時間がかかった割には、短い内容です
それでは、どうぞ
「はぁ…明日からIS学園に入学かぁ~…」
ベットに転がりながら、大輔はそう呟いていた。
あの模擬戦から二週間が経ち、時は既に4月。明日になれば大輔たちはIS学園に入学することになるのだ。
大輔がため息をついてる理由は、ISについて学ぶ学園だからや元々志望していた学園じゃないことだからではない。ISは女性にしか動かせれない。つまりは、IS学園の生徒や教師はみんな女性なのだ。例外として、大輔や太一、そしてあの時一緒にISを動かしてしまった織斑一夏だけである。
最も、それは世間一般が知っているだけであって、実際にはもっといるだろう。
ゲンナイの考え通り、ISはデジコアを持っていれば男性でも動かせれる。だが、この三人しか知られてないのは
そのため、各国の選ばれし子供たちはエージェントたちに協力し、隠しているのである。
寝転がっている大輔は、着信音がする携帯が目が入った。
最初はまた、各国の科学者や重役が勝手に人の携帯の番号を調べ上げ電話をかけてきたのかと、嫌々手に取るが携帯の画面には、模擬戦の時に知り合った少女、更識簪の名前が描かれていた。
「大輔だけど、どうかしたか?」
『あっ………ご、ごめんね。こんな夜分遅くに…』
「あ、ああ…大丈夫だ」
この前知り合った少女だとわかった大輔は、体を起こし電話に出るのだった。
携帯越しに聞こえる簪の声を聞くと、耳元で囁かれてるようで大輔は緊張していた。
実は大輔は男友達は多いが、そんなに女友達がいないのだ。完全にいないという訳ではないが、アドレスを交換するほど仲は良くないし、仲間との間では今でもディーターミナルのメールでの会話が多いため電話をする機会がないのだ。
『そのね……お姉ちゃんが言ってたんだけど…もしかしたら、初日からIS学園の寮暮らしになるかもって…だから、支度しておいたほうがいいって言ってたの』
「そ、そうなのか?わりぃ、助かった。あんがとな」
『い、いいよ!お礼を言われるほどじゃないの………でも、少しは大輔さんの役に立てたなら…嬉しいなぁ』
おそらく無意識のうちに言葉にしたであろうセリフに、大輔は顔が真っ赤になるくらい赤面してしまった。大輔の頭の中には、顔を少し赤らめ微笑んでいる簪の顔が浮かんでしまうのだった。
そんな中、大輔はというと
(おおおおおおお、落ち着け俺!俺はヒカリちゃん一筋なんだ!だから、落ち着け!!!………そういえば、ヒカリちゃんってもう付き合ってるんだったよな…くぅ~、まさか俺でもタケルでもない男と付き合うとはぁ!もう諦めるべきなのかなぁ)
自身が恋心抱いていた太一の妹、八神ヒカリについて考えていた。
ヒカリは何度もアピールする大輔や結構いい感じだったタケルと付き合うことはなく、デジタルワールドで知り合った男と付き合っているのである。ちなみに、大輔のアピールはアピールとは気づいておらず、むしろ大輔の好意にすら気づいていていなかった。タケルに関しては、お互い幼い頃の冒険から仲間意識が強く、男女としての好意がなく、あるのは親愛だけだったのだ。
『………大輔さん?どうかした?』
「い、いやなんでもない!なんでもないぞ!」
『?…ならいいんだけど』
ヒカリのことを諦めようかと考えているうちに、返事がない事を不審に思った簪の声で我に返るのだた。
「けど、ホントあんがとな。しばらくはホテル暮らしになるって聞いてたけど…おかげで、荷物の準備とかが必要なのがわかった」
『ほ…本当にお礼を言われるほどじゃないよ……むしろ、教えてくれてたお姉ちゃんに言うべきだと思うの…』
「それでもだ。簪ちゃんが教えてくれなかったら、俺が困っちまってたしよ」
『う…うん……それでね…その、ね』
「どうかしたのか?」
『一緒のクラスになれるといいね……!!な、なんでもないの!おやすみなさい!』
その言葉を最後に、電話は切れてしまった。
大輔はしばらくの間、携帯を片手に人形のように固まってしまっていたのであった。
ちなみに、これは余談だが、更識家のある一室では頭から湯気が出そうなほど顔を真っ赤にした少女が悶えている姿が幼馴染に発見されたとか。
* * * * *
「そっか。ありがとな、楯無」
『いいのいいの。それじゃあ、ヒカリちゃんにもよろしくね』
