ようこそ才能至上主義の教室へ   作:ディメラ

3 / 116


 

 

 

 生まれてから疑問だったことなんて殆どなかった。

 なぜ周りの人間はこんな当たり前の事を予測できないのか。

 なぜ分からないことがあるのか。

 なぜできないと諦め、他人に物事を押し付けるのか。

 なぜ人々は希望を求めるのか。

 

 こんな疑問を考えた時にすべて結論が出た。ツマラナイ。

 

 初めての未知と言えるものは絶望だった。だから絶望になって彼女に賛同した。期待した。でもその絶望すらも僕の予測を覆すことが出来なかった。

 

 ────ツマラナイ。あぁ、ツマラナイ。

 

 その後、絶望は希望に負けた。予想通りだった。

 でも絶望はタダでは負けなかった。勝っても負けても新たな絶望を産む手段を用意していた。予想通りだった。

 

 だが、希望は奇跡を起こし、誰もが再び絶望に染まることはなかった。

 

 予想通り……ではなかった。江ノ島盾子を利用して、彼女のアルターエゴ、もといウイルスを「希望更正」のプログラムに持ち込んだのは僕だ。希望と絶望、どちらがより予想がつかないか確かめるという目的のために。

 けれども、最低限の犠牲は出てしまう。絶望の残党は江ノ島盾子を倒した代わりに普通には戻れない。世の中に再び絶望が放たれる訳にはいかない。故の犠牲。

 そうなるはずだった。カムクライズルという存在もそこで消えるべきだった。

 しかし、日向創は奇跡を起こした。何の才能もなかったはずの彼が予想を超えた。

 姿形が違っても日向創は僕だから、違う結果をもたらせた? 

 いや、彼にそんな才能はなかった。なかったはずだ。

 

 

「ほら、やればなんとかなるってやつだよ!」

 

 

 やればなんとかなる。

 ツマラナイ言葉だ。

 その言葉に対応する感情は持ち合わせていない。

 でも彼が僕の才能を引き出す引き金になったのは彼女のこの言葉だ。

 

 分からない。僕にはそれが分からない。

 

 だが、今ならば違う角度で捉えられるかもしれない。この感覚こそが、かつては切り捨てていたものであり、「感情」の1つに繋がるものなのかもしれないと。

 

 

 

 ───────────────────

 

 

 

 

 学校が始まってから約一月が経過した。

 この間に起こった未知はなく、退屈な日々だった。

 坂上先生が言っていたオリエンテーションも行きませんでしたし、あえて言えば小テストと生徒会長のことでしょうか。

 まぁ、それらはいずれ分かるのでどうでもいいでしょう。

 起床→登校→授業→帰宅→就寝と大雑把に言えばこんな感じのサイクルで過ごしていた。

 退屈な日々だ。暇つぶしに、伊吹さんとそれなりに話して人となりを知るくらいには暇だった。一匹狼のような彼女でも、それなりに話した僕の事を友達と思っているらしいです。

 しかし、そんなことはどうでもいい。

 今日は5月1日。ポイント支給日だ。

 

 ゆえに生徒達のざわつきはいつもの比ではなかった。

 

「ねえポイントの振り込まれ方おかしくない?」

 

「それな。5万ポイントくらいしか振り込まれてないんですけど〜」

 

「あたしもそんくらい〜」

 

 3人組の女子生徒がそんなことを話している。非常にツマラナイ。初日の龍園という生徒の質問を忘れているのでしょうか。

 

「おはよう」

 

 HR10分前、伊吹さんが登校してくる。こちらの姿を確認した後、すぐに荷物を席に置き、僕の方を向いてくる。

 その表情は関心と警戒が映る。

 

「……あんたの言ってた通り、ポイントが半分くらいしか支給されていなかった」

 

「予想通りのポイントでしたね」

 

 伊吹さんはヒソヒソと声を発する。それもそうだ。もしポイントが減るのを知っていたなんて大声で言ったら、人が集まってくる。

 人付き合いが苦手な彼女にとって、それはたいそう辛いことになるでしょう。

 

「残りどれくらい残ってる?」

 

「8万ポイント以上残ってますよ」

 

「私も同じような感じ……。あんたがポイントは大切にしろって言うからそれなりに残してきた。あんたの予想が当たってるかどうか今日分かるけど、外れているって思ってないの?」

