デジモンアドベンチャー~Future~   作:優雅

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まずはじめに、この作品の楯無さんは恋愛に関して結構初心です。そして、太一は鈍感です。

書いていて、初心な楯無さんは結構スラスラ書けたな。


第4話 模擬戦開始!太一VS楯無

 

 

ISに慣れるために、模擬戦をすることになった太一と大輔。

その二人の相手は、選ばれし子供の一人である楯無とその妹の簪が務めることになったのだった。

そして、今まさに模擬戦が始まろうとしているのだった。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「それじゃあ、まずは太一くんと楯無くんの模擬戦から始めるよ」

「なぁ…ゲンナイさん」

「どうしたんだい、太一くん」

 

模擬戦を開始しようにも、選手である太一が何故かうつむいていた。

ゲンナイは何故そのようになっているのか分かっていなかった。

 

「どう考えても勝てるわけないだろジジイ!相手はあのロシア国家代表の楯無だぞ!初心者が相手するにはハード過ぎるだろ!!」

「はっはっは、問題ないさ。君たちなら。それにね、別に勝てって言ってるわけじゃないのさ」

「問題ないって…どういう意味だよ?」

「ISの操縦はイメージが必要だからね。君たちには、人型が飛んで戦うイメージが十分できてるだろう?」

 

そう言われると、何故か動かすのに大丈夫な気がしてきた二人だった。

太一の中には、自身のパートナーのアグモンの最終進化系であるウォーグレイモンが。大輔の中には、自身のパートナーが一度だけ進化したデジモン、マグナモンの姿が浮かんだ。

それぞれ、人型であり、まとっている鎧や翼のような盾を持つが羽を使わずに飛行する姿がどことなくISを用いて飛んでいるように思えば、自身がISを使って飛んでいるイメージにしっくりきていた。

それだけでなく、エンジェモン、ガルダモン、リリモン、エンジェウーモン、エクスブイモン、スティングモンなど翼を持つものの人型で空を飛ぶデジモンを多く知っている分、飛行のイメージが大分もてている二人でもあった。

 

「それじゃあ、待たせるのも悪いし、太一くん。行ってきなさい」

「頑張ってください!太一さん!」

「大輔…ああ!行ってくる!」

 

カタパルトに乗り、飛び出されると同時に脚部にあるスラクターを吹かし、太一はアリーナに飛び立つのだった。

アリーナに飛び立った太一を出迎えたのは、自身の専用機霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)を纏った楯無だった。

 

「ふふっ、待ってたわ、太一さん。まさか、太一さんとISで戦うことになるなんて思ってもみなかったわ」

「全くだぜ…何でこうなっちまったんだか…」

『聞いてた話だと、太一の自業自得だと思うよ』

「うっせ…アグモン」

「にしてもいいわね~。ISの中にパートナーがいるのって。今度、私もゲンナイさんに頼んでみようかしら」

 

太一と楯無は、お互いにアリーナの指定位置で軽口を叩いていた。

何気に、太一は既に空中浮遊と移動を難なくこなしている。本来なら、初めてISを動かせば歩くことですら困難な筈なのに、驚異の学習能力だ。これも、しっかりとイメージを固めているからである。

そんな中、二人の目の前に3つのランプが浮かび上がる。

 

「どうやら、軽口をたたけるのはここまでのようだな」

「ええ。言っとくけど、手加減はしないからね、太一さん」

「当たり前だろ。やるからには真剣勝負だ」

『僕もしっかりサポートするよ』

 

話してるうちに、ランプが一つ、二つと点灯していく。

そして、最後のランプが点灯すると同時に開幕を告げるブザーが鳴り響く!

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

「危ねぇ!?」

 

ブザーがなると同時に、動き出したのは楯無だった。蛇腹剣【ラスティー・ネイル】を構え、太一へと突っ込んでくる。

それを予測していたのか、太一は楯無と比べて遅いものの上に逃げるように躱したのだった。

 

「いきなりやってくれるな…楯無」

「けど、太一さんはわかってた癖に。それと、今は二人っきりだから、私の本当の名前で呼んで」

「わかったよ…刀奈(かたな)

 