「ああ」
簪が大輔に電話している頃、楯無も太一に同じことを電話していたのであった。
楯無との電話を切ると、太一は直ぐに荷造りを始めるのだった。
机の上に置いてあるIS学園から来た通知を見ると今にもため息をつきたくなるのだった。
「はぁ~……まさか、また高校生活をやり直す羽目になるとはなぁ…」
そこに書かれたのは、強制的にIS学園に入学するようにとの通知だった。
既に高校を卒業し、大学生にもなる筈の太一からすれば、もう一度同じ勉強をし直さなければいけないことはうんざりな行為だった。
少し気落ちしたが、荷造りを再開しようとすると扉がノックされ、開かれるのだった。
開かれた扉からは、可愛らしいパジャマを来た妹のヒカリがいるのだった。
「お兄ちゃん、まだ起きてるの?」
「ああ。明日から寮生活になるからな。しっかり荷造りしないとな」
「そうなんだ」
「そういえば、楯無がお前によろしくって言ってたぞ」
「楯無さんが?そっか」
何気ない兄と妹の会話なのだが、お互いの言葉には寂しさが混じっていた。
本来なら、太一がISを動かせれると公表された時点で重要人物保護プログラムで太一の家族と大輔の家族は散り散りになってしまうのだったが、それよりも早くゲンナイたちが保護するのだった。
もちろん、保護することで世界各国から避難を受けたが、既に全員が保護を受けることを同意していたため、無効も手が出せず、結果としてゲンナイたちの研究所は誰の国のものでない無国籍の研究所となり、定期的に情報の提示を世界各国にするという形で収まったのだった。
兄妹の中で、しばらく無言が続く。だが、その沈黙を先に破ったのはヒカリだった。
「お兄ちゃん。IS学園でも元気でね」
「当たり前だろ」
「でも、お兄ちゃんって結構無茶するし。それで、楯無さんを泣かせちゃうし」
「うっ……それは昔の話だろ!」
初めてデジタルワールドを冒険した頃のことで責められ、つい顔を真っ赤にして太一は怒鳴ってしまう。
そんな様子を見て、ヒカリはくすくすと笑っていた。
「私ね。IS学園に行っちゃうお兄ちゃんに、何かできないか考えてたんだ」
「ど、どうしたんだよ。いきなり」
「空さんたちとも話し合ってね。お兄ちゃんにこれを渡すのがいいと思ったの」
「これって」
そう言って、ヒカリが渡してきたものを太一は見る。
袋に入っていたそれを受け取り、中を開くとそこには赤いヘアバンドと太一が愛用していたゴーグルが入っていた。
太一はそのヘアバンドとゴーグルを付けるのだった。
「やっぱり、お兄ちゃんにはゴーグルだよね」
「そ、そうか?」
「そうだよ。それじゃあ、お兄ちゃん。おやすみなさい」
別れを告げて、さって行く妹に太一は無言で頭を下げるのだった。
これからの事を考えるあまり、元気がなかったせいで気を使わせてしまった。それも、仲間たちからも。そう考えると、ヒカリの思いやりに頭を下げずにいられなかったのだった。
「よっしゃ!それじゃあ、とっとと準備して寝ちまうか!」
* * * * *
「はぁ~~~~~~…」
深い溜息をつき、織斑一夏は部屋の整理をしていた。
ISを動かしてしまったせいで、ニュースには出るわ、研究員が押しかけてくるはで散々だったのだ。
一夏は、これからしばらくは帰れない部屋の整理をしているのだった。
「ん?これって…」
開いていた押入れから、あるものが落ちてきたのだ。
白いフレームに銀色の淵。中心のモニターは電池が切れたかのように黒く塗りつぶされたポケベルのような物。これを知る人はこう言うだろう。デジヴァイスと。
「こんなんもってたっけ?」
初めて見たかのようにまじまじと見るが、電池切れのようで、しかも電池を替えるところがない事からゴミだと思いゴミ袋に捨てようとする。
だが、入れようとする瞬間、頭痛がしたのか頭を抑える。
「っつ……なんでだ?何故か、これは捨てちゃいけない気がする…もっと、大切な気が…」
知らない物の筈なのに、何故か持ってなければいけないという感情がして、混乱してしまう。
そして、一夏は自身の感情に従いデジヴァイスを明日持っていくカバンの中に入れるのだった。
* * * * *
そして、時は進む。
三人にとって、IS学園での始まりの朝が訪れるのだった。