聞く辺り、気に入ったようだ。
雑談をしていれば、エッグトーストが完成する。机に運べば、僕もクッションに腰を下ろした。
「いただきます!」
パンっと手を合わせてからトーストを両手で持ち、大きく開いた口で一齧り。
出来たてのトーストに熱がらず、サクサクと咀嚼音を鳴らせば、分かりやすいくらいに笑顔を見せる。
続いてもう一口。
パン粉が服や机に落ちないように皿の上まで顔を持ってくる食べ方はマナーがなってないが、自分なりに気遣いをしようとする彼女らしさが感じられた。
無我夢中でトーストを食べ続ける彼女を傍目に僕はサラダを食べ進める。
「……カムクラくん、このパンおかわりある?」
口に入った物を飲み込んだ後、一之瀬さんは質問する。
「材料は使い切りました」
「……そっか、残念。あっ、これも材料と作り方を教えてくれない?」
「卵とアボカド、トマトを載せてからマヨネーズ、チーズと上からかけたパンを焼くだけです。まぁ、マヨネーズは自作ですが」
「それだけ?」
「それだけです」
彼女はメモを途中でやめ、きょとんとした目を僕に向ける。
余りものと卵をパンに載せて焼いただけなので、マヨネーズを変えることと焼き時間さえ間違えなければ誰が作っても似たような味になる。
「じゃあ、いつでもこのトースト食べれるんだ……」
「手順と焼き加減次第です」
半分残っているパンを感動した目で見る一之瀬さん。
ただのエッグトーストに大袈裟な反応だ。
「自炊するんですね」
「うん、この学校に来てからも自炊は節約手段の1つだからね」
トーストを全て飲み込んだ後、なくなったサラダを再度取り寄せながら彼女は告げる。
“この学校に来てからも”、ですか。
無意識に出た言葉だろうが、彼女はこの学校に来る前から日常的に自炊をしていた。
加えて、食べ方のマナーがなってない点。こんな誰でも作れる料理を美味しそうに食べる点から邪推するなら、彼女の家は金銭的に恵まれた家庭ではなかったのかもしれない。
「あなたは小さい頃から料理をするのが好きなのですか?」
「まぁね。私の家は母子家庭でね、中学生になってからはお母さんが仕事から帰ってこない時、私が夕食を担当していたんだ」
「担当ということは、他の家事を担当している兄妹がいるんですね」
「……うん。2つ離れた妹が1人いるよ」
満面の笑みは奥に引っ込み、彼女の表情は強ばる。
前々から感じていた一之瀬帆波の闇。どうやら、それは家庭関係が起因しているらしい。
「僕にも兄と呼べる人間がいます」
「……えっ、カムクラくん兄弟いるんだ。てっきり一人っ子だと思った」
僕の嘘に彼女は分かりやすく驚く。
「双子の兄がいます。顔はこんな感じです」
携帯に保存してある日向創の似顔絵を見せる。
すれば、彼女は興味ありげにのぞき込む。
「へぇ~、そっくりだね。お兄さんもカムクラくんみたいに多才な人なの?」
ありきたりな反応、この事から一之瀬さんは白。日向創と接触した様子はない。
僕は懸念を頭から捨て、彼女の相談にリソースを振る。
「まぁ、今は僕と同等ですね」
「今は? 昔は違ったの?」
含みある言い方をすれば、彼女は予想通り追求する。
「はい。彼は、典型的なツマラナイ人間でしたよ。あなたに少し似ていたかもしれません」
「私に、似ていた?」
「ある程度の物事を解決する能力とそれなりに高いコミュニケーション能力、そして何より……心に大きな闇を抱えていたという点が」
一之瀬さんは警戒を強める。
プライバシーに土足で踏み込む僕に、可愛らしい敵意を見せていた。
しかし、僕に争う気はない。
「でも、これは昔の話です。彼はその心にあった大きな闇を払えた。だから、僕と同等の人間に成れました」
「……お兄さんはどうやって前に進めたの?」
心に闇を抱える彼女なら、自分と似た人間がどうやって闇を祓えたかは気になるのは当然。
たとえそれが自分には無理なことだったとしても、希望が観測できれば心が弱い人間は縋ってしまう。
「その答えは貸し1つの対価にしては多すぎます。これ以上は……」
「なら、もう1つの貸しも返す。お願い、続きを教えて」
彼女は強い口調で頼み込む。
嘘かもしれない話に何の警戒もなく飛び込もうとしてしている。
「僕があなたの貸しを消すために用意した都合の良い口車だと思わないのですか?」
「……かもしれないね。でも、もしこの話を聞いて私が変われるならば、安い買い物だよ」
やはり、一之瀬帆波にとって心の闇は大きな腫瘍だ。
普段の彼女ならこんな見え見えの駆け引きに乗るわけがない。
