少年の誓い~魔法少女リリカルなのはO's~   作:さっき~

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『高町は、どうしてそこまで頑張れるんだ?』

――ふと聖君が私に向けたその問いに、すぐに答えが出てきた。

――それは、記憶の限りでは去年。
――リハビリを終えて地球へ一時的に戻った時に見た、翠屋JFCの試合だった。
――ううん、重要なのは試合そのものじゃなくて、その後のチームが解散した後の事。
――皆が次々とグラウンドから去っていく中、たった1人だけ選手用ベンチに胡坐を掻きながら、腕組みをする姿が印象的だった。

――少しすると彼は、1つのボールを手にして、グラウンドの方に走っていった。
――そしてそのまま、ゴールに向かってボールを蹴っていた。
――何回も、何十回も、必死な顔で……。
――名も知らないその少年は、悔しさを吐き出すように只管ボールを蹴り続けていた。
――誰も見ていないのに、褒められる訳でも認められる訳でも無く、たった1人になってもずっと……。
――その姿が夕焼けの光と相まって、私にはとても綺麗に見えた。
――あの赤い光景に映る彼が居たから、私は頑張っていたのかもしれない。
――私もあんな風になりたい、その想いを心にずっと秘めていたから。

『まぁ、世の中には尋常じゃない努力をする人も居るからなぁ。そういう人は本当尊敬出来るよ』
『うん。私もそう思う』

――そして今、あの時の少年に似た人が目の前に居る。
――私の隣に無理矢理立って、笑顔で涙を流させてくれた人が……。

――私は忘れない。
――彼が見せてくれた精一杯の笑顔を……。
――それが綺麗だとか、そうじゃないとか、そんな事は関係無い。
――世界でたった一つの、私だけに向けてくれたその笑み。
――私だけは、その価値を誰よりも分かっているから。

――心の底から守りたいと、願ってしまった。
――心の底から守られたいと、願ってしまった。
――だから

「行くよ、レイジングハート」
《All right.(了解です)》

――私は向かう。
――あの場所へ、彼の許へ。
――そして伝えるんだ、私の想いを。
――最初の我が儘、『なまえをよんで』って。






――それは、少女の誓い――

――胸に秘めた彼女は、大空を飛び立つ――








N№Ⅵ「俺達の戦い」

 

 

 

 刺され、抉られ、砕かれ――――。

 色の抜け落ちた世界は荒廃した戦場へと変貌していた。

 鋭利な刃が振り下ろされ、荒々しい棍棒が薙ぎ払われ、無慈悲な斧槍が突き抜かれ……。

 肌に鬱陶しく纏わりつく空気は否応無く熱が篭もり、体の動きを緩やかに縛り付ける。

 

 でもそんなもの、今の俺に関係無い。

 この体に必要なのは、思考によって生まれる判断を正確にこなす事だけ。

 

(アポクリファ)

《Round Shield(ラウンドシールド)》

 

 袈裟斬りの要領で振り下ろされる刀身を盾で阻み、鍔迫り合いになる前に後ろへ退く。

 体格の差、そして相応の得物の重量による一撃は、完全に受け切る事は自殺行為だ。

 地面を踏み抜いて続々と集う鎧の群れを視界に収め、マントをはためかせ頭上から飛び掛かるポールウェポンを回避。

 新たに正面に立った刺々しい棒切れを盾で受けながら、更に距離を開ける。

 

(回避回数、シールド使用回数の比率は?)

《At present, it is 7:3.(今のところは7対3です)》

(まぁ鈍重だからな。高町のシューターに比べれば、アイツ等の動きは簡単に追える)

 

 視界の奥から切っ先を水平に突撃する姿、決して遅くない速度だが直線的な動きは単調故に避け易い。

 他の奴等も個々の間合いに入ってから武器を振るっているらしく、攻撃のタイミングは見切り易く、軌跡も真っ直ぐだ。

 剣を持ってる奴なんて、盾を持つ方向に動くだけで大半を避けられるからな。

 

 だが反対に、一番厄介なのはポールウェポンだ。

 あれはリーチの長さに加えて、打撃と刺突、斧頭の反対側にある鉤爪で引っ掛けたり打撃に使用出来る。

 その多彩な攻撃方法によって、現実のヨーロッパに於いても、よく使用されていた武器なのだと本で読んだ事がある。

 唯一の救いは、それを所持している鎧の攻撃が、打撃と刺突の2種類のみという点。

 確実に初動が違う攻撃方法なら、此方としても見分ける苦が無い。

 

《Your opinion very much chattering.(ベラベラと御高説をどうも)》

 

 とは言え彼女の悪態通り、口に出せる程の余裕を持って対峙出来る相手でもないのが現実だ。

 相手の攻撃が空振った先の地面は、粉々に砕かれている。

 そんな破壊力を常時向けられているのだから、此方の精神に掛かる重圧は半端なものではない。

 全身に掛けられている強化魔法、恐らくこれでも一撃貰えば軽く吹き飛ぶ。

 一撃耐えられるかどうか、骨の一本は覚悟しといた方が良いかもしれないだろう。

 しかし――――

 

「――――んなもん、誰がするかっての!!」

 

 目の前でコンクリートが叩き割れ、破片が視界一杯に飛び散って衣服を切り裂く。

 右へ左へ、更に後ろへ……。

 忙しなく動く体を、常に間合いに入らないように注意しての機動。

 6体の存在を視界に収めつつ、回避と防御の選択肢を頭に浮かばせる。

 

 避けるのは回避スペースが3つ以上ある時、受けるのは例外と前者を除く場面。

 眼前に振り抜かれる剣筋から一歩飛び退いて、街灯の支柱を叩き曲げる棍撃をしゃがみ、大気の壁を貫く刺突をシールドで逸らす。

 脳天目掛けるスパイクの一撃を往なし、胴を抉るように振るわれる打撃から離れ、水平に構えた剣の突貫の射線軸からワンステップで逃げる。

 10歩でも動けば敵は得物を振るい、その度に選択を迫られる。

 回避を選べばコンマ数秒のタイミングを計り、防御を選べば衝撃の瞬間を計って退くべきスペースへ飛び込む。

 もしもの時の為に、リペル・アトモスフィアで僅かな威力減退を働き掛ける事も忘れない。

 

《Do it take the offensive(攻勢に出ますか)?》

「ざけんなっ!!」

 

 命を懸けたギリギリの綱渡りのようだ。

 一(ミリ)でも(あし)()れれば、即座に終わる。

 この命ではなく人生(いのち)が終わる、だからこそ手を出す訳にはいかない。

 俺に出来るのは、やるべき事は、この身を守る事。

 唯それだけ、それだけの為に専心を向けるべきであって、他は要らないし在ってはならない。

 この胸に誓った想いがある以上、彼女を守ると誓った以上――――

 

「負けられないんだよ」

 

 攻勢、それは確かに良い判断かもしれない。

 攻撃と言う手段が増えるだけで、戦術にも展開にも幅を持たせられる。

 此方が優勢になる事は間違いない、だろうけど……。

 

 一度でも失敗すれば負けるのだ。

 それは、二度と彼女の傍に居られなくなる事と同じ。

 それは、彼女を悲しませる事と同じ。

 

 ……そんなの絶対、嫌だから!!