 

「思っていませんよ。僕の予想は当たっている」

 

「そう。ならあたしも頑張った甲斐があったっての。でも、弁当作りは続行か……」

 

 彼女は弁当作りが苦手のようだ。

 ぎゃっぷもえ、というのはなさそうですね。がさつなイメージの方が強い。

 

「皆さん、おはようございます」

 

 そうこう考えてる内に、坂上先生が教室に入ってくる。まだ朝のHRを知らせるチャイムは鳴っていない。

 手には彼が普段愛用している授業用の鞄と持ち運びやすいように丸めた大きな白い紙が見られる。

 あの白い紙の内容を皆に見せるのだろう。

 

「少し早いが朝のHRを始めたい。さて、説明をする前に質問を受け付けようか。質問がある生徒は手を挙げてくれ」

 

 あらかじめ来るだろうと予測していなければ出来ない言葉。やはり、ポイントについての説明を今日この場で行うのでしょう。

 

「おや? てっきりどうして10万ポイント振り込まれてないのか、という質問が来ると思ったのだが……ふむ。今年のCクラスは優秀な生徒が多いようだ」

 

 坂上先生は教室にいる生徒全員を見渡す。今の彼はこの1ヶ月生徒に応対していた態度よりやや冷たくなっているように感じる。

 事実最後のクラスを褒める発言にはまったく感情がこもっていない。

 もっとも、これから話す説明で生徒に注意喚起を促し、発破をかけるために最適な態度を演じているだけでしょうが。

 

「では、改めてポイントについて説明する前にまずはこれを見てくれ」

 

 彼はペンを出すとホワイトボードに何かを書き始める。

 10秒程で書き終えるとそこには各クラスとcpという単位で表されたポイントが書かれていた。

 

 

 Aクラス 940cp

 Bクラス 650cp

 Cクラス 490cp

 Dクラス 0cp

 

 

「まずはcp(クラスポイント)というものを説明しようか。この学校は実力で生徒を測る。ポイントはこのクラスの実力と思ってくれて構わない」

 

 なるほど。クラス全体の評価が実力ですか。

 この学校の1クラス=社会と見なし、数値化して評価する採点方法なのでしょう。将来を見据えた採点方法で何よりだ。

 

「各クラスにはあらかじめ1000cpが支給されている。そして君たちの普段の生活態度を評価して、この学校の生徒として相応しくない態度をとっている所を確認したら1000cpから減点するという減点方式の採点を行っていた。本日支給されたポイントは1000cp=10万pp(プライベートポイント)という定義から考えると、君達のcpは490、つまり49000ppが君達に支給されているということに納得してくれたかな?」

 

「質問良いか?」

 

「ふむ。本来ならば話の最後にして欲しいが、まぁ良いだろう。何か不可解な点があったかな、龍園くん」

 

 静かに手を挙げながら先生に問いかけた龍園くんにクラスの視線が集まる。以前も見た光景が繰り返されている。

 

「ポイント減少の詳細を教えてくれ」

 

「それはできない。人事考課、社会に出て、企業に入ったとして詳しい査定内容を教えるのかは企業が決めること。そしてこの査定内容を我々学校は教えないという方針にしている。だが、それでは納得が出来ないであろうから私個人からヒントを言っておこう。なぜ減ったのか、それは今まで習ってきた当たり前の事を当たり前に出来ていなかったからだ」

 

「はっ、なるほどな。良く理解したぜ」

 

 龍園くんは納得したのか席に座る。たったの一瞬で先生の言葉を理解したわけではないだろう。

 彼もある程度の推測を行っていて、それが当たっていたからの素早い納得だ。

 

「学校側は君達の生活を基本的に否定しない。全て自己責任。仮に遅刻や授業のサボりを行っても特に何も言わない。しかしそとツケは自分だけでなく、クラスに返ってくる。この結果が顕著だろう? 特に今年のDクラスは過去最低、いや過去最高の記録を出している」

 

 0cp、すなわち0円。今の説明を聞いている限り、最低限のことをやっていればこんな悲惨な結果を出すことはないだろうに。

 確かにこれではツマラナイというよりむしろ感心してしまう。

 そして明確になった新しい事実。

 あまりに綺麗に開いているポイント差。

 この僕がCであることから単純な能力だけで、クラス分けはされてないようだ。

 