それ程までに、彼女は自分の過去に取り憑かれ、今の自分を変えたいと思っていた。
正直、ここで手助けをすることはツマラナイ。
このまま放置してどのように彼女が変化するかを待った方が面白みがあるだろう。
だが、僕は彼女に借りがある。
だから、僕は1つの解答を提示する。
「あえて言うのならば、彼は自分を信じられた。誰かのためではなく、自分のための新しい未来を創って前に進みました」
「自分を、信じる……」
そんなことできる訳がない。大きく空いた目と口から内心が伝わってくる。
下がった眉尻から焦燥感が高まっているように捉えられる。
「あなたが過去に何をして闇を抱えたかは知りませんが、凡人である彼はあなたがしたことよりも間違いなく取り返しのつかないことをしました」
彼の罪は僕という存在を誕生させたこと。
そして、それは自分を蔑ろにしたことが起因していた。
だが、
「けれど、それを全て受け入れた上で前に進みました。そして、奇跡を起こし、僕でも予想のできなかった未来に辿り着いた」
様々な絶望を得て、彼の心は強くなった。
そこに最後の一押しが入り、彼は自分を信じて歩み始めた。自分たちの未来に向けて歩みを進めた。
「過去を受け入れ、自分を信じて前に進んだ。簡単なようで……とても難しいことだね」
心の優しい人間ほど、過去の罪に縛られる。
失敗や反省をしても怨霊のように罪の意識が付きまとう。
それを受け入れて前に進む時、最も自分を責めるのが良心である以上、善人である彼女はそう簡単には前へ進めない。
「昔話は以上です。これは一例にすぎませんから、この話を聞いたから自分もと、くれぐれも勘違いしないで下さい」
「……手厳しいね」
「あなたの心はそこまで強くない。もし前に進みたいなら、自分の弱みを告白できる人物を見つけてください」
それが難しいから、彼女は塞ぎ込んでいる。けれど、最も簡単な解決策はこれに他ならない。
「一応聞くけど、カムクラくんじゃダメなの?」
「あなたは僕を信用できますか? 白波千尋を傷つけ、龍園翔を担ぎあげている僕を」
「……ちょっと難しいかな。でも、君なら私の悩みを解決することはできるんでしょ?」
「はい。しかしそうすれば、あなたは僕を狂信する。掌で転がされ、僕の思い通りに動く人形が完成します」
愛玩以外の価値がない人形など、僕には必要ない。
たとえ彼女のポテンシャルがどれだけ高かろうと、僕から見れば所詮はそんなものなのだから。
「君は、やっぱり優しい人だね。もしこれからの特別試験を有利に進めたいなら、ここで私を丸め込んだ方がずっと楽だろうに」
「優しくはありません。僕にとって、予想を覆す未来だけが重要ですから」
「『つまらない』未来にならないようへの投資、か。なら、今日の話は信じても良さそうだね」
調子が戻ってきたのか、プラス思考の言葉が彼女から出た。
「その認識で構いません。殻に閉じこもったままのツマラナイ人間よりかはマシですから」
「あはは、君は本当にブレないね」
僅かな嫉妬が混じった笑みを見せた後、彼女はコップに注がれた牛乳を飲み干す。
時刻は既に9時を回っている。切り上げるには良い時間だった。
「ご馳走様でした。今日でカムクラくんへの貸しはなくなっちゃったから、これからは完全に敵同士だね」
「はい、ツマラナイ未来にならないようにせいぜい足掻いてください」
「その鼻っ柱を折れるくらいには頑張るよ」
生意気なセリフは彼女にしては珍しい。
しかし、今日の話だけでは彼女の何が変わった訳ではない。
いずれ、彼女にも転機が来る。
その時にツマラナイ未来にならないためのアドバイスをしただけ。
結局は、彼女の選択次第だ。
「……あなたが誰かのためではなく、自分のために前へ進もうと心の底から思った時、後押しになる言葉があります」
食器を片付けている彼女に、僕はゆっくりと告げる。
自分の過去を話したからか、つい余計なお節介が回った。
────いや、これは押しつけがましい希望なのかもしれない。
いずれ……早くて半年後、1つの未来予測に映る光景のための言葉。予想のできない未来へ導くために最も重要な要素を有している彼女に対して、僕の小さな願望の表れ。
「『やればなんとかなる』です」
その言葉に、彼女はきょとんとした表情を浮かべた。
そして、小綺麗に整った顔が柔和に歪む。
「ふふ、あはははは、カムクラくんらしくない精神論だね」
「……これは受け売りですから」
「そっか。ちゃんと覚えとくよ」