刀奈。それは、楯無の本来の名前だ。

更識家は、かなり特殊な家庭である。今は、その内容を詳しく話さないが、更識の当主となるということは自身の名を捨て、襲名である楯無を名乗ることになるのだ。

楯無がデジタルワールドを冒険した頃は、まだ小学三年生の頃だった。だから、選ばれし子供たちは全員、楯無の本名を知っているが楯無の名前の意味も知っているからこそ、刀奈ではなく楯無と読んでいるのだ。だが、中でも太一だけは二人っきりの時には刀奈で呼んで欲しいと頼まれているのだ。

 

「それじゃ、どんどんいくわよ!」

 

再び楯無は、ラスティー・ネイルを構え、太一に斬りかかる。

太一は時には躱し、時には装甲で受けていき、ISのシールドエネルギーをできるだけ守っている。だが、何度も同じことが繰り返されているが、徐々に楯無の攻撃を無駄な動きなく躱す事が多くなっていった。

 

(さすが太一さん…思ってたよりも、ISに慣れる速度が速い!)

(くそっ…今のままじゃ、なんにも武器がないから避けることしかできない!アグモン、まだか?)

「(このままだとシールドエネルギーを削り切るよりも、太一さんがISに慣れる方が速い…だったら、別の攻撃方法で意表をつく!)これで!」

「なぁ!!?」

 

先ほどとは違い、5m程離れた位置で楯無がラスティー・ネイルを振るうとラスティー・ネイルから水流が太一目掛けて流れ出てきた。

剣から水流が出るという、現実離れした光景に太一は意表を突かれ、一瞬反応が遅れてしまった。なので、躱しきれないと判断した太一は両腕をクロスさせ水流を耐えるとこにするのだった。

だが、ラスティー・ネイルから流れる水流は圧縮された高圧の水流。水流をうけた太一の腕の走行は砕け、太一自身5mも吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐっ…装甲がやられたのかよ…」

「もらったわ!」

「………そこだ!」

 

吹き飛ばされた太一は、急ブレーキをかけるように空中で止まった。それと同時に、現在の装甲の様子、グレイソウルのシールドエネルギーの残量をすぐさま確認するのだった。

その隙に楯無はラスティー・ネイルを構え斬りかかってくるのだった。

太一は楯無を一度見ると、目を閉じ、開くと同時に斬りかかってくる楯無を無視して後ろに回し蹴りを放った。すると、ラスティー・ネイルとは違いランスである【蒼流旋(そうりゅうせん)】を手にした楯無の脇腹に当たるのだった。

後ろにいた楯無に回し蹴りが当たると、ラスティー・ネイルを構えた楯無は水となり崩れ、持っていたラスティー・ネイルはそのまま落ちていった。

 

「っつー……よくわかったわね、太一さん」

「当たり前だろ。目の前の刀奈からは存在感がしなかった。はっきり言っちまえば、幻のような感覚だったからな。しかも、後ろから刀奈の気配がするし。直ぐに、わかった」

「…そんな非科学的な事で水分身が敗れるのは太一さんくらいよ」

「そうか?刀奈や大輔とかできそうだけどな。それに、俺が刀奈を間違うわけ無いだろ?」

「はうっ!!?」

 

太一はデジタルワールドの冒険で、幼いながらも未知の世界でのサバイバルを経験していた。何度もデジモンに襲われ、道中でも襲われないか警戒していたからこそ、これほどの技量を得ることができたのだ。だが、今まで争いがなく平和ボケしていたからその技量が眠ってしまっていたが、自身よりも格段に上位に位置する楯無との戦いで、眠っていた技量が蘇ったのだ。

あまりにも非科学的な行為で、自身の水分身を見破られ落ち込んでいた楯無だったが、太一の一言で顔から蒸気が出るくらい赤く染まっていた。

 

「そそそ、そりぇはどーゆうこにゃの、太一ひゃん!!?」

「どうしてそんなに噛んでんだよ。当たり前だろ?俺が仲間のこと、間違えるわけないだろ」

「あ……そういうことね……」

 

言葉を何度も噛んでしまう程、取り乱していた楯無だったが、再び太一の一言で落ち着きを取り戻した。さっきの言葉で、まだ顔は赤くなっているものの目に見えて落ち込んでいる。

それを見た太一は、何故楯無がこうまで取り乱しているのか分からずじまいだった。

 

「どうしたんだよ、刀奈。もしかして体調でも悪かったのか?」

「う~~…もうっ!太一お兄ちゃんの馬鹿ぁ~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」

「へっ…?」

 