 

「お前等にはな!!」

《You bet(当然)!!》

 

 決意を腹の底から吐き出すように吼える。

 避ける、受ける、避ける、受ける。

 只管避けて、只管受ける。

 幾ら地面が砕かれようと、幾らこの身に得物が掠ろうと構わない。

 最低限の防衛(ライン)さえ越えなければ大丈夫だ。

 

「って言うか、しつこい!!」

 

 手を休める事無く迫る鎧の群れは、無尽蔵の体力の表れ。

 まるで機械のように疲労を見せないその泰然、兜の奥から見える赤い眼光……。

 生気の感じられないソレ等が、俺には酷く畏怖すべき対象に見えた。

 それに比べ今の俺は、体力以上に精神を削ぎ落とされている。

 たった1人の孤独な戦いに、無慈悲な敵の荒々しい攻撃、一度のミスが全てに直結するという事実。

 1秒1秒が心臓に須らく負担を掛けていて、悪態を吐いて誤魔化す事しか出来ない。

 

 ――――いや、1人じゃない。

 俺の中に居るアポクリファ、此方へ真っ直ぐに向かっているであろう高町、そして彼女の相棒であるレイジングハート。

 自分の傍にはそれだけの仲間が居るのだから、1人だなんて間違っても言ってはならない。

 だから今は前を向いて、不適に佇む鎧共を視界に収める。

 

 その時――――

 

《The princess came(来ました)!!》

 

 彼女の声と同タイミング、突如として頭上から降り注いだ光弾。

 桜色の筋を引きながら舞い降りて、着弾と共に多大な爆音を響かせた。

 

「――――は」

 

 まるで空中から放たれた爆撃のようだった。

 その光景に知らず息が漏れ、先程まで迫り上げていた恐怖が吹き飛んだ。

 一撃、たった一撃で全てが薙ぎ払われたのだ。

 俺よりもずっと大きな体躯、それを拳程度の弾丸で悉く……。

 俺を脅かす存在の全てを圧倒的なまでに叩き伏せた。

 

「聖君!!」

 

 それが誰によってもたらされたものか、俺は知っている。

 あの温かな桜色の光を、その優しい心を……。

 俺の名を呼ぶその声を、その少女の名前を……。

 だからその(おもい)に、俺の(おもい)で応えた。

 

「高町!!」

 

 あの真っ赤な夕焼け空の中にある、たった一つの純白。

 雲よりも白く、陽光よりも眩しいその姿。

 俺の隣に降り立った1人の少女――――高町なのは。

 

「聖君、大丈夫!?」

 

 音も無く地に足を着けた彼女は、俺の顔を見るなり途端に心配そうな表情を広げる。

 戦闘が始まってから5分程度、たったそれだけの時間だけでさえ俺は、この少女に心配を掛けていた。

 それを歯痒く思うと同時に、とても心強く思ってしまう。

 

「おう、完全無傷……って訳にはいかなかったけどな」

 

 だから笑みを以って彼女に返した。

 衣服に裂かれた跡が所々残っているから、「無傷だ」なんて言えようも無い。

 断言出来ない所が残念だが、こうして無事だからと手を振る。

 それで彼女も納得はしたようで、一安心と胸を撫で下ろしていた。

 

「良かった、本当に良かった……」

「そんなに信じられないのか、俺って」

「そうじゃないけど、やっぱり心配だよ」

 

 視線を下げて呟くように、小鳥の鳴くような声で緩く首を振る高町。

 普段と違う弱々しい姿だけど、無理して気丈に振舞う訳でもなく、素の自分を出している。

 心配を掛けているというのに、何故だか俺の心には嬉しさの方が勝っていた。

 本当、コイツと居ると不思議な気持ちになれる。

 

「大丈夫だ。お前がいつ泣いてもいいように、この体は簡単に傷付けられないんだからな」

「あぅ……それは、その」

 

 ――――って、何だよその反応。

 顔を真っ赤にして俯くその姿に、自分が言った言葉で素晴らしい位の恥ずかしさが込み上がる。

 おい高町、お前も何とか言えっての。

 

「コホン……取り敢えず、俺は無事だ」

「うん。元気そうで何よりだよ」

 

 咳払いから気を取り直した俺に、一つ頷いて笑顔を返す高町。

 しかし彼女は、不意に地面を見下ろすと表情を一変させる。

 

「それにしても、これ……」

「アイツ、俺を狙う黒衣(ヤツ)が送ってきやがった」

 

 その視線の先には、粉々に破壊し尽くされた黄土色の残骸。

 今し方、彼女の魔法によって塵芥と化した鎧兵が崩れ落ちていた。

 飛び出た中身から基盤や配線とかが絡み付いている様子から、コイツ等の正体が改めて無機物である事が分かる。

 疲れを微塵も感じさせない挙動、その理由が漸く白日の下に……。

 

「あの時の……ううん、そんな筈は……」

 

 隣の高町はその残骸を目にしながら、顎に手を当てながら何か呟いてる。

 恐らく、俺には到底及びもしない考えなのだろう。

 その邪魔だけはしないが、手持ち無沙汰も難だから色々と思考を巡らせてみる。

 あの魔法陣、多分だけど物体を転送させる類の魔法によるものだろう。

 あちら側の物を俺の居る次元世界まで送る、しかもこの質量を6体も……。

 その辺りの魔法はよく分からないが、これって結構高度な技術なんじゃないか?

 未だ亡骸に視線を向けている少女にそれを尋ねると、躊躇い無く頷いて答える。

 

「うん。自分の次元世界から他人の居る場所まで、しかもダイレクトに座標を合わせてあれだけの質量を一度に転送するなんて、普通の魔導師じゃ考えられない」

「あの野郎、そんな労力を掛けてまで俺を狙うってのか……」

 

 全く以って理解出来ない。

 それだけの実力を持ちながら、俺のような凡人を欲するメリットは何だ?

 それだけじゃない、何かが引っ掛かる……。

 上手く口には出来ないけど、確かに今まで見た中でおかしな部分(・・・・・・)があった筈だ。

 ソイツは一体――

 

《The second attack comes(次、来ます)!!》

「「っ!?」」

 

 だがそんな事を考える暇さえ、あちらは与えてくれはしない。

 先程と同様に、そしてそれ以上の数の俺達の周囲に展開される薄紫(・・)の魔法陣。

 

 ――――ちょっと待て、まさか!?

 

「高町、ちょっといいか?」

「な、何?」

 

 俺に背を合わせるように警戒している高町に問う。

 返事が少し固かったが、きちんと彼女は答えを返してくれた。

 ありがたい、「話は後」なんて言われたら俺にはどうしようもないからな。

 第2波が完全に呼び出される前に、口早に俺の意を伝える。

 

「さっきの転送、それが逆の場合はどうだ?」

「逆?」

「だから、自分側から別の場所に転送するのと、別の場所から自分側に転送するのだったら、どっちがやり易い!?」

 

 陣の上から徐々に形を成していく鎧。

 先程と寸分違わぬその姿、焦りが思考を埋め語気を荒げてしまう。

 

「えと、後者だと思う。次元跳躍魔法自体も高度な魔法だし、それ以上にこんな精密な発生地点には尋常じゃない制御能力が必要だから」

 

 つまり、手元に手繰り寄せる方が簡単って事だな。

 彼女の言葉の終わりに合わせたように、転送が終了し俺達の周囲に鎧が集結する。

 その数は10、装備も全く同じ。

 先程以上の激戦が予想されるが、高町が居るのなら問題は無いだろう。

 