この言葉を最後に一之瀬さんとの会話は終わる。
借りも返し終えたので、無事目的は達成した。今後は、彼女の未来にも期待してみよう。
──────
一之瀬さんの貸しを消化した僕は暇潰しにケヤキモールへ足を運ぶ。
今の所ツマラナイ。
できるだけ人と関わるために外出しているが、存外見知った顔を見ない。
これなら誰かを遊びに誘った方が効率が良さそうだ。
そんなくだらないことを思いながら散策していると、家電量販店へ辿り着く。
(そう言えば、櫛田さんはボイスレコーダーを所持していましたが、ここで買ったのでしょうか)
僕は興味本位で入店する。
この学校では外部との接触が禁止されているとはいえ、ネットを利用したオンライン通販は利用可能だ。
購入したことが誰かの目に入ることを嫌いそうな櫛田さんからすれば、ネットの方が高いと予想をしつつも、僕はレコーダーやカメラがあるエリアに進んでいく。
「どっちにしようかなぁ」
最新の一眼レフから中古品のカメラが見えてくると、伊達メガネをつけた桃色の長髪が特徴的な少女が2つのカメラを手に持ち、見比べていた。
真剣な表情で査定しているようで、熱量が窺える。
名前こそ知らないが、彼女はDクラスの生徒と記憶している。Dクラスは特徴的な生徒が多いが、彼女もまた良い才能を持っている。
「……あっ、ごめんなさい」
彼女は僕の視線に気付くと、2つのカメラを置いてその場を僕に譲ろうとする。
どうやら、僕が彼女の前にあるカメラを見たいと勘違いしたようだ。
「選び続けて構いませんよ」
僕がそう言えば、彼女は慌てた様子を見せる。
唐突な反応だが、これは相手が僕と気付いたから。
地味な雰囲気や猫背、俯いた顔から察するに内気な性格。龍園翔が支配するクラスの副リーダーが目の前にいると分かれば、狼狽は致し方ない。
「右手に持っていたカメラは風景の撮影に適していて、左手に持っていたカメラはスポーツなどの動く被写体の撮影に適しています」
僕は敵意を持っていないことを伝えるために彼女を落ち着かせる。
カメラの形状、使われているレンズ、メーカーからある程度の推測をして彼女に伝える。
「……あ、ありがとうございます」
商品棚に戻した2つのカメラを驚いた表情で見比べた後、彼女は礼を告げる。
僕は会釈だけして彼女から離れ、暇つぶしを再開する。
「……あ、あのぉ!」
しかし、振り絞ったような声で彼女は待ったをかける。
人との会話が苦手な印象がある中で、初対面の僕に話しかけることは勇気がある。
「え、えーと、その……動いていない被写体が綺麗に取れるカメラでオススメのカメラってありますか?」
「予算次第ですが、いくつか見繕うことは可能です」
「あ、あまり高すぎるのは買えないです。け、けど、できるだけ性能の良いカメラが……欲しい、です」
彼女は懸命に意見を言い切る。
Dクラスは常に財政難、カメラの購入も一苦労だろう。
しかし、それなりの画質を求めていることから夢か熱のある趣味のためと推測する。
「写真を撮ることはあなたの趣味ですか?」
「は、はい」
「被写体は人物だけですか?」
「い、いいえ。が、学校の風景とかも撮影します……」
「なら、あの棚の前列にあるコンパクトデジタルカメラを推奨します。後は予算を考えて好きに選んでください」
僕は条件の合うカメラがある棚を指差す。
「あ、ありがとうございます!」
再び戸惑った謝礼を受けた。
ペコペコと何度も頭を下げる様子は恐怖からだろう。
しかし、本心からの感謝も感じ取れる。
彼女もまた、この学校では珍しい善人気質な人間のようだ。
「あれ、カムクラくんじゃん」
見知らぬ女子高生に何度も頭を下げさせる、そんな傍から見れば不味い光景は既に見られていた。
僕はやって来た第三者を確認する。
「あなたは長谷部さんでしたね」
「そう、長谷部 波瑠加。1回しか話したことないのによく覚えてるね」
来訪者はDクラスの長谷部さん。
カメラに熱意を持つ少女は彼女の連れのようで、こちらを警戒していた。
「……波瑠加ちゃん、知り合いなの?」
「まぁね。チーズケーキ奢ってもらった仲かな」
彼女にというより綾小路くんへの感謝の印と非礼の詫びでチーズケーキを奢ったに過ぎない。
「ところで、愛里と何話してたの?」
「カメラの詳細を知りたいようでしたので答えました。決して、あなたの思うようなことはしていません」
睥睨から、長谷部さんは僕がナンパしてきた男だと勘違いしている。
面倒事は御免ので、僕はさっさと誤解を解く。
「……愛里、本当?」