乙女の純情を(無意とはいえ)弄ばれてしまった楯無は、ついには若干幼児退行しながら上目遣いで睨みつけ、太一を罵倒すると同時に指を鳴らした。

すると、太一の周囲に霧が集まると、爆発を起こすのだった。

清き熱情(クリア・パッション)。これが楯無が使った爆発だ。

楯無のミステリアス・レイディはアクア・クリスタルと言うナノマシンで作られた水のヴェールから水を発生・操ることができる特性を持っている。その水を霧状にし散布し、ナノマシンを発熱させると霧は一瞬で気化し水蒸気爆発を起こせるのだ。

 

「あっ…まず…太一さん、大丈夫!?」

 

一時の感情の暴走で、過剰なまでの爆発を起こしてしまい顔を青ざめながら楯無は太一の安否を確かめた。

爆発により起きた煙のせいで、ISのハイパーセンサーにはまだ引っかかっていない。けれど、ラスティー・ネイルの水流で装甲が壊れたのだ。この爆発では、まず無事ではないと考えてしまう。

そんな中、楯無に向かって一発の火球が放たれた。

すぐさまアクア・クリスタルから水の楯を使い火球を消すが、同時にこの火球を発生させた人物が太一だと分かり、無事がわかっただけで安堵するのだった。

煙が晴れると、先程までの薄いピンク色の機体を身に纏った太一はそこにはいなかった。新たに、山吹色の装甲を身に纏い、右腕には爪を模した鉤爪が畳まれている。両足には鋭い爪のような装甲を持ち、左腕にはアグモンの頭部を模した籠手【デジローダー】をしていた。

これが、太一の専用機グレイソウルが一次移行(ファースト・シフト)した姿だ。

 

「危なかった…今のはまじで、危なかった!」

「ごめんなさい!太一さん、大丈夫だった!?」

『だいじょーぶだよ~。ギリギリで一次移行できたから、その影響でなんともなしだよ』

「ホンットギリギリだったけどな…そんじゃ、第2Rといくか!」

 

一次移行したことで、武器が使えるようになった太一は、ついに自分から仕掛けていった。

さらに、先ほどまでは一次移行するためのプログラム処理を補助していたアグモンが作業を終えたことで、太一のサポートに入ることができるようになった。

畳まれていた鉤爪が180度回転して展開し、楯無に切りつけに行く。

 

「おらぁ!」

「えいっ!」

 

鉤爪は右腕のみなため、必然的に右手だけを振るうことでした攻撃できない太一に対し、楯無は蒼流旋で迎撃する。片手のみの攻撃を、楯無はいなすと同時に突きを放つが、その突き左手の籠手で防がれる。

何度かぶつかり合うと、二人ははじかれるように離れた。

そして、太一は左手の篭手を。楯無は蒼流旋を相手に向けた。

 

『太一!さっきみたいに僕のカード使って!』

「わかった!行け!【スピットファイア】!!」

「これでどう!」

 

太一はグレイソウルの拡張領域(バススロット)に入っていたアグモンの絵が描かれたカードをデジローダーのアグモンの後頭部にあるスロットへ入れた。すると、アグモンの口が開き、そこから無数の小さな炎が発射される。それに対し、楯無は蒼流旋にある四門の発射口からガトリングを放ち、迎撃するのだった。

 

「太一さんのIS…そんな事までできるのね!」

『へへ~ん、まだまだいけるよ!太一、さっき教えたことわかってる?』

「もちろんだ、アグモン!一気にケリをつけるぜ」

『いっくぞ~!【ガルルファング】!!』

 

今度は、デジローダーにガルルモンのカードを入れるのだった。

すると、デジローダーは光を放ち分離する。すると、デジローダーは形を変え、両腕の装甲を青と白の毛皮で覆い先端に鋭い爪を持つ武装【ガルルファング】へと変化した。

グレイソウルの主要武器、デジローダーは拡張領域にあるカードを入れることで力を発揮できる武装だ。アグモンのカードを入れればアグモンの技が使え、ガルルモン、バードラモン、カブテリモン、トゲモン、イッカクモン、エンジェモン、テイルモンのカードを入れれば姿を変えることができる変幻自在の武装なのだ。ただし、これにはデメリットも存在する。それぞれ、変わる武器が異なるため、扱いきれるかは本人次第なのと、一度使ったカードはアグモン以外はしばらくの間、使えないのだ。