 でもコイツには、他にやって貰うべき事がある。

 俺の考えが正しければ、これを送っている奴は……。

 

「高町、恐らくだがコイツを此処に送って――――っ!?」

 

 急いで伝えようとしたが、それは此方に突進を仕掛ける鎧によって阻まれた。

 何とか俺は咄嗟に横に飛び、高町は上空に上がって事無きを得る。

 しかし数が増えた以上、簡単に息つく暇を与えてはくれない。

 剣が、棍棒が、斧槍が、次々と俺に襲い掛かって来る。

 

「くそっ!!」

 

 易々と外界を砕いて回る凶器の数々に、神経を擦り減らしながら回避と防御を選択する。

 さっきは10歩程度だった攻撃間隔も、今は7,8歩にまで詰められている。

 心に圧し掛かるプレッシャーは尋常じゃない、だが――

 

「レイジングハート」

《Accel Shooter(アクセルシューター)》

 

 頭上から降り注ぐ光弾の雨によって、ソイツ等は脳天から一直線に貫かれ破壊された。

 俺を狙った片手剣を持つ鎧も同様に、光弾が甲冑を縦一閃に滑空。

 飛び退くと同時に爆発が起こり、その余波が全身を覆うが姿勢を低くして着地する。

 たった一度の魔法行使、それだけで視界に居た全ての敵が沈黙。

 先程と同じ黄土の瓦礫が積み重なるが、今回はそれだけでは済まなかった。

 

「またかよっ!?」

 

 今度は更に広範囲に展開される複数の魔法陣、しかも圧倒的に間隔が短くなっている。

 そして魔法陣の色は薄紫、最早確信に限り無く近い解答だった。

 それを口で伝えるのも時間が惜しく、上空の少女に急いで念話を繋ぐ。

 

(高町、コイツ等を送ってる奴は近くに居る)

(どういう事?)

(この魔法を連発してるって事は普通じゃ考えられない筈だ。だけど転送者の場所によっては、話は変わってくるんだろ?)

 

 徐々に形作られていく様子を横目に収めながら、説明を続ける。

 普通じゃ考えられないその技術、可能にするのならどのような手段が要るのか……。

 それは術者を転送場所ないし、近い場所に配置するという事。

 そして何よりも気掛かりだったのは……

 

(アイツと魔力光が違う。つまりこれは、俺を狙ってる奴の魔法じゃない)

 

 俺だけが知っている事実、黒衣の持つ魔力波長による色彩。

 それは赤褐色、アイツが放った光弾も砲撃も全てその色に統一されていた。

 故に違う、この薄紫色の魔力光は奴のものじゃない。

 

(目に見える範囲じゃないだろうけど、この結界内に居る事は考えられないか?)

 

 もしそうなら、この連続しての転送魔法にも説明が付く。

 それでも並の魔導師じゃ無理な芸当だろう、しかし不可能ではなくなる。

 転送魔法を得手とする魔導師なら、或いは……。

 

(確かにそうだね。それが本当なら、この状況を引き起こしている人物は)

(十中八九、黒衣の仲間だろう。だから――)

 

 俺の考えに納得の意を示した高町だが、きっと次の言葉には猛反対するだろう。

 だけど同じ事の繰り返しではジリ貧になってしまう。

 拒絶されるのは分かっている、だけど伝えないといけない。

 

(――高町、お前はその魔導師を探してくれ)

(っ!? 駄目だよ、そんなの!!)

 

 あぁやっぱり、と半ば確信していた答えに頬が緩む。

 高町に術者を捜索させるって事は、俺がこの場に1人残るって事だ。

 簡単に受け入れるような性格をしていないのは、先程の再会で否が応でも分かっていた。

 あんなに心配させてしまったんだ、更に離れるとなるともっと心配させてしまうだろう。

 それでも、この事態を早急に解決させるにはこれが一番である事も確かだ。

 

(私がサーチャーを使えば、この場所でも術者の探索を続けられる)

 

 彼女の言葉と同時に鎧が出現した。

 状況変化に乏しい黄土色の敵、芸が無いとは正にこの事だろう。

 だがその数は明らかに先程以上。

 前後左右の視界を埋めるように配置されたソイツ等は、俺の精神を圧迫する巨壁そのもの。

 その全てが武器を構え突撃体勢を取り、俺に狙いを定める。

 

(だったらサーチャーとお前が一緒に探せばもっと早いだろ。効率良いんだからそっちを優先しろって)

 

 ピクリとも動かず俺を見据える鋭い眼光、幾十のそれを浴びせられ心臓が拍動する。

 それでも上空に居る少女への言葉だけは止めない。

 事態は急を要するもので、術者を捕らえるにも可能な限り即時の方が良い筈だ。

 

(それじゃ聖君はこのまま、ずっとこの相手をしてるつもりなの?)

(結界の有効範囲まで下がりながら相手をする。決して無理はせず、確実に安全な策を模索してな)

(聖君……)

 

 その声に、彼女が悩んでる様子が容易に想像出来る。

 しかしその間にも時間は経過する、アイツ等が俺に向かって地を蹴り出した事がそれを証明していた。

 

「っ、シュート!!」

 

 桜色の光弾、高町のシューターが全方向にばら撒かれる。

 上空に居る彼女にとって、奴等は地上を這う敵でしかない。

 馬鹿みたいに真っ直ぐ突っ走る敵なぞ唯の標的、自身の思念によって手足のように動く弾丸は吸い込まれるように鎧を打ち抜いていく。

 身構える俺の視界で次々と落とされていく残骸、しかし煙に紛れて奥の方から攻撃を潜り抜けた奴が居た。

 そのまま得物を突き出して迫り来る。

 

「ちっ……!!」

 

 まさか彼女が落とし損ねるとは思わず、回避する為の時間的余裕は無かった。

 すぐさまシールドを張って防御に移行する。

 

「――――つぅ」

 

 自分よりも大きな体躯から繰り出される単純な一撃、だがそれは決して楽観視出来ない威力。

 完全に防ぎ切る事は叶わず、数瞬の均衡の末に大きく距離を取った。

 その間に残りの敵を高町が落としていく。

 吸い込まれるような軌跡を描いて、今度こそ敵は骸と化す。

 

 だが気になる。

 あれだけの精度を誇っていた高町のシューターが、敵を打ち漏らすなんて事は考えられない。

 一体、どうしたんだ?