「聡明な君達ならもう気付いていると思うが、この学校のクラス分けは特殊だ。優秀な生徒から順にAクラスに分けられている。もちろんこの分け方も説明は出来ない。これに関しては了承してくれ。そして君達はCクラス、つまり学校側からは平均よりやや下の評価をされたクラスというわけだ」

 

 クラスの雰囲気が殺気立つ。おそらく初めてであろう坂上先生からの罵倒。彼らが思っていた事を当てられ、その怒りが教室中に肌を通じて感じられる。

 

「そう怒らないでくれ。だからと言って見下している訳ではない。初めに言っただろ? 君達はこの学校に入学した時点で狭き門を突破した者達だと。そしてこれも君達には伝えなければならない。この学校は進学率、就職率100%を誇るが、それは卒業する時にAクラスに在学している生徒のみという事だ」

 

 今度はクラス中がざわめき出す。それもそうだ。進学率や就職率を選んでこの学校に来た生徒も多いだろう。

 今の発言はそれを根本的に否定したのだから戸惑うのに無理はない。

 

「そして1番重要な事、この学校はcp次第では上のクラスに上がれるということだ」

 

「……なるほどな。まさに実力至上主義ってことかよ」

 

「そういうことだよ龍園くん。このcpは毎月振り込まれる金、という意味だけではない。cpの数値がクラスのランクに比例されるのだ。すなわち、もし今回君達が651cpあればBクラスになっていたという訳だ」

 

 全て理解した龍園くんは不敵に笑う。

 他の生徒の多くもクラスの変更、すなわち下剋上が可能だと言うことを聞き、自分達が低い評価をされたことなど関係なく、上を目指そうと考えている生徒も半分以上見られる。

 

「さてこの学校の仕組みについてはこんなものだろう。では次にこれを見てもらおうか」

 

 持ってきていた白い紙を広げ、ホワイトボードに貼ることで皆が見えるようになる。

 そこに載っていたのは先日行った小テストの結果だった。

 名前と点数が書かれていることから全員の結果がハッキリと見え、1番高い生徒を左上に書き、そこから順々と下がりながら全員の成績が表示されている。

 上から1人ずつ100、90、85。下から45、55、60となっている。

 下の方は60点から同率な生徒も見られるようだ。

 平均点は70前半くらいだろう。

 

「今回このクラスには赤点こそいなかったが、あと3週間程で始まる中間試験や期末試験で1つでも赤点を取ったものは退学となる。これについては君達も深く理解して欲しい」

 

 今日1番にざわつき始める教室。テストで赤点だったら即退学。

 退学だ。せっかく夢の高校生活が始まったばかりなのに、厳しい試練が与えられるとは思わなかったのだ。

 事実クラス最低得点の男子は酷い顔を浮かべている。

 

「退学というのは脅しじゃない。先輩で退学になった人がいるかを聞いてみるといい。そうすれば真実だと分かるはずだ。質問はないかな? ……ないならば今日のHRを終わりにする。解散してくれ」

 

 忠告を終えれば、坂上先生は教室を出ていった。

 クラスのざわつきは大きくなる。だが誰もこの場を収める気配はない。

 時間が経つにつれて落ち着きを取り戻す生徒は多かったが、非情にも一限の授業はあまり心が落ち着いていない生徒が多いまま始まってしまった。

 

 

 

 ───────────────────

 

 

 

 全ての授業が終わり、放課後を迎える。

 本日の放課後はティータイムと洒落こもうとしたのですが、今回はそうも言ってられない。

 

 何せ初日に先生に質問していた男子生徒、龍園くんが皆を教室に集めたからだ。

 

 本来ならば行く意味はありませんが、ポイントについて話し合うのであるならばと思い、今回は参加することにします。ツマラナければ即帰る予定ですが。

 周りを見てみるとクラス全員が残っている。

 なるほど、やはりこのクラスはなかなか珍しい。ほぼ全員に野心が見られる。何の野心かは推測するまでもないでしょう。

 

「よし全員いるな。一月経ってからだと変な感じだが、まずは自己紹介からいこうか。オレは龍園 翔。このクラスの“王”だ」

 