 

「ちょ、なにそれ!?」

「でやぁぁぁぁぁ!!」

「ぐっ…質問は無視なの!?」

「自分に不利になることはいわないだろ!?」

「それもそうね!!」

 

ガルルファングの特徴は、両腕の爪を用いたインファイトだ。

リーチは短いものの、相手につき絶える事のない連撃を繰り広げる。逆に、楯無が使っているのは槍。槍の特徴はリーチの長さだ。長いゆえに接戦になると、振りづらく遅くなる。よって、今回のようなインファイトでは確実に不利になってしまっている。

ラスティー・ネイルがあれば、結果は違ったものの先ほど意表を付くために、水分身に持たせたっきり地面に落ちてしまっている。

 

「くっ…結構不利ね…でも、私は負けないわ!」

「だけど、さっきも言ったがこれでケリをつけるさ!アグモン!」

『まっかせて~。【フォックスファイアー】!』

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

止めと言わんばかりに、太一とアグモンがガルルファングの力を発揮した。右腕の毛皮から青い炎が灯り、左手で蒼流旋を抑えられ、無防備となった楯無に右腕を振るうとフォックスファイアーが火炎放射の様に放たれる。

既にシールドエネルギーが尽きかけている中、フォックスファイアーの勢いで吹き飛ばされ意識が薄れていく楯無だが、意地で意識をつないでいた。

楯無には負けられない理由があった。それは、妹が見ているからでも、IS学園最強である生徒会長としてのプライドからでもない。そこにあったのは、ただの意地だった。

デジタルワールドでの冒険で、幼かった楯無…いや、刀奈は太一に何度も助けられた。太一からしたら、妹のヒカリのひとつ上である刀奈からヒカリのことを思い出した故の過保護だが、刀奈からすれば太一の過保護はかつてないほどの嬉しさを覚えたのだ。更識の家に生まれたが故に、次期楯無になるための厳しい特訓、行儀や作法、学業の勉強、そして簪に見せていた完璧な姉の姿。それらの要因がたたって、甘えることができなかった刀奈にとって、太一は兄の様に甘えられる存在だった。初めは親愛、けれど今ではその思いが恋愛にまで昇華している。ただ楯無は初恋の相手である太一に情けない姿を見せたくない。その理由と意地で、負けないように意識をつないでいた。

太一はまだ気づいていない。自身の背後には、霧が散布されていることを。

後はただ発火するだけ。

楯無は指でピストルのような形を作り、太一に向ける。そして、一言呟いた。

 

「ばん」

『太一、危ない!』

「なっ!」

 

太一の後ろで爆発が起き、巻き込まれる。

一次移行で装甲は修復したものの、シールドエネルギーまでは回復していない。

楯無の最後の爆発で、太一のグレイソウルのシールドエネルギーは零になった。

だが、それと同時に楯無のミステリアス・レイディのシールドエネルギーも零になり、ブザーがなった。

 

『太一くん対楯無くんの模擬戦、引き分けだね』

 

この二人の対決は引き分けで終わるのだった。

 

 

 

 

 

 




太一のISの名前ですが、ドラモンソウルではドラモン系統に括られてしまうのでグレイソウルのほうがいいのでは?と感想を受け、あっそっちのほうがいいじゃん!と思い、変更しました。
一次移行前の見た目は、結構感想でわかってたみたいですけどコロモンがモチーフです。
そして、一次移行後の見た目はアグモンがモチーフになっています。ちなみに、左腕のデジローダーの見た目に関しては、仮面ライダー龍騎が元ネタです。それと、思ったのですが、この作品とは別にデジモンアドベンチャーの作品、『刀奈ちゃんの冒険』なんて考えてしまったのですが、どうでしょうか?この作品版のデジモンアドベンチャーなんですけどね。

ちなみに、デジローダーのガルルセイバーはさすがにネタに走りすぎと指摘されたので、ガルルファングに改正しました。フォックスファイアーのシーンはオーガモンの覇王拳の様に、拳の勢いで飛ばされているイメージです。
それと、この作品のマグナモンは本編のみ。映画やVテイマーズとのコラボはなかったことになってます。
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