 

《It has been forwarded with shooting down almost at the same time.(撃墜とほぼ同時に転送されてきました)》

 

 アポクリファの言葉に納得、やはりミスといった類では無いらしい。

 しかしこれで分かったのは、どれだけ敵を減らしても大した意味が無いって事だ。

 でも充分な収穫、これで彼女を此処に縛る必要は無くなる。

 目の前では再三再四に渡る作業が、広範囲で続いていた。

 

(分かったろ。此処で何回撃墜しても、送り込まれたらまた振り出しだ。だったら一秒でも早く元凶を叩いた方が効率的だ)

(それでも、聖君の身を守るにはこれしか……)

《Master.(マスター)》

 

 不意に、あらぬ所から声が掛かった。

 声から分かる通りの電子音、しかしアポクリファではないそれは、高町の相棒である彼女だった。

 主である少女も突然の声に驚いてるらしいが、それを意に介さず声は続く。

 

《It that finds the enemy even one second earlier is connected directly with the defense of his body. And, do you say that you will not believe my pupil(1秒でも早く敵を見付ける、それは彼の身を守る事に直結しています。それに、貴方は自分の教え子を信じないと言うのですか)?》

 

 またまた転送、いい加減見飽きてきた光景だが、唯一変わったとすればレイジングハートが高町を促している点だ。

 普段なら彼女のサポート側であるレイジングハートが、今は彼女の行動を諌めている。

 

《It is a master that knows his growth most. And, will you also have received master's desire(彼の成長を一番知っているのはマスターです。それに、貴方もマスターの想いを受け取ったのでしょう)?》

「当然!!」

《Then, there is no reason to stay. This conduct oneself is left to him, and we will accomplish the best that can be done now.(ならば留まる理由はありません。此処は彼に任せ、私達は今出来る最善を果たしましょう)》

「レイジングハート……」

 

 いつになく饒舌な相棒の姿を見て、高町は呆気に取られている。

 だが数瞬、鎧が出現し終わると同時に、彼女は強く言い放った。

 

「分かった。聖君、すぐ終わらせてくるから!!」

 

 言うや否や、突風を従えて遠くへ飛び去っていく。

 オマケとしてシューターを敵に押し付けてから……。

 

「ったく、ちゃっかりしてるな。まぁ……」

 

 だがこっちの方が、弛んだ精神に喝を入れられるってもんだ。

 知らない内に高町に頼り切って、先程は判断を遅らせてしまった。

 あれは何よりも俺のミスだったのだ。

 俺は自分の誓いの為にも、あんな馬鹿げた真似はもうしない。

 だから――

 

「行くぜ、第2ラウンド……」

 

 爆音と、更なる敵の出現を前に身構える。

 赤い眼光が俺を射抜くが、無意味な緊張は微塵も感じない。

 高町と少しでも一緒に居た事で、その存在を感じ取れたからだろう。

 離れていても、俺とアイツは共に居る。

 戦ってやる、アイツと自分自身に恥じない為に……。

 

《Let's start it(開始)!!》

 

 彼女の教導を受けた者として、恥じない姿である為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~Interlude side:Nanoha~

 

 

 空を切り、大気の壁を突き抜け、只管に飛翔。

 さがす、サガス、探す、捜す――。

 目に見える全てに目を向け、擦れ違い様に建物の影に視線を投げる。

 既にサーチャーを3基飛ばしての複数索敵、それでもまだ見付からない。

 しかも何体かの傀儡兵を哨戒に回しているらしく、見付けられた端末は悉く破壊されている。

 結界効果での妨害もあって、術者捜索は予想以上に難航していた。

 

 結界そのものを破壊する事も考えたけど駄目、最悪術者を逃がしてしまう可能性が高い。

 こうやって地道な捜索しか、私には出来ないのがもどかしい。

 

《My master and haste are the taboos.(マスター、焦りは禁物です)》

(分かってる、でも……!!)

 

 映るのはいつも目にする光景、普段と変わりない海鳴市の姿。

 唯一変わってるとしたら、結界によって様変わりした色合いだけ。

 それが私の心に焦りを生む。

 魔法杖の先端が明滅し、パートナーたる女声が響く。

 私の心を静めようとしてくれているけど、それでも不安は拭えない。

 あの場所でたった1人、鎧の大群を前に防戦に徹している少年。

 そんな状況に身を置く筈の無かった彼が今、その危険な場所の最前に立っている。

 本当の事を言えば気が気じゃない。

 

 相手はあの鎧。

 4年前に一度見ただけだったけど、あの時のものと寸分違わぬ姿をしていた。

 傀儡兵と呼ばれる、魔法技術で造られた無人兵器。

 今はまだ地上戦のみの種類だけ、でももしかしたら空戦用の敵も出てくる可能性は高い。

 そうなれば聖君が不利になるのは明らか、そうなれば……彼は私の目の前から居なくなってしまう。

 あの不器用な優しさが、私だけに向けてくれた笑顔が、私の前から無くなってしまう。

 それだけは耐えられない、それだけは――

 

《All right.(大丈夫です)》

「えっ……」

 

 もしもの未来、その恐怖に心を押し潰されそうになる私に、レイジングハートは優しく声を掛ける。

 その声には、私のような不安は一切無い。

 毅然としたその振る舞いに、私は目を見開く事しか出来なかった。

 

《He is a person who receives the master's teaching. There is diverting and either what cultivated there is a real thing even if it is a short term.(彼はマスターの教導を受けた者です。たとえ短期間であっても、そこで培ったものは紛れも無く本物です)》

「レイジングハート……」

《Does not you who taught believe, and who believes his desire(教えた貴女が信じないで、誰が彼の想いを信じるのですか)?》

 

 その時、彼の言葉を思い出した。

 

『お前の優しさも想いも、しっかり受け取った』

 

 彼の胸の中で聴いたその一言に、私はどれだけ救われただろう。

 自分のやり方を一回裏切られただけで自信を無くしてしまった私を、その言葉だけで奮い立たせてくれた。

 教導官として未熟な私に、ずっと着いて来てくれた人の言葉。

 

 1人きりになった部屋に残された彼のノート、ページに書き込まれた文字と図。

 その内容は、確かにその言葉を体現するものだった。

 誰がアレを出任せの嘘だと言えるだろうか?

 たとえ世界中の人がそれを総意と言っても、私だけはずっと信じてる。

 そう、私が一番信じなくちゃいけなかったんだ。

 彼の言葉を、彼の想いを……。

 

《He said to it. If this body is not easily damaged because of you.(それに言っていたじゃないですか。貴女の為にも、この体は簡単に傷付けられないと)》

「うぅぅ、レイジングハートまで……」

 

 私よりずっと広い肩幅、固くて温かくて、包容力に溢れたその(ばしょ)

 体が包まれた瞬間、その無骨な優しさと力強さが心に流れ込んでくるようだった。

 でもやっぱり、彼は同年代の男の子な訳でして……。

 思い出すだけで顔が真っ赤になっちゃうのは、仕方ないよね?

 

 それにしても、レイジングハートまでそんな事言うなんて珍しい。

 聖君に会ってから、この子は以前よりずっと饒舌になっていた。

 

「変わったね、レイジングハート」

《Is it useless(駄目でしょうか)?》

「ううん、今の方がずっと良いよ」

 

 どこか友達みたいな感覚。

 今まではパートナーとしてだったけど、今は軽い付き合いをしてる間柄みたいに思えてしまう。

 交わす一言一言が、まるで友達と他愛無い会話をしてるようで……。

 

《I think that it can change somehow if it speaks with him. I who is AI the device am......(彼と話していると、何故だか変われるような気がするのです。デバイスである、AIである私が……)》

 

 何かを羨望するような声は、しかししっかりとした願望となって言葉に表れる。

 気付けばレイジングハートは、今までよりずっと人間らしい子になっていた。

 それがとても嬉しい。

 だからこそ、気を引き締めて前を向く。

 

「だから、急がなくちゃ」

 

 一層、捜索の方に力を入れないと。

 彼の存在は私だけじゃなく、レイジングハートにまで影響している。

 もう私達にとって瑞代聖という少年は、なくてはならない大切な人だった。

 

 飛行速度を上げる。

 こういった虱潰しのような行動はあまりやらないけど、これが最善である以上、全力で取り掛かる必要がある。

 眼下に広がる建物の群れ、その一つ一つに目を凝らす。

 少しでも異変があれば絶対に見逃さない、聖君が頑張っているのだから私だってやってみせる。

 