 自らを王と名乗った龍園くんは2人の生徒をボディガードにするように自らの周囲へ置いている。

 180cmを優に超える身長にアスリート顔負けの筋肉を持ったハーフの男子と、見るからに“不良”という渾名が付きそうな強面の男子、というか小テスト最低点の石崎くんだ。

 クラス全体の雰囲気がピリピリとしたものになっていく。前の席にいる伊吹さんも殺気立っている。

 

「いいねお前ら。オレを王と認めたくない奴がうじゃうじゃいやがる。だからまずはそこからだ。誰がこのクラスを統治するか、そこを決めようじゃねえか」

 

 龍園くんの言葉は続く。

 

「この学校は異質だ。クラスで戦い、勝つためには纏める奴が必要だ。

 ルールは無制限、どんな手段を用いても良い。自分以外の敵の隙を伺え。そして自分以外を潰せ。最後に残った奴が王だ。

 ……ああ、だからクラス闘争なんてどうでもいいって奴は今ここで帰って良い。ここ1、2週間は荒れるから巻き込まれねえよう気を付けろ。

 だが、決まった王に文句は言うなよ。これが条件だ。さあ最後の選択だぞ」

 

 龍園くんは発破をかけるようにクラス全体を挑発する。

 これだけ聞けば彼のカリスマ性は十分伝わってきた。それは他のクラスメイトも分かっているはずだ。

 しかし、彼らも一癖も二癖もある生徒なのだろう。

 龍園くんの言葉を気に入らない、調子に乗ってる、面白い、自分こそが王になるなどの感情を持って対抗しようと考えている。

 だからこそ、この自己中心的なクラスを束ねるリーダー、「王」が必要となる。

 でもあえて言おう───

 

 どうせ龍園くんが王になる(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 どれだけ他の生徒が龍園くんを気に入らなかろうが、そんなものはもう関係ないのだ。

 既に彼は先手を打っている。ポイントへの質問。これだって立派な先手だ。

 

 

 先んずれば即ち人を制し、遅るれば即ち人の制する所と為る。

 

 

 今の状況を一言で説明するにはここの言葉がピッタリであろう。

 物事は人より先に行うと人を支配できるが、人より遅れると人に支配されるという意味だ。

 初日、何もわからない暗闇の中で手を動かしていただけのクラスメイトに光のヒントを質問したのは誰だったか。

 少し優秀な者や臆病な者なら少なくとも他の生徒よりも龍園くんを選ぶでしょう。

 ポイントに対していち早く疑い、自分だけの力で答えを出していた生徒が彼の他にいたか。いたとしても彼以上に行動力はあったのだろうか。

 極めつけに、彼には2人の手駒がいる。それだけで差がある事など明白だ。

 

 ツマラナイ。そんな分かり切っていることに参加する意味がない。

 

 僕は教室から退出するために机から立ち上がる。

 そしてほぼ同時に、水色と銀色の中間という色をした髪の少女も立ち上がる。155cmくらいのおっとりとした雰囲気を持つ少女は、自分で購入したと思われる本をスクールバッグに入れていて、いかにもといった文学少女だろう。

 全ての視線は僕と彼女に向けられる。

 この雰囲気の中、そして今からクラスの今後を決める話し合いが始まるこの場所から立ち上がれる事が彼らにとっては、自分の理解の外にあるのだろう。

 伊吹さんはまぁコイツだし、といったどうでもよさそうな表情をこちらに向けている。さすがに他の人達より付き合いは少し長いのである程度予想はしていたようだ。

 龍園くんは僕と少女をまるで鑑定するように見ている。

 視線が合う。

 龍園くんはこちらを嘲笑っている。彼からすれば今ここから立ち去る者など眼中に無いのだろう。その雰囲気は王者が放つものと同様だ。

 彼の思想など興味ないが彼もこの学校でいずれ注目されていく存在になるだろう。

 だが──ツマラナイ。

 今の彼ではあの白い少女にすら及ばない。

 どこで躓き、そこで終わってしまうことが分かってしまった以上、僕の中で彼はそこら辺の生徒と何ら変わらない。

 龍園くんへの視線を外し、後ろのドアから出ていく。

 後のことは伊吹さんに聞きましょう。

 