「う、うん。むしろ、お勧めのカメラを聞きたくて私の方が引きとめちゃって……」
愛里と呼ばれる桃色の少女を見て僕は思い出す。
5月に起きた暴力事件、あの事件の証人として佐倉愛里という女子生徒がいたと報告を受けている。
Dクラスの生徒で写真を撮ることが趣味とくれば、本人に違いない。
「そっか。カムクラくんも疑っちゃってごめん」
「彼女の性格と容姿を考慮すれば、あなたの行動は理解できます」
地味な雰囲気と猫背で分かりづらいが、佐倉さんは優れたプロポーションをしている。
にもかかわらず内気な性格のため、言い寄られれば断れないことは想像に難くない。
「容姿、ね。……ねぇねぇ、カムクラくんって愛里みたいな地味な子が好みなのかな?」
「好みではなく、伊達眼鏡や猫背、地味な雰囲気などとマイナス要素を踏まえても、彼女の容姿が非常に優れていることは分析できますから」
「……流石って言えばいいのか、君も男の子なんだねって言えばいいのか、困る反応だよ」
「邪な気持ちはありません。僕は彼女の才能を評価しているだけです」
ため息をついた後、僕に色欲がないことを察した長谷部さんはとうとう完全に警戒を解いた。
「こう言っちゃなんだけど、愛里の容姿を正しく評価しているのに、アタックしたいとか思わないの?」
「思いません。才能はなかなか評価できますが、容姿の優れただけの人間に興味は湧きません。まぁ、彼女は幾分かましな人間のようですが」
いつの間にか、コンパクトデジタルカメラのある商品棚に足を運んでいる佐倉さんを僕は再度見る。
彼女の有する才能、それはアイドルの才能。
恵まれた身体と他人に善性を伝播させる能力。この2つは才能があると言っていい。
加えて、内気な性格にもかかわらず彼女は勇気がある。
発展途上の人間だが、その才能が開花した未来は悪くない未来になると推測できる。
「彼女、将来大物になりますよ」
「おぉ~、凄い高評価。ふふっ、友人として鼻が高いや」
分析結果を告げれば、長谷部さんは自分のことのように嬉しそうに笑った。
2人の好感度は非常に高い。超分析力などなくても明らかです。
「この場を去る前に1つ聞きたいことがあります。あなたはこの人物を見た事がありますか?」
念の為、この2人にも日向創の写真を見せておく。
長谷部さんが佐倉さんを呼び戻し、写真を2人で見るが、2人は変わった様子なく知らないと答えた。
「お時間ありがとうごさいます。では、僕は失礼します」
「んっ、じゃあね〜」
僕は別れを告げた後、ショッピングを続けた。
あれ、女の子としか絡んでないじゃんと思いましたね。大丈夫、あと3話でchapter9終わりますが、残りはオスです。
一之瀬⇒虐められてないから精神面は安定しているが、Cクラスになってしまったことでメンタルダウンの兆しはある。カムクラへの好感度は100%中、60くらい。白波さんに対しての対応から紆余曲折あって、信用はできないけど凄い人って評価。龍園とリーダー変わってストーカー紛いの戦略を止めて欲しいなって思ってたりする。
心の闇を知っているのは南雲と坂柳。南雲からの情報+コールドリーディングで坂柳には知られちゃったけど、坂柳は攻め時のためにこの情報を温存している。
佐倉⇒最初期の須藤のいざこざで登場した人。グラビアアイドル、綾小路が好き。原作通り、綾小路グループはできているので学校生活を楽しんでいる。
カムクラのことは怖いけど、自分を見る視線に邪な感情がなく、かつ凄い人という噂は聞いているので勇気を出して話しかけてみた。(髪が長かったら怖くて話しかけられなかった)
作中でも可愛いと言ったらで名前の挙がる人。グラビアイドルのため乳がでかい。ちなみにカムクラの胸囲は91㎝、良い勝負しそう。なんで。
長谷部⇒佐倉の親友。よう実の中でもなかなか闇が深そうな人。
chapter6の“カフェ”でカムクラと会っている。その時にチーズケーキを奢って貰ったから龍園に向けるような嫌悪はない。佐倉をナンパしたことで失望気味だったが、邪な視線がなく、佐倉を褒めてくれたので評価爆上がり中。
ちなみに、佐倉と同レベルで胸が大きい。2年生編4.5巻の挿絵はすんばらしい。
登場人物と原作との相違点をまとめた投稿が必要かどうか
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必要
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必要ない