 でも依然として視界には何も映らない。

 彼を信じていない訳じゃないけど、時間が掛かれば掛かる程追い詰められてしまう。

 急いては事を仕損じるってよく言うけど、簡単に冷静になれる容易な状況でもなかった。

 

「何処? 何処に居るの?」

 

 どうすればいいの、どうすれば……。

 抑えていた筈の焦りが飛び出してしまいそう。

 彼方此方に視線を投げて、これでもかという位まで視界を巡る。

 そして、その時――

 

「アレって……」

 

 ――見覚えのある、赤い姿が目に飛び込んできた。

 慣れ親しんだそれは、間違える筈も無く……

 

 

~Interlude out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ――――っ!?」

 

 バックステップ、剣風で靡く髪が酷く鬱陶しい。

 足裏を擦りながら着地し、すぐに背後へ振り向いてシールド展開。

 横殴りのスパイクハンマーが視界に収まる。

 

「くぅっ……!!」

 

 インパクトは尋常じゃない衝撃を伴い、一瞬だが足元が完全に浮き上がる。

 すぐにその場から離脱、大きく距離を取って――――不意に影が差した。

 上空から、まるで猛禽類のような獰猛さを纏って、長尺の得物を構えている。

 悪態を吐く暇も無く更に大きく飛び退くと、ハルバードは地面を容易く打ち砕く。

 視界の奥からは烏合の衆が地面を踏み鳴らし、圧倒的物量で俺を追い詰めんと走り続けている。

 それを尻目に、此方も全力で疾駆。

 

(高町が行ってから、どれだけ経った?)

《It is about four and a half minutes.(およそ、4分半です)》

 

 肩で息を吐きながら相棒の答えに耳を傾ける。

 あれからまだ5分にも満たないという事実は、此方の精神に大きく負担を強いていた。

 ウンザリするような攻撃の嵐、強化されたスピードで逃げようにも気付けば背後に回られている。

 リパルサー・シフトによる瞬間加速で抜ける手もあったが、この数相手では魔力を無駄に消費するだけだ。

 俺が倒さずとも増援を送り込んでいる様相に、此方の余裕は無くなっていく一方。

 どうやら、本格的にヤバイ状況に陥ってるらしい。

 過度の運動で体力が、刹那の攻防で精神と魔力がガリガリと削り取られていく。

 額からは汗が流れ、口から漏れるのは酸素を求める呼吸だけ。

 

(回避、シールド比率は?)

《It was changeable to 6:4.(6対4に変化しています)》

 

 あぁくそ、と内心で文句をぶち撒ける。

 幾ら鈍重な動きでも、見切り易い機動でも、数が増えれば手数も自然と増えていくのは自明の理。

 高町のシューターに比べれば確かに遅いし単純、だがこの質量が密集すればそれだけで脅威足り得る。

 事実、アポクリファからの報告で、俺の回避率が下がってきてるのが分かった。

 

《It reacts forward forwarding, and it comes(前方から転送反応、来ます)!!》

(またかよ!!)

 

 進行方向先の地面に描かれる魔法陣、ラベンダーのような色彩のそれはコンクリートと全く合わない。

 そこから現れるのは、もう馬鹿馬鹿しい位に見慣れた黄土色。

 地に足着けると同時に、各々の武器を構え俺へ狙いを定める。

 完璧な挟撃、増援の相手をしている間に後ろの奴等を到着させるって魂胆だろう。

 詰め将棋かって言いたくなるような状況に、王将単騎である俺の劣勢は揺るぎはしない。

 あぁくそ、とさっきと同じ文句が吐いて出た。

 

「なんてザマだよ」

 

 足を止めて周囲を見渡す。

 此処は見慣れた商店街の一角、もしかしたらと目を凝らして……見付けた。

 店と店の間、人が1人程度通れるような路地。

 虎と狼に挟まれた俺は躊躇う事無く、その脇道へと身を滑らせた。

 陽光が遮られ暗がりになったその場所、この細道ならあの横幅の広い鎧も簡単には入ってこれない。

 単なる時間稼ぎでしかないが、それが少しでもこの身を守る事に繋がるのであれば充分だ。

 光届かぬ此処は同じ外だと言うのにヒンヤリと空気が冷めていて、火照った体の熱を静めてくれる。

 手の甲で額を拭い、滴り落ちる雫を振り払う。

 

「よしっ」

 

 数メートル先の出口、後ろからは通路を確保しようと躍起になっている鎧の姿。

 海鳴の町が壊される事は正直嫌だけど、結界を解けば元に戻るらしいから大丈夫だろう。

 破砕音を背に、俺は一足早く暗がりを抜けさせて貰――――

 

 

 

 

 

《Return(戻って)!!》

「えっ……」

 

 ――――俺を覆う影が、蠢いた。

 上を向けばそこには、見た事も無い緑色の鎧。

 背から2対の翼を広げ、蛇のような下半身には足が無く、先程までの奴等とは明らかに違う風貌。

 初めて見る、しかし醸し出す雰囲気は明らかに『敵』。

 携えた槍を構え、ソイツは圧倒的なスピードを以って俺へ飛び掛かった。

 

「あっ――――」

 

 頭が状況に反応出来ていない。

 何がどうしてこんな事に……分からないけど、このままじゃいけない。

 回避は無理、それじゃシールドを――――もう遅い。

 眼前に迫るそれからは最早逃げる事叶わず、この身はその痛みを受け入れる事だけが唯一の行為だった。

 

 

 

「――――」

 

 見開いた目に映る世界が、ゆっくりと流れる。

 スローモーションの世界に見える敵は、徐々に徐々に俺へと近付いて来ている。

 殺す為ではなく捕らえる為の凶刃、視線の先のそれを見て……終わったと気付いた。

 俺の戦いは此処で終わり、一矢報いる事も完全な勝利を手にする事も出来ないまま、こうして終幕を迎える。

 仕方ないよな、元々切れ端程度の才能しか俺には無かったんだから。

 でも10分は誓いを破らずに出来た、それは俺みたいな奴からすれば良い方じゃないのか?

 これだけやれたんなら充分じゃないのか?

 

 あぁそうだ、きっと誰にも怒られやしない。

 だからもう、終わってしまっても……

 

 

 

 

 

 

 

『凄く心配しちゃうから』

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

『良かった、本当に良かった……』

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

『聖君、すぐ終わらせて来るから!!』

 

 

 

 

 

 …………確かに、誰にも怒られはしないだろう。

 だけどきっと、誰もが悲しむ。

 師父が、シスターが、家族の皆が、友達が……。

 

 

 そして――――高町が。

 

 誓ったのに、無理をし続ける彼女を支えるのだと。

 なのに俺はもう自分の言葉を、決意を覆すのか?

 

 ふざけるな、そんな事は神様が許しても俺が絶対に許さない。

 自分で決めた自分の道、それを行かずして何が『強くなる』だ。

 自分1人を守れずして、どうして他人を守ろうなんて言えるんだ。

 

『お前の優しさも想いも、しっかり受け取った』

 

 そうだ受け取ったんだ、この世で唯一の『強さ』を。

 だったら目の前の現実から逃げてはならない。

 その場所にこそ、俺が進みたいと、彼女と共に強くなりたいと決めた道があるんだから。

 

 だから……

 

《Repel(リペル――)》

 

 逃げちゃいけない。

 

《Exist.(――イグジスト)》

 

 逃げたくない!!