 さて、この後はどこに行きましょうか。

 

 何処に行くか特に決めてなかったので、習慣通りに寮へと踵を返す。しかし、その歩みは止まることとなる。

 後ろから声がしたからだ。

 

「あなたもクラス闘争には興味がないのですか?」

 

 非常に聞きやすい高いソプラノの声の主は、先程僕と一緒に立ち上がった少女だった。

 僕は彼女と話す気などなかったので、会釈だけする。そうしてさっさと帰宅する予定だった。

 

「どうして興味がないのですか?」

 

 彼女はそう聞きながらこちらに歩み寄ってくる。

 無視する程のことではないので答える。

 

「ツマラナイからですよ」

 

「つまらない?」

 

「ええ。ツマラナイ。誰が王になったって僕には関係ない。そしてその先の結末も僕は見えている。そんなことに加担した所で何の価値もありませんから」

 

「……そうですか。私が言えたことじゃないですが、そうやってなんでもかんでもつまらないで片付けるのは良くないですよ」

 

「では、そういう貴方はなぜ教室から出たのですか」

 

「争い事が嫌いだからです。後、今日は新作の本の発売日なのです」

 

 ───どうやらどちらの理由も嘘ではないらしい。

 この少女は本心からクラス闘争など興味ないと言っている。

 それよりむしろ新作の本の方が大事だと。

 率直に珍しい人間だと思った。そして同時に、目の前の少女の雰囲気は彼女(・・)に似ているとも思った。

 マイペースで自分の好きな物にはこれ以上ないほど一途にのめり込む超高校級の才能を持ったあの少女に。

 

 だからなのか、歩みを止め、彼女との会話を続けてしまう。

 

「本、好きなのですね」

 

 ありえない事だろう。

 カムクライズルが自分から他人に対して話題を振ることなど。

 僕の言葉を聞くとすぐに、少女は先程までのおっとりとした雰囲気から鼻息を荒くふかしているような興味津々といったものに変化し、僕の顔に自身の顔を近づけてくる。

 彼女の顔は整っている。それも100人中100が美人と言うほどに。

 そんな彼女にこうまでも顔を近づけられたら、一般的な男子生徒は引かざるを得ないのだろう。

 

「興味があるのですか本に!」

 

「有名な著作の知識こそありますが、読書には興味ありません」

 

「では興味を持ってみるべきです! 読書に!」

 

 先程とは正反対とも言える態度で積極的に誘ってくる。

 少々うっとうしい。

 

「貴方は今日暇ならば、是非読書をしに図書館へ行きましょう。私が案内します!」

 

 近い。キラキラと目を光らせる彼女の顔と僕の顔は鼻と鼻がぶつかりそうだ。

 鼻腔をくすぐるシャンプーの匂い。距離感がおかしいことを再認識させられる。加えて、この「はい/Yes」しか選択肢を用意してない彼女の申し出を断った後が面倒だ。

 仕方がありません、彼女の熱心にここは折れてみましょう。

 書物など知識人のメモ帳でしかないと思いますが、良い機会なのでもう一度考え直してみましょう。

 

「少しだけなら付き合いましょう」

 

「本当ですか! 本当ですね! では行きましょう図書館に!」

 

 テンションが高くなった少女は僕の手を掴み、図書館に連れていこうとする。

 

「わざわざ手を握らなくても逃げませんよ」

 

「……? 早く行くためにはこれが手っ取り早かったので」

 

 冗談で言ってる訳じゃなさそうだ。本物の天然らしい。

 

「そういえば……お互い名乗っていませんでしたね。私は椎名 ひより。あなたは?」

 

「カムクライズル」

 

 名前を聞くと椎名さんは少しだけ目を見開く。続く言葉がその理由を聞くまでもなく語っている。

 

「先程の小テストで私より点数の高い人ですよね?」

 

 

 僕は頷きで肯定する。

 関心する彼女を傍目に、僕は図書館の方へ進む。

 椎名さんも小走りで僕の横に追いつく。

 初めてのポイント支給日の放課後は椎名さんと2人で過ごした。

 

 

 

 椎名 ひよりとの親密度が上がった!! 

 

 

 

 

 




ちょっとダンガンロンパ要素入れてみた
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。