「前の投稿から随分間が空きましたね神さま」
「インフルエンザになってから一気に創作意欲が無くなってのう…まあただの言い訳じゃがな」
「ははは、で今回はなんです?」
どーせまた何か女の子助けろーとかだろうと思って神に軽く問いかけてみる。
「いや、引きずっててもアレだしラスボス倒そうと思ってのう」
「魔王だったか邪神だったかをですか?」
もう既に名前すら曖昧な全ての元凶を思い浮かべ…られない、どんな奴だったっけ?
「して、何処に居るんですか奴は」
「ファンタジー世界の方でエロトラップダンジョンを作ってエンジョイしておる」
「エロトラップダンジョン」
「凝りすぎて未だ改装中じゃから中で作業中なのは確かじゃの」
「邪神直々に作業してるんですか」
「凝り性じゃからな、ほれ」
悪魔っぽい見た目の奴、おそらく邪神がヘルメットと作業着を着て触手を地面に埋め込んでいる写真を見せられる。
「思ったよりガチですね、DIYとかそういうレベルじゃないのは理解しましたよ…でもこの写真はどこから?」
「邪神のSNSからじゃ、天使があっさり特定しおった」
2枚目の写真では媚薬を噴射する機械を壁に埋め込んでカメラに向かってサムズアップしていた、どことなくシュールだ。
「他にもあるぞ、ほれ」
ーーー
〜邪神のエロトラップ建造日記〜
○日目
どうも、邪神です
今回は遂に触手床貼りが終わり、媚薬噴射機などの取り付けに入りました。
いやー足腰が痛い、治癒魔法やマッサージが欠かせなくなりますね。
ここまで凝ったのは間違いだったかもしれませんね…
でも
ーーー
「やかましいわ」
神から受け取ったスマホをクッションの上にぶん投げる。
「アイツこんな文書くんじゃな、初めて知ったわい…神友達に拡散してやろうかの」
「邪神並におぞましい事はやめて差し上げてください神さま」
こんなオヤジギャグ一生ネタにされるぞ邪神、というかこの日記毎回こんなギャグ挟んでるんじゃないだろうな。
「…それはそれとして、どうやって地の奥底でダンジョン建造に楽しく勤しむ邪神を倒すんですか?」
「そりゃ簡単じゃ、取り敢えず現地に飛ぶぞい」
女騎士助けたりしたなんだかんだで思い出のあるファンタジー世界に飛び、邪神がエロトラップダンジョンを建造しているという場所の近くまでやってきた。
「…ここがその一帯ですか、どれくらい大きいんですか?」
「半径で大体10キロはあるのう、よく作ったもんじゃい」
「半径で10キロ…直径じゃなくてですか!?」
今までは一応倒せる相手だったが今回の相手は地下奥深くに広がるダンジョンの何処かにいる邪神…正直どうしようもなさそうだ。
「まあそう思うと思って用意してあるぞい、コイツを押し込んでみよ」
四角い箱にT字の持ち手、爆発させる時のアレが目の前にぽんと置いてあった。
「…これも天使さんが?」
「そうじゃのう、まあ発破までしてしまうと世界への過度な干渉として弾かれるから起爆はお主じゃあないといけなかったのじゃ」
「こじつけるなぁ、まあいいですけど」
持ち手を握って身構える、これを押したらどうなるかはまあ…想像に容易いというか、お約束というか。
「ポチっとな」
そして持ち手を箱にガシャンと押し込んだ。
ーーー
邪神チャンネル 生放送中
「どうもー、邪神チャンネルへようこそー」
カメラに向かって挨拶し、パソコンで送られて来るコメントを流し見ながら動画を進行させる。
「今日はですね、遂に媚薬周りの設備の設営を本格的に始めていこうと思ってますー」
見やすいようにテーブルの上に置いた媚薬噴射機をぽんぽんと手で叩きながら簡単な説明を行なっていく。
「まあ説明はこのくらいにして、早速設営に入りましょうか」
カメラを三脚から外して手に持ち、ダンジョン内を映しながら目的地へ向かう。途中で動画ではカットした箇所をチラッと映したりしながら進む辺り、動画なんかは手慣れている方なのかもしれない。
「ここは触手床です、テキトーに植えてもしっかり見栄えが良くなるのはちょっとショックですが、触手だけに」
この瞬間だけコメントが途切れたのはお察しである。
「ちょっと寒かったかな…うん?」
ズズンと大きな音がしてダンジョン内が大きく揺れ、崩れ始める。急に始まったダンジョンの崩壊に戸惑いが隠せない邪神はカメラを落としてしまう。
「ツッコミ、厳しすぎない?」
邪神の最後の一言は、それだった。
爆発オチなんてサイテー!