 

 

 

 

「退けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 咆哮と共に、突如体から発せられる暴風の如き波。

 それは、後1メートルにまで詰め寄っていた鎧兵の突撃を阻み、眼前で見えない壁となっていた。

 波動と槍がガチガチとせめぎ合い、先端を揺らしながら純粋な力比べを繰り広げている。

 その隙に射線上から抜け出して、どうにか事無きを得た。

 すると――

 

「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 幼い、それでいて怒号にも似た少女の声が轟いた。

 そちらに振り向いた瞬間、何かが砕けた破砕音と、顔の真横をとんでもないスピードで緑の物体が抜けていく。

 空を切るその様相は、明らかに外部からの圧倒的な力によってもたらされた結果。

 そして、その結果を導き出した存在はと言うと……

 

「よし、まだ生きてるな」

「………ヴィータ」

「おう、助けに来てやったぞ」

 

 目の前で浮かぶ真紅に染まるゴシック調のドレス、同色の帽子には彼女が普段から身に付けている『のろいうさぎ』。

 手には長柄のハンマーを握り締めている。

 

 初めて見たこの少女の魔導師としての姿が、今目の前に存在していた。

 だがハンマーを肩に引っ掛けながら偉ぶるその様子は、いつもの彼女そのもので……。

 呆然と見ていただけの俺にとって、馴染み深過ぎて神々しさのカケラも無かった。

 先程までの極限状態に居て尚、その彼女の姿に静かに笑みを浮かべてしまう。

 

「さぁて、そんじゃゴミ掃除でもすっか」

「ゴミって……」

 

 目の前で数回得物を振り、俺の背後、脇道の掘削作業中の鎧達へと視線を向ける。

 一応アレ、俺が苦労して撒いていた相手なんだけど、それを軽くゴミ扱い……?

 だがその不遜な態度は、彼女の自信の表れ。

 自身の3倍は超えるであろう巨躯を難なく吹っ飛ばした所から考えれば、それは当然とも言える言葉だろう。

 

「アイゼン、一発で仕留めるぞ!!」

《Gigantform.(ギガントフォルム)》

 

 大振りにそれを持ち上げ声を掛けると、主への応えと共にヘッドと柄の繋ぎ目のシリンダーが回転。

 撃鉄を起こしたように弾丸を装填し、ハンマーヘッドが円柱型から六角型に変形。

 一際巨大になったアイゼン(そいつ)を、ヴィータは更に振り上げる。

 スイングによる風圧が前髪を掠め―――って危ねぇ!?

 半ば脊髄反射で彼女の後ろに回り込んで、何とか危険ゾーンから逃れる。

 だが目を離した一瞬、その間の変化に俺は、我が目を疑わずにはいられなかった。

 

「轟天爆砕――――」

 

 先程まで彼女の身の丈程度までだったソレは、何の影響か、そこ等の建物すら凌駕する大きさにまで変化していた。

 ヘッド部も同等に膨れ上がり、正に天を衝かんばかりの勢いを秘めている。

 圧倒的な存在感と、見る者全てを恐れ戦かせるその巨槌。

 

「――ギガント・シュラーク!!」

 

 その名と共に、振り下ろされた。

 狙うは此方へと群がる鎧の塊、一箇所に固まっているが故にその全てが有効範囲内。

 質量によって唸りを上げながらしなる柄。

 重みを微塵も感じさせない彼女のスイングは、寸分違わずそのポイントへ一直線に飛び込んだ。

 

「――――っ!?」

 

 耳を貫かんばかりの轟音、直後に襲い掛かる爆風をリペルによって何とか押し返す。

 まるで爆弾が投下されたように周囲は濃い砂塵に包まれ、その奥の風景を隙間無く覆い隠していた。

 だがそんなもの、見なくても結果なんて分かり切っている。

 『轟天爆砕』とはその通り、轟音は天を衝き、大地を爆ぜ砕き尽くす。

 

 ……圧倒的だった。

 いつの間にか自身の相棒を元の状態に戻していた彼女は、さも当然のようにその光景に目を向けている。

 こんな小さな少女が、俺の肩にすら届かない幼い彼女が、当たり前のように力を行使して……。

 刹那、横殴りの風が吹いた。

 流れるように砂塵を連れて行き、後に残ったのは見事なまでに破壊され尽くした脇道。

 いや、そこが道だった事すら思い出せない。

 既にそこは何も残っていない更地、黄土の鎧とその場所を作り上げていたものが悉く破片へと変換されていた。

 たった一振り、強大な力をぶつけるという単純故に最も効率の良い攻撃。

 それだけで……。

 

「マジ、かよ……」

 

 最早、そう呟かずにはいられない。

 こんな惨状を目の当たりにして、受け入れる為にはワンクッションは絶対に必要だろう。

 そうでなければ、誰がこんな状況を素直に認めろと言えるのか?

 

「これがヴォルケンリッター、紅の鉄騎ヴィータと、鉄の伯爵グラーフアイゼンの力だ」

 

 音も無く地上に降り立つ彼女は、事も無げにそう呟く。

 これが自分の力だ、言葉と態度でその想いを俺へと突きつけていた。

 今まで知らなかったヴィータの姿、確かにそれは高町にも負けない強さを内包している。

 だけど俺へ向ける得意満面な顔は、やはりいつも通りの少女で……。

 

「あぁ、すげぇよ」

 

 気付けば俺も、いつも通りの対応を返していた。

 この歪な世界に居て尚、ヴィータはヴィータとして存在している。

 それが内心を落ち着ける要因だというのは、何ともらしいものだ。

 

「これに懲りたら、もうアタシの頭を撫でんじゃねぇぞ」

「そんな生意気言う奴は、こうしてやる!!」

 

 踏ん反り返る少女の帽子に、思い切り掌を押し付ける。

 うぎゃー、と叫び声を上げているが気にしない。

 

「うりうりうりうりうり!!」

「っだぁぁぁぁ、止めろっつってんだろ!!」

 

 全力で振り払おうとするのを押さえつけて、更に強く押し付ける。

 その度に紅のドレスが揺れ、帽子に付属するのろいうさぎも揺れて、見ている俺としては面白い。

 荒廃したこの世界で、俺達だけは不似合いな色を発していた。

 

 一頻り撫で終えた俺は、心に満足感を抱いてその手を離す。

 一方ヴィータの方はと言うと、俺を警戒するように睨みながら自身の相棒を構え出した。

 

「っておい、ちょっとまて!?」

「あぁそうだ、最初からこうすれば良かったんだ」

 

 何かブツブツ呟きながら、グリップを握る手に力を込めている。

 口元を歪めながら笑うその様相は、明らかに怒りを通り越した先にあるナニカだった。

 ヤバイ、少し弄り過ぎたか?

