先週は三連休の筈が、潰れて二日間ずっと旗振りしてたよ…電気工なのに…
「…い!………か!」
「う、みゅ……」
波に飲み込まれ、オーロラの中に吸い込まれた子供たち。
その中で、唯一オーロラから出てきたポケベルのような物を拾わなかった刀奈は、いつの間にか気を失っていた。そんな刀奈を揺すり起こす者がいた。
「おい!大丈夫か!?」
「だいじょ~ぶ~?」
「………だぇ…?」
気持ちよく眠れていたのか、寝ぼけて舌っ足らずな口調で自身を起こした人物が誰か問いかけた。
まぶたを擦りながら目の前の人物を確認すると、そこには先ほど自分を祠に連れて行ってくれたゴーグルの少年と肌色のお餅に長い耳が生えたような生き物がいた。
「ゴーグルのお兄さんに……お餅さん?」
「違うよ~。僕はお餅じゃなくて、コロモンだよ~!」
「ぷぷっ…お餅って」
「うう~…太一も笑わないでよ~!」
お餅呼ばわりされ、拗ねるコロモンを太一が慰め始めた。
その様子を、刀奈はどこか呆然と見ていた。それもそうだろう。自分は今まで、山の祠のようなところにいた。なのに、山ではなく森の中にいるのだろうか。
もしかしたら、このまま帰れないのだろうか。
そう考えると、刀奈の目には涙が溜まってきた。
「うっ…ひっく…」
「えっ!?お、おいどうした!?」
「うわ~ん!おとーさ~ん!おかーさ~ん!かんざしちゃーん~!」
突然泣き出した刀奈に、太一と拗ねていたコロモンもどうしたものかと考え始めた。
だが、コロモンは人と会うのはこれが初めて出会った。なので、こんな時どうすればいいのかなんて思いもつかなかった。
けれど、太一は違った。何かを思いついたのか、太一はコロモンを手に取る。
「よっと!」
「ちょ、太一~!何するの~!」
「……ふぇ…?」
手にとったコロモンを頭に乗せ、太一はそのままリフティングをし始めた。
始めは頭で、徐々に足を胸を使い大きく動いていく。それと同時に、リフティングされているコロモンは目を回し、目が渦巻き状になっていた。
いきなり行われたリフティング。だが、刀奈にとっては新鮮なものだった。
今まで、家を継ぐために勉強、特訓と遊ぶことが殆どなかった刀奈はサッカー等のスポーツはテレビの中でしか見たことがない。それを目の前で行われて、刀奈はさっきまで泣いていたのに今では目を輝かせていた。
刀奈が泣き止んだのを見た太一は、コロモンを少し高めに上げ、頭で受け止めた。
「すごい…すごい!!」
「あはは…こんなに喜ばれるとは思ってもなかった」
「太一~…こんなことするんだったら、あらかじめ言ってよ~…」
盛大に拍手をする刀奈に、太一は苦笑する。
辺りに拍手の音が響く中、その音とは別に草木が揺れる音が聞こえる。
「誰かいるんですか?」
「光子郎!」
「あっ!太一さん!それに、君は先程の祠にいた」
「こ、こんにちは…」
光子郎と呼ばれる少年の登場に、刀奈は驚き太一の後ろに隠れてしまった。
その様子を見た光子郎は人知れず落ち込むのだが、直ぐに持ち直した。
「よかった…やっと、誰かに会えました」
「光子郎はん~、ひどいやないか。さっきからワテが一緒におったやないか」
「こ、光子郎!?そいつは?」
「ワテ、モチモンいいます」
「…目が覚めてから、ずっとついて来てるんですよ。どうやら、太一さんも同じようですね」
太一の傍にいる未知の生命体(コロモン)を見つめ、自身の知識の無い事に頭を抱えたくなる光子郎だった。
ちょうどよかったんで、今回はここできりました