 

「落ち着け、そんなもん使ったらお――」

《It is forwarding reactive and comes. Moreover, it is larger than a little while ago(転送反応来ます。しかも、先程よりも大きい)!!》

「「――っ!?」」

 

 忘れていた、目の前の少女の行いがあまりにも強烈過ぎて。

 敵は幾らでも戦力を送り込める相手で、自分はそれに抗っている事に。

 

「さっきなのはが術者を捕まえたって言ってた、なのに何で!?」

 

 そうか、高町はちゃんとやるべき事を終えられたのか。

 急に狼狽する彼女の言葉に耳を傾けながら、少しの安堵と、同程度の焦りを以って魔法陣の展開される場所を探す。

 だがソレらしいものは目の前に一つあるだけで、周囲には他に何も無い。

 まさかこれって……

 

「ヴィータ、転送魔法の時間差発動って出来るか!?」

「いくら何でも転送系でそんな技術、無い訳じゃねぇけど……」

 

 言葉尻を濁すって事は、無いとは言い切れないって事だ。

 確かに物質を送る、もしくは手元に寄せる魔法を、時間差を付けて発動する必要なんて普通は無い。

 だけど彼女が言うように、高町が術者本人を見付けたって言うんなら話は別。

 

 身を隠しながら俺を追い詰めようとしていた術者は、高町に見付けられてしまい、最後の悪足掻きを実行したのだろう。

 でもその時はまだあの烏合の衆と緑の奴が残っていた、だから保険として残しておいた可能性がある。

 そしてその保険が、今目の前に……。

 

「コイツ、か……」

 

 それは先程までとは比べ物にならない、圧倒的な存在だった。

 俺よりも大きかった黄土の鎧兵、それを軽く2倍は越えるくすんだ青色。

 全体的に丸みを帯びた装甲、巨大な両刃の重斧、それだけで今までの奴等とは違う事を証明していた。

 放たれる存在感から滲み出る圧倒的な重圧、たった1体を前にして背中に冷や汗が流れる。

 脳内で警告アラームが鳴り止まず、心臓の鼓動が否応無く早められる。

 最後の最後に、なんてモン送りやがるんだよ……。

 

「聖、お前確か、なのはに攻撃するなって言われてんだよな?」

 

 だと言うのに隣の少女は、不適な表情で俺に声を掛けてきた。

 どうしてそれを知っているんだ、という疑問さえ湧いてこない俺の状態を察しもせず、彼女は言葉を続ける。

 

「さっきまでで、回避と防御の割合は?」

「な、何だよ急に……」

「いいから答えろ!!」

 

 巨大な敵から目は離さず、怒鳴りつけるように声を張る。

 その勢いに圧され、目の前のプレッシャーに耐えながら何とか口を動かす。

 

「確か、6:4」

 

 少し前に訊いた解答だから多少の修正は掛かるだろうけど、その辺りが妥当な筈だ。

 本当ならアポクリファに尋ねれば良かったんだろうが、今の状況からして自分自身の事で手一杯。

 彼女の真意を聴く間も無く、そう答えていた。

 

「おし、中々出来てんじゃねぇか。だから、良い事を教えてやる」

「……良い、事?」

「あぁ、なのはからの伝言だ」

 

 得物を引きながら構えるヴィータは、此方に視線を向ける事は無い。

 唯、眼前に聳え立つ巨兵だけを見詰めている。

 だがその声は、紛う事無く俺にだけ向けられていた。

 ニヤリと口元を歪めて笑うその顔は、あからさまに何か隠している様子だ。

 

 

「今この場だけ――――攻撃魔法を使って良し!!」

 

 その言葉に、思わず我が耳を疑った。

 攻撃魔法を使っても良い? しかも高町からの伝言?

 

「だからあのオンボロを、さっさと潰して来い!!」

「ちょ、ちょっと待てって……!?」

 

 此方の仰天の反応を気にもせず、ハンマーを重斧兵へと向けて言い放つ。

 だがその言葉が本当だとしても、為すがまま鵜呑みにする事は出来ない。

 未熟な俺に攻撃魔法と言うデメリットの付き纏う行為は、最も避けなければならないもの。

 彼女との約束、『確実に安全な策を模索する』を破るのは憚れた。

 高町も、何だって急にそんな掌を返すような事を……。

 

 

《It is possible to fight with the my master.(自分と共に、戦えるように)》

 

 

 ……違う、最初からこうするつもりだったんだ。

 いつか来るであろう時が、偶々早まってしまっただけで……。

 ヴィータから伝えられたあの言葉、それは今がその『時』だという意味。

 そういう事として受け取って、良いんだよな?

 

「お前の言葉、信じてるって言ってたぞ!!」

「――っ!?」

 

 力強い宣言は俺の心を揺さぶる。

 そして同時に、眼前の敵へ立ち向かう勇気を与えてくれた。

 その言葉に返せるものなんて、今の俺にはたった一つしかない。

 俺を信じてくれるのならば、俺も彼女の言葉を信じる。

 

 ――――やってみせる。

 俺を信じると言ってくれた彼女を信じ、やると決めた自分を信じる。

 

《It is a place in which I am also honest, and it has gotten tired only of the defense.(私も正直、防御だけには飽きてきた所です)》

 

 茶化すようなアポクリファも、俺を後押しするように促す。

 それは俺も同じ、防御と回避ばかりで胸中では何かが燻っていた。

 巨兵が重々しく大斧を持ち上げる。

 

「行ってこい!!」

「当然!!」

 

 ヴィータの合図に答え、俺は姿勢を低く飛び出した。

 距離は約20メートル、だが奴の間合いは踏み込みを加味してその4分の1を占めている。

 そして俺の攻撃は更にその内側、クロスレンジでしか決定打は与えられない。

 あの堅牢な鎧を砕くには、そこまでの距離に迫らなければ……。

 

(アイツを確実に潰すには、一撃)

《Geo? No, there is better magic.(ジオ? いいえ、もっと良い魔法があります)》

 

 5メートル、距離が縮まる。

 前のめりの体勢は継続しつつ、両手を開く。

 重斧兵は得物を掲げ、振り下ろす時を今か今かと待ち望んでいた。

 

《The strongest magic of my now being able to have it.(今私が持ち得る中の、最強の魔法)》

 

 5メートル、また距離が縮まる。

 右腕に環状魔法陣が4つ巻き付いて暴風が集まりだし、左手には掌サイズの真円魔法陣が形成。

 同時に敵の姿へ視線を向ける。

 構えは上段、確実に此方を叩き伏せる一撃が予想出来た。

 

「……」

 

 更に5メートル近付く。

 その時、脳天目掛けて鉄塊が一直線に走った。

 だがそれは唯の直線でしかない、ならばどんなに速くとも見切るのは容易い。

 更に接近――――来る!!

 

「ふっ……!!」

 

 イメージと寸分違わぬ一閃をワンステップで回避、地面が砕ける様を尻目に、着地と同時に上空へ飛び上がった。

 兜の隙間から見える赤い眼光が俺の視線と交錯し、すぐにそれを追い越してその頭上へと至る。

 武器はまだ振り下ろされたまま、攻撃も防御も出来ない今がチャンス。

 右腕を後ろに引き、左手を兜に向ける。

 

「行くぞ……」

 

 

 

 

 

「砲撃って確か、高町の得意魔法だったよな?」

《Yes.The chic of the knowledge was collected, and it made it according to your nature.(そうです。その知識の粋を集めて、貴方の資質に合わせて作り上げました)》

《The magic formation of the magic increase, compression, and two step acceleration is developed with the right arm, and magic is thrown in the magic formation of the discharge that develops with the left hand.(右腕に魔力増大、圧縮、2段加速の魔法陣を展開し、左手に展開した放出の魔法陣で魔力を叩きつける)》

「一番効果的な方法は、高所からの打ち下ろしか?」

《In addition, if it is a short distance, the appreciable effect will be able to expect it.(更に近距離であれば、かなりの効果も見込めるでしょう)》

「つーか、この名前……」

《It is naming of the master. Please receive it welcome.(マスター命名です。ありがたく頂戴して下さい)》

 

 

 

 

 

 左手に収まっていた魔法陣が急激に広がる。

 真円に包まれた正方の先には敵の姿、此方に赤い光を向けているが、もう遅い。

 

「ディバイン――――」

 

 右手の暴風は既に集束を終えて、掌の上で灰色の球体となって形を成す。

 呟かれる名は、彼女を象徴する魔法の一つ。

 名の如く『神』の一撃、想起するのは強力無比な桜色の奔流。

 その名を受け継いだこの魔法、果たして彼女を汚す事の無いものとなるのか……。

 

 最後の一工程、灰玉を展開された魔法陣の中心へ殴るように叩き込む!!

 

「――――ストーム!!」

《Devine Storm.(ディバイン・ストーム)》

 

 刹那、荒れ狂う暴風が方向性を持って放たれた。

 灰色の光の柱は眼下の敵へ、ほぼ零距離で放たれたそれは数瞬の間も無く直撃。

 轟音と共に黒煙が舞い、爆風に吹かれ俺の体が紙切れのように飛んでいく。

 

「くっ……」

 

 視界を埋め尽くす圧倒的な煙幕、自分が何処でどんな状態かすら分からない。

 だが背中を引き寄せるような力を感じ、即座に体勢を入れ替えて地面に着地。

 それだけでは勢いは殺せず、更に数メートル足を引き摺る事で漸く収まった。

 朦々と立ち込める煙は目の前を覆い、その先に起こった全てを隠蔽している。

 ……手応えはあった、筈。

 

「いや、まだだ」

 

 視界から流れるように晴れた先には、剥がれた装甲と紫電を走らせる鎧。

 隙間からは白煙が漏れ、片膝を着いて身動きが出来ない状態だ。

 背後から発せられる少女の言葉の通り、奴は死に体でありながらも最後の一歩を踏み止まっていた。

 だが崩れ落ちた体はギシギシと軋むだけで、最早動く事は叶わない。

 

《There seems still to have been an inexperienced part in the control.(まだ制御に不慣れな部分があったようです)》

 

 やはり未熟な俺では、一撃で決める事は出来なかった。

 しかし今なら、敵は攻撃以前に挙動を行う事すら困難。

 再度突撃体勢を取り、右手を後ろに引く。

 同時に真紅の少女も、俺の隣で相棒を構える。

 

「最後の仕上げだ。ヘマするんじゃねぇぞ?」

「当然、コイツで決める」

 

 そこに顔を向ければ、不敵な笑みを浮かべているヴィータ。

 互いに頷き合うと視線を前へ、身動きの取れない最後の障害を強く見据える。

 

「行くぞ!!」

「あぁ!!」

 

 ヴィータの掛け声に答え、弾かれるように走った。

 紅いドレスの彼女は、俺と併走するようにハンマーを構えながら飛行。

 スピードはほぼ互角、お互いに相手を見遣る事も無く一気に突っ込む。

 

「「これで――――」」

《Geo(ジオ――)》

 

 掌に暴風が集束し、有りっ丈の力で握り締める。

 不思議な事に重みは感じない、これがこの魔法の本来の在り方なのだと自然に理解していた。

 

 射程圏に収まった奴へ視線を向け、勢いを殺さずに猛獣の如く飛び掛かった。

 

 ――――コイツで決める。

 

「――――終わりだ!!」

「――――堕ちろ!!」

《Impact.(――インパクト)》

 

 少女が両手に携えた覇気(ハンマー)で、俺が鋼の風を纏う意志(こぶし)で、赤い光を湛えた顔面へ目掛けて、力の限り叩き込んだ。

 図らずも同タイミングで放たれた一撃(まほう)は、吸い込まれるように兜へ突き刺さり、轟音と共に圧倒的な重量のソレを容易く吹き飛ばす。

 

 数メートルの浮遊、更に倍の距離を滑りながら落ちていく。

 滑走地を削りながら砂塵の筋を引く姿に、先程までの威圧は微塵も感じない。

 ピクリとも動かなくなった物体は全身から煙を噴き出したまま、遂には紅い眼光すら音も無く消失する。

 

 駆動音は微塵も聞こえない、それは無機物にとっての最後を示していた。

 静寂の中、自分の荒げた息だけが耳を衝く。

 

「終わったな……」

「あぁ、そうだな」

 

 此方に語り掛けるように呟いた彼女に、簡単に返す。

 流石に今回の長丁場はキツい、訓練と実戦の違いを改めて認識させられた。

 ……でもこれで、本当の本当に終わった。

 

 今は唯、自分が求めた結末に満足しておく事にしよう。

 

 

 

 

 

――脅威たる存在は今、こうして終幕を迎えた。

――少年と紅い少女、そして2人に近付く白の少女の手によって……。

 

 

 

 

 

 

 

 




少女の力(ディバイン)』を受け継いだ少年、瑞代聖。

どうも、おはこんばんちはです( ・ω・)ノシ
なのは編№Ⅵをお読み下さり、ありがとうございます。

持ち得る技術で防衛戦に徹する聖、彼の身を案じながらも元凶を突き止めるなのは。
事態はヴィータという突然の援護によって、無事に収束へ向かいました。
こっちに戻る途中でしたから、この登場は必然と言っても差し支えないでしょう。
取り敢えず目の前で『ギガント・シュラーク』を見たら、そりゃ驚きますよ(;・ω・)
そしてなのはからのプレゼントこと、新魔法『ディバイン・ストーム』。
主人公ですから、少し位は見せ場はあった方が良いですよね!(`・ω・´)倒し切れなかったのは仕方ない!
最後の攻撃に転じる戦闘シーンでは、挿入歌的なものがあっても良いと思います(僕は奈々さんの『PRIDE OF GLORY』とかです
最後に、傀儡兵を次々と転送してきた術者の正体。
今話ではとある理由により全く描写が無かったのですが、その点についても次話できちんと明かされます。

残るは最終話のみ、なのは編の完結までもう少しです。
……次が最終話ですよ? 聖に関する伏線が完全に放置されてますが最終話で間違いありませんよ?
というよりも完全に伏線放置のストーリーだからこそ、なのは編がトップを飾ったと言っても過言ではありません。
これはなのは編を蔑ろにしてる意味ではなく、魔法が絡む運命編での純粋なストーリーを意識していたからです。
謎の解明、更なる混迷はフェイト編やはやて編の方に回す予定となっております。
それと冒頭でなのはが言っていた『光景』は、アリサ編№Ⅲ辺りを確認して頂ければ分かるかと思います。

今回はこれにて以上となります。
感想や意見、タグ関連やその他諸々は遠慮無くドシドシ書き込んで下さい。
皆さんからのお声が原動力なので、是非、是非、是非宜しくお願いします!!( ;Д;)
では、失礼します( ・ω・)ノシ





( ∵)ミナサンノオコエガ……トテモウレシイサクシャデス
_(∵_ )_カキコミノヒトツヒトツニ……トビアガルホドノヨロコビヲカンジテイマス
(/∵)/オモッタコト……カンジタコト……ナンデモイイノデ、オシエテクダサルトウレシイデス


(∵)アルノサージュの発売が近付いてきた!(クワッ
(∵)お気に入り数250突破、ありがとうございます!!

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